++おさんぽ日和+++

都内在住の栄養士。
2歳・ノンとの毎日を綴ります。
育児photo川柳、離乳食、日々思うコトetc

「頑張れ」

2010-02-04 | おさんぽ中の景色
今朝夫が「寒いから家の前が"ネユキ"になっちゃってるね」と言っていた。
はて「ネユキ」とは・・?

溶けないで残っちゃってる雪のことを「寝雪」というそうな。
ふーむ。なんとも風流な言葉。
札幌出身の夫は、ジャカルタにいる間にすっかり寒さへの耐久性を失ったけど
雪には流石に詳しい。

「これのことかー」と、出掛けに「寝雪」をしげしげ眺める。
まだ残ってる雪の上を歩くと、キュキュっと小気味よい音がする。
上を見上げたら、2本の飛行機雲が真っすぐ走ってるのが見えました。

こないだブログで就職活動のことにチラっと触れて以来、当時の記憶がよみがえってます。

時は超氷河期。
何十社も受けてるうち、面接日が重なるのは珍しくないこと。
ズラしてくれる会社もあるけど、どちらか選ばなくてはならないこともある。
私も一度だけ、苦すぎる苦渋の決断を迫られる経験をしました。

あわよくば紛れ込めそうな気がするA社と、ほとんど記念受験気分だった高嶺の花B社。
面接が同じ日になってしまった。

B社は出版社の中で唯一受けた、子供の頃から憧れていた会社。
子供向けの雑誌は一切出してないけど、ページをめくるごと美しい写真とともに全く違う世界を見せてくれる質の高さは、子供にも十分分かるほど。

でも「何が何でも御社で働きたいんですっ!!」という強い意思も自信も能力もなく、
「どこでもいいから引っかかりたい」と藁にもすがる思いだった大学四年生の私は、A社に一縷の望みをかけ
「最終的にココは採ってくれないだろうから・・」と、B社にお断りの電話を掛けました。

すると人事部の男性が、私にこう言ったのです。

「ご自分の決めた道で、頑張って下さい」

今でもあの温かい声を覚えてます。
受話器を置きながら「そんな固い決意じゃなかったのに・・。私ってなんて中途半端なんだろ」と思ったと同時に、
「あぁ、やっぱりB社は素敵な会社だった」と嬉しくなったものでした。
出版業界も厳しい状況のようですが、なんとかB社だけには生き残って欲しいと
本屋さんで雑誌を見ると祈っている私です。

自分で決めた道で頑張る。

これはナカナカ難しいことですぞ。
一直線の飛行機雲のように、自分が「コレ!」と決めた道で才能を発揮し、一心不乱に生きていける人なんて、ごく一握り。
右に左にヨロヨロふらつきながら、自分の境遇を受け入れて、それでもなんとかやっていくのが人生ってもんだと、大人になってから人は気付く。
寝雪の上を足元に気をつけながら、恐る恐る転ばないように歩いた今朝のように。

だからこそ、飛行機雲的一直線人生を送っている人、たとえばスポーツ選手たちの生き様に
眩しさを感じるのだと思う。

ところで、朝青龍の騒ぎでもキーワードとなってるらしい「頑張れ」というこの言葉。
最近色んな所で「頑張れ禁止令」を見かけます。
「頑張ってる人に向かって頑張れと言ってはイケナイ」
「落ち込んでる人に頑張れと言ってはイケナイ」

いつからこんなに足かせのような重い言葉になってしまったんでしょう。

運動会でのかけっこの前に「頑張れー!!」と重なり合う子供の声。
これから告白に行くのだという友達に「頑張れ!!」と皆で背中を押した高校時代。

頑張れっていうのは、もっとカラっと明るいエールだったはず。


一方「頑張れ」と気軽に口に出来なくなってしまった日本で、「頑張れ頑張れ」と言われ続けてる人たちもいます。
誰が石川遼の前で「頑張れって言わないで下さい。遼くんは既に頑張ってるんですから」
と言うでしょうか。
浅田真央ちゃんだって、不調続きで笑顔も消え、意気消沈してるのがこちらにも伝わって来たけど、「期待してます。頑張って下さい」てレポーターに言われまくってた。
そして真央ちゃんも「ベストを尽くして頑張ります」と答えてた。

大勢に応援されプレッシャーを掛けられ、こたえ続けるアスリート。
ちょっと調子を崩そうものなら、新聞やテレビでこき下ろされる。
時には壁にぶつかるけど、それでも努力して努力して、また結果を見せてくれる。
その過程そのものが、真っすぐでひたむきで、心打たれます。
頑張れっていうのはやっぱりいい言葉だし、頑張ってる人を見るのもまた最高に清々しくて良い気持ち。

B社の人事部の人から言われた「頑張れ」も、こんなに年月を経てもなお
力強く頭の中で響いてる。

そんなパワーのある言葉「頑張れ」が日本中でこだまするオリンピックの開幕が、
もう間もなくやってきます。












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