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新聞やテレビ、雑誌などで、興味深かった記事や内容についての備忘録、考察、感想

半導体の製造工程と日本の関連企業

2023-12-08 00:47:10 | 話の種

半導体の製造工程と日本の関連企業

(株式投資の参考のために作成したもの)

〇主な製造会社及び製造装置の製造会社

「設計」
[回路・パターン設計]
[フォトマスク作成](原材料)(HOYA、AGC)(素材)(TOPPAN、大日本印刷)
[フォトマスク検査](レーザーテック)*EUV(極端紫外線)光源の検査装置を持つ唯一の企業  *米KLAがその他検査装置では強い

「素材」
[ウェハの製造](素材)(信越化学工業、SUMCO、フジミINC)
[ウェハの検査](日本マイクロニクス、日立ハイテック)

「前工程」
[ウェハ表面の酸化](東京エレクトロン、KOKUSAI)
[薄膜形成](東京エレクトロン、KOKUSAI、アルバック)*米AMAT、ラムリサーチが強い

[パターン転写] = [リソグラフィー]
・[フォトレジスト塗布](東京エレクトロン、SCREEN)
  (フォトレジスト素材)(JSR、東京応化工業、信越化学工業、富士フィルム、レゾナック)
・[露光・現像](ニコン、キャノン)*蘭ASMLが圧倒的に強い(EUV露光装置で独走する)

[エッチング](東京エレクトロン)*米ラムリサーチが強い
[レジスト剥離・洗浄](東京エレクトロン、SCREEN、芝浦メカトロニクス)
[イオン注入・活性化](日新イオン機器、住友重機械イオンテクノロジー)
[平坦化](荏原製作所)*TSMCに強い

[電極形成](アルバック)

[プローブ検査](東京エレクトロン、東京精密、日本マイクロニクス、日立ハイテク)
[テスター検査](アドバンテスト)

「後工程」
[グラインディング](ディスコ、東京精密)
[ダイシング](ディスコ、東京精密)

[パッケージング](素材)(レゾナック)
・[ダイボンディング]
・[ワイヤーボンディング]
・[モールディング](TOWA)*HBM(High Bandwidth Memory)向けは独占

[最終検査](アドバンテスト)*米テラダイン


〇各企業の特色(四季報より)

[ファブレス]
(ソシオネクスト):富士通、パナソニックのロジック半導体が統合。ファブレスで先端品供給。データセンターや自動車向け。
*Qualcomm・Broadcom・NVIDIA・MediaTek・AMD

[ファウンドリ]
(ラピダス)
2022年8月、日本政府及び主要企業8社の支援を受けて設立(キオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTTが10億円ずつ、そして三菱UFJ銀行が3億円出資)。2023年9月に北海道千歳市で半導体工場を着工。2025年4月にパイロットラインを稼働し、2027年に量産を開始する計画。
最終的にはプロセス・ルールが2 nm以下の先端ロジック半導体の開発・量産を行うことを目指し、ファブレスの半導体メーカーから委託されて半導体の受託生産を行うファウンドリになることを目的とする。
*台TSMC、UMC(聯華電子)、韓Samsung、米Global Foundry

[半導体メーカー]
(ルネサスエレクトロニクス):日立、三菱電、NECの半導体が統合。車載マイコン世界首位級。米英3社を計1.7兆円で買収。
(キオクシア):キオクシアホールディングスを持株会社とするフラッシュメモリ・SSD事業のリーディングカンパニー。1987年に世界初の NAND 型フラッシュメモリを発明し、また 2007年には世界で初めて 3 次元フラッシュメモリ技術を公表・量産化する。2017年4月に、経営危機にあった東芝から稼ぎ頭の半導体メモリー事業を分社化し「東芝メモリ」を設立。2018年6月に同社を米ベインキャピタルに売却し東芝グループを離脱、社名を「東芝メモリホールディングス」とするが、2019年10月に更に「キオクシア」に変更。しかし経営不振は続き2023年12月20日をもって上場廃止となる見込み。
(ローム)車載や産業機器向けパワー・アナログ半導体に強み。SiCパワー半導体を大増産で育成中。
(サンケン電気)パワー半導体大手。米子会社アレグロが稼ぎ頭、車載、白物家電向けアジア市場強化、産機向けも。

