追体験

2016年08月28日 | 日記

 ここのところ、デヴィッド・ボウイやクイーンといったあたりの昔の曲を好んで聴くことが多い。世代的にはリアルタイムで接していてもおかしくはないけれど、当時はそれほど興味がなかったのでまったく聴き馴染んでいない曲ばかりだ。例え世間的には有名な曲であっても、そうした音楽は僕にとっては“新しい曲”そのものだ。でも、僕と同世代の他の人にとっては、きっと遠い記憶の中に霞みつつある“懐メロ”になるのだろう。
 以前、見たことがない昔の地方CM動画をしばしば好んで眺めていたことがあるのも、恐らくこれと似たようなものだろう。あの頃、自分が生きていた空間とは違うところで、同じ時代に繰り広げられていた別の人生・別の世界・別の文化を、遅かりし今になって少しでも垣間見たくなるという欲望。
 もちろん、今からそうした文物を追体験したところで、同時代にリアルタイムで同じ文物を体験した人と同じ人生を、今から得られるわけではない。その文物が当時世間的にヒットしていたものであればあるほど余計に、そうしたものを摂取した時の感慨を、今の僕は他の誰とも分かち合うことが出来ず、たった一人で自分の中に消化していかなければならない。その奇妙な孤独感が、何故かほんの少しだけ心地よくも感じられる。

David Bowie/Pat Metheny - This Is Not America (Promo Clip)



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