読書感想とロードバイク日記

色々のジャンルの本を読み、感想を書いています。最近は、ロードバイクに乗っているのでその話も少々。

「最後の恋」

2009-10-31 08:19:09 | Weblog
阿川佐和子ほか(新潮文庫)

8人の作家による短編集。こうして見ると実にそれぞれの個性がでることか。とても興味深く面白かった。

「春太の毎日」三浦しをん、「ヒトリシズカ」谷村志穂、「海辺食堂の姉妹」阿川佐和子、「スケジュール」沢村凛「Last love」柴田よしき、「わたしは鏡」松尾由美、「キープ」乃南アサ、「おかえりなさい」角田光代の各作品が並ぶ。

たとえば、三浦しおんの作品はユーモアあふれる。角田光代のは、ちょっと怖い印象。でもテーマの「最後の恋」に収れんさせているのはみな同じ。副題が『つまり、自分史上最高の恋』というのだもの。こんなに誰かを好きになるのは、この恋で最後かもしれない。どんな結果に終わろうと永遠に輝きを失わない恋がある、こう思えるのは最高でしょうね。

個人的に好きだった作品は、「スケジュール」「LAST LOVE」どちらも最後に驚きというか展開が鮮やかで終わり方がきれい。短編はこういうところが大事と思う。「私は鏡」のひねりのきいた意外性も好きだ。

そのうち70代やら80代の『最後の恋』というのも書く人が出るかも。高齢社会ですから。

「逆さまゲーム」

2009-10-28 07:26:50 | Weblog
アントニオ・タブッキ(白水社)

イタリア人の作家の本で須賀敦子が翻訳したもの。短編からなり独特の雰囲気を持つ小説だ。表題作の「逆さまゲーム」のほか「カサブランカからの手紙」「芝居小屋」「土曜日の午後」「小さなギャツビイ」「ドローレス・イバルーリは苦い涙を流して」「空色の楽園」「声たち」「チェシャ猫」「行き先のない旅」「オリュンピアの一日」が収録。印象に残ったひとつは「空色の楽園」でこれは日本の生け花が出てくる。題名はその一つの盛り花につけた名前。こんなところに日本文化がでてきて驚いた。読者によっては外国の不思議な文化的雰囲気を感じるのだろうか。

「逆さまゲーム」は不思議な遊び〈逆さまゲーム〉を使う。不思議な感動をともなう世界を描きながら一種のノスタルジーを感じる。文体からその独自性が印象付けられる。須賀さんの本にもそれがあるような気がします。

「社長、その服装では説得力ゼロです」

2009-10-26 20:21:25 | Weblog
中村のん(新潮新書)

著者はスタイリスト。いろいろな人を見ているからかその視線は厳しい。上司の時代遅れのジャケット、勘違いの勝負服の例、身だしなみの常識、非常識を例をあげて解説。店員のお勧めをどう撃退するか、靴の買い方の心得など有用なことが書いてある。

問題はタイトル。ちっとも「社長」や「男性」向けではなく、ほとんどは同性である女性のファッション話が多くて最後まで読んでもあまりこの本の題名とはつながらなかった。誰がつけたか知らないがちょっと違いませんか?

でも、まあ、ファッション話だと思えばなかなか良いことも言っています。女性に参考になりますね。最後のほうで韓国のファッションの話がでてきたが、これは日本の若い人はよく考えたらいいと思いますね。

「インスリン注射も食事制限もいらない糖尿病最新療法」

2009-10-21 18:51:17 | Weblog
岡本卓(角川新書)

専門のクリニックを開業しているお医者さんの書いたもの。専門が糖尿病だからその実践や結果にも実績に基づく実証性があって説得力がある。要は、特に心臓病などの病気を併発しないよう厳しすぎる血糖値を下げるインシュリンや薬の使い方はしないで緩やかな管理がいい、ということ。

ただ、タイトルの「インスリンも・・・いらない」というのは出版社がつけた誇大な印象を与える言葉だ。そこまで過激な内容ではないのでご注意を。

糖尿病の学会が、基準値を下げた結果、該当者が多くなっているのもこのことに関連しているのかな。血糖値が高く病院にも行っている身の上から読んでみた。参考になりました。

「『仕組み』節約術」

2009-10-18 14:31:18 | Weblog
泉正人(光文社)

この著者の2冊目を読む。内容は、ある意味、常識でどうしてこういう本が売れるのかよくわからない。世間ずれした大人になると新鮮さがなくなるのか。

ともあれ「努力、労力、面倒」を省いた新しい節約術!というのが新聞広告のうたい文句。勝手にお金が貯まってしまう、と言われると何か新しい工夫があるかと思うけど要は最初から大きな出費を抑える工夫が大事ということ。例がわかりやすい。たとえば、住居を決めるのに、「青山」の名前や響き、カッコよさ、などを考えたらそれはすてきだが、節約を考慮すれば、都内だってもっと安い地域があるからそちらに住んだらどうか?という具合。

若い人には必読書かもね。