[材料メーカー]
(信越化学工業):塩化ビニル樹脂、半導体シリコンウエハで世界首位。ケイ素樹脂、フォトレジスト等も。好財務。
(SUMCO):旧住友金属と三菱マテリアルのシリコンウエハを統合、コマツ系も合流。半導体用世界首位級。(レゾナック):総合化学メーカー。電炉用黒鉛電極で首位。20年に昭和電工が日立化成を買収、23年に昭和電工から分離し社名を株式会社レゾナックに変更する。半導体の前工程、後工程の材料を多数製造。自動車部材にも注力。
(日東電工):液晶部材の偏光板から核酸医薬原薬まで扱う総合材料メーカー。ニッチ商品でシェア首位多数。半導体/電子部品製造プロセス材料、光デバイス封止材料、HDD周辺材料など幅広く生産。 半導体製造工程においては、バックグラインド、ダイシング、モールディングで、粘着テープ、封止材、および付帯装置を生産している。

[製造装置メーカー]
(東京エレクトロン):半導体製造装置で世界3位。コータデベロッパー、エッチング装置、成膜装置など前工程に強み。
(KOKUSAI):半導体製造における成膜装置に特化する大手。旧日立国際電気からのスピンオフ事業が母体。(SCREEN):半導体製造装置の大手、うちウエハ洗浄装置では世界断トツ。液晶製造装置や印刷機器も展開。
(ディスコ):半導体、電子部品向け切断・研削・研磨装置で世界首位。装置と消耗品のダイヤ砥石が2本柱。
(東京精密):計測機器製造の精密位置決め技術生かし半導体製造装置に展開。ウエハテスト用では世界首位。
(TOWA):封止や切断加工など半導体後工程用製造装置大手。精密金型製作に競争力。中国等に生産拠点。

[検査装置メーカー]
(レーザーテック):先端半導体向けマスク欠陥検査装置が柱。EUV光源品は独占。マスクブランクス検査装置も。
(日本マイクロニクス):半導体検査用器具プローブカード主力で世界3位、メモリー向け同1位、ロジック向け拡大中。
(アドバンテスト):半導体検査装置で世界大手。非メモリー用中心。DRAM用では首位。システムレベルテストも。

[その他装置メーカー]
(ローツェ):半導体や液晶工場に導入されるウエハ、ガラス基板の搬送装置を製造。台湾や米国に大口顧客
(野村マイクロサイエンス):超純水装置の大手。北興化学から分岐。韓国、台湾企業向け開拓で先駆、韓国サムスンと取引多い。

(参考)

*超純水(UPW, Ultra Pure Water)とは、一般的な水に含まれる無機質や微粒子、細菌、微生物、溶存ガスなどを取り除いた、高度に精製された水。 イオン成分を取り除いたという意味で、DIW(De-ionized Water)ともいう。
半導体は、いわゆる8大工程と呼ばれる数多くのプロセスを繰り返して製造が行われる。 超純水は、半導体の実際の工程において、各工程の前後に実施される洗浄作業に主に使用される。 エッチング工程以後、ウェハを削って不純物を除去したり、イオン注入工程後に残りのイオンを洗い流したりする場合など。その他、ウェハの研磨や切断の際にも超純水が使われる。

*ファブレス
ファブレスは、直訳すると「工場(fabrication facility)を持たない」という意味になります。そこから、自社で生産設備を持たずに製品を生み出すメーカーや、そういったビジネスモデルのことを指す言葉として使われるようになりました。
ファブレス企業は、製品の企画・設計・マーケティング・販売などの機能に特化しており、製品の生産は他社に委託します。自社で生産機能を持たないため、生産設備への投資を抑えられる、製品の企画・設計に集中することで市場の変化に素早く対応できる、といったメリットがあります。
半導体業界では、1990年代からファブレス企業とファウンドリ企業による分業が行われています。主な理由は、半導体製品の開発サイクルが短く、かつ生産設備への莫大な投資が必要であったためです。これらの課題を解消するために、各企業は自社の強みに特化した形でファブレス化・ファウンドリ化を進めてきました。半導体業界における主なファブレス企業として、Qualcomm・Broadcom・NVIDIA・MediaTek・AMDなどが挙げられます。(レンテックインサイト編集部)

