今年5月下旬、Phasma-Musicから、9月にリヴィウで初演する室内楽作品の募集があった。編成の中に木管五重奏もあったので、弦楽四重奏曲《双葉》を木管五重奏に改訂する事にした。
これまで僕は木管五重奏曲を書いていないのが理由の一つ。また木管五重奏はディヴェルティメント風の楽観的な印象で、求心的で振幅の大きい曲があまり無いように思うので、《双葉》によって従来の木管五重奏から脱するものが出来れば、と思ったから。
弦楽四重奏が弦楽オーケストラのミニチュアなら、木管五重奏はウィンドオーケストラのミニチュア。モノトーンの弦楽四重奏曲に色付けする楽しさがある。
一方、両者は全く異なる性格ゆえ、単に移し替えるのではなく、別の曲として作り直さねばならない部分もある。木管五重奏は各楽器の個性が際立つが、弦楽四重奏の様な微細な音色の表情は付けられず、寧ろ一つ一つの音に重みがある。
鍵になるのはホルン。ホルンが本気で吠えたら他の木管4人が束になっても敵わない。そこでホルンにずっと大人しくさせるのも手、逆に敢えて圧倒的に吠えさせるのも手。
終結部では各楽器が不明瞭なリズムでたなびく。パート譜作成の際、オケのパート譜の様にそのパートの音だけで作成したが、室内楽は指揮者がいない!"Breeze in A"のリハで同様の終結部を指揮無しでやってみた所、アンサンブルがどんどんずれていった。指揮無しで合うにはパート譜に入念なガイド(他のパートの抜粋)が必要だ。その16小節のためにパート譜作成に更に各パート1時間以上費やした。
作曲は発想の具現化。パート譜は更に緻密なプログラミング。
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