ある難病(パーキンソン病)患者の叫び

年齢51歳。医師。2004年4月病気のため退職。白衣を着ていた者がパジャマに着替えた時に感じた本音を叫び、訴える。

エスカレーターの乗り方:ステレオタイプにならないで

2005-04-12 13:14:30 | Weblog
東京では急ぐ人は右側を、大阪では急ぐ人は左側を歩くと聞いています。これはエスカレーターの話ですが、いつこのような習慣になったのでしょうか?おそらくエスカレーターが駅の構内や地下通路に設置されてからのことだと思います。確かにこのような決まり事は通常では人の流れをスムーズにしてくれています。そしてエスカレーターのお陰で足の不自由な人でも『上り下り』がかなり楽になっていることも事実です。しかし、世の中にはその習慣に止むおえず従うことができない人もいるのです。
 先日、両足の不自由な人と外出したのですが、その人は特に右足が悪く、体を安定させて立つためには右側に寄りかかっていることが必要になります。平日の昼頃でしたので駅のエスカレーターはさほど混んでおらず、その人が右側に乗り、私がその後に立って、後から右側を歩いて上ってくる人たちに「すみませんが左側から抜いてくれませんか。」と言っていたのです。ところが、ある中年のご婦人が、「エスカレーターの習慣を知らないのか」と言わんばかりに「右側に立たれると後の人が歩けないでしょう。」と言ってきたのです。ちなみに私の同行者は杖を持っていて、すぐに足が不自由であることはわかるのです。
世の中にはいろいろな境遇の人がいて一般の人とは同じように行動できないこともあるのです。習慣は習慣、決まりは決まりとして大事なことですが、もう少しその方にはステレオタイプ的な考えから抜けていただけないかと思いました。



余話・閑談②:またまたタンポポの話

2005-04-12 13:08:31 | Weblog
植物に全く知識の無い私でも知っているものに「タンポポ」があり、花を見れば「タンポポ」、丸くなった種の集まったものを見れば「タンポポ」とわかります。
その「タンポポ」には外来腫であるセイヨウタンポポと在来種であるニホンタンポポがあり、この区別をするためには、花の下にある総苞片というところが反り返っているものがセイヨウタンポポでニホンタンポポは総苞片が反り返っていないとされています。ところが外来種と在来種の雑種というものがあるので区別は単純ではないと言われています。芹沢俊介氏の酵素たんぱく質分析によれば外来種と肉眼的には思われていたものはほとんどが実は両者の雑種であったと報告しています(エコロジーガイド人里の自然、保育社、1995)。さらに昨年度の第48回日本学生科学賞の岡崎高校の遺伝子解析によれば外総苞片の反り返り自体も外来種の雑種化により、「ばらつき」があったと報告されています。      
 タンポポには外来種と在来種の2つがあり、外来種が多くなった理由として以下のことがあるようです。
①ニホンタンポポは田園的な環境に適合していたが、セイヨウタンポポは都市部の空き地などに適応ている為、環境の都市化により外来種が適応した。
②外来種は受粉しなくても種子ができる(無性生殖)が、在来種は有性生殖で、さらに同株の受精では種子ができない。(ただし外来種でも優性生殖はするので雑種ができる可能性はある。)
③外来種では春から秋まで花が咲くが、在来種では春しか花が咲かない。
④外来種はアルカリ性に適するのでコンクリートに強い
(これは①に関与することであろう)。
以上のことから考えますと日本という国が都市化されてきたことが外来種の優勢に繋がったわけで、最近問題のブラックバスのような問題とは同レベルの話ではないようです。

他にもタンポポに関しては興味深いことが多いのですが、このあたりで一応終了とします。
何だか余話・閑談とは思えないほど長くなり、難病とも関係ないようですが、このように非常に当たり前に思っていること、見ていることは「なぜ」「どうして」と言った疑問や質問がしにくいことが多いのです。先日途中まで書きました「携帯電話の件」や、次に書くつもりの「エスカレーターの乗り方」などあまりに一般的には固定観念があります。
ステレオタイプに固定化した常識(?)ほど怖いものはありません。

*今回の私のベランダで咲いたタンポポは実は「ニホンタンポポ」であることを期待していたのですが、写真のように外総苞片が典型的に反り返っていて、「外来種」と確定しました(ただし雑種であるかどうかは分かりません)。