■アメリカ・中国・日本に真綿で首を占められるように追いつめられつつある北朝鮮がまた、― 北朝鮮外務省は3日、声明を発表し、「今後、安全性が徹底して保証された核実験を行うことになる」と表明した。― とあるように瀬戸際外交を開始し始めた。
■北朝鮮は今年の7月5日にテポドン2号を含む7発のミサイル発射実験を強行したが、その目的はアメリカとの直接交渉が狙いであったとされている。しかし、アメリカ本土を攻撃する能力を見せつけるための肝心な、テポドン2号は発射数秒後に墜落するという。完全な失敗に終わった。
■このミサイル実験によって、北朝鮮は、国連によって非難決議が採択されるなど、世界的孤立をよりいっそう深めたが、北朝鮮の世界的孤立は、今に始まったことではなく、以前からそうであったのだから、国際的非難は北朝鮮にとって、さほど痛痒を感じないだろう。
しかし、北朝鮮にとって、後ろ盾となる同盟国の中国が北朝鮮との距離を置き始めるきっかけをこの実験で作ってしまった感があり、この一事を見ても、軍事的脅威の演出は言うまでもなく、外交的にも完全に失敗であったといえる。
■「アメリカとの直接交渉」も実現できず、なおかつ、「同盟国中国の離反」という結果だけが残った北朝鮮にとって、残された選択肢は、最後の切り札である「核実験」しかないようだ。もしこれによってもアメリカが北朝鮮との直接交渉に応じなければ、北朝鮮とって、外交ではなく、その最終形態である戦争という選択肢しか残されていない。
■記事には― 金融制裁問題で米国との直接交渉を求める新たな「瀬戸際外交」とみられるが、米国ではブッシュ政権が「脅し」に屈して対北朝鮮で譲歩を示すことはないとの見方が有力だ。― とあるように、最後の切り札も不発に終わる可能性が高い。
■この核実験宣言は「ほのめかし」というような段階ではなく、北朝鮮外務省が明確に「核実験を行う」とを宣言しており、いつ行われるかは別にしても実験そのものが行われる可能性は非常に高く、この核実験を外交努力で思いとどまらせることは、相当困難であるだろう。
日本やその周辺諸国にとって、この実験は脅威ではあるが、核実験が成功したからと言って、ミサイルに搭載できるほどの小型化に成功しているかどうかは疑問であり、直ちに脅威であるとは言えない。
しかし、北朝鮮という予測不能な国家が核兵器を所有することによって将来的に脅威(弾頭に搭載可能)になることは間違いない。
このような状況下にあって日本が北朝鮮に対し、強制力として行使できる選択肢は、経済制裁のみであり、軍事的強制力は持ち合わせていない。このことを持って、また「先制攻撃論」やそれ以上の「核武装論」が巻きおこるだろう。これは北朝鮮にとってもマイナスであることは間違いない。
■北朝鮮にはすでに物事を合理的に考える力が失われているのかもしれない。ミサイル実験、それに続く「核実験宣言」をみると、北朝鮮にとっての最後の選択は「戦争」か「金体制の自壊」の二つに集約されつつあるようだ。
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―以下参考記事―
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061003-00000013-yom-int
北朝鮮「核実験行う」、時期・場所言及せず 【ソウル=中村勇一郎】
朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省は3日、声明を発表し、「今後、安全性が徹底して保証された核実験を行うことになる」と表明した。
北朝鮮が2005年2月に核保有宣言を行って以来、核実験実施を公式に宣言したのは初めて。
実験の実施時期、場所には言及していない。7月の弾道ミサイル発射で対北制裁強化の流れが強まる中、「瀬戸際戦術」をエスカレートさせることで米国の譲歩を引き出す狙いとみられるが、日米をはじめ国際社会の強い反発を招くのは必至だ。
声明は「米国による極悪な制裁・圧力策動により、我が民族の存亡を左右する情勢がつくり出されている」などと米国を非難した上で、ミサイル発射に伴う国連安全保障理事会の北朝鮮決議採択を「事実上の宣戦布告」と指摘した。 (読売新聞) - 10月4日1時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061004-00000003-scn-cn
