ならおうは穏やかに語る

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(09/08/23カウンターを付けました。)

悪の帝国は変わるのか?

2004-05-02 15:57:33 | Weblog
5月2日付日経新聞5頁にマイクロソフト日本法人最高技術責任者(米国副社長)古川氏のインタビューが載っていた。最近TRONとの提携などMSの体質が変化しているようなイメージがあるなか、興味深く読んだので私の感想を付け加えよう。なお次のURLにも類似の記事がある。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/0422/ms.htm
どうも4/22頃のマイクロソフト月例会見をまとめたようである。日経新聞としてはお粗末という感があるが速報性を問われる記事ではないので良いという考えなんだろうか?

なおMSの体質は次のURLで色々情報を仕入れることが出来る。

http://www.asahi-net.or.jp/~FV6N-TNSK/gates/

さて、インタビューで古川氏は自社についてコメントしている。
・MSで優秀な社員がやめている。
・誰も将来を語ろうとしない。
・過去の一時期の日本法人の振る舞いに問題があった。
・世の中から傲慢なイメージを持たれている。
・ゲイツ会長も聞く耳を持つようになった。
・80年代の日米貿易摩擦でMSはTRONを攻撃しなかった。

■MSを辞める社員が増えていること。
おそらく攻撃的な企業文化、エンドユーザー軽視体質、同業からの視線、異常な度重なるパッチ探しとその修正に耐えられないのでしょう。
「人はパンのみに生きない。」というキリスト教の教えがありますが、自分の仕事が本当に世の中に貢献しているのかと自問自答したら解脱する人が増えそうです。
先のURLにもありますがMSから抜本的技術が出ていないという指摘は心に留めて置いて良いと思います。他社の技術コンセプトをそっくり戴いた類似品を圧倒的なOSシェアを基にOSにバンドルして配布して業界標準として他社をぶっつぶす戦略は技術者が良心を金に売り渡さないとできないでしょう。(ブラウザ、メーラー、スプレッドシート、ワープロ、画像ビューワ)

■誰も将来を語らない。
次の項に書いていますが、模倣奪取という企業文化じゃ将来を語るよりもシェア向上の為に相手をぶっ潰す戦略を立てる悪魔のような人しか伸びませんわ。良心の呵責に絶えず辞めていく人、新技術を開拓する人はMSよりも他社に行きたいでしょうし(笑)。
バグ封じ(セキュリティホールの探索、パッチソフトの作成、そのデバッグ)に追われていると、先のことなんか考えられませんね。

■傲慢なイメージ(過去の一時期の日本法人の振る舞いに問題があった)
これは成毛前々社長がMSの売上高を1991年の90億円から1999年の1690億円へと約19倍の事業規模拡大時期とそれに伴うイメージと合致するのでしょうね。彼がMSを退社した理由もよくわかりませんが・・・。
阿多前社長も「ワードのシェアを90%台にまで上げるまで、一太郎をたたきのめす」と言ってた人です。
あ、OSでも「マックのシェアを10%以下にするまで…」に近い戦略を取っていますね。

この辺是正すると言われても相手(一太郎、Lotus123)は完膚無きまでに叩きのめされた状態で何をするんでしょうか。MS-DOSの頃はLotusと一太郎を愛用していただけに「今更何を言うんじゃ?」ってのが感想です。マックが細々と生き延びているのが不思議ですが、ぶっ潰すと模倣先が無くなるって事でしょう(笑)。

■ゲイツ会長も聞く耳を持つようになった。
今まで聞く耳を持たなかったって事ですね(笑)。Basicの初期表示がOKでメモリー節約が技術的功績と言われていますが、多分本当でしょう。類似の言語にFortrunがありますがこれはReadyでした。
なお、MS-DOSはMS社が開発したのではなくこういう経緯でできたOSです。

・IBMがApple IIに対抗するPCを出したかった。
・CPUはIntel 8080でCPMのOSで動く仕様であった。
・CPMはDigital Research社が製造していた。
・当時MSはCPMのシミュレータを発売していた。
・IBMはDR社ではなく勘違いしてMSに商談に行った。
・IBMは上記2項目を秘してMSと契約締結を促す。その中には次の守秘義務があった。
 「この企画に関して知ったこと、開発したことを一切口外しないし、自社の製品に転用してはならない」
 かなり屈辱的な条項であるが、それでもMSはIBMと契約した。
・そしてMSはCPMのシミュレータを発売していた事を明かす。
・IBMはMSに謝り、DR社へ行くが社長と会えず契約非成立でCPMを調達できなかった。
・IBMは再度MSに行き相談する。
・MSから次の提案が出る。
 ・MSがSCP(Seatle Computer Products)が作ったCPM のクローンOS(SCP-DOS) を買い取る。
 ・そのSCP-DOSをMSで改造してIBM向け新型PC向けに調整する。
・IBMにとってはIntel 8080で動くOSが入手できるので納得。
・SCP-DOSをIBM向けに調整依頼する形になった
・MSは5万ドル(当時1200万円)でSCPを買い取る。(ソースコード付き権利)
・MSは当時出回っていたPCを買い集めて動作をチェックしSCP-DOSを改良する。
・そしてMS-DOSができあがった。

あまり参考にしたくないビジネスモデルですね。しかしコンピュータ業界で30年前から成立している法則『勝者は一社のみ』に則ればその社風は当然なのかも。Lotus123,一太郎、Netscape・・・思いを馳せてしまいます。

■80年代にTRONを攻撃しなかった。
矢面に立たなかっただけ。
・1988年小中学校でのPCにトロン採用。
・1989年米国政府はトロンを攻撃
 「トロンはアメリカの会社が日本で売ろうとする基本ソフトの邪魔をする」
  基本ソフトとはOSの事でMS-DOSかMac OS。政治力を駆使するのはMSでしょう。
 ※政治力を駆使していたら今頃米国政府のシステムは全てMac OSでしょうに(笑)。

とコメントを付与しておきますが、よくよく調べるとWindows3.1の頃から色々やっていたようですね。
ま、MSの酷いところは雑誌では読めません。なぜならMSの広告停止、ソフトのβ版提供中止、取材制限等の圧力をかけられるからです。一般ユーザとしては情報源を断たれているわけです。
町でPCを買いに行くとPCとOSが一体になっています。本来、ハードとソフトの任意組合せができるものが良いと思いますが、そうはなっていないようです。


記者はMSが「悪の帝国」というイメージで語られる事が多いと鋭い突っ込みを入れている。私はスターウォーズの「帝国」を想像してしまった。なればゲイツ皇帝なのだろうか。




成毛

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