*ファウンドリ
半導体デバイスの製造を専門に行う企業。ファウンドリは発注元の半導体メーカから設計データを受け取り、その設計に沿って半導体チップを製造する。最先端の半導体チップの製造設備には莫大な投資が必要で、新しい製造技術を開発するにも研究費用が必要になり、開発周期も短いため、かなり大規模に半導体チップを製造するメーカでないと半導体ライン(ファブ)を自社で持つのは難しい。ファウンドリはこのような製造設備を持たないメーカから半導体チップの製造を請け負う企業で、大量の半導体チップを1社で製造することで効率よく設備の運営や研究開発を行えるようになる。著名なファウンドリとして台湾のTSMC、UMC、アメリカのGlobal Foundryなどがあり、最近は韓国サムスンやインテルが最先端デバイス技術を顧客に提供してファンドリビジネスに参入している。工場を持たないファブレス企業から注文を受け、ファンドリが生産すると言う水平分業で成功している事例が多い。(SEMI-NET半導体用語集より)

(参考)

ひと目で分かる半導体業界MAP
https://www.semijapanwfd.org/semicon_map.html
2023年上半期・半導体売上高ランキング! 首位はオランダ企業ASML
https://the-owner.jp/archives/9330
日本の前工程装置のシェアはなぜ低下? ~欧米韓より劣る要素とは
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2208/19/news038.html
日本の前工程装置のシェア低下が止まらない ~一筋の光明はCanonの戦略
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2306/23/news073.html

 

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半導体の製造工程

2023-12-08 00:43:08 | 話の種

半導体の製造工程

半導体の製造工程は、下記の流れとなっている。

A.マスク製造工程:回路を設計してフォトマスクを作成する工程
B.ウェハ製造工程:シリコンウェハを製造する工程
C.前工程:ウェハに電子回路を形成するまでの工程
D.後工程:ウェハをチップ状に切り出して、パッケージングをして検査を行う工程
E.流通:顧客に半導体を納入


〇「設計」:回路を設計してフォトマスクを作成する工程

[回路・パターン設計]
(半導体チップ上にどのような回路を配置するのか設計し、効果的なパターンを作成する)
[フォトマスク作成]
(コンピューターを使い、透明なガラス板の表面に設計した回路パターンを描いてマスクを作成。これがウェハに回路を転写するための原版となる)
[マスク検査]
(外観上の不良、回路パターンの寸法の精度不良、回路パターンの位置の精度不良などを検査装置で見つけ出す)

(参考)
[設計]
(半導体の配線は非常に細かいため、コンピュータで回路を描いたフォトマスクをウェハ表面に転写して、回路を形成する方法をとっている)
[回路・パターン設計]
(要求されている性能を満たす回路を設計する工程。回路を効率よくレイアウトするために回路パターンを作成して検討を重ね、動作シミュレーションも行う)
[フォトマスク作成]
(コンピュータを用いて、透明なガラス板に実際よりも大きく回路パターンを描いて、フォトマスクを作成する。フォトマスクはウェハに回路を転写するための原版(マスター)となるもの)

〇「素材」:シリコンインゴットを作成しウエハーを製造する工程

[シリコンインゴット切断]
(シリコンインゴットの塊を薄くスライスし、ウェハを作成する)
[ウェハの研磨]
(シリコンウェハ表面の凸凹を研磨剤と研磨パッドで鏡のようになるまで磨く)

〇「前工程」:前工程はウェハプロセスとも呼ばれ、ウェハ上に電子回路を製作する工程。

[ウェハ表面の酸化]
(ウェハ表面を高温の酸素で酸化させることで、絶縁層となる酸化膜を作成する。)
[薄膜形成]
(ウェハの酸化膜の上に配線となる金属薄膜を作成する。)

