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半導体業界の構図と企業

2024-04-28 02:02:50 | 話の種

半導体業界の構図と企業

(株式投資の参考のために作成したもの)

IDM (Integrated Device Manufacturer)
 (垂直統合型の半導体メーカー。半導体デバイスの設計、製造、販売までを一貫して行う企業)
 インテル(米)(MPU(超小型演算処理装置)、NORフラッシュ、GPU、SSD、チップセット)
 サムスン電子(韓)(メモリ(DRAM、NANDフラッシュ)、イメージセンサー)
 SKハイニックス(韓)(メモリ(DRAM、NANDフラッシュ))
 マイクロン・テクノロジー(米)(メモリ(DRAM、NANDフラッシュ、SSD))
 テキサス・インスツルメンツ(米)(DPS(デジタル信号処理装置)、MCU(超小型制御装置))
 キオクシア(日)(メモリ(NANDフラッシュ))
 ソニー(日)(イメージセンサー)

*(ルネサスエレクトロニクス)
日立、三菱電、NECの半導体が統合。MCU(超小型制御装置)を製造。車載マイコン世界首位級。米英3社を計1.7兆円で買収。

*(キオクシア)
キオクシアホールディングスを持株会社とするフラッシュメモリ・SSD事業のリーディングカンパニー。1987年に世界初の NAND型フラッシュメモリを発明し、また 2007年には世界で初めて 3次元フラッシュメモリ技術を公表・量産化する。2017年4月に、経営危機にあった東芝から稼ぎ頭の半導体メモリー事業を分社化し「東芝メモリ」を設立。2018年6月に同社を米ベインキャピタルに売却し東芝グループを離脱、社名を「東芝メモリホールディングス」とするが、2019年10月に更に「キオクシア」に変更。しかし経営不振は続き2023年12月20日をもって上場廃止となる。

ファブレス (Fables)
 (製造工場を持たず、半導体の開発、設計に特化した企業)
 クアルコム(米)(スナップドラゴン(ARMベースのCPUアーキテクチャ、モバイルSOC)
 ブロードコム(米)(無線(ワイヤレス、ブロードバンド)、通信インフラ)
 エヌビディア(米)(GPU(画像処理専用プロセッサ)、モバイルSOC、チップセット)
 メディアテック(台)(スマートフォン向けプロセッサ)
 AMD(米)(組込プロセッサ、コンピュータ、グラフィックス、MCU)

*(ソシオネクスト)
富士通、パナソニックのロジック半導体が統合。ファブレスで先端品供給。データセンターや自動車向け。

EDA (Electronic Dsign Automation) ベンダー
(電子設計を自動化するためのハードウェア、ソフトウェアを提供する企業)
 シノプシス(米)
 CDS(米)

IP (Intellectual Proprty) ベンダー
(半導体が使用される用途や分野に向けてIP(設計資産)を開発、保有し提供する企業)
 ARM(英)
 シノプシス(米)

ファウンドリー (Foundry)
 (半導体製造の「前工程」を請け負い、顧客の設計データに基づいた受託生産をする企業)
 TSMC(台)
 サムスン電子(韓)
 グローバル・ファウンドリーズ(米)
 SMIC(中)
 UMC(聯華電子)(台)

*(ラピダス)
2022年8月、日本政府及び主要企業8社の支援を受けて設立(キオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTが10億円ずつ、そして三菱UFJ銀行が3億円出資)。2023年9月に北海道千歳市で半導体工場を着工。2025年4月にパイロットラインを稼働し、2027年に量産を開始する計画。
最終的にはプロセス・ルールが2 nm以下の先端ロジック半導体の開発・量産を行うことを目指し、ファブレスの半導体メーカーから委託されて半導体の受託生産を行うファウンドリになることを目的とする。

OSAT (Outsourced Semiconductor Assembly and Test)
 (半導体製造の「後工程」を請け負い、作業、テストを行う企業)
 ASE(台)
 アムコー・テクノロジー(米)

*半導体製造の「前工程」「後工程」の「装置メーカー」「材料メーカー」については別掲。
(「半導体の製造工程と日本の関連企業」)

