針ヶ谷夕雲(はりがやせきうん)は陰流(かげりゅう)の流れを汲みながら、無住心剣流を編み出した江戸時代初期の剣豪です。
自分の剣術に疑問を持った夕雲は山奥の岩屋に籠もって、独り、厳しい修行に励みます。そこで出会ったお鶴という不思議な女性とのふれあいによって、少しづつ悟りを開いて行き、ついに剣禅一致の境地に達します。
目次
1.からっ風が吹き抜けた‥‥‥上州名物のからっ風が吹いていた。
2.関ヶ原から大坂の陣‥‥‥慶長五年九月、関ヶ原の合戦が起こった。
3.岩屋観音1‥‥‥武芸者は岩屋の中で、彫り上げた観音像を前に座禅を組んでいた。
4.岩屋観音2‥‥‥観音様はゆっくりと近づいて来て、武芸者の隣に来て座ると、刀を押さえるように武芸者の手にさわった。
5.お鶴という女‥‥‥雪に覆われた山の中で、武芸者は立ち木を相手に木剣を打っていた。
6.お鶴と岩屋‥‥‥次の朝、朝稽古を終えて、岩屋の前で朝飯を食べている時、お鶴はやって来た。
7.焚き火を囲んで1‥‥‥焚き火の火が揺れている。岩屋の中で五郎右衛門とお鶴は酒を飲んでいた。
8.焚き火を囲んで2‥‥‥「まあ、飲め」と五郎右衛門はとっくりを差し出した。お鶴は笑うと空のお椀を手に取った。
9.傷だらけのお鶴‥‥‥次の日の朝、五郎右衛門はお鶴に起こされるまで、ぐっすりと眠っていた。
10.とぼけた和尚‥‥‥いい天気だった。昨日、積もった雪が光って眩しかった。
11.新陰流を忘れろ‥‥‥和尚の言われるままに、五郎右衛門はさっそく座禅を始めた。
12.抜けがら座禅‥‥‥五郎右衛門は一睡もせずに座り続けた。
13.昔話とお鶴‥‥‥「昔々‥‥」とお鶴は酔いにまかせて話を始めた。
14.行くな戻るな、たたずむな、立つな座るな、知るも知らぬも‥‥‥冷たい風の中、五郎右衛門は朝から木剣を振り続けていた。
15.花見酒‥‥‥お鶴が姿を見せなくなった。
16.夢想願流、松林左馬助‥‥‥お鶴は二日目の朝になっても目を覚まさなかった。
17.老いぼれ猫の境地‥‥‥五郎右衛門はお鶴が寝ている間は木剣を手にする事なく、彼女の看病と座禅だけに熱中していた。
18.お鶴と横笛‥‥‥五郎右衛門が木剣を構えて空を睨んでいると、「五右衛門さ~ん」とお鶴が帰って来た。
19.仁王様の剣‥‥‥新たに、二人の生活が始まった。
20.月見酒‥‥‥「今晩は思いっきり飲むわよ」とお鶴は酒の用意をしながら楽しそうに言った。
21.相抜け‥‥‥木陰に座り込み、五郎右衛門は木剣を作っていた。
無住心剣流の系図
陰流 愛洲移香斎(1452-1538)
↓
新陰流 上泉伊勢守(1508-1580頃)
↓
神影流 奥山休賀斎(1526-1602)
↓
真新陰流 小笠原源信斎(1550頃-没年未詳)
↓
無住心剣流 針ヶ谷夕雲(1593-1662)
↓
無住心剣流 小出切一雲(1630-1706)
↓
無住心剣流 真里谷円四郎(1662-1742)
自分の剣術に疑問を持った夕雲は山奥の岩屋に籠もって、独り、厳しい修行に励みます。そこで出会ったお鶴という不思議な女性とのふれあいによって、少しづつ悟りを開いて行き、ついに剣禅一致の境地に達します。
目次
1.からっ風が吹き抜けた‥‥‥上州名物のからっ風が吹いていた。
2.関ヶ原から大坂の陣‥‥‥慶長五年九月、関ヶ原の合戦が起こった。
3.岩屋観音1‥‥‥武芸者は岩屋の中で、彫り上げた観音像を前に座禅を組んでいた。
4.岩屋観音2‥‥‥観音様はゆっくりと近づいて来て、武芸者の隣に来て座ると、刀を押さえるように武芸者の手にさわった。
5.お鶴という女‥‥‥雪に覆われた山の中で、武芸者は立ち木を相手に木剣を打っていた。
6.お鶴と岩屋‥‥‥次の朝、朝稽古を終えて、岩屋の前で朝飯を食べている時、お鶴はやって来た。
7.焚き火を囲んで1‥‥‥焚き火の火が揺れている。岩屋の中で五郎右衛門とお鶴は酒を飲んでいた。
8.焚き火を囲んで2‥‥‥「まあ、飲め」と五郎右衛門はとっくりを差し出した。お鶴は笑うと空のお椀を手に取った。
9.傷だらけのお鶴‥‥‥次の日の朝、五郎右衛門はお鶴に起こされるまで、ぐっすりと眠っていた。
10.とぼけた和尚‥‥‥いい天気だった。昨日、積もった雪が光って眩しかった。
11.新陰流を忘れろ‥‥‥和尚の言われるままに、五郎右衛門はさっそく座禅を始めた。
12.抜けがら座禅‥‥‥五郎右衛門は一睡もせずに座り続けた。
13.昔話とお鶴‥‥‥「昔々‥‥」とお鶴は酔いにまかせて話を始めた。
14.行くな戻るな、たたずむな、立つな座るな、知るも知らぬも‥‥‥冷たい風の中、五郎右衛門は朝から木剣を振り続けていた。
15.花見酒‥‥‥お鶴が姿を見せなくなった。
16.夢想願流、松林左馬助‥‥‥お鶴は二日目の朝になっても目を覚まさなかった。
17.老いぼれ猫の境地‥‥‥五郎右衛門はお鶴が寝ている間は木剣を手にする事なく、彼女の看病と座禅だけに熱中していた。
18.お鶴と横笛‥‥‥五郎右衛門が木剣を構えて空を睨んでいると、「五右衛門さ~ん」とお鶴が帰って来た。
19.仁王様の剣‥‥‥新たに、二人の生活が始まった。
20.月見酒‥‥‥「今晩は思いっきり飲むわよ」とお鶴は酒の用意をしながら楽しそうに言った。
21.相抜け‥‥‥木陰に座り込み、五郎右衛門は木剣を作っていた。