[パターン転写] =[リソグラフィー]
・[フォトレジスト塗布]
(フォトレジストといわれる感光剤をウェハ表面に均一に塗る)
(これにより光に反応して回路パターンを焼き付けることができるようになる。照射する光源の種類によって材料が異なる)
・[露光・現像]
(ウェハ表面にフォトマスク、縮小レンズを通して光を照射し、回路パターンを焼き付ける)
(その後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去する)

[エッチング]
(フォトレジストで形成されたパターンに沿って覆われている部分以外の酸化膜と薄膜を削り取る)
(フォトレジストに覆われている部分は残る)
[レジスト剥離・洗浄]
(残っているフォトレジストを剥離する。その後、ウェハ上に残っている不純物を薬液に浸して取り除く)[イオン注入・活性化]
(不純物イオンを注入し、フラッシュランプやレーザーを照射するなど熱処理を行うことで半導体の電気的特性を変化させる)
[平坦化]
(ウェハ表面の凹凸をなくすため、研磨する。)

*(ここまでのパターン転写~平坦化までの工程を繰り返すことで、ウェハ上に設計通りの回路を形成していく。)

[電極形成]
(ウェハ上のチップの内部回路に外部の電気を通すために、電極用の金属を埋め込む。)
[プローブ検査]
(ウェハ上に形成された数百個のチップの一つ一つにプローブという針を接触させて、電気的に問題がないか検査を行う。)

〇「後工程」:後工程は前工程でウェハ上に製作されたチップを切り出して、パッケージ化した後、最終検査を行う工程。

[グラインディング]
(前行程で回路を形成したウェハを裏側から薄く削り、厚みを数分の一にする)
(ウェハの厚みが薄いほうがパッケージングの際に有利となるため)
[ダイシング]
(ウェハをダイヤモンドブレードで切断し、一つ一つのチップに分離する)

[パッケージング]
・[ダイボンディング](ダイ=チップ)
(切断したチップを銀ペーストやハンダなどの接着剤でリードフレームという金属の枠に固定する)
・[ワイヤーボンディング]
(チップとリードフレームを金線で接続する)
・[モールディング]
(チップにキズや衝撃を抑えるためにセラミックやモールド樹脂でパッケージしてガードする。)

[最終検査]
(温度や電圧の試験、電気的特性試験や外観構造検査などの品質検査を行い、不良品を取り除く。)


(参考)
イラストで分かる半導体製造工程
https://www.semijapanwfd.org/manufacturing_process.html
半導体のフォトリソグラフィとは?工程フローと原理
https://semi-journal.jp/basics/process/photolitho.html

【前工程編】工場見学:半導体ができるまで(「サンケン電気」- YouTube )
https://www.youtube.com/watch?v=poKpjfO5m_8
【後工程編】工場見学:半導体ができるまで(「サンケン電気」- YouTube )
https://www.youtube.com/watch?v=xBY5G9JFxe0&t=22s

 

(参考)

半導体の製造工程を簡単に纏めると次のようになる。

[半導体製造工程の流れ]

[前工程の流れ]:
成膜:電子回路になる薄膜を表面に張る
リソグラフィー:設計された回路をウェーハの表面に転写する
エッチング:リソグラフィーで転写された回路に沿って薄膜を加工する
不純物添加:シリコンに不純物を混ぜ、電気を通すようにする
平坦処理:薄膜の表面の凹凸を磨いて平らにする
(以上を繰り返す)

電極形成
ウェハ検査(プローブ検査)

[後工程の流れ]:
ダイシング:ウェーハから個々の半導体チップを切り出す
ダイボンディング:チップをリードフレーム固定する
ワイヤーボンディング:チップとリードフレームの間に金線を取り付ける
モールディング:樹脂でチップとワイヤーをカバーする
最終検査:半導体チップが正常に動くか検査する

 

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半導体について

2023-12-08 00:32:39 | 話の種

半導体について

[半導体とは]

シリコンを主な材料とした物質(素材)で、条件により導体にも絶縁体にもなりうる(電気を流したり流さなかったりしうる)もの。

*半導体の代表的な素材はシリコンだが、高純度のシリコン単結晶は、ほとんど電気を通さないので、リンやヒ素などの不純物を敢えて混ぜることで、電気を通しやすくしている。

