オプションマスター“ウィザード”への道

ウィザードとは…魔法のように儲ける一握りのトレーダーにのみ与えられる最強の称号

プット・コール・パリティを使ったエスケイプ

2006年06月28日 20時52分59秒 | オプション講座・上級編
原則として、売っているオプションをITMに入れてはいけません。しかし、ギャップが無茶苦茶に開いた場合、いきなりITMに入ってしまうことも考えられます。また、何かの手違いやシステムトラブルなどに運悪く見舞われ(この場合も自己責任だということは肝に銘じておきましょう)、ITMに入ることも考えられます。このような原因で万が一ITMに入ってしまった場合の対処法を紹介します。

ほとんどATMのITMの場合は普通に買い戻してもいい場合が結構あるので、理論価格を考えながら落ち着いてできるだけ有利な価格で買い戻しましょう。しかし、Deep ITMに入った場合極端に売り板が薄くなり理論価格からも大きく乖離する場合が多々ありますこういった時に闇雲に成り行きで買い戻したり、売り板に指値を当てたりするのは愚の骨頂です。こういった場合にプット・コール・パリティを活用するのです。

具体例を挙げます。15000円のプットを売っていたところ、相場が急変してあっという間に原資産価格が13200円まで暴落したとします。この時15000円のコール・プレミアムが20円だとすると、プット・プレミアムの理論価格はプット・コール・パリティより、プット・プレミアムは20-(13200-15000)=1820円です。

上記の式はプット・コール・パリティの公式の式変形です。「プット・プレミアム=コール・プレミアム-(先物価格-権利行使価格)×割引率(≒1)」に変形して求めます。

プットプレミアムの理論価格は1820円だということは分かりました。しかし、売り板を見ると2000円でした。ここでこの売り板に指値を当てると、本来1820円で買い戻せるものを2000円で買い戻すことになって損失額が180円(1000倍なので18万円)も膨らみます。しかし、手仕舞わなければさらに損失額が膨らんで破産するかもしれません。

ここでどうするべきでしょうか。正解は、15000円のコールを新規で買うと同時に先物を売りますそしてSQまで放置します。これで損失が完全に固定されます。15000円のコールは理論価格の20円で買えるので無駄に高いオプションを買わずにすみます。ちなみにこの時点での合成ポジションは「プット売り+コール買い+先物売り」となります。

少し難しいでしょうか。同権利行使価格のコール買いとプット売りの合成ポジションはプット・コール・パリティが成り立つという前提の上では先物の買いと全く同じ損益グラフになりますここで先物を売ることにより、理論上先物買いと先物売りの両建てと同じことになります。つまり、コール買い+プット売り+先物売り=先物買い+先物売り=ポジションスクウェアとなります。

この方法は理論価格より異常に高いオプションを買わずに済む緊急避難的なものとして活用することができますが、狙って使うものではありませんこの方法をマスターしたからといって売っているオプションをITMに入れてもいいということにはならないということです。

この方法は次の点で普通の買戻しに劣ります。メリットはありません。

普通の買戻しに劣る点

手数料が増える

普通に買い戻す場合手数料はオプションだけですが、この方法は先物の分だけ手数料が高くなります。

証拠金が解放されない

SQを迎えるまで証拠金は拘束されます。全ての証券会社がそうだとは言いませんが、大抵は両建てでも証拠金は必要です。

追証がかかった場合、新たに先物を売る証拠金が無い場合には使えない

これが一番痛いです。追証がかかってその追証を期日までに振り込まなかった場合、半強制的に成り行きで買い戻されます追証は絶対に発生させてはいけません


ここで紹介した方法は緊急事態をできるだけ小さい損失で切り抜ける方法として活用してくださいこの方法を使うところまで追い込まれた時点で恥だと思わなければなりません。また、売っているコールがITMに入った場合も同様の方法で処理できます。プットを買って先物を買います。


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