池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

第2バイオリンを第1バイオリンの上に置く訳

2008-11-23 | 作曲/大編成

チェレスタ・コンチェルトが完成し、朝一番にコピーしに行った。寝不足で立ちくらみしそうだった。あとは製本、梱包し、明後日発送予定。
提出先には作曲前の6月にメールで「オケの編成に制限は無いのか、チェレスタはアンプリファイしないのか」と質問した。
答えはいずれもノー。つまりアンプリファイしないことが自ずとオケの規模に制限を与えるという事だ。必然的に小規模の室内オケになる。「オーケストラ・アンサンブル金沢」程度だろうか。
曲が半分ほど出来た先月中旬、横浜みなとみらいで小編成の弦楽オーケストラによる琵琶協奏曲を聴いた。チェレスタの場合を想像しながら、弦との音量のバランスに注意して聴いた。

弦楽器群が入っている通常のオーケストラ作品をPC.で作成するのは、このチェレスタ・コンチェルトが初めてだ。
弦の各パートはユニゾンだったり、2パート以上にディヴィジ(分ける)したりし、五線が1段や2段になるので、その作成法も初めて。

弦のセクションを太い線で3声体にする箇所がある。演奏者の数は、Vn.I- 8、Vn.II- 6、Va.- 4、Vc.- 4、Cb.- 2。
チェロ(Vc.)とその1オクターブ低いコントラバス(Cb.)でバスの1声、内声はもちろんビオラ(Va.)、主旋律もオクターブ重ねて第1バイオリン(Vn.I)と第2バイオリン(Vn.II)…しかしこうすると内声が弱い。
そこでVn.IIをディヴィジし、一方をVn.Iのオクターブ下、他方をVa.とユニゾンにした。完成間際までこうしていたが、Vn.Iの8人に対し、そのオクターブ下がVn.IIの半分の3人では弱すぎる。PC.では人数の違いまでは再現されないから、ずっと気付かなかった。
再度Vn.IとVn.IIをそっくり入れ替え、主旋律はVn.IIの6人とそのオクターブ下がVn.Iの半分の4人、もう半分とVa.4人の計8人が内声、バスはVc.とCb.の6人。つまり10:8:6。

これでバランスは良い。この手法はR.シュトラウスの「サロメ」に例がある。
「サロメ」は大オーケストラだが、演奏者一人一人がより影響を及ぼす室内オーケストラでは、それ以上に緻密さが必要。
プロの演奏者にバランス上の注文をつけるのは、大抵作曲のずさんさが原因だ。



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