いのちの源

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息子よ、お母さんはもうあなたをコントロールしません

2019-05-26 19:50:49 | 賛美の心

  チンシンは貧しい家庭に生まれました。彼女は「知識は人の運命を変える」や「人の宿命はその人次第である」といったことを先生たちから教え込まれていました。これ故に、彼女はこっそりと自分自身にこう誓いました:「私はサラリーマンになってレベルの高い生活を送れるよう一生懸命に勉強して4年制大学に入る必要があるわ。」しかし、事は彼女の期待とは逆の方向に進みました。チンシンは4年制大学には入れず、事務員としての生活を始めることになりました。

  彼女の息子が生まれた後、チンシンは自分の夢を息子に託し、息子が人々の間で注目を浴びて家名に名誉をもたらしてくれることを期待しました。彼女は内に秘めた夢を実現させようと、息子が喋ることを学んでいた頃、家の壁にリーディングカードを沢山貼り付けて読むことを学ばせようとました。これに加え、彼女は息子の思考能力と脳の発達を刺激しようと息子に教育に関するCDを沢山購入しました。彼女は毎週末に家事をしながら息子を教育しました。

  チンシンは息子が2歳半だった時に彼を保育所に送りました。ある日の夜中、彼女の息子は泣きながら突然起き上がりました、「ママ―、僕、学校には行かない。おもちゃで遊ぶ時間が無いから。」これを聞いたチンシンは心が痛みました。しかし、彼女は、「社会における競争はとても激しいし、一生懸命に勉強しなかったら将来息子は社会的地位を手にすることができないわ」と考えました。彼女はこう言って息子を慰めざるをえませんでした、「ママはあなたが一生懸命に勉強してることは分かってるわよ。でも将来良い生活をしたかったら頑張るしかないの。」彼女の息子は半分分かったように頷いて、ボーっとした感じで横になって、また眠りにつきました。チンシンは自分の幼い息子を見て涙をこぼしました。彼女はこう考えました:「ママがやっていることは全てあなたが将来の保証を手にするためなのよ。他には選択肢がないのよ。」

  瞬く間に、彼女の息子は小学校に入学しました。息子にもっと学習させようとしたチンシンはかなり忙しくしていました:毎日、息子が学校から帰ると、彼女は先ず彼を塾に連れていき、そこではベテランの教師が子供たちの宿題を手伝い、絵の描き方を教え、インターネットに関する教育も行われていました。夕方になると、チンシンは息子を急いで家に連れて帰りました。息子が素早くシャワーを浴びて夕食を済ませると、彼女は彼を他の塾に連れていきました。息子が帰宅した時は既に夜の10時半になっていました。チンシンは毎日自分を引きずるようにして帰宅する息子を見ていると、言葉では表現できないような無力感に駆られました。

  幸い、彼女の息子は成長する強い願望があり、彼の成績は常に最高レベルでした。彼女の友人と親戚たちは誰もが彼女の息子を高く評価し、彼は賢くて、将来間違いなく立派になって家名に名誉をもたらすだろうと口を揃えて言いました。これを聞いたチンシンはとても喜び、息子の良い成績が彼女にとって何よりのご褒美であると思いました。

  息子が誤って不良と関わるのを避けるため、チンシンは息子が中等学校に入ると彼の外出に制限をかけるようになり、息子が運動場にバスケットをしに行っても、目の届かない所に行くことは許しませんでした。彼女の息子はこの要求に対して決して反抗しませんでした。彼が同級生の誕生日パーティに行きたいことがあっても、彼女は、「外に遊びに行くより、家で勉強していた方がいいわ。将来、名を上げたら何でも好きなことしていいんだから。」彼女に数回却下されて以降、息子はもうこのようなことは口にしなくなりました。

  2018年1月、彼女の息子は大学入試を受ける段階に差しかかり、彼は専攻科目を決定する必要がありました。チンシンは科学は将来性があって、息子が将来的に良い仕事を選ぶ選択肢が沢山あると思ったので彼に科学を選択するよう言いましたが、彼女の息子は違う考えを見せました。チンシンは理由を説明しました、「競争の激しい実社会ではプロの知識がないと自分の地位は確立できないの。そうじゃないと生き残れないのよ。」意外にも、彼女の息子はこう言いました、「科学には興味ないんだ。僕は一般教養科目を選択するよ。」自分の息子の考えを変えようと、チンシンは、「興味は変わるものよ」、と言ってこれを全く受け入れませんでした。しかし、彼女の息子はそれでも、「興味は絶対に変わらないよ。好きでもないことを一生するのは嫌だからね」、と言って自分の決断に固執しました。それ以降、二人は頻繁に顔を真っ赤にしながらこれについて口論して、お互いに譲歩しませんでした。

