ドッグフード原材料シリーズ、第6回目です。
今回はカナダのメーカー、ペトキュリアン社のnowフレッシュを取り上げます。
GO!というフードも同じメーカーの製品ですね。

「日本はいろんな国のフードがあるんだねえ」
アメリカはアメリカのメーカーがメインだもんね。
カナダのフードはアメリカでも普通に売っているけどね。
nowフレッシュのフードはいくつか種類がありますが、一番ベーシックな「グレインフリーアダルト」で見ていきますね。
![]() | ナウフレッシュ (NOW FRESH) アダルト 2.72kg |
ペトキュリアン (petcurean) |
nowフレッシュ・グレインフリーアダルトの原材料一覧は以下の通りです。
2022年9月9日追記
原材料のリストに少し変更がありましたので追記しました。
使われなくなったものは横線で消し、ピンクの字が追加されたものです。
ターキー生肉、ポテト粉、エンドウ豆、リンゴ、乾燥全卵、エンドウ豆繊維、
トマト、ポテト、フラックスシード、キャノラ油(ミックストコフェロールで酸化防止)、
天然香料(チキン由来)、サーモン生肉、ダック生肉、アルファルファ、
ココナツ油(ミックストコフェロールで酸化防止)、ニンジン、カボチャ、バナナ、
ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、ブラックベリー、パパイヤ、パインアップル、
ザクロ、グレープフルーツ、レンズ豆、ブロッコリー、ホウレン草、カッテージチーズ、
アルファルファスプラウト、乾燥チコリ根、乾燥ローズマリー、炭酸カルシウム、
リン酸二カルシウム、リン酸一カルシウム、レシチン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化コリン
ビタミン類(ビタミンEサプリメント、L-アスコルビン酸-2-ポリリン酸塩(ビタミンC源)、
ナイアシン、イノシトール、ビタミンAサプリメント、硝酸チアミン、d-パントテン酸カルシウム、
塩酸ピリドキシン、リボフラビン、β-カロテン、ビタミンD3サプリメント、葉酸、ビオチン、
ビタミンB12サプリメント)、ミネラル類(タンパク質キレート亜鉛、硫酸第一鉄、酸化亜鉛、
タンパク質キレート鉄、硫酸銅、タンパク質キレート銅、タンパク質キレートマンガン、
酸化マンガン、ヨウ素酸カルシウム、セレン酵母)、タウリン、DL-メチオニン、L-リジン、
乾燥ラクトバチルス・アシドフィルス発酵生成物、乾燥エンテロコッカス・フェシウム発酵生成物、
ユッカシジゲラ抽出物、Lカルニチン
トマト、ポテト、フラックスシード、キャノラ油(ミックストコフェロールで酸化防止)、
天然香料(チキン由来)、サーモン生肉、ダック生肉、アルファルファ、
ココナツ油(ミックストコフェロールで酸化防止)、ニンジン、カボチャ、バナナ、
ブルーベリー、クランベリー、
ザクロ、
アルファルファスプラウト、乾燥チコリ根、乾燥ローズマリー、炭酸カルシウム、
ビタミン類(ビタミンEサプリメント、L-アスコルビン酸-2-ポリリン酸塩(ビタミンC源)、
ナイアシン、イノシトール、ビタミンAサプリメント、硝酸チアミン、d-パントテン酸カルシウム、
塩酸ピリドキシン、リボフラビン、β-カロテン、ビタミンD3サプリメント、葉酸、ビオチン、
ビタミンB12サプリメント)、ミネラル類(タンパク質キレート亜鉛、硫酸第一鉄、酸化亜鉛、
タンパク質キレート鉄、硫酸銅、タンパク質キレート銅、タンパク質キレートマンガン、
酸化マンガン、ヨウ素酸カルシウム、セレン酵母)、タウリン、DL-メチオニン、L-リジン、
乾燥ラクトバチルス・アシドフィルス発酵生成物、乾燥エンテロコッカス・フェシウム発酵生成物、
ユッカシジゲラ抽出物、Lカルニチン
一番最初に来ているのがターキー生肉ですね。
ターキーはアレルギー対応食材と言われることもありますが、チキンにアレルギーがある場合は
ターキーも比較的高い確率でダメという場合が多いのでお気をつけください。
チキンとターキーはアミノ酸組成がよく似ているので、共通のアレルギー反応が起きやすいのです。
水鳥のダックはアミノ酸組成が違うのでアレルギー対策によく使用されます。
ターキー生肉が最初の材料=重量では一番多く含まれているということなので良いことです。
生肉は水分を多く含むため重量が大きくなりますが、調理後はカサが減ります。
そのため、2番目に来るポテト粉(これは粉ですから乾燥して水分は抜けています)の方が
実質の分量は多いと考えられます。
ポテト粉は炭水化物源ですね。このフードはグレインフリーがセールスポイントですが
グレインフリー=低炭水化物というわけではないことに留意してください。
2022年9月9日追記
ポテトの炭水化物は一部が難消化性で、難消化性炭水化物は水溶性食物繊維と同様の働きをします。