*半導体にシリコンが使われる理由
・資源が豊富にあること。( シリコンは地球表面で存在するすべての物質のうち2番目に多い物質といわれている。)
・加工しやすく、純度を高めたり、不純物を調整したりするのが容易。
・酸化膜をつくりやすい。(半導体デバイスは必ず絶縁膜を必要とし、シリコンは酸素の存在下で加熱するだけで自然にSiO2の酸化膜を形成する。 SiO2は高い絶縁性を持ち欠陥も少ないため、半導体デバイスにとって非常に信頼性の高い絶縁膜となる。)
・光や熱などのエネルギーを受けても、比較的安定した電流制御が可能

*半導体は、温度によって電気抵抗率が変化する。
・温度が高い:電気抵抗率が高くなり、電気が通りにくくなる。
・温度が低い:電気抵抗率が低くなり、電気が通りやすくなる。

*半導体デバイスにおいて、電流のオンとオフは半導体素子内で制御される。この動作は電気信号によるものであり、温度制御とは異なる。
(半導体デバイス:半導体の基盤上(ウエハー)に、ダイオードやトタンジスタなどの素子を組み合わせ電子回路を作成し、チップ状にしたもの。メモリやマイコン等のIC(集積回路)などをいう。)

[半導体の役割]

・電気の流れを制御する
(一方向に電気を流すこともできるし、その電気を止めることもできる。)
(高速で電気を通す/止めるを切り替えると、その連続値が0と1になり、デジタル化が可能。)
・電気エネルギーを光に変換する(LED、有機EL、レーザーなど)
・光エネルギーを電気に変換する(太陽光発電など)

(参考)

半導体とは?種類や役割、使用例などを簡単にわかりやすく解説
https://www.y-skt.co.jp/magazine/knowledge/guide-semicon/
(5分で復習)半導体の仕組み
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/5445/

【基礎講座】ゼロから学ぶ!半導体の基礎知識(「サンケン電気」- YouTube )
https://www.youtube.com/watch?v=bfIMtiAml08

[ダイオードとトランジスタ]

・[ダイオード]:電流を一方向に流す(整流作用)
(この他、ダイオードには検波(ラジオなどの電波から音声信号を取り出す)、電圧制御、電流変換などの役割がある。)

(参考)ダイオードの仕組みと用途を解説!どんな場面で使われる?
https://www.matsusada.co.jp/column/diode.html

・[トランジスタ]:電流をコントロールする。電流・電圧を増幅する(増幅作用)、電気のオン・オフを行う(スイッチング作用)

(参考)トランジスタを徹底解説!原理・用途・使い方をマスターしよう
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/3795/

*[バイポーラトランジスタ](NPN型とPNP型があり、電流によってコレクタとエミッタの間の伝導性を制御する)
ベースに電流を流すと、トランジスタはオンの状態になり、電流がコレクタとエミッタに流れる。ベースに電流がない場合、オフの状態で、電流は流れない。

(ベース(B)、コレクタ(C)、エミッタ(E)・・・電極の名前)
(ベース電流は全開(Open)=ON、全閉(Close)=OFFだけで、半開のような調節はしない。)

(増幅作用):
・エミッタ-ベース間のわずかな電流変化が、エミッタ-コレクタ間電流に大きな変化となって現れる。
・ベース信号を入力信号とし、エミッタ-ベース間の電流を出力信号とすることで、増幅作用が得られる。

(スイッチング作用):
・エミッタ-ベース間にわずかな電流を流すことで、エミッタ-コレクタ間にその何倍もの電流を流すことができる。
・エミッタ-ベース間のわずかな電流をON/OFFすることで、エミッタ-コレクタ間の大きな電流のON/OFFの制御ができ、ここにスイッチング作用が得られる。

(参考)トタンジスタスイッチ
http://www.ee.ibaraki.ac.jp/09student/Lectures/KisoDenki/Tr/Tr_as_SW.html