【中国】北朝鮮核実験宣言に中国専門家「実施の可能性大」
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が核実験を行うとの声明を発表したことに関して、東北網は中国人民大学と北京大学の研究者の談話を紹介した。両者とも実験実施の可能性が大きいとした。東北網は黒龍江省政府系のインターネットメディア。 中国人民大学国際関係学部米国研究センター主任の殷弘・教授は、「北朝鮮は核能力を向上させる機会を求めているだろう。初歩的な核兵器があれば、できる限りそれを発達させようとするはずだ」と、北朝鮮が核兵器開発を本格化させているとの見方を示した。
その原因として、米国の対朝鮮強攻策が朝鮮に危機感を抱かせたと指摘。そのことが、ミサイルの発射実験と6カ国協議の拒絶という結果を招いたと述べた。 また、核実験を実施すると宣言したことに関して「政治決定を行ったということであり、現在は技術的な準備を行うだけという段階なのだろう」と分析した。
更に、「近い将来に軍事衝突が発生する可能性は大きくない。しかし、情勢が悪化していることには変わりがない」と述べた。
一方、北京大学国際関係学部の朱鋒・教授は北朝鮮の狙いを「実験によって『自国は核能力を持つ国だ』という新しい条件を作り、その上で改めて核問題を解決する交渉のテーブルに着くことだ」と分析。その原因としては殷教授と同様に、金融制裁を行いながら無条件で交渉再開を要求するという米国の強攻策にあるとした。
更に朱教授は「北朝鮮が核実験を実施することは、他の国が軍事大国化を図ることに『理由』を提供することになる。日本の安部政権も軍事大国化を目指しているが、北朝鮮の実験が日本を刺激して核武装化させてしまう可能性がある」と述べた。 殷教授は、「米国は2005年9月以来の金融制裁が奏功していると評価しており、今後は更に厳しい制裁を加えるだろう」と予測した。
朱教授は、「6カ国協議はこれまで以上に緊迫して難しい責務を担うことになる。中国は自らと北東アジアの安全の確保を出発点として、改めて外交交渉を進め、各方面との協議と交流を通じて、新しい対策を取る必要がある」と述べた。(編集担当:如月隼人)(サーチナ・中国情報局) - 10月4日11時23分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061004-00000036-mai-int
<北朝鮮核実験予告>ブッシュ政権は譲歩ぜずの見方有力
【ワシントン笠原敏彦】北朝鮮の3日の核実験予告声明は、金融制裁問題で米国との直接交渉を求める新たな「瀬戸際外交」とみられるが、米国ではブッシュ政権が「脅し」に屈して対北朝鮮で譲歩を示すことはないとの見方が有力だ。北朝鮮が核実験という「最後のカード」を振りかざしたことで、金正日(キム・ジョン・イル)政権の窮状を指摘する声も出ている。
声明のポイントは、将来の核実験を予告する一方で「対話を通じた朝鮮半島の非核化の実現」にも言及し、交渉の扉を閉ざしていないことだ。 この声明について、駐中国、韓国の両大使を務めたジェームズ・リリー氏は「いら立ちを示す兆候が見られる。破たん国家が金融制裁で偽札や麻薬による資金を失い、その沈没の流れを必死に食い止めようとしている。核爆弾を爆発させたくないならいくら出すか、という典型的な瀬戸際外交だ」と指摘する。
保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の東アジア専門家、バルビナ・ファン氏は、北朝鮮は声明以外にも「核実験」のシグナルを明確に送っている、と説明する。同氏は「過去3~4週間、機密扱いでない衛星写真でも(核実験場と疑われる場所で)トラックやトンネル周辺での動きが見られる」と述べながらも、北朝鮮の真意を判断するのは困難だとして「過敏に反応すべきではない」と慎重な見方を示す。
北朝鮮は7月のミサイル発射で、米国との直接交渉という目的達成に失敗し、逆に全会一致での国連安保理非難決議を招いた。核実験予告に対する米国の反応について、米戦略国際問題研究所(CSIS)の安全保障問題専門家、ジョエル・ウィット氏は「米国の政策は制裁路線に沿って一層加速するだろう」と語り、今回の北朝鮮の戦術は逆効果になるだろうと予測。またヘリテージ財団のファン氏も「米政策に変更の余地はあまりない。米国は屈服しない」とみている。 (毎日新聞) - 10月4日12時56分更新