つまり腸内微生物のエサとなって腸内環境を健康に保つプレバイオティクスとして役立ちます。
エンドウ豆は良質の炭水化物と植物性たんぱく質、食物繊維を含みます。
カナダの原文のサイトで見ても、エンドウ豆の粉ではなくてエンドウ豆そのものなので
ターキーのタンパク質よりもエンドウ豆のタンパク質の方が多いということは無さそうですね。
その次にリンゴと書かれています。果物がこんなに上位にあるフードというのは珍しいですね。
カリウム、不溶性と水溶性の食物繊維の摂取源となります。
乾燥全卵というのは殻を除いた卵を乾燥させたものです。高温加熱はされていません。
言うまでもなく良質のタンパク質源です。
次にエンドウ豆繊維とありますね。これはフィラー=カサ増し原料の一つなのですが
体に必要な食物繊維のソースとしては低品質のものではありません。
ただし、このフードでは3番目にすでにエンドウ豆そのものが使われています。
その次のリンゴも食物繊維を多く含む食材です。
さらにポテトのデンプンも消化しきれない部分は食物繊維と同じ働きをします。
そういう意味で、エンドウ豆繊維というのは「必要か?」と疑問を感じる部分です。
トマト、一般的にドッグフードにトマトと書かれている場合には
ジュースなどを絞った後の繊維を乾燥させたものが使われることが多いのですが
このフードでは原文でもトマトと書かれているので、トマトそのもののようです。
抗酸化物質であるリコピンを豊富に含みます。
ポテト、ポテト粉に続いて2度目の登場ですね。
原材料の変更後、ポテト(多分原材料の時点で生のもの)が2番目に来ています。
炭水化物源の他、食物繊維、少量ですがビタミンとミネラルの摂取源となります。
フラックスシード =亜麻仁です。これも水溶性と不溶性両方の食物繊維を多く含みます。
2022年9月9日追記
オメガ3脂肪酸であるアルファリノレン酸が豊富ですが、アルファリノレン酸は体内でDHA、EPAに変換しなくては活用されません。
犬はこの変換能力が低いため、アルファリノレン酸からは十分にオメガ3脂肪酸を摂取できません。
そのためオメガ3脂肪酸の摂取源としては不足ですが、抗酸化物質であるリグナンを豊富に含みます。
その次のキャノラ油はオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸をバランス良く含みます。
ただしオメガ3についてはフラックスシード に同じです。
このフードでは他にオメガ3脂肪酸を含むものと言えばサーモンが使われていますが
トマトやポテトよりも少ない量ですので、オメガ3脂肪酸のソースとしては心もとない。
なので、このフードをお使いの方にはフィッシュオイル を追加することをお勧めします。
次の天然香料というのも「?」な部分です。香料がなんでこんな上位に?
原文ではナチュラルフレーバーとなっているので、チキンスープ的なものなのかな?
それなら納得なんですが。
そしてサーモンとダックですね。どちらも生肉なので質の高い原材料と言えます。
でも動物性タンパク質としては下位に書かれているので量的には少なめですね。
ターキー生肉のところで書いたのと同様に、生の材料は調理後カサが減るためです。
アルファルファはマメ科の植物で和名はウマゴヤシ。
ビタミン、ミネラル、タンパク質など栄養豊富な野菜で、その名の通り馬の飼料に多く使われます。
ココナツ油もドッグフードでは珍しいですね。他の植物性オイルとは脂肪酸の種類がかなり違い
小腸で直接吸収されるため脂肪のための消化酵素を必要としません。
そのため、オイルではありますが膵臓への負担が少ないものとして知られています。
ニンジンからホウレン草まではおなじみの食材ですが、パパイヤやグレープフルーツは珍しいですね。
カッテージチーズというのもあまり他のフードでは見たことがない気がします。
その次にまたアルファルファ。
※追記
コメント欄でご教示いただきました。アルファルファを天日干ししたものだそうです。
栄養価も高いですが食物繊維も多いですね。
コメント欄でご教示いただきました。アルファルファを天日干ししたものだそうです。
栄養価も高いですが食物繊維も多いですね。
乾燥チコリ根。ハーブですが、水溶性食物繊維のイヌリンが豊富です。
利尿作用やガス抜きの働きがあります。ガス抜き、つまりオナラが増える可能性があります。
乾燥ローズマリー。
ローズマリーエキスが酸化防止剤に使われるくらいですから
抗酸化作用の高いハーブです。これはつまり体の老化を防ぐアンチエイジング効果もあるということ。
若さを保つハーブとしてよく知られています。
炭酸カルシウムからミネラル類まで、すべてビタミンとミネラルです。
ミネラル類はタンパク質キレート加工のものが多いですね。
