相撲太郎

“相撲好き”の相撲マニアック日記

日大・吉田がアマチュア横綱に

2005-12-11 23:43:52 | アマチュア相撲
 本人には申し訳ないが、まったく予想もしてなかった結果だった。これまで体重別は何度か制したことはあったが、大きな大会では去年のインカレ3位が最高。団体でも吉田で落とすことがたびたびあった。田中監督は「動きがいいし、スピードもある。今日はうまさを十分に発揮できた」と、今日はツボにはまれば強いところを証明した。これで幕下15枚目格付け出しの資格が得られたが、同監督は「就職も内定してるし、(実力的に)プロ入りは厳しいんじゃないの」と見る。本人も「今のところまったく考えてない」と言う。(写真は優勝した吉田勝雄)
 田宮(現・琴光喜)以来、国体A、学生横綱、アマ横綱の3冠を狙った日大の下田は準決勝で、同じ日大の市原のはたき込みに破れた。去年の覇者、“小手投げ”の栂木は決勝2回戦で加藤耕市に寄り切りで敗退。小笠原、日大の森は本調子ではないのか、いずれも決勝トーナメント1回戦で敗退。おもな結果は以下の通り。左が勝った選手。
<決勝>
吉田勝雄(日大)すくい投げ 市原孝行(日大)
<準決勝>
吉田勝雄(日大) 送り出し 加藤耕市(静岡県)
市原孝行(日大)はたき込み 下田圭将(日大)
<準々決勝>
加藤耕市(静岡県)肩透かし 田中大陽(東農大)
吉田勝雄(日大)はたき込み 緒方正和(日体大)
下田圭将(日大)はたき込み 石前辰徳(鳥取県)
市原孝行(日大)はたき込み 寺下隆浩(東洋大)


全日本選手権展望

2005-12-01 23:59:05 | アマチュア相撲
 アマチュア横綱を決める全日本選手権が11日におこなわれる。30日、都内で同選手権の記者懇談会が開かれたが、今年は誰が優勝するのか、ちょっと予想がつきにくい。
 国体成年A、学生選手権と今年に入り、ビックタイトルを2つ獲得した日大の下田圭将がもし、今大会を制すれば、今の幕下付け出し制度になって、初めての幕下10枚目格付け出し資格が得られる。立ち合いに頭から低くあたり、左右のおっつけで押し込む相撲で、優勝候補の一角であることは確かだが、本命とは言いきれない。
 同じ日大の森友樹は、基本は押し相撲だが、左を差して右上手を浅く引きつけて出る形もいい。学生選手権の決勝は、下田の立ち合いの変化に涙を飲んだが、安定度はある。
 そして、これまた日大の市原孝行も上位に絡んでくるだろう。学生選手権では決勝トーナメント1回戦負けだが、巨体を利して前へ攻める相撲は脅威だ。
 一方、社会人は、小手投げの連発で去年のアマ横綱となった栂木は、今年はやや精彩を欠いている。安定度でいけば、一昨年のアマ横綱、加藤耕市が一番候補。今年の実業団横綱のタイトルホルダー小笠原史男も、持病の腰痛が出なければ、悲願のアマ横綱の可能性は十分。歳も27ともっとも力の出る時期だ。
 以上、学生3人と社会人の加藤、小笠原を含む5人の中から、優勝者が出るのではないだろうか。いずれにしても、混戦レースであることは間違いないだろう。
 ちなみに昨年は高校横綱の澤井も優勝候補の一人だったが、今年の高校横綱の山口雅弘(鳥取城北高)はまだ一年生。予選は森下(東農大)、矢島(日本通運)との対戦も控えており、予選突破も厳しい状況だ。

名古屋大学出身初の力士誕生?

