偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

●水嶋ヒロ=ふかえり?でもそれはこの国ではありふれた風景

2010年11月04日 01時13分00秒 | ◎ツッコミ思案neo
 水嶋ヒロのポプラ小説大賞受賞、案の定、ネットでは出来レース疑惑で大騒ぎだ。でも企業が主催するコンテストと名のつくもののほとんどは、そもそもが企業のプロモーションイベント。
 なにを以て出来レースと呼ぶかの基準はともかく、横一線のスタートラインからの競争でないケースは往々にしてある。たとえば音楽のコンテストでは既にデビューが決まったアーチストにハクをつけさせるために出場させるなんてことは昔はよく聞いたハナシ。昔ってことは今は健全になった?…ってことではなく今譏斐▲縺ヲ縺薙→縺ッ莉翫?蛛・蜈ィ縺ォ縺ェ縺」縺滂シ溪怯縺」縺ヲ縺薙→縺ァ縺ッ縺ェ縺丈サ?
 おいらの学生時代のはなし。ヘタレバンドで某音楽コンテストに出場した帰りのエレベーター、自分たちはそもそも「出場=思い出作り」だったので早々飲みに行く相談で盛り上がっていた。が、そこに乗り合わせたバンドは2位だったか3位だったかに輝いた本気の方々。彼らがなにやら怒っている。

「あいつら優勝するの決まってたらしいぜ」

 聞き耳を立てていたおいらたちは、正義がうずくわけでもなく「やっぱそーいうことってあるんだなぁ」とむしろギョーカイのウラを覗いた気になって酒の席でおおいに盛り上がったものだ(笑)

 マンガ賞だって、持ち込みを続けて実力を磨いてた作家が最後の仕上げにエントリーさせる…なんてのは聞くハナシ。この場合、もし審査自体がガチだったら一見なんの問題はなさげだが、そうでもない。
 だって、こーいう場合、“下読み”すっとばしていきなり本選から参加ということになる。つまりシード選手になるわけだ。さらには担当編集者からみっちりとアドバイスをうけてたりするので一般参加と比べて著しく有利なことは間違いない。へたすりゃネームの段階から編集者と二人三脚で作り上げているかもしれないのだ。

 でもこれは仕方がないことだともいえる。音楽にしても文学にしても、完全にガチだとたとえその時の応募作だけが良くても後が続かず一発屋に終わる可能性だってあるわけだし。

 かつてあるミュージシャンが「プロになりたかったらコンテストに出るな」と言っていた。まぁ、これにはコンテストは優勝かそれ以外かしかないバクチだからとか、審査員の傾向などの偏った要素も多分にあるからなどの意味も含まれてるんだろうけど。
 でもコンテストを目指さず、地道に活動してたヒトが最終的に企業の論理でコンテストに参加させられているかもしれないというのは皮肉なハナシだ。

 で、今回の水嶋ヒロの受賞は出来レースか?というと状況証拠は揃いすぎている。一番笑えたのは、「早く読んでみたいという世間の要望があるが」というメディアからの質問にポプラ社側は、

「じっくり編集者が手を入れたいから年内発表は難しいかも」

 という旨のコメントを出したこと。

 編集者が手を入れるというのはフツーあることかもしれないが年内出せないほどの手直しってどんだけだよ(爆)。


 ポプラ社の文学賞って編集者が審査員を勤めるというローコストでクローズドな方式らしいけど同賞の第4回の講評にこんな一文があった。


「審査委員長の、せめて優秀賞を出したいとの意向も強かったものの、選考委員一同での議論の末、無理な形での賞の授与は、作品と賞それぞれの今後のためにもすべきでないとの結論に至り、こちらも該当作なしといたしました。」

 「該当作なし」については2つの見方ができる。1つにはポプラ社がカネを出したくないのでハードルのほうを上げてみた。もう1つはそもそもしょぼい作品しか集まらなかったというもの。
 実際、応募総数は第1回が2000台後半だったのに第2回以降は1000ちょいと半分以下に落ち込んでいる。賞金2千万円の文学賞にしては寂しい限りだ。
 講評は「絶対評価こそが文学と真摯に向き合う姿勢であり、決してケチってるわけじゃありませんよ」と言い訳しているようにも見える。フツーは「せめて優秀賞を出したい」なんていってたことはいちいち公表しなくてもいいことだろう。やっぱりケチ呼ばわりされたのかな(笑)。

 ポプラ社にはもうひとつ「ズッコケ文学賞」という児童文学の賞もあるんだけど、こっちはなんといまだ大賞(100万円)該当作品はゼロだ。応募数は例年500作品にも満たない。まぁ児童文学はそんなもんという見方もあるかもしれないけど、このジャンルはポプラ社の主戦場、告知の場にも事欠かないはずだが。(ちなみにニッサン童話グランプリ(大賞50万円)は例年2000作品越え、JX童話賞(最優秀賞30万円)に至っては例年7000作品越え)

 ショボイ作品しか集まらないし、だからこそ台所事情も厳しいというのが実態か?

 まぁ、状況証拠揃いすぎとはいいっても逆にいえば状況証拠しかないともいえる。でも「李下に冠を正さず」というようにいかにも誤解を招くようなことを連発しているポプラ社もどうかと思う。
 そもそもギョーカイ最高額の賞金をほこる文学賞の審査が密室で行われるってのは、単純な懸賞としても公正が担保されているとは言い難い。水嶋氏はともかく、ポプラ社はとやかく言われても仕方あるまい。
 前回は大賞、優秀賞共に該当作なしで今回は優秀賞が該当者なし…ってのもなんだかなぁ。え?来年から賞金200万円に値下げ?ますます怪しいなぁ(笑)

 さて、「KAGEROU」の今後の展開を予想してみる。

本命◎:年明けに単行本として刊行。

対抗○:年内に単行本として刊行。

穴▲:編集者によって激しく手直しされた作品をヒロが見て「こんなのボクの作品じゃない」ともめ、刊行のメドは立たず。

大穴:編集者によって激しく手直しされた作品がめでたく刊行され、すっかりポプラ社と意気投合した水嶋ヒロは「かいけつゾロリ」の実写版にも主演する。

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