(参考)大手IT企業が作っている主要な半導体チップ
(これらの企業はもっぱら自社製品に使用する目的で半導体を開発していて、外販はほとんどしていない)

 グーグル(米)(機械学習用プロセッサTPU(テンソル処理装置))
 アップル(米)(アプリケーションプロセッサ)
 メタ(フェイスブック)(米)(AI(人工知能)用チップ)
 アマゾン(米)(AI(人工知能)用チップ)
 シスコシステムズ(米)(ネットワークプロセッサ)
 ノキア(フィンランド)(基地局向け半導体)

(参考)主要企業概要

インテル(Intel Corp):
世界最大規模の半導体メーカー。半導体チップ、フラッシュメモリ、グラフィックチップ、コネクティッドデバイス等の設計・製造・販売を手掛ける(フラッシュメモリ事業については2020年10月、韓国SKハイニックスへの売却を発表)。
PC向け中央演算処理装置(CPU)市場で大きなシェアを占め、デル、レノボ、HPなど主要メーカーに提供する。PCが主要端末だった時代以降、モバイル向け半導体に出遅れて苦戦を強いられたものの、クラウド向け需要が増えたサーバー用製品に注力するなど他分野で活路を模索してきた。事業テコ入れに着手。20年2月、最高経営責任者としてVMウエアのパット・ゲルシンガー氏を招聘した。21年3月には、新戦略「IDM2.0」を公表。ファウンドリー事業への参入を発表したほか、アリゾナ州に工場2カ所を建設する計画(最大200億ドル規模)などを明らかにした。(2024/03/26)

AMD(Advanced Micro Devices Inc):
グローバルな半導体会社。カリフォルニア州を拠点とし、半導体の設計・開発を手掛ける。
グローバル・ファウンドリーズ(GFS)社やTSMCなどのファウンドリに半導体製造を委託している(GFSはアブダビ政府系ムバダラ社と合弁で設立したが、2012年に出資を引き揚げ)。産業用組み込み式製品、ゲーム機用セミカスタム製品など法人向けエンタープライズ事業を展開するほか、PCやノートPC、サーバー向けCPUやGPU、APUなどの製品も手掛ける。17年以降、新アーキテクチャに基づくデスクトップ向けCPU「Ryzen」、サーバー向けCPU「EPYC」、GPU「Radeon」の新製品を相次いで投入した。22年2月には、半導体FPGA大手ザイリンクス(XLNX)の買収を完了。データセンター向けや自動車向けなど成長分野の事業強化を図る。(2024/03/25)

エヌビディア(NVIDIA Corp):
画像処理用のGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を開発し、主にゲーム向けやデータセンター向けとして製造・販売する。
1999年にPCゲーム市場向けにGPUを発明して以降、コンピュータグラフィックス(CG)処理を向上させ、並列コンピューティングに革新をもたらした。「Turing」や「Ampere」、「Hopper」など新アーキテクチャを発表し、製品性能を向上させている。ここ数年は、GPUによるディープラーニングが人工知能(AI)開発の起爆剤に。PCに加え、ロボット、自動運転車などの中枢にも製品が採用された。M&Aで業容を拡大。2020年4月、通信機器大手メラノックスを約70億ドルで買収している。生成AIブームが追い風。生成AIアプリ等の学習・推論に対する世界的な需要拡大を受け、23年にクラウドサービス企業(CSPs)向け製品の販売が急増した。(2024/03/26)

*ARM(Arm Holdings plc):半導体の知的財産(IP)会社。
高性能・低コスト・高エネルギー効率の「Arm CPU」を設計し、世界的な半導体大手などに同IPや関連技術をライセンス供与している(CPU設計が複雑化する中、最新CPUをゼロから設計する企業はない)。
同社の技術は消費電力の抑制に優れ、スマートフォン向けチップの99%超で使われてきた。現在ではスマホのほか、データセンターや車、スマートウォッチやドローン等にも利用されている(累計出荷数は2500億個超)。2023年度時点で「Armベースチップ」の出荷企業数は260社超。IT大手のアマゾンやアルファベットなど、半導体大手のAMD、インテル、エヌビディアなどが名を連ねる。1998年から2016年まで英国・米国で上場していたが、ソフトバンク(SBG)により非公開化。23年9月に米ナスダックへ再上場することになった。中国事業にリスクも。同市場へのアクセスは、独立運営されているアームチャイナとの商業的関係に依存する。(2024/03/25)

