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小笠原大閻魔帳

長年お世話になったT-ちゃんが
店を畳むと言うのでこちらに引っ越してきました。

夏の騎士

2019-08-08 20:10:00 | おもしろかった‘本’


amazonで予約注文により購入。
発売日直後には手元に届いていましたが、おが丸で読むことを想定して取り寄せてたので今回の帰省の際、ようやく読むことが出来ました。

昔から、本は寝しなに読むことに決めています。
ところが、近年、歳のせいか夜更かしが出来なくなってきており、床について本を開くと同時に寝落ちしてしまいます。
なので、買ったものの、未だに読んでない本が寝床付近でどんどん山済みになっています。
なので、この数年は、おが丸での移動中に読むことにしています。

百田さんの本を買うのは二冊目となります。
上のような理由で一冊目はなかなか読めずにいました。
そしたら先に子供たちが読んでしまいました。
長男は、まだ島に居た頃に一日で読破。
次男は読んだり読まなかったりしながら三ヶ月くらい掛けて読破。
決して、強要はしていませんし、もとより、これっぽっちも薦めてはいないのですが、本人たちが自らの意思で「読みたい」というので読ませました。
それは百田さんのどの本なのか?
ちょっとここでは言えません。(^^;

話を『夏の騎士』に戻しますが、表紙買いしたくなるような装丁からしてとても綺麗な本でした。
あらすじを読だ上で、このタイトルも一発で気に入りました。
しかしながら私は、この作品からは期待していた程の満足感を得られませんでした。

我が家に現役の小学生がいるからかも知れませんが、主人公達の言葉の一部がやけに大人びていてリアリティーが感じられない部分が幾つかありました。
「できすぎ君」でもそんな言い回ししないでしょ?と思わせるような・・・。

あと、どうしても気になったのが、淫交シーン。
現実世界に照らし合わせれば、実際にあってもおかしく展開ではあるとは思います。
しかし、どうしても入れなければならなかったのでしょうか?
あの描写が無くても、この物語は十分成立するのではないかと思いました。
私がただ甘っちょろいだけなのでしょうか?

また、最終的にヒロインとして成長する女生徒の、相手の心を折らせる程の言葉の汚さも気になりました。
主人公にとっては良い伴侶となったのかも知れませんが、自分を傷付ける言葉に対し、それよりも傷付ける言葉で応酬するこの女生徒の心根は人としてあまり感心できませんでした。
そして真犯人も自らを社会の脱落者であると言ってるような人物で、救いが無いというか、意外性が無いというか、興ざめな部分ではありました。

こうした不満が出るのは、単に私が求めていた物と違っていただけなのかも知れません。
しかし、それにしても、読了後、大きな清涼感や爽快感に包まれることはなかったし、「ああ、凄く面白かった!」と言うほどの高揚感も得られませんでした。

この作品一つで私の中における百田さんの作家としての魅力が損なわれることは決して有りませんが、私にとって『夏の騎士』は、食い足らない部分があり、その一方で過度に感じた部分もあるという、どうにも掴み切れない物語でした。

48年目の決着

2018-02-24 22:22:00 | おもしろかった‘本’


エスエフ世界の名作『深海の宇宙怪物』
作:ジョン・ウィンダム
訳:斉藤伯好
絵:長新太
岩崎書店

小学三年の時
「読書の時間」に手に取ったのがこの本でした。

自分で選んで読んで、面白くて止まらんわ!と思った本は
これが最初だったと記憶します。
ただでさえ、普段から本を読まなかった私ですから
この限られた「読書の時間」で読み切れるわけも無く
授業の終了とともに、後ろ髪を引かれる思いで
図書室の棚に戻したと記憶します。
続きが気になったので、その後図書室に何度か足を運びましたが
貸し出し中だったのか私が戻した棚には見当たらず、
仕方が無いので、母親に相談して買ってもらうことにして
地元の本屋を探しましたが在庫されていなかったりして
そうこうしているうちに、
他に興味が移ったか、追い求めることに飽きたかして
そのままになってしましました。

それから48年・・・・。
先々週、何が切っ掛けだったか忘れましたが
ふとこの本の事を思い出し、ネットで検索してみたら
古本として市場に存在していることが分かりました。


唯一、うっすらと記憶に残っていた挿絵。長新太さんの画がとてもいい味を醸し出しています。

新装されることも、復刻されることも無かったようで
当時出回ったものだけが存在するようです。
そのため、結構な値段がついておりまして、
何度か迷ったのですが、結局、思い切って幾つか検索した中から
一番安値のものを注文しました。
当時は380円で売られてものですが、私が今回買った値段は5,000円。
たけーよ。スタミナ太郎だったら
親子三人で焼き肉食い放題に行っておつりが来ちゃうよ!
とかなんとか思いながらも
中には1万円以上の値段を付けているところもあるんだし、
それに比べりゃ安いわ。と自分に言いワケしての購入となりました。

小学生向けの作品ですから、いくら遅読の私でも
二時間も集中したら読み終えてしまったわけですが
正直言って、どこがそんなに面白かった?
と小三の頃の自分に聞いてみたいくらいの内容でした。
(つまらないわけではないが、そこはやっぱり子供向け)
新装も復刻もされてこなかった訳だと妙に納得しました。

でもまあ、いいや。
48年越しのモヤモヤがスッキリしたし。

誰もこのブログ記事を切っ掛けに、
この作品を読んでみよう!とは思わないでしょうから書いちゃいますが
最後は日本人が開発した新兵器で敵を倒すという結末が待っていました。
これ、訳者が日本人向けに書き換えちゃったんじゃないの?
って、疑いたくなっちゃうほど、最後で日本人の事が称賛されています。
例えば、イギリス人である主人公と博士の会話がこんな感じ。
「たいしたものですね、日本人は」
「まったく頭がいい国民だ。しかも、特に科学にすぐれている。」
お話の中では、被害を受けた国として日本の名前が出ては来ますが
ストーリーにはほとんど絡んで来ないのに最後で大絶賛。(笑
でもまあ、私も日本人なので悪い気はしません。