■北朝鮮は今年の7月5日にテポドン2号を含む7発のミサイル発射実験を強行したが、その目的はアメリカとの直接交渉が狙いであったとされている。しかし、アメリカ本土を攻撃する能力を見せつけるための肝心な、テポドン2号は発射数秒後に墜落するという。完全な失敗に終わった。
■このミサイル実験によって、北朝鮮は、国連によって非難決議が採択されるなど、世界的孤立をよりいっそう深めたが、北朝鮮の世界的孤立は、今に始まったことではなく、以前からそうであったのだから、国際的非難は北朝鮮にとって、さほど痛痒を感じないだろう。
しかし、北朝鮮にとって、後ろ盾となる同盟国の中国が北朝鮮との距離を置き始めるきっかけをこの実験で作ってしまった感があり、この一事を見ても、軍事的脅威の演出は言うまでもなく、外交的にも完全に失敗であったといえる。
■「アメリカとの直接交渉」も実現できず、なおかつ、「同盟国中国の離反」という結果だけが残った北朝鮮にとって、残された選択肢は、最後の切り札である「核実験」しかないようだ。もしこれによってもアメリカが北朝鮮との直接交渉に応じなければ、北朝鮮とって、外交ではなく、その最終形態である戦争という選択肢しか残されていない。
■記事には― 金融制裁問題で米国との直接交渉を求める新たな「瀬戸際外交」とみられるが、米国ではブッシュ政権が「脅し」に屈して対北朝鮮で譲歩を示すことはないとの見方が有力だ。― とあるように、最後の切り札も不発に終わる可能性が高い。
■この核実験宣言は「ほのめかし」というような段階ではなく、北朝鮮外務省が明確に「核実験を行う」とを宣言しており、いつ行われるかは別にしても実験そのものが行われる可能性は非常に高く、この核実験を外交努力で思いとどまらせることは、相当困難であるだろう。
日本やその周辺諸国にとって、この実験は脅威ではあるが、核実験が成功したからと言って、ミサイルに搭載できるほどの小型化に成功しているかどうかは疑問であり、直ちに脅威であるとは言えない。
しかし、北朝鮮という予測不能な国家が核兵器を所有することによって将来的に脅威(弾頭に搭載可能)になることは間違いない。
このような状況下にあって日本が北朝鮮に対し、強制力として行使できる選択肢は、経済制裁のみであり、軍事的強制力は持ち合わせていない。このことを持って、また「先制攻撃論」やそれ以上の「核武装論」が巻きおこるだろう。これは北朝鮮にとってもマイナスであることは間違いない。
■北朝鮮にはすでに物事を合理的に考える力が失われているのかもしれない。ミサイル実験、それに続く「核実験宣言」をみると、北朝鮮にとっての最後の選択は「戦争」か「金体制の自壊」の二つに集約されつつあるようだ。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061003-00000013-yom-int
北朝鮮「核実験行う」、時期・場所言及せず 【ソウル=中村勇一郎】
朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省は3日、声明を発表し、「今後、安全性が徹底して保証された核実験を行うことになる」と表明した。
北朝鮮が2005年2月に核保有宣言を行って以来、核実験実施を公式に宣言したのは初めて。
実験の実施時期、場所には言及していない。7月の弾道ミサイル発射で対北制裁強化の流れが強まる中、「瀬戸際戦術」をエスカレートさせることで米国の譲歩を引き出す狙いとみられるが、日米をはじめ国際社会の強い反発を招くのは必至だ。
声明は「米国による極悪な制裁・圧力策動により、我が民族の存亡を左右する情勢がつくり出されている」などと米国を非難した上で、ミサイル発射に伴う国連安全保障理事会の北朝鮮決議採択を「事実上の宣戦布告」と指摘した。 (読売新聞) - 10月4日1時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061004-00000003-scn-cn
【中国】北朝鮮核実験宣言に中国専門家「実施の可能性大」
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が核実験を行うとの声明を発表したことに関して、東北網は中国人民大学と北京大学の研究者の談話を紹介した。両者とも実験実施の可能性が大きいとした。東北網は黒龍江省政府系のインターネットメディア。 中国人民大学国際関係学部米国研究センター主任の殷弘・教授は、「北朝鮮は核能力を向上させる機会を求めているだろう。初歩的な核兵器があれば、できる限りそれを発達させようとするはずだ」と、北朝鮮が核兵器開発を本格化させているとの見方を示した。
