勤務医の心配事

新型インフルエンザについて

新型インフルエンザ、日本感染症学会総会から見る日本の医療現場

2008-04-22 14:53:37 | Weblog
第82回日本感染症学会総会・学術講演会のプログラム(http://www.kansensho.or.jp/meeting/index.html)より抜粋
緊急討論
「新型インフルエンザを巡って.どう考え,どう対処するか」
 司会:松本 慶蔵(長崎大学)
新型インフルエンザウイルスの出現に備えて
 喜田  宏(北海道大学)
H5N1高病原性鳥インフルエンザから新型インフルエンザへの危惧
 田代 眞人(国立感染症研究所)
今年の総会は島根県松江市で有りました。所属していない学会の地方での総会では、時間と金銭的余裕も無く聞きに行くのは無理でした。


 気になっていたところ、「パンデミック・フルー情報最前線2008年04月21日(http://pandemic.seesaa.net/archives/20080421-1.html)」にその内容の記事があると出ていました。
 何が討論されたが興味深いところですが、記事を見ると討論の元になる講演の内容は近頃の新聞特集の「見出し」みたいな内容が踊っています。今ごろこんなタイトルで講演されたら会場が怒りだすぐらいなら期待が持てるのですが・・・行っていないのでどんな状況であったか不明です。

・感染症学会で新型インフルエンザ対策をテーマに議論(上)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/senmonn/tousa.jsp?jreq=btjnews&id=20052162&pg_nm=1&sai1=0&new1=1&news1=1
「通常のインフルエンザとは重症度が全く違う」「経済的損失は首都直下型地震を上回る」と感染研の田代部長
 2008年4月17日に松江市で開催された日本感染症学会総会では「新型インフルエンザ」に関する緊急セッションが開催された。国立感染症研究所ウイルス第3部の田代眞人部長は、これまでにH5N1型のトリインフルエンザがヒトに感染すると、極めて重症な症状を示し、致死率が極めて高いことから、「新型インフルエンザは、通常のインフルエンザ感染症とは重症度が全く異なる可能性がある」「いったん大流行が起こると経済的にも大きな影響があり、ダメージは首都直下型地震をはるかに上回る可能性がある」と強調した。
・感染症学会で新型インフルエンザ対策をテーマに議論(下)
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20052207&newsid=SPC2008042154599&pg_nm=1&sai1=0&new1=1&news1=1&icate=0&yunw=1
「備蓄はタミフルだけでなくリレンザも」「肺炎球菌ワクチンの予防接種も検討すべき」と長崎大の松本名誉教授
 2008年4月17日に松江市で開催された日本感染症学会総会の「新型インフルエンザ」に関する緊急セッションでは、国立感染症研究所ウイルス第3部の田代眞人部長による講演に続き、会場との間でディスカッションと、長崎大学の松本慶蔵名誉教授によるとりまとめが行われた。松本名誉教授は、「新型インフルエンザの流行は必ず来るが、いつ、どの型のウイルスが流行し、重症度がどうかは分からない」とした上で、「政策担当者はこの3点を直ちに国全体に知らせるべきだ」と強調した。

 松本名誉教授は「政策担当者はこの3点を直ちに国全体に知らせるべきだと強調した。」とあります。

 日本の医師の学会で新型インフルエンザの問題の「国民への周知」を政策で行うよう促す発言をしたのは始めてではないかと思います(この記事は学会の公式発表ではないので学会の総意ではないかもしれませんが)。

 今後の学会の活動に期待したいと思います。


参考:医師の学会は、基本的に年1回会場を借り切り、会員が集合して「総会」を開きます。そこでの講演は、主幹となった医師(たいていは大学の教授)が会員に恥ずかしくない内容の網羅を行います。自分の専門外でもその領域で問題となっていれば、専門家に依頼して講演やシンポジウムを行います。会員に有用である内容を盛り込むのが総会の基本であり、その学会会員の知識と常識を反映します。その道の専門家に議論させ会員の理解を深まらせる、又常識として知らなければならない内容を教育講演する等が行われます。また学会の意志として、政策問題の提議や活動方針を決定することもあります。