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SKYKUDO

日々の出来事,思いを綴る

八日目の蝉 角田光代

2008-06-06 06:27:57 | 読書
昨日は野外活動の勤務振替があり,いつもより早めに退勤。途中コーヒー店で煎ったばかりの豆を購入し,さっさと帰宅した。
家には誰もいない。パソコンのスイッチを入れ,気になっていた仕事を片付ける。私は職場より家の方が集中できるタイプ。正直に言えば,授業が終わったら直ぐに帰り,自宅で仕事をしたい。職場の半分で片付けられるから。そして空いた時間を有意義に使いたい。

さて,最近読んでいた本と言えば,角田光代さんの「八日目の蝉」
帯には,「太田光氏絶賛残り数頁は震えが止まらない」というフレーズがあった。いつもこんなCMに興味をそそられ,読んでしまうことが多い。



蝉は地中から出て7日間生きると言われている。それを8日としているところに何かこの本のテーマがあるのだろうと思った。
そんなことを考えながら,本を開く。すると,最初の場面設定に度肝を抜かれた。

「若い女性が,かつて不倫相手だった彼とその奥さんに出来た赤ちゃんを誘拐し,逃亡」

前半は,逃亡劇の様子。たらたらと進むので,少し飽きが…。

後半がおもしろい。被害者の視点で物語が描かれている。そしてラストを迎える。
ラストはもっと人間の心を生々しく描いて欲しかったが,女流作家らしくさわやかな感じがした。

次はもっと重いテーマのものを読むつもり。





第三の時効

2008-05-25 09:39:41 | 読書
映画「半落ち」の作者として有名な横山秀夫さんの短編集「第三の時効」を読みました。中味の濃い読み応えのある物語ばかりでした。とくに表題となっている「第三の時効」は特にお勧めです。この方は,警察の事情に特に詳しいのでしょうか,ほとんどが警察をテーマに描いています。今野敏さんといい,この横山さんとといい,警察小説家には,優れた作者が多いです。



プロバイダが変わり,このブログも終わりかなと思いましたが,なんとか続けていけそうです。(いつまでか分かりませんが)励ましの手紙をくださったKさん,ありがとございました。



ブラックユーモアシリーズ  黒笑小説

2008-05-21 21:23:12 | 読書
小説好きに私ですが,なぜか長編を読む気力も無く,短編集を読んでおります。寝る前に布団の中で一話読むぐらいがちょうど良いです。それも文体の楽なもの。今回は,東野圭吾のお笑い三部作の一つ「黒笑小説」にはまっています。



毒笑小説はここでも紹介しましたが,それに続くブラックユーモアシリーズ。大笑いではなく,最後にクスリと笑えます。そして意味深なラストもあり,まさに黒ネタ。受賞をめぐる出版業界を描いた「線香花火」「選考会」「過去の人」などがお勧めです。シンデレラの裏事情を綴った「シンデレラ白夜行」などもなかなかの出来です。

解説では,奥田英朗さんが書いていますが,出版業界の実情が紹介されており,東野圭吾さんの人柄がよく分かりました。

震度0

2008-05-06 06:30:06 | 読書
子どもの日の朝。微量の雨で濡れた庭はしっとりと静かである。子ども達が小さかった頃は,朝早くからせっせと準備してニュージーランド村や動物公園に出かけたっけ…。「像ってでっかいね。ライオンさんはお寝坊さんだね」と語りかけてきた子ども達は,今は中高生。一人は3日連続の練習試合に出かけ,一人は遅く起きてきて朝飯をほおばっている。子どもの日なんて,小学校低学年までの行事なのだ。

最近読んだ本と言えば,矢口敦子さんの『償い』



「人の肉体を殺したら罰せられるのに,人の心を殺しても罰せられないのですか? 心に沁みるミステリの隠れた傑作。温かい感動の輪が広がり,37万部突破」という帯に惹かれて買ってしまった。
脳外科医→ホームレスへと転身した元医師が再生していく物語だが,物語の内容に反して文体が軽い。そこがまた読みやすくて良いという方もいるが,私にはちょっと…。犯人当てでのどんでん返しもなく,あっさり終わってしまった。もっと心に沁みるような小説を読みたい…と思って買ってきたのがこれ

『震度0」(横山秀夫作)



ミステリーなので,内容は明かしません。Webのデータベースによれば
『阪神大震災の前日、N県警警務課長・不破義仁が姿を消した。県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか?本部長をはじめ、キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交差する…。組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス』

まずタイトルの「震度0」この意味を理解できたのは物語の最後を読んだとき。県警や教育界などの公務員,役所などはもとより,会社など組織が求める究極の姿なんだろうと思う。阪神大震災の日が舞台になっているが,このタイトルとの対比だと考えると納得。自分も公務員なので,このタイトルの意味するところは分かる気がする。でも現場はそうでもない。日々犯人や子ども達と向き合っていきている立場の方は,懸命に生きている。管理する側になると,こういうことになるんだろうなあ…。虚しさだけが心に残る。

物語の一節に次のようなところがある。
『人たちの本性というか本音のようなものがよく見えてきて,自分だけがよけれいい,自分の仕事だけうまくいっていれば後のことは知らない。結局は保身と野心だけ…」
この小説がいいたいことをうまくまとめている。

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今春NO1 「流星の絆」

2008-04-30 19:38:14 | 読書
今春の一押しの小説と言えば,やはりこれでしょう。



ハードカバー本はちと高いけど,1700円の価値はあります。ゴールデンウィークで何か読書でも…と考えている方は,ぜひ読んでみてください。難点は一つだけ。それは,500頁もあるので,重いこと。もっているだけで疲れてしまいます。

Webの紹介文では,

「惨殺された両親の仇討ちを流星に誓いあった三兄妹。
『兄貴、妹は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ』
14年後、彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった。」

単なる犯人探しの小説ではありません。洋食屋の味の伝承,兄妹の絆,詐欺…,様々な要素がからみあって物語が展開していくので,飽きること無く最後までイッキ読みしてしまいました。ドラマ化すれば,良質な2時間物語になるでしょう。

欲を言えば,あの『赤い指』のような心にぐさっとくる物語を書いて欲しい。

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