池袋は特殊な駅だ。東武百貨店が陣取っていて1階からは東武東上線しか乗れない。JRに乗るには地下に潜り、改札を通って駅構内の階段を上がって駅のホームに出るか、2階に上がり、改札を抜け階段を下ってホームに行く。地下道は縦横斜めに枝分かれし、人の流れが錯綜する…学生時代、女子学生から「嫌いな場所は？」と訊かれ、僕が答えたのは「池袋駅」。
西口公園にはホームレスの方々が一杯いる。ホームレス同士の喧嘩も見た。古株と新人のようだった。トイレの前でシャツ一枚の若い方が「この野郎！」と怒鳴り、弱そうな年配の方に跳び蹴りを浴びせた。大勢の人が遠巻きに見ていた。跳び蹴りなどテレビの格闘技では珍しくないが、日常の中で目の当たりにするのは気分の良いはずがない。
駅の派出所は立派な構えをしている。定時には警官が4、5人で巡回する。普通2人組でするものだろうがここではグループだ。
北口はラーメン戦争と言われるほどラーメン屋が多い。「光麺」店は黒を基調にした高級感ある内装で、具のシンプルな醤油ラーメンが良い。杏仁豆腐かプリンかゆで卵が付く。
「だるまのめ」店では食券を買う。食券を買うのは低級な店だと思っていたが、こってりした豚骨スープに5種類のトッピングが無料。注文の品を待つ間ごまを擦るよう勧める店員の応対も良く、食券でリスクを回避し、良心的な営業をしているのだと思った。
この周辺は他に気軽な中華料理屋「四川苑」、とんかつ屋、天丼屋、カレー屋、地下街「ホープセンター」には店内で食べられるパン屋、すし屋、パスタ屋…。
昼食をがっちり摂る時は芸術劇場横の台湾料理屋だ。木曜の2時頃、おば様の団体に占拠されることがあるので油断できない。隣のビルにバイキングもあるが、食べ放題の代わりに中身が悪い。
西口公園噴水前には限られた時間しか営業しない老舗の中華料理屋「一品香」がある。学生の時、作曲科の友人とコンサートの帰りにラーメンを食べた。田舎にもありそうな普通の定食屋風のテーブル。混めば合席。愛想など必要ないというポリシーの店主、店員。安心する味、値段。
職場のあるメトロポリタン（4月からルミネ）10階、エレベーター正面は受付がガラス張りのエステサロン。そこのスタッフは客の応対に跪く。左から時計回りに進むと歯科、内科、眼科、理髪、美容室、そして島村楽器、右隣に英会話教室。
パラダイスのごときこのフロアの、娑婆との何という隔たり。都会の華やかさは食虫植物の、否、食銭植物の妖しい美しさ。
※島村楽器の池袋教室は2015年10月、駅近くの小振りなビルに移転しました。
池袋駅は特殊な駅だったんですか。
でも確かに言われてみると、そうかもしれませんね。東西にデパートが2つずつあるし、東口なのに西武百貨店があったり
西口なのに東武百貨店があったりと
あべこべですね。ぼくも初めて池袋に来たときは、メトロポリタンプラザ10階までたどり着くのに苦労しました。メトロポリタン改札口を通って入る建物は東武百貨店ですからね。なぜそういう風にしたのでしょうか。メトロポリタンという語の響きが東武よりも良かったからでしょうか。
また、いつだったかレッスンが終わって駅まで辿り着くのに惨惨な目にあいました。メトロポリタンプラザと東武百貨店の仕組みがよくわかっておらずしかも何階にメトロポリタン改札口があるかもわからないため何度も何度も両デパート間を往復し、改札口発見まで40分かかりました。いや～この駅は田舎者泣かせです。
そうですね。メトロポリタンプラザ10階、つまり最上階のフロアは眼科や歯科、美容院などいろいろありますね。ぼくも10階に着いてからは、まっすぐ行って時計回りに行きます。すぐ右に行ったほうが近いですのにね。
ビルの出資者が東武とは別なのかも（ひょっとして税金？）。
色々推測してしまいますね。