へしゃげる脳みそ

大きく息を吸って

読まれない本の必要性

2008年01月31日 | そこはかとないそれ
いってきますの合図
誰かがドアをノックするけど気配はない

後ろから声が聞こえる
でもウォークマンの音量が大きすぎてよく聞こえない

目線をずらす事なく
僕が部屋を出て行こうとしている

やっぱりまだ何か聞こえる
何やら楽しそうな雰囲気 牧歌的な大衆気配

どうやら僕を呼んでるような声みたい
それでも今 僕は部屋を出て行こうとしている

振り返ろうとするだけで
大人のくせに泣きそうになる

アラームが
部屋の中で鳴っている

そして結局
僕は出て行ってしまって 
二度とその部屋には帰ってはこなかった











ただいまの合図
おいしそうな夕飯の匂いがする

でも
すぐに気付く

ここは僕の部屋ではない

冬の空は綺麗で
月が出口に見える 入り口に見える

どうせ
この日記だってきっと
アップロードされないまま終わる

違う部屋は
違う部屋の空気で

知らない人がたくさん

僕はタバコに火をつけて
緑のソファーに座っている 

アラームが
鳴ってる気がして
窓から外を眺める

でも
アラームなんか鳴ってなくて
それよりなんなんだこの景色は

どうやら
全く知らない街にいるようで
戸惑いを隠せず 鳴っている携帯電話を取り出す

僕の電話番号からだ
僕は電話に出ようかどうか悩んだ

だって 自分なんかと
何を話していいかわからないから

15コール目くらいだろうか
僕は電源を切り 差し出された夕飯を食べた

ポラリスの
深呼吸という曲を聴きながら
大人のくせに泣きそうになる

間違いなく
そこは新しい部屋だった










おやすみの合図
僕を起こさないように
こっそりと布団に入る

天井を見つめている
あんなとこにシミがあったんだ

もう
何年も過ごしているのに
まだまだ気付かない事が多いようだ

ポラリスの
檸檬という曲が
どっか遠くで聴こえた気がして
急いで僕は窓を開けてベランダに出る

突き抜けるような突風に
僕の体は約束でもしてあったかのように
たぶん西の方向へ流されていってしまった

夜の空からは
たくさんの人生が見える

浮雲に乗っかりながら下を見下ろしてる 
僕はまだ眠っていて起きそうな気配がない 

風でできたナイフを僕に向かって投げる
見事命中したようで 嬉しくて飛び上がる


そしてそれ以降 
僕が二度と起きる事はなかった

いってきます
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