  ある日、チンシンは又しても科学の有利な点を実体験と照らし合わせながら息子のために分析しようとしました。彼女は熱心に優しい口調でアドバイスしました、「お母さんは科学の勉強が出来なかったから一般教養科目を勉強するはめになったから、今は事務員としてしか働けないけど、あなたのいとこ3人は科学を専攻して、全員がサラリーマンとして高い固定給をもらいながら生活しているわよ。本当に沢山の人たちが彼らのことを高く評価しているわ。どの科目を選択するべきかちゃんと考えなさい。」彼女の息子はすぐさまこう言い返しました、「お母さん、人はそれぞれだよ。お母さんにはお母さんのアイデアと理由があって、僕には僕の意見と目標があるんだ。もうこれ以上は僕に強制しないでよ。」彼はこう言ってその場を歩き去りました。二人の会話は又しても意見が合わないまま終わってしまいました。頑なに自分の道を行く息子を見たチンシンは彼の将来がもっと心配になりました。

  ある夜、チンシンはキッチンで料理をしていると、彼女の息子がいつも通りに手伝いに来ました。頑固に一般教養科目の専攻にこだわる息子のことを考えた彼女はとても腹を立てていました。そして、彼女は声を上げて彼にこう言いました、「どこかに行ってちょうだい。手伝ってもらわなくて結構よ。」彼女の息子は彼女の行動に唖然としました。しばらくした後、彼はすすり泣きながらこう言いました、「お母さん、今まではずっとお母さんが僕のことを全部決めてきたから、僕は一度も自分の意見を口にしたことがない。でも僕はもう大人になったんだよ。どの科目を勉強するかは僕に決めさせてよ。科学の勉強は凄くストレスが溜まると思うし、一日中研究していると目眩がするんだ。お母さんは僕が一生そんな苦しい思いをすることを期待しているの?」チンシンは自分の息子がこう言ったにもかかわらず、頑としてこう言いました、「私はあなたの将来を心配しているだけよ。現実は残酷なんだから。自分の将来をいい加減に扱ったら駄目よ。」これを聞いた彼女の息子は静かに涙しながら自分の部屋に戻って行きました。

  その夜、チンシンはベッドの上で寝返りを打ちながら横になっていました。彼女は息子と口論になった状況を振り返り、とても悲しくなりました。彼女の息子は幼かった頃から彼女の前で泣くことは滅多になかったのです。それは今回彼は心の中で大きな不満を抱え、辛い思いをしていたことを示唆していたのかもしれません。彼女はこのようなことは二度と起こって欲しくないと心の底から思ってはいたものの、一般教養科目を専攻することは彼の将来にとって良くないのではないかと心配していました。ちょうどその時でした、彼女は神を信じていたことを思い出し、この問題を神の前に持って行き、神に祈りを捧げて彼女がどうするべきかを御導きいただくことにしたのです。祈りを捧げた後、彼女は次の御言葉を読みました、「人間は、自分の人生においては自分が無力であり、絶望的であること、何かに卓越する機会や希望は二度と無いこと、自分の運命を受け入れるほか無いことを知っている。そうしたわけで、人間は自分の希望や、叶わなかった願望や理想を、次の世代に期待し、自分の子孫が自分の夢を叶え、願望を実現する助けとなること、そして自分の娘や息子が家の名に栄誉をもたらし、重要人物や富豪、有名人となることを望む。つまり、人間は自分の子が幸運に恵まれることを願う。人間の計画や幻想は完璧であるが、自分の子の人数や自分の子の容姿、能力などは自分で決められず、自分の子の運命は自分の掌中には無いということを知らないであろうか。人間は、自分が自分自身の運命の主では無いにもかかわらず、若い世代の運命を変えることを願い、自分自身の運命から逃れる力が全く無いにもかかわらず、自分の娘や息子の運命を制御しようとする。人間は、自己を過信していないだろうか。これは人間の愚かさと無知さではなかろうか。」「能力や知能指数、意志の力の差異に関係なく、人間は運命において皆平等であり、偉大か取るに足りない人間か、背が高いか低いか、高貴か下賤かによる差別は無い。ある者が追究する職業、ある者の生業、ある者が生涯にわたって蓄える富は、その者の両親や才能、努力、野望によって決まるものではなく、創造主により予め定められている。」


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