池田 悟≪作曲家≫のArabesque

・・・深くしなやかに・・・(音源リンクしてます)

ウィンド・オケのグラデーション

2006-09-09 | 作曲/大編成

パート譜はジグソーパズルの断片のよう、と始めは思っていたが、むしろ「47色刷りの版画」の一刷り一刷り…彫師、摺師の心境。
パート譜の出来上がった楽器だけをパソコンに演奏させてみると…複数のパート譜をシンクロさせて自動演奏させることは出来ないが、スコアから聴きたいパート以外を消去してプレイバックする―最初はフルート属だけ、翌日オーボエが加わり、さらにファゴット、そしてクラリネット…多色刷りそのものだ。

スコアは上から順に…ピッコロ→フルート→オーボエ→ファゴット→クラリネット→サックス→金管→パーカッション。
この並びは即ち、音色(倍音)の淡い楽器から濃い楽器へ、強弱の幅の狭い楽器から広い楽器へ…の序列であり、言わば楽器間の弱肉強食の力関係をも示している。
同時に、それぞれの楽器グループ内では、1番から2番、3番…と下に行くほど、発言内容が控え目になっていく。
クラリネットなどはB♭管だけで9人もいるから顕著だ。6~9番奏者達は沈黙を守りつつ、時にはがっちりとした背骨となって上位パートの細かい動きを支え、また時には刷毛でさっと刷いた輪郭線の残像のごとく、音の織物をソフトに包み込む。
その結果オーケストラ全体は、あたかも大きな風景のような―近くの物は色鮮やかなのに、遠くの物ほど淡いグレーのモノトーンになる―グラデーションを実現するだろう。

パート譜作成の作業もやっているうちに上達し、手際良くなった。
スコアでは1本の五線に記譜した2つのパートを別々のパート譜にする際、同じ拍子の全休符がいくつか続いてしまう場合のまとめ方等、自己流に開発?した…全休符の連続はそのままにし、欠落した表示はパート譜に書き加えたりした後、さらにそのパート譜のパート譜を再度作成すると、今度は「完璧の一歩手前」なのが出てくる。
1パート平均5ページ。47パートで235ページくらいになる見込み。
(写真:お巡りさんのバンド/6月2日、池袋「芸劇広場」)



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