NPO法人 地域福祉協会

清掃事業  森林事業(植栽・剪定)

ショートショート     サポーの丘

2015-01-27 | 文学
古代ローマ。

ぼくは、無意味に体を鍛え
筋骨隆々な青年になり
悦に入っていた。

ぼくは
神の祭りの世話をすることになった。

準備や後片付けだ。

ぼくは
少し年上の活発なお姉さんに付いて仕事を覚えた。

お姉さんは
青い目をしたブロンド髪のお姉さんで
髪を後ろで縛っていた。

いつも髪はぼさぼさな感じだったが
本当は綺麗な女性ではないかと思っていた。

重い薪などを運ぶので
お姉さんも腕や足腰が太くて
たくましかった。

サポーの丘。

子羊を丸焼きにして神に捧げるのである。

大きなブナの木を伐って薪にする。

大きな火が立ち昇り
食欲をそそる香りがして
油が滴り落ちていた。

宴になり
歌や踊り
美酒に酔った。

さて後片付けである。

「アウレリウス、薪運んで」

「はい」

快活でつっけんどんな堅いお姉さんの指示。

薪を片付けると
跡に土が固まっていた。

「この土は小川に運ぼう」

僕は灰色の土の塊を運んだ。

そして何気に小川で手を洗った。

するすると汚れが取れていく。

「これは何だ!」

僕は
手も顔も洗った。

そして短い髪の毛もその塊で洗ってみた。

すごい!

よく分からないが綺麗になる。

「クラウディア、この土すごいよ!」

ぼくは
お姉さんを呼んだ。

「この土で手洗って見られ」

お姉さんは、手を洗った。

「あれ、かすごい綺麗になるぜ」

お姉さんも
ぼくと同じく顔を洗い
髪の毛を結んだ紐を解いて
長い髪を洗い始めた。

ブロンドの髪は金色に輝き
色白なお姉さんが現れた。

妖しく艶やかなお姉さんだった。

ぼくの秘めたる願望が鎌首をもたげてきた。

僕は幼児の声音に変じて、お姉さんに甘えた。

「お姉さんすごい綺麗、ぼくにキスして~」

ぼくは、柔らかいお姉さんを知った。



高橋作(フランス系文庫)

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