勤務医の心配事

新型インフルエンザについて

ミャンマー・インフルエンザ研究センター、日本の国際協力

2008-04-24 11:58:16 | Weblog
 日本の新型インフルエンザ対策は「プレパンデミックワクチン6000人投与」「第7回インフルエンザ対策専門家会議」「アジアにおける鳥インフルエンザ防疫体制強化プログラム準備会合」「感染症予防法と検疫法の改正案」等々結構この半月ニュースは出るのですが、調べてみても中身が見えないものばかりで苦労します。
 そんな中で検索途中に、良い記事が見つかったので載せておきます。

・<新潟大>インフルエンザ調査、空白地帯のミャンマーを支援 /新潟 毎日新聞  2008年4月22日13時00分
http://eco.goo.ne.jp/news/goonews/detail.html?20080422ddlk15040221000c)以下本文コピーしました。
 ◇感染ルート解明など期待
 十分なインフルエンザ調査体制を持たないミャンマーに、新潟大の協力でこのほど、研究拠点「ミャンマー・インフルエンザ研究センター」が完成した。同大大学院の内藤真教授(病理学)らの草の根支援が実を結んだ。鳥インフルエンザの感染ルート解明や新型インフルエンザ対策の構築などにも期待がかかる。新潟大は今後、センターからの研修生受け入れや現地での技術講習など、ソフト面の基盤整備に尽力する。【樋口淳也】
 センターは、ミャンマー政府が日本政府や世界保健機関(WHO)の支援を受けて今年2月、旧首都ヤンゴンの国立保健研究所内に設置。6人の現地職員で運営し、国内の提携病院から収集した患者のウイルスを培養し解析する。現在は07年12月に同国内で発生した鳥インフルエンザウイルスの分析を進めているという。
 設立までには、内藤教授と、同大に4年間留学したミャンマー人女性内科医のヤデナ・キャウさんとの出会いがあった。母国へ帰国したヤデナさんの病院を訪れた内藤教授が、劣悪な医療環境を目の当たりにし、02年から草の根の医療支援を開始。薬や中古の顕微鏡などの医療機器を現地に持参し、医療向上を目指し活動してきた。
 その活動を知った同国の保健省が04年、内藤教授に感謝状を贈呈。05年に新潟大との協力協定を締結し、センター開設への協力を打診。同国の政情不安などによって一時は設立が危ぶまれた時期もあったが、関係者の努力によって早期の活動開始が可能となった。
 内藤教授によると、ミャンマーでは06年から少なくとも3件の鳥インフルエンザが発生。07年12月には、人への感染例も確認されている。だが、同国は「インフルエンザ調査の空白地帯」とも呼ばれ、チェック体制はまだ確立されていない。
 内藤教授は、センター設立の意義を「世界の中の(インフルエンザの)ブラックボックスの解明に役立つ」と解説する。アジアでの感染ルート解明につながるほか、新たなワクチン開発に有益な情報が得られる可能性もあるという。
 同大はすでにセンターから研修生2人を受け入れており、今後2年でさらに4人の研修も担う予定。8月には内藤教授らが現地を訪れ、技術講習を行うという。センターの将来について、内藤教授は「ウイルス解析などを日本と同様の水準で行えるようにしたい」と話している。


 調べてみると、ミャンマーは軍事政権下で国際交流が滞りがちで、鳥インフル問題どころか医療問題レベルでの協力が必要な状態とあります(恥ずかしながら意識していませんでした)。
 そこに日本の協力拠点ができたとのニュースです。新潟大の草の根的な活動に予算が付いて形になったと有りました。日本の行政も捨てたもんじゃ無いです。(文部科学省の「平成19年度科学技術振興調整費」で推進する「アジア科学技術協力の戦略的推進事業」に選定。)

 新潟大国際戦略本部ホームページ(http://www.isc.niigata-u.ac.jp/~globalstrategy/)内の以下のページに詳しい内容が載っていました。是非一読をお勧めします。
・プロジェクトの経緯
http://www.isc.niigata-u.ac.jp/~globalstrategy/myanmarinflu_1.html
・科学技術振興調整費事業に採択
http://www.isc.niigata-u.ac.jp/~globalstrategy/myanmarinflu_2.htm
・インフルエンザ研究拠点の設置のご報告
http://www.isc.niigata-u.ac.jp/~globalstrategy/myanmarinflu_3.html

 プロジェクトの推進者の内藤眞先生についての文章抜粋してみました。
「内藤眞先生は、本学大学院医歯学総合研究科で分子細胞病理学分野を、本学付属病院においては病理診断を担当しています。病理の標本の採取と診断、論文執筆の多忙なスケジュールの中でミャンマーへの医療支援活動を六年間続けてきました。医療器具や薬品をミャンマーへ届けたい。しかし、まだまだ郵送が困難で、手作業での持ち込みを余儀なくされています。先生の研究室には、次回のミャンマー訪問の為に蓄えた顕微鏡と沢山のスーツケースが並んでいました。先生は、自分を支える想いは、結核など薬で救える人々が、貧困故に死んでゆくことへの悔しさだと言います。タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア諸国からも取り残されたミャンマーで、日本がするべき仕事、出来る仕事は沢山あるのです。」


 新潟大がこんなに先進的な活動をしているとは知りませんでした。

 今WHOと揉めているインドネシアにもこんな形で協力が入ればと願って止みません。
 そして現在、感染する恐怖に人がおかれているアジアの国々に、なるべく早く有効なワクチンが配付される方向で予算が付けば、万歳なのですが(発生国で押えることが出来れば最も有効な対策になると提言されているのですから)。