*[MOSFET] (Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect = 金属酸化物半導体フィールド効果トランジスタ)(ゲートに印加された電圧によりチャネルの形成や遮断が制御される。)
ゲートに電圧をかけることで電界が発生し、チャネルが形成され、電流が流れる。ゲート電圧を変化させることで、トランジスタはオンまたはオフの状態に切り替えられる。

[ICとLSI]

・[IC] (Integrated Circuit):集積回路(複数の素子を一つに集積したもの。例えばトランジスタを複数組み合わせたり、トランジスタとダイオードなどを多数組み合わせたりして構成したもの。)

・[LSI ] (Large Scale Integration):大規模集積回路(ICの中の一つで、様々な素子の集積度がより高まったもの。)


[電気が流れる仕組み](理論)

一般的に金属は電気をよく通しますが、これは金属元素同士が結合する際に各原子の電子が自由電子になるからです。電圧を加えると、金属結晶内の自由電子が動き回り、電荷を運ぶことで電気が流れる仕組みになっています。

半導体は、流れてくる電気の状態によって導体としてふるまったり、絶縁体としてふるまったりします。半導体は金属のように豊富な自由電子を持ちません。電圧がかかると、電子が足りない穴を埋めるように電子が順番に動いていったり、金属結合よりも少ない自由電子で電気を運んだりします。

電気を流す仕組みの違いによって、半導体はP型半導体とN型半導体に分けられています。
P型半導体は前者の電子が足りない穴を埋めるように順番に動いていくものです。シリコンのような4価元素にホウ素やボロンなどの3価の添加物を混ぜたものがP型半導体になります。電子が1つ足りないので、正(+)に帯電していると考えます。
N型半導体は後者の金属結合よりも少ない自由電子で電気を運ぶものです。シリコンのような4価元素にリンなどの5価の添加物を混ぜたものがN型半導体になります。電子が1つ余っていますので、負(ー)に帯電していると考えます。

このP型半導体とN型半導体を1つの結晶としてつなげたものがPNダイオードで、ダイオードの中では最も一般的に使われています。PNダイオードではP型半導体につながる電極をアノード(A)、N型半導体につながる電極をカソード(K)と呼びます。

*(自由電子):
物質内で特定の原子間の結合に束縛されず自由に動き回れる電子のこと。金属結晶などには豊富に含まれるため電気をよく通す導体となり、ゴムなどには含まれないため電気が流れない絶縁体(不導体)となる。
半導体は導体と絶縁体の中間の性質を持つ物質で、シリコン(ケイ素:Si)やゲルマニウム(Ge)などの4価の物質の結晶中に価電子数の多い5価のリン(P)やヒ素(As)を添加したものには内部で自由電子が生じる。このような組成の半導体を「n型半導体」と呼び、自由電子が負(negative/-)の電荷を運搬する担体(キャリア)として振る舞う。

*(正孔 (hole)):
「p型半導体」中を価電子が移動した時に、価電子が元にいた位置に残った穴(孔)のことを正孔という。正孔は、負の電荷を持っている価電子が抜けた後に残る穴(孔)であるから、価電子とは逆に正の電荷を持っている。また、その他の価電子の移動により正孔が埋められ、正孔の存在する位置が変化することによって、あたかも自由に移動しているかの様に考えることができる。正の電荷を持った正孔が移動する事によって、電流が流れる(正の電荷が運ばれる)ので、電子と同様、正孔もキャリア(carrier)と呼ばれることがある。

*(キャリア)=電気伝導の担い手
このキャリアが半導体の電気的性質を決定するため、それらを如何に制御するかが重要となる。

(参考)電流と電圧の違いとは?川の流れに例えて分かりやすく解説!

https://towatowa.net/denryu-denatsu-chigai/

 

[フラッシュメモリーがデータを保存できる仕組み](理論)

フラッシュメモリーは、電源を切ってもデータを保持できる「不揮発性」である点が最大の特徴。メモリーは、不揮発性であることが理想の姿。パソコンのメインメモリーも本来なら不揮発性の方が望ましい。現在のパソコンが、データの消えてしまう「揮発性」のDRAMを使う理由は、ビットコスト(ビット当たりの単価)が安く、フラッシュメモリーに比べて高速なため。