この後、新兵器を使う描写は描かれておらず
明るい未来を予感させながら、あとは想像に任せます的な終わり方となります。


児童文学とは知らずに購入

2015-12-12 17:28:00 | おもしろかった‘本’


【火縄銃と見た夢】
2015年の夏、新潟県上越市の謙信公祭に行った際、
米沢藩古式砲術の演武を拝見しました。
それを切っ掛けに火縄銃に興味を持ち
火縄銃をキーワードにいろいろ検索していたら
こちらの本にたどり着きました。

戦国時代ものが好きで、これまでにも何冊か読んできましたが
鉄砲足軽の家族の視点で描かれたものは初めてでしたので、
非常に新鮮な読み心地を得ることができました。

史実、人物、場所などは全く特定されておらず、
有名な武将の名前も一切出て来ませんし、
登場人物の誰かが、戦の中で死ぬような直接的な描写も一切ありません。
しかし、戦が身近に迫った時の緊張感や、
親しく過ごした隣人との突然の別れなどが儚く切なく描かれており
他では無い味わいを残してくれる作品でした。



↑二男が描いてくれた火縄銃のイラスト。

死ぬまでにもう一度行きたいマーカス。

2010-07-03 09:13:00 | おもしろかった‘本’


昭和50年代の南鳥島と父島の様子が詳しく書かれています。

作者が気象庁の職員ということで、
気象に関する小難しいウンチクが
何かにつけて語られるものと覚悟して読み始めましたが
そうした記述は皆無に等しく、
二つの島の生活について一般人目線で書かれています。
そのため、私の様な凡庸な人間にも非常に読み易く、
興味深く読み進めることが出来ました。

これまでにも小笠原に関する書籍は幾つか読んだ事がありますが
まだ定期船として『父島丸』が就航していた頃の事を
一般人目線で記したものは珍しいのではないかと思います。
(単に私が読んでないだけである可能性大。)
研究書や学術資料の類では、飲み屋の様子や
そこで働く若いお姉さんの事までは語られませんからね。
そういう意味でも貴重な記録と言えるのかも。

また、今も島で生活している人の若かりし頃の記述は、
特に興味深く読みました。
ターバンを巻いた不思議な雰囲気のご婦人が登場するのですが
誰だろう誰だろうとワクワクしながら読み進めると
なんと、ウチの三軒先のお宅の奥さんだったりして
そうか、昔はそういう雰囲気を持った人だったのかと感心したりして。

小さくて白黒ながら、当時の写真が幾つか掲載されており
それがまた現在の島の様子を知る人間にとっては
その変化の具合がいちいち面白い。


南鳥島についての記述については
比較的新しい情報をインターネットで見ることが出来ますが
この書籍では、30年前当時に作者が日々の生活の中で書き留めたことを
項目別にまとめてありますので非常に貴重な記録にもなっています。
父島とは比較にならない、文字通りの絶海の孤島での生活に
作者は着任当初に不安を感じている様子が伺えますが
しかし、一度その生活が始まってしまうと、
日米交えた男ばかり数十人の生活に馴染み
それなりに楽しんでいる様子が微笑ましく
作者のように三ヶ月で区切られた交代の勤務なら
私も体験してみたいと思わせてくれました。
でも今は子供が小さいから無理か、という問題じゃないか。

本書は『南鳥島特別航路』とほぼ同時期に購入しましたが
何だかんだで読み終えたのは昨日。
南鳥島の情報量ではこちらが遥かに圧倒しており、
非常に興味深く読むことが出来ました。

ロランC鉄塔の重要性や忠魂碑の存在など、
これを南鳥島行く前に読んで置けば、
いろいろな間違いを最低限に抑えられていたでしょうに。
惜しいことしたー!

なお、書名にもなっている『鳥を釣った話』は
なんと作者ご本人の体験談ではなく
南鳥島で共に生活した別人の体験談!それも又聞き!
しかし、そういう話をタイトルに持ってくる奇抜さとか大胆さは
この本の内容に合っている気がしました。

南鳥島特別航路

2010-01-31 21:30:00 | おもしろかった‘本’


アマゾンドットコムにて1円で購入。
一円で購入したと言っても
送料が問答無用で340円掛かる訳で
メール便や定形外郵便ならこれ以下の金額で済むことを考えれば
実質1円以上支払っていることになるが、それにしても安い。

JTBが発行していた頃の『旅』に掲載されたものをまとめた本。
1991年2月に初版されているので、すでに20年近く前の情報で占められている。
約256ページ中、タイトルにもなっている‘南鳥島’について書かれているのは
17ページのみ。 (写真や地図だけのページを除く)

行きたくても行けない島へ、作者がどういった経緯で行くことが出来たのか
どこの会社の何という名前の貨物船に乗ったのかも記述されていない。
往路の船中の描写も乏しく作者以外の船員の顔が全く見えてこない。
旅に付きものの食事に関しても、事細かに描写されることは無い。

察するに、行きたくても行けない場所に関する事なので
書きたくても書けないことが多かったのだろう。
たとえば、船会社の名前。
公表したら問い合わせが殺到するだろうから
配慮したのかもしれない。

それにしても17ページというのはあまりに少なく、
南鳥島目当てでこの本を購入した私には
物足らないという印象が強く残ってしまった。

稚拙な文しか書けないお前が言うなよと叱られそうだが
一読者としての素直な感想。

どうも失礼しました。