その原因として、米国の対朝鮮強攻策が朝鮮に危機感を抱かせたと指摘。そのことが、ミサイルの発射実験と6カ国協議の拒絶という結果を招いたと述べた。 また、核実験を実施すると宣言したことに関して「政治決定を行ったということであり、現在は技術的な準備を行うだけという段階なのだろう」と分析した。
更に、「近い将来に軍事衝突が発生する可能性は大きくない。しかし、情勢が悪化していることには変わりがない」と述べた。
一方、北京大学国際関係学部の朱鋒・教授は北朝鮮の狙いを「実験によって『自国は核能力を持つ国だ』という新しい条件を作り、その上で改めて核問題を解決する交渉のテーブルに着くことだ」と分析。その原因としては殷教授と同様に、金融制裁を行いながら無条件で交渉再開を要求するという米国の強攻策にあるとした。
更に朱教授は「北朝鮮が核実験を実施することは、他の国が軍事大国化を図ることに『理由』を提供することになる。日本の安部政権も軍事大国化を目指しているが、北朝鮮の実験が日本を刺激して核武装化させてしまう可能性がある」と述べた。 殷教授は、「米国は2005年9月以来の金融制裁が奏功していると評価しており、今後は更に厳しい制裁を加えるだろう」と予測した。
朱教授は、「6カ国協議はこれまで以上に緊迫して難しい責務を担うことになる。中国は自らと北東アジアの安全の確保を出発点として、改めて外交交渉を進め、各方面との協議と交流を通じて、新しい対策を取る必要がある」と述べた。(編集担当:如月隼人)(サーチナ・中国情報局) - 10月4日11時23分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061004-00000036-mai-int
<北朝鮮核実験予告>ブッシュ政権は譲歩ぜずの見方有力
【ワシントン笠原敏彦】北朝鮮の3日の核実験予告声明は、金融制裁問題で米国との直接交渉を求める新たな「瀬戸際外交」とみられるが、米国ではブッシュ政権が「脅し」に屈して対北朝鮮で譲歩を示すことはないとの見方が有力だ。北朝鮮が核実験という「最後のカード」を振りかざしたことで、金正日(キム・ジョン・イル)政権の窮状を指摘する声も出ている。
声明のポイントは、将来の核実験を予告する一方で「対話を通じた朝鮮半島の非核化の実現」にも言及し、交渉の扉を閉ざしていないことだ。 この声明について、駐中国、韓国の両大使を務めたジェームズ・リリー氏は「いら立ちを示す兆候が見られる。破たん国家が金融制裁で偽札や麻薬による資金を失い、その沈没の流れを必死に食い止めようとしている。核爆弾を爆発させたくないならいくら出すか、という典型的な瀬戸際外交だ」と指摘する。
保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の東アジア専門家、バルビナ・ファン氏は、北朝鮮は声明以外にも「核実験」のシグナルを明確に送っている、と説明する。同氏は「過去3~4週間、機密扱いでない衛星写真でも(核実験場と疑われる場所で)トラックやトンネル周辺での動きが見られる」と述べながらも、北朝鮮の真意を判断するのは困難だとして「過敏に反応すべきではない」と慎重な見方を示す。
北朝鮮は7月のミサイル発射で、米国との直接交渉という目的達成に失敗し、逆に全会一致での国連安保理非難決議を招いた。核実験予告に対する米国の反応について、米戦略国際問題研究所(CSIS)の安全保障問題専門家、ジョエル・ウィット氏は「米国の政策は制裁路線に沿って一層加速するだろう」と語り、今回の北朝鮮の戦術は逆効果になるだろうと予測。またヘリテージ財団のファン氏も「米政策に変更の余地はあまりない。米国は屈服しない」とみている。 (毎日新聞) - 10月4日12時56分更新
どんな方法があるんでしょうか?
実験にしろ、何らかの核汚染が待っていますよね。
海は一つ、簡単に浄化できませんから・・
どんな方法があるんでしょうか?
んー難しい。いくら条件を出しても全然譲りませんからね。アメリカと直接対話できれば止めるんでしょうが、北朝鮮も面子があるように、当然アメリカにもありますから、恫喝されたから譲ったという形ではとても話はまとまらないように思います。行くところまで行かなければダメなような気がします。