*TSMC (Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.)(台湾積体電路製造股分有限公司):
垂直統合型が主流だった半導体業界にあって、初めて専業ファウンドリー(工場)ビジネスを確立した。
顧客から提供された独自設計に基づき、多種多様な集積回路(IC)を製造する。売上高のうち、ウエハー製造が約88%を占める(残りはパッケージングやテストサービスなど)。台湾に14カ所、米国に1カ所、中国本土に2カ所の工場を構え(24年には日本でも熊本工場を開所)、AMD、ブロードコム、インテル、メディアテック、エヌビディア、NXP、クアルコムをはじめとする数百社の顧客に1万1895種の製品を提供する(23年末時点)。微細化競争で業界トップ。19年、最先端のEUV露光装置を用いた7nmプロセス(N7+)の商用化に業界で初めて成功し、20年に5nmプロセス、22年に3nmプロセスの量産を開始している。(2024/04/08)

(参考)主要製造装置メーカー

ASML(ASML Holding NV):
欧州のハイテク拠点、オランダのフェルトホーフェンに本社を置く半導体製造装置メーカー。
1984年に設立されたフィリップスとASMインターナショナルの合弁会社「ASM Lithography」を前身とし、シリコン上に回路パターンを大量に焼き付けるリソグラフィー(露光)装置を製造・販売する。主要製品は、最先端の極端紫外線(EUV)露光装置、KrF光源やArF光源を用いた遠紫外線(DUV)露光装置、計測・検査装置など。世界で唯一、EUV露光装置を製造している。2012年に主要顧客の米インテル、台湾TSMC、韓国サムスンと共同投資契約(CCIP)を結び、EUV技術の投資・開発を進めた。13年に米サイマー(Cymer)を買収し、EUV開発を加速。16年には半導体検査装置の台湾HMIを傘下に収めた。現在は販売の軸足を「ArF液浸露光装置」から「EUV露光装置」に移行中。EUV装置の23年販売台数は53台となっている(22年:40台、21年:42台)。(2024/03/25)

AMAT(Applied Materials Inc):
世界最大規模の半導体製造装置メーカー。
多様な半導体チップの製造工程を幅広くカバーし、成長が見込まれる分野・企業に製品を納入している。ディスプレイ製造装置、大型ガラス基板用薄膜装置、結晶シリコン太陽電池の製造装置を販売するほか、コンシューマ向け機器(TV、タブレットPC、スマートフォンなど)に用いられる液晶、有機ELディスプレイ製造の分野・企業にも技術を提供する。半導体、ディスプレイ、太陽電池関連のメーカーにも、自動化ソフトウエア・ソリューションを提供。米国、中国、イスラエル、シンガポール、ドイツ、台湾に生産拠点を置き、欧州、北米、アジアに販売・顧客サポート拠点を構えている。同業M&Aを断念。2019年に旧日立製作所系のコクサイ・エレクトリックの買収を発表したが、21年3月の期限までに中国当局からの承認が得られず断念した。(2024/03/25)

KLA(KLA Corp):
シリコンバレーに拠点を置く、半導体検査・測定装置の開発・製造企業。
ウェハー、レチクル、集積回路、パッケージング、PCBなどの検査・測定、プロセス制御など生産性向上のための各種機器・ソリューションを提供している。レチクル検査装置の分野で強みを持つ。主な製品はフォトマスク欠陥検査装置、ウェハー形状測定装置・ウェハー欠陥検査システム、パターニング制御システム、データ解析(歩留まり管理)システムなど。各製品分野での競合企業はアプライド・マテリアルズ、ASML、日立ハイテクノロジーズなど。世界18地域に約1万5000人の従業員を擁する(2023年6月時点)。(2024/01/15)

 

 

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