2005-11-10 10:33:40 | アマチュア相撲
 先週おこなわれた学生相撲選手権に出場していた名古屋大学4年の田中周一選手が、角界入りの意向を示した。190㌢の長身だが、体重は110㌔と相撲の選手としてはやや細め。大学側は「相撲もスタイリッシュに」という方針らしく、同大学は従来の相撲部のイメージからの脱却を目指している。田中君の髪も茶髪。あまり太り過ぎると、怒られるそうだ。
 相撲は大学に入ってから始めたが、「最初は体がデカイだけで勝てると思っていたが、相撲の奥深さにはまってしまった。将来は自分の可能性を試したい」と、この日大会に訪れていた千賀ノ浦親方(元関脇舛田山)のもとへ、早ければ来年初場所に入門予定だ。ただし、5年が確定しているので、再来年になるか、大学に行きながらプロへ行くかはまだ未定。
 同親方は「若いうちしかチャンスはないんだから、夢を持ってやってほしい。彼はこれまで自由にやってきたから、ワクにはめようとしてもダメ。大部屋ではなくて、うちみたいな小さな部屋のほうが向いている」と、入門後は伸び伸びと育てるつもりだ。体験入門した時はハンガリー出身の舛東欧と五分に渡り合っていたそうだ。
 もし入門となれば、国立大出身力士としては、現役最年長力士、高砂部屋の一ノ矢以来、2人目。名古屋大出身としては、もちろん初めてだ。「国立の星」になってほしい」。千賀ノ浦親方は期待を込めて、そう話していた。(写真は右が名古屋大の田中選手、左が千賀ノ浦親方)

学生相撲選手権パート3

2005-11-09 16:21:51 | アマチュア相撲
 大学の選手ともなると、ある程度、相撲の型も決まってきているので、将来性という意味では、楽しみはそれほどでもないが、東京農業大学の田中大陽選手は、その点は例外で、見ていてワクワクする存在だ。188㌢、160㌔(あくまで登録上の数字です。実際は145㌔ぐらいかな?)と恵まれた体格。立ち合いでの両手が伸びきるほどの強烈な突き放しは魅力十分。突き放してから右を差し、腕を返しながら、がむしゃらに前へ出る相撲も、見ていて気持ちがいいし、「成長の伸びしろ」ということで言えば、まだまだ計り知れない。
 個人決勝トーナメントでの準々決勝では、学生横綱の下田を立ち合いから両手突きで中へ入れさせず、右を入れて攻め立てたが、左から強烈に差し手をおっつけられ、上体が起きたところを寄り切られた。
 敢えて課題を挙げるならば、守勢にまわったときに、ややモロさが出ることだが、それはこれから先に十分に克服できる。同郷で同学年、国体でもいっしょに戦った将司は早くも関取になった。田中選手もプロへ行けば、大化けしそうな逸材だ。

日大が2年連続で団体を制す

2005-11-07 09:31:42 | アマチュア相撲
 日大の強さばかりが際立った大会だった。対抗馬と見られていた東農大が準決勝で東洋大にまさかの敗退。しかし、王者日大は決勝まで駒を進めた東洋大をまったく問題にしなかった。前日は笑顔がなかった主将の下田も、「自分だけの喜びとは全然違います。団体戦は部員全員の喜びですから」と、この日は満面の笑みを見せていた。勝って当たり前と見られていた状況ではあったが、「そういうプレッシャーはまったくなかった。メンバーは全員強いんで、信じていた。自分たちの相撲が取れれば勝てるという自信はありました」と、部員全員で勝ち取った優勝を強調していた。
 団体戦も終わり、下田については進路が注目されているが、この日も明言はなし。「はっきりしたことは自分でも分からない。就職も決まってないし」。しかし、この時期になって就職が決まってないというのは、プロ入りを視野に入れているのは明らか。噂では出身高校、大学の先輩に当たる某親方の部屋へ入門という話も伝わるが、果たして…。(写真は団体戦優勝の日大メンバー。左上段より市原、森、南、山本、下段左より境澤、下田、吉田)

