I’m hungry

おもにAmazonでの衝動買いや技術的な話をぼちぼちと。

Stack Overflow Tech Talk@六本木ヒルズ森タワーに行ってきた

2012-07-18 18:57:37 | ネットサービス/テクノロジ
Googleさん主催でStack Overflow Tech Talkが開催されたので行ってきました。以下、その時のメモ。

スピーカー
Alex Miller
Jarrod Dixon


■スピーカー:Alex Millerより

月間2億5300PV
月間2500万UU
※botを除いた数値

国の規模で言えば47番目、週で言えばテキサス州につぐ3番目の州と言えます。

計算機の歴史
・メインフレーム、エンジニアは単なる操作者、限定された用途
・コンピュータ的なものの登場 Digital DECwriter III、非常に遅い、テレタイピング程度の応答速度
・スマート端末の登場、Digital VT-100 Series、カーソルの登場、タイピングの高速化、eメール、newsの登場、非クライアント・サーバーモデル、単なるストアドマシン

建築に携わる人は一つの決断が大きな影響を及ぼすことをよく知っている
たとえば
コンクリートの椅子とマス目付きのテーブルを作ると、人々はチェスをしはじめる
トレビの泉の前に階段を作ると、人は椅子として使う
タイムズスクエアの前に階段を作ると、人は椅子として使う

開発者も同じ。

StackOverflowを作る時に大事にしたこと5つ

■[1] First Impression(第一印象)

他のQAサイトはどんな感じか?
例えば
YahooAnswer:「車の一酸化炭素で死ねますか?」「宿題を忘れ続ける方法はありますか?」→Q&Aサイトではない。チャットサイト
Answers.com:「自分が知っている人間を精神科に送り込むには?」→ばらばらでわけのわからない質問ばっかり
askville by Amazon:「自分の人生で正しい選択をするには(ミススペルあり)」「アメリカで21番目に大きな州たち(ミススペル)」→ミススペルが多かったり、質問のクオリティが高くないことがすぐわかる

こんなサイトはみなさん使わないですよね?

さて、stackoverflowでは:
ソフトウェア開発者であればすぐわかる、しかし専門外の人にはわからない印象を受ける
VCから資金をもらおうと思ったけど、彼らにはさっぱり内容がわからない→その回答は「その状態が正しい」
stackexchange:統計学がわかる人じゃないと、全然理解できない

askvilleでもカテゴリ別に入ればそれなりに分類されているけれど、非常にレベルの低い質問しかない。spamも多い。13時間前に投稿されたspamが放置されている
→第一印象「このサイトはだれもメンテナンスしていないし、質が低い」

stackexchangeのMathカテゴリ:専門家だけが参加している様子がよくわかる

■[2] Voting(投票)

良い質問、良い回答をした人に対して評価をする
よくあるQAサイトは質問も回答も玉石混淆。使いにくい。
→投票というシステムが正しい質問、正しい回答がすぐにわかる。余計な会話はカットされる

■[3] Reputation(評判)

Votingを有効にするにはReputationが大事。ユーザに対して評価をつけている。
どんな分野で、どれだけ(他人に)評価されたかを記録している。バッチやポイント。それはトップユーザだけでなく、全てのユーザに付与している。

ユーザが自慢できるようにバッチやポイントが存在している。そんな「空虚なアイテム」で人が惹き付けられるか?結果としては強く惹き付けられている。
人は、他の人にどのように見られているか、評価されているかについて非常に敏感である。
「やったこと」に対して、1人でも褒めてくれる、評価してくれるだけで、人は行為を継続する
「これは実は犬のトレーニングと一緒ですね。...これは秘密にしましょうw」

投票、評価をより有効にするためには「統制する」ことが必要

■[4] Government(統治)

モデレータの存在
モデレータになるためには教育が必要
使えば使うほど、使える機能が増えていく
(15ポイントで投票可能、50ポイントでコメント可能、200ポイントで広告非表示、1500ポイントでタグ作成可能、20000ポイントなどになれば運営スタッフくらいの権限になる)

meta stack overflow:stack overflowの統治に関するディスカッションの場(「重複した質問を見つけるインセンティブについて」など。全体の7%程度の人がアクセス)
より細かい話についてchatも用意されているので、そちらで行っている(「今stack overflowが直面している課題について」など)

■[5] Law(ルール)

stack overflowのモットー:「we hate fun!」これは大事なコンセプト
「このサイトは楽しむためにあるのではなく、課題を解決するためにあるのだ」

「なぜこの質問を閉じなければならなかったのか?」について細かくルールを提示する。悪い例として残す。
-「exact duplicate:重複している」※余計なことをしなくてもよくする。回答者に同じ回答をさせない。
-「off topic:オフトピである」※stack overflowはコンピュータに関するQAサイトなので、関係ないものはゴミにしかならない(他のサイトへどうぞ)
-「not constructive:建設的ではない」※「ウェブフォームデベロッパーとMVCデベロッパーはどちらが偉い?」議論のための議論は無駄にしかならない。
-「not a real question:質問ではない」※「いままで作られたことのないような携帯端末についてのアイディア探してます」合理的に回答できないものは質問ですらない
-「locality:局所的すぎる」※「(数千行のコードを貼り付けて)どこかに括弧が抜けてるみたいなんだけど...」個別すぎる話は他の人にとって役に立たない

このような文化人類的なアプローチでサイトを構築、運用しているのです。

(ここでプレゼン終了)