*(半導体メモリには揮発性と不揮発性がある。 揮発性は電源を切ると記憶が消えてしまう物を言う。 DRAM、SRAMが代表的なものである。 不揮発性は電源を切っても記憶が消えない、すなわち揮発しないと言う意味で、フラッシュメモリはその代表である。)

DRAMとの違いはフローティングゲートの有無

 では、フラッシュメモリーはどうやって「不揮発性」を実現しているのか。そもそも、フラッシュメモリーもDRAMも半導体であることに変わりはない。フラッシュメモリーがDRAMと異なるのは、電荷を保持する「フローティングゲート」という領域が、トランジスターの内部に追加されていること。

 このフローティングゲートにある電荷の状態によって、電流が流れるときの電圧が変わってくる。フローティングゲートに電子がある場合は、1Vを超えると電流が流れ始めるが、ない場合は5V以上の電圧をかけないと電流が流れない。この違いで「0」か「1」かを区別する。

 フローティングゲートは絶縁されており、電源を切ってもそこに蓄えられた電子が漏れ出すことはない。つまり、電源がオフになったときでも、データを記録しておけるわけ。

(参考)大容量かつ高速化で普及が進む、「フラッシュメモリー」の原理を探る
https://xtech.nikkei.com/it/pc/article/NPC/20061129/255245/


(参考)

「半導体のウエーハは、なぜ丸い?」

半導体の原料であるシリコンから単結晶を成長させるには、引き上げ法と呼ばれる方法が広く用いられています。この方法では、原料を坩堝内で融点以上の高温に加熱し、液体(融液:melt)にします。この液体に種結晶と呼ばれる結晶を付け、ゆっくり回転させながら引き上げていきます。すると、円柱上の結晶が成長しインゴットになります。、それをダイアモンド粉末でコーティングした工具で薄く切断したのがウエーハなので円板状になります。
(回転させる理由)  原料の中には取り除くことができない不純物がごくわずか含まれています。融液を回転させることで、不純物は均一に混ざります。

「何故単結晶だと丸くなるのか?」

溶けたシリコンを四角い容器に入れて冷やしていくと、容器の縁から熱が逃げて冷えていき、あちこちから結晶化が進むので、単結晶になりません。製氷皿で凍らせた氷の内部にいろんな方向のスジが入っている事からもイメージしやすいでしょう。
大きな単結晶を作るには、小さな単結晶のかけらを溶けたシリコンに触れさせて、並んだ結晶に続いて結晶が成長していくように少しずつ大きくしていくしかありません。
結晶が成長したら引き上げて、少しずつ大きくする事を繰り返し、所定のサイズになったら一定速度で引き上げて行けば、見慣れたインゴットの姿になるのです。


(付記)

当方長年不思議に思ってきたのは、例えばCDやDVDで、どのようにして作られ、また手軽に安価に複製できるのかということ。印刷機みたいにペッタンペッタンやっていると言われても、アナログ人間には全くイメージがわかず理解できなかった。
その後、USBメモリーやドライブレコーダーなどが出現し、どうして大量の情報をあのような小さなものに収められるのかとますます疑問に思うようになった。
これらは全て半導体及びその進化によるものとのことだったが、この半導体というのも分かっているようで全く分かっていないということが分かり、今回これ迄の疑問点を念頭に調べてみた。

その結果分かったのは、この半導体の作用、作業というのは全て原子のレベルで行われているということ、また回路の作成、配線はレーザー光で行っているということでようやく納得できた。(アナログ人間の宿命でメカニカルな思考しか頭の中になかったので。)
(また情報の保存も全て0と1だけのシンプルなものなので(デジタル保存)、半導体を小さくできれば比例して半導体デバイスも小さくでき、同じサイズであれば情報はより多く保存できるということになる。)

ということで、ここに記したものは、当方が疑問に思っていたことを、本やネットで調べて、取り合えず納得できる範囲内で纏めたものだが、更なる疑問点については当方の理解力に合わせて習得したことを今後追加して行きたいと思う。(ここまででもういいやという気もあるが。)

 

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