日大・下田圭将が学生横綱

2005-11-07 08:48:41 | アマチュア相撲
 決勝は同じ日大の一年後輩、森友樹との一戦。立ち合いあたった瞬間、左に体を開き突き落とした(決まり手は引き落とし)。「とにかく勝ちたいという気持ちが相撲に出た」と本人は、あっけなく終わった決勝戦を振り返った。翌日に団体戦が控えているので、この日のインタビューでは笑顔は一切なし。出場メンバーや本人のこれまでの実績からすれば、順当の結果とは言えた。
 一番のハイライトは決勝トーナメント準々決勝の田中大陽(東農大)戦であろう。田中の両手からの突き放しに下田は中へ入れずに後退。右を差してなおも攻める相手に対し、左からおっつけて上手を浅く引くと、反撃に出て、最後は寄り切った。
 「中に入って、ハズ押しで一気に持っていくのが理想」と自分の相撲について語っていたが、この日は右でも左でもまわしを浅く引いて、下から引きつけながら前へ出る相撲が目立った。
 今年の国体成年Aに続き、学生横綱も手に入れた下田は、これで大学通算16個目のタイトル。幕下付け出し資格も得たが、本人は「進路のことは何も考えていない」と気持ちを次の日の団体戦に集中させていた。(写真は学生横綱に輝いた下田)

第2回全国少年相撲選手権大会

2005-10-10 01:50:21 | アマチュア相撲
 今日(9日)、両国国技館で第2回全国少年相撲選手権大会がおこなわれた。本大会は「全国少年草津大会」や「全国少年立川大会」が廃止になった今、クラブや道場単位で全国優勝を争う唯一の場といえる。最近は相撲人気の凋落とともに、競技人口も減っているとされているが、それはマスコミのまやかしと言えるだろう。
確かに小中学校の相撲部は廃部に追い込まれるケースが少なくなく、神社の相撲大会なども減ってきてはいるが、この大会の参加チーム数を見てみると、昨年の第1回が47地区68チームに対し、今年は54地区82チームに増えている。今や少年相撲は学校単位ではなく、地域の道場やクラブを基盤に成り立っているのがわかる。
そして今大会の優勝チームは、熊本県のやちわクラブAが昨年に続き、連覇を果たした。同チームは先場所新十両の白石の地元で、前夜は三保ヶ関部屋へ宿泊し、選手らは白石の胸を借りたそうだ。大将を務めた元杉有成君(中3)は、優勝の要因を「チームの小中学生がよくまとまってくれたんで」と話した。
注目の都道府県と全中2冠の中学横綱、明大中野の南雲学人君は、埼玉県の入間少年相撲クラブAの大将として出場し、準決勝で岐阜の神山達哉君(各務原市中央中3年)に敗れるという波乱があった。(写真は優勝したやちわクラブAチーム、後列中央が元杉君)

個性派揃いのアマチュア軽量級

2005-10-03 00:26:03 | アマチュア相撲
 2日、靖国神社境内相撲場でおこなわれた全国学生個人体重別選手権大会。特に軽量級は個性派揃いで面白い。85㌔未満級に出場した東京大学3年のマトウシュ・ペテル選手は、知る人ぞ知る存在。チェコ出身で見た目がイエス・キリストか、ヨーロッパ系のスラッシュメタルのバンドメンバーを思わせるユニークな風貌だ。この日もテレビカメラをはじめ、複数のマスメディアが追いかけていた。ただし相撲のほうは、1回戦で惜しくも敗退。
 75㌔未満級を制した関西学院大学の田中正幸選手(写真)は、一風変わった相撲を取る。立ち合いは徳俵ギリギリのところに立ち、陸上のクラウチングスタートの格好から、相手の出方を探り、スキを見てタックルを仕掛け、相手を寄り倒すという取り口だ。展開によっては相手との間に一定の距離ができ、しばらくにらみ合いが続くといった具合だ。
「普段はレスリングをやっています。相撲のけいこは全然やってません」と本人は言う。仮にプロへ行けば、間違いなく否定される相撲だ。しかし、軽量の選手にとっては、むしろこういった取り口も一つの戦法に思う。
後に下がって仕切ることで相手との距離を作り、こちらから前に出ないという立ち合いをすれば、相手から受ける圧力がかなり軽減される。田中選手の相撲は、前に出なきゃいけないというこれまでの固定観念を打ち破るものだ。相撲のけいこばかりやっていては、かえってこういう発想は生まれなかったのかもしれない。舞の海も現役時代、後へ下がる立ち合いを試してみたことがある。
小兵が勝つためには、時には相撲の常識を疑ってかかる必要もある、そんなことを考えさせられた。