擬似記憶

2016年10月16日 | 日記
 久々に高校の敷地と教室の中で一日を過ごした。
 自分が通っていた学校ではないが、学校特有のスチール机や、全体的に什器がどこか古びている(大学や企業ほどには更新されない)感じ、また間近に迫った学園祭の告知ポスター等、何やら懐かしいような気分に浸ってしまった。
 でも、これは擬似記憶の典型のようなもので、そもそも高校の頃の自分には友と呼べる友など無く、母校に対する愛着などかけらもなく、当然学校行事に参加して楽しむ心性などかけらほども持ち合わせてはいなかった。ただ無為に時間を過ごして通り過ぎるだけの時間・空間、それが僕にとっての「高校」なのだ。
 埃っぽいテニスコートにも、生徒の作品と思しき学祭ポスターのイラストにも、少なくとも自分自身の出身校に対しては何一つ思い出など残していないはずなのに、僕の知らない時間と空間で僕の知らない誰かが過ごしてきた(そして今も過ごしている)同時期的な人生経験には、何故か奇妙な郷愁にも似た思いを抱く。これはいったいどうしたことか。

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