読書感想とロードバイク日記

色々のジャンルの本を読み、感想を書いています。最近は、ロードバイクに乗っているのでその話も少々。

「バカ学生に誰がした」

2013-10-31 05:39:38 | Weblog
新井立夫+石渡嶺司(中公新書ラクレ)

副題は『進路指導教員のぶっちゃけ話』だから、高校の先生のお話。タイトルは少しピントがずれているけど、この『バカ』シリーズで売る精神?からつけてあるようだ。
面白かったのは、高校から見た大学で、進路指導教員にとっての「ご都合」大学で、進学実績が良いように見せることができる「都合」のいい大学として、「京大医学部健康科学科など」があること。医学部とはいうものの、実は保険・看護系。でも世間には”医学部合格と堂々と言えるメリット。この類のトリック可能なところが愉快。

内容紹介は『「アホ大学のバカ学生」になるのは必然!?最低限の教養もないバカ学生を送り込む高校に憤る大学教員、様々な試験方式を繰り出してくる大学に翻弄される高校教師、その狭間で混乱する生徒たち。全国の高校5060校に必ずいる「進路のセンセイ」の目から大学進学の舞台裏を暴く』

結局、高校の先生の愚痴話でした。ためになった?かな???


「シモネッタのデカメロン」

2013-10-30 05:27:29 | Weblog
田丸公美子(文春文庫)

イタリアの有名なボッカチオの『デカメロン』にちなんだ爆笑エッセイ・・・なんですが、ちと前半の下ネタ話が”超くどい”ので辟易加減となる。疲れるのだが、こんなにイタリアのおじさんたちが精力抜群、女とも見たらほめまくる、寝たがるというのでは、とても戦争には勝てない。いい加減な状態?でも自動車はフィアットを作ったし・・・何とも変な国民性だ。
傑作は、女性全員をほめまくる(例外なしに)のでセクシャルハラスメントにならないという話。観点を変えるとそうなるか!

30年かけた著者の見聞きしたお話のエッセイです。後半は結構バラエティに富んだ話題で楽しめた。マフィア関係のおじさんに「殺人」を頼んだら(冗談で)、イタリアに当人をよこしたら「実行」してくれるというのも、ありそうで怖いけれどおかしい。

出版社と編集者の言葉があった『イタリア的恋愛術で、楽しく生きよう!50代巨体のF氏が日本出張の度女性をくどくのに成功するわけは。通訳歴30年、見聞したイタリア人達の恋愛模様。爆笑エッセイ
・・・担当編集者から一言
いくつになっても他人への好奇心を失わず、かわいい女の子がいれば後先を考えず、まずはくどいてみるイタリア人。逆境の中にいる時こそ彼らを見習い、楽しく生き抜くノウハウを学ぼう! イタリア語通訳30年のシモネッタこと田丸さん(下ネタ好きなことから親友米原万里氏が命名)が見聞きした笑える恋愛沙汰、おかしな夫婦や恋人たちのエピソード、くどきの実践編などが満載の楽しいエッセイ集。大いに笑って明日へのエネルギーにしよう』

今度別の本を読んでみよう。イタリア語通訳も「変な余禄があって」面白い職業ですねぇ。

バレエ「椿姫」

2013-10-28 06:37:31 | Weblog
10月20日五反田の「ゆーぽーと」にて
演出が、アザーリ・M・プリセッキーと一部が牧阿佐美。主演は、ダリア・ヴァスネツォワとダヴィッド・マカテリ。
ストーリーをよく知っていると、まるでセリフがあるように思えるバレエ。

演出は新国立劇場の「椿姫」に似たところがあるんのは、牧さんだから仕方ない。特に二幕の場面はかなり近い。同じ人だものね。三幕で、主役に死に近い場面でいろいろな人の幻影的に現れるところは斬新。

牧さんのインタビューから『・・・19世紀パリを舞台に、高級娼婦のマルグリットと詩人のアルマンの悲恋を描く。牧は2007年にもベルリオーズの音楽を使って新国立劇場バレエ団に「椿姫」を振り付けており、同作と縁が深い。「マルグリットは金持ちと交流して華やかに暮らすが、アルマンと出会って精神的に満たされる。女性って最終的には本当に愛した人の元に戻る。そこに魅力を感じます」1998年の初演時はヴェルディの有名なオペラの劇中曲などに振り付け、演技よりも踊りで表現するバレエに仕上げた。再演に当たって手直しをする。「当時はバレエ団も若かったのでたくさん踊らせましたが、今回は整理してよりドラマチックに仕上げたい」・・・
 牧は99年から2010年まで新国立劇場バレエ団の芸術監督を務め、その間は牧バレエ団から離れていた。久々に劇的な作品を指導している。主役にはロシアのマリインスキー・バレエ団のダリア・バスネツォワと、元英国ロイヤル・バレエ団のデビッド・マカテリを招く。「私がいない間に入団した人も多い。理解してもらうまでてんてこ舞いです。ゲストから学べる点も多い。日本人だけでは表現が日本的になる」』