質疑:
「stack overflowでは色々な権限割りをしていますが、その割り方、付与の方法についてはどのように決めたのでしょうか?」
「経験を通して権限や付与については決めました。モデレータとして選ばれた場合は、一般のユーザとは少し異なる権限付与の仕方になります。モデレータは選挙で民主的に選ばれます」

「文化人類学的についてアプローチをされていますが、失敗するとは思わなかったのでしょうか」
「失敗する選択肢はありませんでした(笑)一般的なQAサイトは他に沢山ありましたし、それらのサイトはデベロッパーに嫌われていました。我々はよいタイミングで現れたということです」

「キャリア2.0:当初の計画段階で考えていたのでしょうか」
「最初から構想はありましたが、QAサイトを成功させるので頭が一杯でした。単なる広告ではなく、職探しのようなものが利益に貢献するということは当初から理解していました」

「質問に使うのは英語限定なのでしょうか(多言語対応について)」
「今時点では英語限定ですが、それは実際的にはベースとなるユーザが英語圏の人だからです」

「stack overflowで活躍する人は、実世界でも活躍するような人?どんな傾向があるのか」
「我々は実際、キャリア2.0で採用される人について調査していないが、採用した企業側では調査をしている。企業からのリピートは非常に多い()」

「質問の修正ができるのが凄く良い」
「(記事が後からでも編集できる)wikipediaを尊敬していたし、そのようなものを作りたいと思っていた。編集できるという機能だけでなく、ああいいな、と思ったサイトの機能はできるだけ取り込んでいる。投票する、というのもdiggなどで行われていたものを採用した」

「stack overflowはITコミュニティ向きだが、他のコミュニティにも有効か?」
「有効だと思います。(※メモ追いつかず)」

「最初、どうやって人を集めたのでしょうか」
「なにもしていません。最初はメンバーのfollowerとかでしょうか。6000人くらい。今は120万人ですね。」

「最初から6000人いたのでしょうか?」
「はい。公開する前からQAコンテンツをそろえていて、(既に読者が沢山いた)ブログなどでローンチ情報などをupしたのでそこから集まったのだと思います」

「収入源は?」
「キャリア2.0ですね。他にも色々(※メモとれず)」

「どのようにユーザの声を拾って反映しているのでしょうか」
「meta stack overflowですね。誰でもアカウントがとれて、metaに投稿可能です。metaではfuture requestとして(欲しい機能の)提案ができます。」

「コミュニティを追放されたり、banされるようなことはあるのでしょうか」
「そうですね。サスペンド(一時凍結)機能を入れざるを得ませんでした。他のユーザに対して悪意を持った行為をしたり、コミュニティとして許可していないコンテンツを繰り返しpostしていると、そうなります」
※「質問者の会社からアクセス不能になっているんです」→「実はマウンテンビューからも似たようなことを言われていて、トンネリングをしている(?)ようなケースの場合、banすることがある」

「reputationをごまかして獲得するようなユーザはいましたか?」
「ありました。追放しました。チートをしているユーザを探索するような仕掛けがあり、見つけ次第すぐ対応します」

twitterからの質問
「企業とstack overflowをシェア(oem?)する可能性はありますか?」
「以前やったことがありますが、うまくいきませんでした。顧客から有償で仕事を受けてしまうと、future requestがコミュニティに対する優先度ではなく、お金に対する優先度になってしまうので、難しい」

「stack overflowの文化を見ていると、非常に興味深い。システム設計的に(ユーザの)面白い行動などありましたか?」
「reputationシステムについては「このように動いて欲しいな」という意思を込めて設計しています。すなわち、新規ユーザを洗礼していくわけです。例えば最初はコメントできない。ポイントをためる必要があるわけです。同じことが投票にも言えます。」

「stack overflowとしてコンピューティングなどに向いているというわけですが、他のものにも適用できそうです。予定はありますか?」
「予定としてはありますが、優先度としては低いです。今はAPIに対してwrite機能を設けようというものが優先度が高いです」

「googleは機械ベース、stack overflowはコミュニティベース。どんなつながりで今回のようなイベントが開催されることになったのか?」
「googleからはたくさんトラフィックが流れてくるからね(笑)あともう一つはstack overflowのコミュニティの中でgoogleデベロッパーリレーションの人たちは良い行動をしてくれていたしね。今回はせっかく日本に来るんだし、ちょうどいい機会だと思ってね」
※Google Apps, Androidなどのデベロッパーコミュニティはstack overflowを使ってるよ!w(by googleの人)

「stack overflowはクオリティの高いサイト。クオリティを計る指標などを設定していますか?」
「5人(フルタイム)のスタッフがモニターしていますし、外部の調査なども取り入れています」

「質問と回答がクリエイティブコモンズになっていますが、派生商品・サイトなどはありますか?」
「今までの所つくっていません。本にしてみたいな、とも思うこともありますが、固めてしまうより、やはりオンラインのままのほうが良いかなと思っています。ルールを守らず利用しているサイトがあれば、説明した上でルールを守るようにしてもらっています」

「膨大な質問回答データのマイニングを外部でやっている例はありますか?」
「今現在はないですね。知識をより活用するという意味ではタグ付けを用意しています。コミュニティ自身でタグの編集が可能です」

「stack overflowを運営していくなかで、一番の課題はなんですか?」
「一緒に仕事をしてくれませんか。働ければわかります(笑)一番の課題はクオリティを高めることです。」


以上

※間違い合ったら指摘ください

Comment    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« synergyでauto startしようと... | TOP | windowsの電源設定をバッチ経... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ネットサービス/テクノロジ