話の種

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企業の好決算と問題点

2024-05-18 14:10:44 | 話の種

「企業の好決算と問題点」


昨日(5月17日)の朝日新聞の社説に次のような記事があった。

「企業の好決算 賃上げ定着につなげよ」

この論説の骨子は「企業利益の「果実」は働き手や取引先に正しく還元し、賃上げの持続につなげるべきだ」というものだが、好決算の背景について下記述べている、

「牽引役は自動車企業で、営業利益が初めて5兆円を超えたトヨタ自動車は円安による押し上げが6,850億円に達し、車の値上げも増益に大きく寄与した。航空や鉄道、ホテル事業を手がける不動産などでも、訪日客の急回復を背景に、好決算が相次いだ。
 顧客にとって価値ある製品やサービスの提供が値上げを可能にし、好業績をもたらしたのなら望ましい。ただ、欧州では、コロナ禍後の急激な物価上昇時に企業が費用増を大きく上回る値上げで利益を増やしたとの見方が広まり、"強欲インフレ"とも呼ばれた。日本でも働き手への分配が十分かどうかといった好業績の内実が問われる。
 実際、過去2年にわたり、物価高に賃上げが追いつかず賃金は実質的に目減りし続けてきた。昨年の春闘での賃上げの不十分さが、今回の好決算の背景にあるともいえる。下請けの立場にある中小企業では、大企業側が適正な価格転嫁を受け入れないため、賃上げが進まない現実も指摘されている。
 好決算のトヨタは、今後3千億円を取引先の賃上げ支援などに振り向けるという。だが、日本商工会議所の小林健会頭は先日の記者会見で、下請けへの還元は「必要なコストとしてあらかじめ入れておかないとおかしい」と述べ、もうけを出してから次の年度に還元するような姿勢に疑問を示している。」

トヨタの最高益決算の疑問点については小欄「トヨタの最高益決算について思うこと」(5月11日掲載)でも述べたが、全く同じことをこの社説でも指摘している。


また、朝日新聞の同日(5月17日)の総合面(2面)に「株高なのにGDPマイナス」との記事があった。
このGDPマイナスの要因は個人消費の低迷によるところが大きい。

「GDPの過半を占める個人消費が0.7%減り、4四半期連続のマイナスになった。これは「100年に1度の危機」のリーマン・ショックが影響した09年1-3月期までの4四半期以来のこと。
もともと経済の回復の勢いは強くない。直前(昨年10-12月期)の実質GDPは年率換算で0.01%増と、ほぼ横ばい。その前(昨年7-9月期)は3.6%減だった。物価高で消費が停滞し景気の重しになっている。」

要するに、企業が好業績で過去最高の(或いはそれに近い)利益を揚げ、賃上げも過去最高水準だったといっても、それは大企業だけの話であり、中小企業及びそこで働く人々には還元されず、従って個人消費も落ち込んだままになっている。(賃上げも物価高には追いついていない状態)

当方の若いころは、インフレの時は結構予備買いということも行っていた。
これは物の値段が先々上がるなら、今のうちに買っておこうということで、これは給料も上がるという裏付けがあったから出来たことだろう。
現に今の米国などはインフレが続いており、FRBがそれを抑えようとしていくら金利を上げても、個人消費は衰えていない。
しかし日本の場合は、給料が上がらないので、消費者は生活防衛のため消費を抑えるしかなくなってしまっている。(そして生活関連商品の生産企業や飲食業などのサービス業者もそれが分かっているので、価格を抑えるしかなく、それが従業員の賃金にしわ寄せされてしまっている。)

大企業、特にその経営者が、自分たちさえよければよいという考えを改めない限り、日本経済の復活及び人々の生活の向上は望めないであろう。(そのしわ寄せはやがて自分たちにも来るのだが、と思うが。)

 


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