「キアズマ」

2013-10-26 06:45:25 | Weblog
近藤史恵(新潮社)

今までの作品と少し緊迫度が違う。たぶん、設定を大学生にしたせいなのだろう。
それとレースがインカレで、ツールやジロのようなプロではないからなのか。
でも、それなりに面白く読めた。

題名の意味は、少しわかりにくいです。最後になってそれなりの意味付けが分かるけど・・・

最初に、素人がロードバイクを楽しめるようになっていく過程には共感するものがある。でもちょっと早すぎない? そんなに早くトップになれるものなの? こちらが中高年ローディだから遅すぎるのかな? 大学生くらいはすぐにビンディングペダルも乗れてしまうのかしら? ちょっとその辺が現実的ではない気がします。
ともあれ、少しずつ自然に溶け込み少しずつ体ができていく感覚。これは共感する。
このところ、病気のせいでバイクに乗れていないのでこのブランクを取り戻すにはどれだけかかるやら・・・

内容紹介は、出版社のものを借りてみると『決して交わるはずのなかった、俺たち。喪失を超えるように、ただ走り続ける――。命をかける覚悟? 誰かを傷つける恐怖? そんなもの呑み込んで、ただ俺は走りたいんだ。ひたすらに、自分自身と向き合うために。助けられなかったアイツのために――。一年間限定で自転車ロードレースに挑むことになった正樹。「サクリファイス」シリーズ4作目、新たな舞台は大学自転車部! ファン待望の最新長編小説。
作者紹介は以下:
近藤史恵
1969年大阪生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で、第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。複雑な人間心理を細やかにすくい取り、鮮やかに描き出す筆致に定評がある。2008年には『サクリファイス』で、第10回大藪春彦賞を受賞、同作は第5回本屋大賞第2位にも選ばれた。その後『エデン』『サヴァイヴ』と続編が書き継がれ、『キアズマ』はシリーズ4作目となる。他の著書に『桜姫』『ふたつめの月』『寒椿ゆれる』『モップの精と二匹のアルマジロ』『ホテル・ピーベリー』『シフォン・リボン・シフォン』『はぶらし』など多数』

全体印象は、「ちょっと軽かったなぁ」です。期待してたものですから・・・




「夫婦一年生」

2013-10-24 05:34:42 | Weblog
朝倉かすみ(小学館)

そうですねぇ。結婚している人なら、昔はこうだったなぁ、なんて思い出しますね。
一緒に暮らし始めた「試運転」みたいなそろそろ感。どうやって付き合っていくのかなぁ、なんて思いながら暮らし始める感じ。
色々あっても乗り越えて今に至る歴史の最初の頃。
短編集ですが、舞台が東京から札幌へ。これも身近な感じがする一因。あまり北海道弁がでないので物足りないがご近所のおばあさんの会話にちらっと出てくるのも懐かしい。

内容紹介は『がほっこり温まる愛にあふれた新婚小説!
結婚したばかりの青葉と朔郎、「夫婦一年生」カップルの日常を描いた連作長編。出会い編、料理修行編、ご近所付き合い編、3億円宝くじ妄想編、初めての来客編、ダンナの看病編、心がほっこり温まる愛に溢れた6編。・・・
事務系OLの青葉は、仕事で出会った男、朔郎と結婚した。新居は彼の赴任先の札幌の築十五年3LDKのマンション。新婚旅行のお土産選定に頭を悩ませ、料理のレパートリー向上に努め、ご近所付き合いにも前向きに取り組むなど、主婦業を全うしようとする青葉なのだった。それでも、うまくいかないこともある。ご近所さんに夫の極秘情報をうっかり流してしまい、初の夫婦げんかに発展したり、夫の両親が泊まりがけで来訪するという一大事に振り回されたりする。嫁は一日にしてならず、な日々を綴った、ムフフときどきトホホな新婚デイズ小説』

表紙の写真がなくて済みませんが、夫婦茶碗の絵でこれもかわいい。
二人がほぼ同じ年代なので会話がちょっと友達感覚的。でも、それも新鮮。どなたにもお勧めです。