タンパク質キレート以外のミネラルも吸収性を高める加工がされています。
その次のタウリン、メチオニン、リジンはアミノ酸です。メチオニンとリジンは必須アミノ酸。
頭にくっついているDLとかL というのは製法を表しています。
必須アミノ酸は本来は肉や魚から摂取できるのですが、高温での加熱加工でアミノ酸が変質したり
(nowフレッシュでは高温調理の心配はありませんが)
食物繊維がアミノ酸の吸収の妨げになることもあるので、こうして余分に添加する必要があります。
先に「食物繊維が多い」とこだわっていたのはこれが理由です。
食物繊維は大切ですが、アミノ酸の吸収を邪魔してしまっては本末転倒ですので。
乾燥ラクトバチルスからフェシウム発酵生成物まではいわゆるプロバイオティクスです。
良好な腸内環境を保つための乳酸菌類ですが、私はフードに乳酸菌を加えることについては
「加工の段階で死んでしまうんじゃないのか?」とちょっと疑問に思っています。
※追記 こちらもコメント欄でたくさんからご教示いただきました。
熱で死滅しないよう、加工後にオイルなどと共に吹き付けられているそうです。
たくさん、ありがとうございます。
熱で死滅しないよう、加工後にオイルなどと共に吹き付けられているそうです。
たくさん、ありがとうございます。
最後のユッカシジゲラ抽出物はユッカという植物の根茎のエキス。
関節炎などの抗炎症作用、便のにおいを抑える作用があります。
新しいレシピではLカルニチンが加えられています。
体内で必須アミノ酸のメチオニンとリジンから合成されるのですが、その能力は加齢と共に低下します。
L-カルニチンの働きは脂肪を代謝してエネルギーを産生すること、心臓や肝臓の働きをサポートすることがあります。
このフードの大きな特徴は90℃という低温で調理されていることです。
この温度だと「メイラード反応物質」が生成されません。
メイラード反応物質というのは、旨味の元でもあるのですが
腸内では消化されず、特定の細菌を増加させやすくします。
その細菌はアミノ酸のタウリンを分解してしまう働きがあります。
このように低温で加工されていることには大切な意味があります。
このフードにはミールも使われていないので、高温調理される過程はないため
アミノ酸の吸収という点では大きなメリットです。

「それで?このフードはいいフードなの?」
総合的に見ると、nowフレッシュのフードは良いフードだと思います。
ただ、炭水化物と食物繊維が若干多いかなと思われることと
2種だけですがハーブも含まれていますので、可能であれば
時々他のブランドとローテーションするのが理想かと思います。
それと先に書いたようにオメガ3脂肪酸の摂取源がやや心配なので
フィッシュオイル をプラスすることをお勧めします。
特にDHAを体内に蓄える能力が低い和犬系では重要なことです。
詳しい解説ありがとうございます!
炭水化物と繊維が多いのですね。
うちの犬シニアが一番便通がよかったので、まだ4歳ですがそれ食べてるんですけどアダルトよりさらに繊維が多いですよね…肉や魚を少しプラスするか、いっそアダルトに変えたほうがいいのかなあ…ホントに便が安定しなくて苦労してます(^^;
膝関節が外れやすいと指摘されているのでグルコサミンなどのサプリをいくつか試してみたのですが耳かき1杯のごく少量でもテキメンに便が固くなり、緑イ貝は耳かき2杯以上になると下痢をします(現在それで絶賛下痢中です(T_T)なかなか適量と言われる量を摂ることが出来なくて悩ましいです。
そうそう、アルファルファについては天日干しのものだそうですよ。
バイオティクス、消化酵素は熱で死なないよう、加工後冷ましたあとオイルなどと共に吹き付けてるとの記述を見ました。
オメガ3脂肪酸を強化せよとのことですので、今後もサーモンオイルなどプラスしようと思います!(^^)
解説たいへん勉強になりました!そしてめっちゃ面白いです!
今後の解説も楽しみにしております!
ドックフードって沢山の種類が売られているけど、健康を害するようなものが入ってないか、材料は良いけれど犬に合っているのかどうかを見極めるのは難しいですけど、あがさんのこの情報はとても参考になり助かります。
もう締め切ってますよね?。
もしまだ間にあるのであれば「吉岡油糧」をお願いしたいです。
前に我が家にいた子達にあげていたフードなんです。
遅くなりましたが、ショートフィルム見ました。
途中厳しいシーンがあるけどでも大丈夫ってコメントがなければ切なくて途中で見るの止めていたかも。
犬も猫も動作が「あるある」で、まるで本物のようですね。
子供たちに知ってもらうって本当に重要だと思います。
センターに収容される犬や猫たちもそう。
現実を知り、去勢がなぜ必要なのか。大量生産し、生体販売する動物達はどう扱われているのか、売れ残ったらどうなるのか?
そんなことをアニメーションでソフトに表現してことも達に知ってもらう機会が日本でもあればいいなって思います。
あー、でもハッピーエンドにしてくれないと嗚咽して見れない。
アルファルファとプロバイオティクスの件ありがとうございます。
本文に追記させていただきました。
ご愛犬の便通にはこのフードの繊維量がちょうど良いのかもしれないですね。
でもまだ4歳なら、お肉や魚をプラスするのは良いアイデアだと思います。
このフードは若干タンパク質量が低めでもありますし。
グルコサミンはコセクインは試されました?
数ある中でもこれが一番効いたという声をよく聞ききます。
チュアブルタイプだとビール酵母が含まれているので整腸効果も期待できるかもしれません。
1日も早くお腹が元の調子に戻りますように。
・ぽんこまさん
締め切りはありません!リクエストを頂けば延々と続けていくつもりです(笑)
吉岡油糧さん懐かしいです。
私はもちろん購入したことはないのですが、まだニコだけでドライフードを与えていた頃
フードをことを調べていて初めに「良いフード」として知ったのが吉岡湯量のフードでした。
ただね、残念ながら公式サイトでも原材料を公開されていないんですよ。
でも口コミなどを見ると、合う合わないが割とはっきりと出るフードのようですね。ぽん太君や小町ちゃんにはよく合っていたんですね。
もしお手元に原材料が分かるものをお持ちでしたらメールして頂ければ書いて見ます。
ショートフィルムも見てくださったんですね。
そうなんです、絵が単純なのに動きがすごくリアルですよね。
子供達への教育って本当に大切だと思うので、こういうアニメは増えて欲しいですね。
そしてハッピーエンド、賛成です!
本当に。。いつもながら凄い解説です。。
ニコちゃんニヤちゃん、お抱えのドクター博士?がいるみたいですね ! 幸せだぁ。
now フレッシュとgo は同じブランドだったのですね!2つは何の差があるんでしょうか?
実は緊急時、ホテルに宿泊時用のため、手作り食の代替食を思案中で。
できれば水分も一緒に摂れて、しかも美味しい 笑 それで缶詰の良質のものを探しています。
それでnow フレッシュのテトラパックのタイプを見つけました。こちらはどうでしょうか?
ドライよりシンプルな内容かと思うのですが。。
あと、あがさんがオススメの日本で買える缶詰がありましたら、教えていただけると有難いです。
いつも頼りにしてばかりですみません。。
goのフードはnowと違ってミールが使用されています。
その分お値段もgoの方が少しお安くなっていますね。
nowフレッシュのテトラパック良さそうですね!
旅行の時など缶よりも軽いし、ゴミも捨てやすいし
おっしゃる通り、ドライよりも少しシンプルですが原材料もいい感じです。
いつもと違う時のためのフードは、普段の手作り食にできるだけ近い感じという選び方もありますね。
それと、旅行やホテルの前には一度食べて様子を見ておくことも大切です。
出先や預け先でお腹の調子が狂うと、犬も人もたいへんですし。
缶詰フードではK9ナチュラルズの缶詰も良さそうですね。
小さめサイズなのでカール君にはちょうど良いくらいではないかと思います。
SNSで良く、ナチュラルハーベストやアーガイルディッシュがおススメと見かけるのですが、宜しければこちらのフードも、解説お願いしたいです!
ずうずうしくて、すみません(´;Д;`)
ナチュラルハーベストとアーガイルディッシュですね。
リストに入れておきますね。
ずうずうしいだなんてとんでもないです。リクエストありがとうございます。
袋の中に、「鳥の羽の破片」「鳥の嘴の破片のようなもの」が混入していた事が何度かあり、グリーンドッグさんに問合せをしましたが、返事がなく、それをきっかけに完全手作り食に移行しました。
「人間の食べる部分の肉だけを使用し、副産物は使用していません」というのを信じていたのに。
それ以来、このメーカーは信用していません。
10年以上もたったので、今は変わっているかもしれませんが、、、。
アメリカだとその鳥の羽の破片や嘴の破片のようなものって、
スーパーで売っている人間用のお肉にも時々入っているんですよ。
nowはカナダのフードですが、その辺は多分アメリカと似ているような気がします。
だから人間の食べる部分だけを使っていて副産物不使用という言葉と矛盾はしていないんです。
お国事情、色々ですね。