父親の再婚相手の方はRさんと言った。
Rさんは父親よりも10歳年下で、頭の良い女性だった。
国立大学を出ていて、はきはきと話し、仕事が出来そうな人だった。
Rさんの父親は高校の校長先生をしていて、母親は家事を完璧にこなす専業主婦だった。
初婚だったRさんと父親は大きな結婚式をあげた。
かつて一緒に住んでいた叔母さん達、私、弟、おばあちゃんも出席しあちらの親族と顔を合わせた。
弟はRさんと何度か会っていたようだった。
すでに懐いていて、
Rさんの事を「おかあさん」と呼んでいた。
そう、私がかつて
弟を産んだおかあさんの事を
躊躇無く「おかあさん」と呼んだように。
8歳で、初めて「おかあさん」と口にした。
良かったね
可愛がってもらうんだよ。
私は、、
私はもう、その新しい家族の一員にはなれなかった。
なりたくも無かった。
完全に父親を憎しみの対象としていたから。
中学校の懇談には父親が来た。
一緒に住んで無いし、県の端から端の市だし、たった15分ほどの為に呼びたくないと言ったけど、先生はおばあちゃんは耳が聞こえないからダメだと言った。
酷い成績の私の頭を
父親は先生の前でも
平気で殴った。
私は父親を憎んでいた。