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坂本真綾 『少年アリス』 - アルバムレビュー vol.127

2018年01月09日 01時06分19秒 | 坂本真綾

2003年12月リリース

1.うちゅうひこうしのうた
2.ソラヲミロ
3.スクラップ~別れの詩
4.まきばアリス!
5.真昼が雪
6.KINGFISHER GIRL The Song of “Wish You Were Here"
7.ヒーロー
8.夜
9.CALL TO ME
10.光あれ
11.ちびっこフォーク
12.park amsterdam (the whole story)
13.03
14.おきてがみ

 

なんとアルバムレビュー、7ヶ月ぶりの更新です。
お待たせ(?)しました。久々にやっております。

そして今回は坂本真綾さんの4th『少年アリス』をレビューします。
今から15年近く前の作品で、菅野よう子さんの全面プロデュース体制
はこの作品で終止符が打たれました。

僕が好きなアルバムの一つです。14曲とたっぷりなボリュームですが
案外すんなり聴けてしまいます。



1.うちゅうひこうしのうた
アルバム1曲目はいきなり聴く者を眠りに誘うこの曲。NHK「みんなのうた」
にも起用されていてシングル曲ではないがベスト盤『everywhere』にも収録
されており知名度もそこそこ。とにかくピアノに乗せて透明感たっぷりな
真綾ボイスはすばらしいの一言。宇宙飛行士と農夫の夢を見た少女という
独特の世界観も良い。タイトルがひらがなというのも雰囲気がある。

2.ソラヲミロ
うってかわりカタカナタイトル曲。ロックテイストで前曲でうとうとしてる
ところにガツンとやられることうけあい。少しぶっきらぼうな歌い方もテイスト
に合っている。

3.スクラップ~別れの詩
続いてこちらもロックテイスト満載な1曲。サビでの疾走感がとても気持ちよい。
作詞は岩里祐穂、真綾曲にはかかせない人で菅野氏とのタッグも多数あり、初期~
中期の真綾作品を象徴する方である。

4.まきばアリス!
カントリー調の楽しい感じのポップソング。1st『グレープフルーツ』の頃の
まだ稚拙な歌唱力だった真綾さんと比べるとかなりレベルアップしたな、と
唸ることができる。表現力がぐんと出てきて歌詞世界を思い浮かべられる。

5.真昼が雪
真綾曲には冬の曲が多々あるが、個人的にはかなり気に入っている冬曲。
冬の風を表現しているSEが全編聴こえているのが雰囲気を出している。
シンプルな曲だがコーラスが美しい。

6.KINGFISHER GIRL The Song of “Wish You Were Here"
世界的に活躍するイギリスの詩人クリス・モズデルが作詞している民族音楽
を意識した菅野節炸裂な1曲。少し低いキーで淡々と歌い上げる真綾さんの
歌唱は見事の一言。ピンク・フロイドの名盤タイトル『あなたがここにいてほしい』
と同名タイトル “Wish You Were Here" を使っているのも僕的にはツボ。

7.ヒーロー
シンセとSEとボーカルのみという短い曲。これも菅野色が強い。

8.夜
2nd『DIVE』の頃の楽曲の雰囲気にも似たマイナーコードで進行するクールな
ロックチューン。刹那的な歌詞をよく理解して感情を爆発させる真綾さんの
ボーカルはかなりな迫力があり、個人的にはこのアルバムの一番の聴きどころ
だと思ってる。

9.CALL TO ME
6に続き英語詞曲。ブックレットの歌詞ページにはNTTdocomoのCMソング
とのこと。なかなか渋い曲を選んだもんだな、と思う(笑)派手なサビがある
わけではないが妙に惹かれるメロでストリングスも効果的に挿入している。

10.光あれ
ベスト盤『everywhere』にも収録された名曲。アルバム曲ながらもライブでも
演奏される機会も多いようだ。タイトルから僕はB'zの「光芒」とも似たものを
感じる。無力な自分だけど希望は捨てない、と力強く歌う真綾さんは勇ましい。

11.ちびっこフォーク
タイトルから想像するよりずっと暗い雰囲気の反戦フォークソングみたいな曲。
この曲もアコギとボーカルのみの演奏曲だが、歌声の説得力が非常に強く感じる。

12.park amsterdam (the whole story)
再び英語詞曲。アルバムに3曲も(英語詞曲が)多いような気もするが、初期から
多くの英語詞曲を歌ってきた真綾さんだからリスナー側もそう違和感なく聴く
ことができる。洋楽を聴いてるような感覚。多重コーラスがこの曲の雰囲気
を少し明るくしている。

13.03
真綾さん出演のショートムービー『03』のテーマ曲(らしいが僕は未見)
異世界を思わせる変わった曲。個人的には特にこれといって、という曲。

14.おきてがみ
静かなピアノに語りかける(手紙を読むような)ようなボーカルが少し寂しさを
伴うバラード。生まれ育った町を突然出て行くことになった主人公が家族に
宛てた置手紙ということだろうか、なぜかこの主人公は「うちゅうひこうしのうた」
で不思議な夢を見た少女なような気がする。静かにアルバムを締めくくります。



坂本真綾×菅野よう子 という最強タッグの最終作の『少年アリス』。
しかしそれらの集大成という雰囲気はそれほど感じられず(もちろん坂本真綾という
歌い手としての実力は右肩上がり中だと思う)むしろジャケット写真やブックレット
内の写真にあるようなごつごつした荒野のようなダウナー系の曲が多いように感じた。

前作『Lucy』は非常に明るくポップな作風だったが、この変えてきようは少し驚いた。
しかしソリッドなメロディ、演奏、真綾ボーカルが美味く嚙み合って完成度は高い。
まあ菅野よう子という人はどんなジャンルでも上手く作り上げる奇才だと思っている。

これ以降、真綾さんは菅野プロデュースから離れてさまざまなアーティストとの出会いを
経てさらに進んでゆくことになる。

ちなみに同年(2003年)4月リリースのシングル「tune the rainbow」で自身初のオリ
コンシングルチャートTOP10入りを果たす(最高9位)、そして満を持して『少年アリス』
もリリースしてオリコンアルバムチャートでオリジナルアルバムとしては初のTOP10入
りする(最高8位)。「tune the rainbow」は収録されていないがこれは同年7月リリース
の『シングルコレクション+ニコパチ』(最高3位!!)に先に収録されたためだろう。

2004年以降はシングル、アルバムともに頻繁にTOP10に入るようになり、同年シングル
「innocent starter」で自身初のTOP10入りした水樹奈々さんとともに声優歌手で知名度
を上げていくことになる。


さて2018年も早々にシングル「CLEAR」をリリースする真綾さんですが、オリジナルアルバム
とツアーを待っております。

 



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