映画『復活の日』を見返していて、ちょっと切なくなった台詞。いやこの作品全体が切なすぎる展開だらけではあるんだけど。
MM-88感染者を乗せたまま南極上陸を強行しようとするソ連原潜T-232に割って入った英原潜の艦長。原文だと" Her Majesty's nuclear attack submarine Nereid, Captain McCloud at your service. "
ここ、実際には艦名の名乗りをこんなに長くする必要はなくて、「HMS Nereid」だけで「英国軍艦ネレイド」であることは十分に伝わるし(艦名から潜水艦であることもソ連原潜側にはわかるはず)、そのほうがある意味リアルではある。恐らくはそういう言い回しを知らない観客を想定して、台詞をよけいに説明的にしてしまったのではないかと推測する。
で、確かに見方によってはリアリティに欠ける部分ではあるんだけど、一方で「Her Majesty's~」(HMSのHM)という言い回しが入ることで、ネレイド号クルーたちの置かれている寄る辺ない状況を、さりげなく強調するような効果が生まれたように思う。何しろ物語中ではこの時世界中に「イタリア風邪」が蔓延して人類は絶滅の危機に瀕しており、ネレイド号の本来の主であるHer Majesty=英国女王も同じ運命を辿っているはずだ。主の「Her Majesty」は(恐らく)既にこの世にいないし後継者も絶えてしまったけれど、それでも今なお出航時に与えられた軍務に服している「Her Majesty's Ship」という、ネレイド号の置かれた立場の切なさを、この台詞の裏側に読み取るのもまた一興ではないかと思う。
(まあどう見ても原潜には見えないというお約束的ツッコミはさておくとして。『バルジ大作戦』だってどう見てもM47なやつを作中ではあくまで「タイガー戦車」として扱ってるんだからそれくらいいいじゃない)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます