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今日
一軒の喫茶店が閉店した
おそらくそれは
東京スポーツの一面を飾る事も
日本経済新聞の社会面に載る事も
神奈川ローカルテレビに出る事もない
マンションが
できるんだって
40年間
続けてきたそうで
僕は最後に
アイスコーヒーを頼んだ
斜めに作られたおしゃれなグラスに
おそらく手で割ったであろう ゴツゴツとした氷が入ってる
ミルクとシロップは少なめ
まず僕は
そのままブラックで飲んだ
とても濃厚で
頭がクラクラした
ここの
ハムトーストセットは絶品で
750円という安さ 正直その二倍の値段は取ってもいいと思った
最後の日でも
マスターは淡々と仕事をしていた
その光景は まるで明日も明後日も
ずーっと開店し続けるかのようだった
ブレンドコーヒー 一杯と
アイスコーヒー 一杯を飲み終わり
もうそろそろ とうとう閉店の時間
まだサヨナラ
したくなかったけど
僕等には その終わりの時間を止める事ができなかった
帰り支度をして
会計の準備をした
コーヒー 一杯分
サービスしてくれた
僕は
財布から二千円出して渡した
本当は
何かプレゼントしたかった
でも
マスターは
とても毅然とした人で
何故かそのオーラがプレゼントを拒んだ
揺れる涙腺を
我慢した
いつも通り
のど飴をくれた
マスターは笑顔が
とても素敵なおばさん
というか
おばあさんに近いかもしれない
僕は今週
日月火水木金土
毎日この喫茶店に通った
今まで
こんなに近くにあったのに
最近まで気付かなかった その穴を埋めるかのように
時間がない時は
アイスコーヒーを一杯だけ飲んだ
背が高い事を理由に
マスターは僕の事をすぐに覚えてくれた
帰り道
空を見上げた
何度も何度も空を見上げた
色がなくなってく
おそらく
僕等は最後の客だったと思う
それを
とても光栄に思った
視線が明後日の方向へ
ずれていく
僕は
東急東横線が東白楽の方へ
急行か快速で向かうのを尻目に
少し
悲しいと思った
もう飲めなくなる
コーヒーについて
もう一緒に
行けなくなる僕等について
一人
考えていた
その後
僕は何故か
すぐにドトールへ行った
あの喫茶店との匂いの違いを
確認したかったのかもしれない
でも
そこには
予想通り
生身の人間の
しなやかさというか 奥深さはなく
コーヒーメーカーの不器用な機械音と
防腐剤入りのチョコケーキやバームクーヘンしかなかった
アイスコーヒーを頼んだ
おいしい
僕なんかの安い味覚には
残念だけれど それで充分だった
でも
どこのドトールで
飲んでも同じ とても無難な味だった
特に文句はない そもそも僕はドトールが好き
友達を
待っていた
窓から見える
大量の人の流れを見ていた
その光景は
なんとも単調で 事務的だった
僕はまた
少し悲しくなった
そんなお話
さよなら また明日
一軒の喫茶店が閉店した
おそらくそれは
東京スポーツの一面を飾る事も
日本経済新聞の社会面に載る事も
神奈川ローカルテレビに出る事もない
マンションが
できるんだって
40年間
続けてきたそうで
僕は最後に
アイスコーヒーを頼んだ
斜めに作られたおしゃれなグラスに
おそらく手で割ったであろう ゴツゴツとした氷が入ってる
ミルクとシロップは少なめ
まず僕は
そのままブラックで飲んだ
とても濃厚で
頭がクラクラした
ここの
ハムトーストセットは絶品で
750円という安さ 正直その二倍の値段は取ってもいいと思った
最後の日でも
マスターは淡々と仕事をしていた
その光景は まるで明日も明後日も
ずーっと開店し続けるかのようだった
ブレンドコーヒー 一杯と
アイスコーヒー 一杯を飲み終わり
もうそろそろ とうとう閉店の時間
まだサヨナラ
したくなかったけど
僕等には その終わりの時間を止める事ができなかった
帰り支度をして
会計の準備をした
コーヒー 一杯分
サービスしてくれた
僕は
財布から二千円出して渡した
本当は
何かプレゼントしたかった
でも
マスターは
とても毅然とした人で
何故かそのオーラがプレゼントを拒んだ
揺れる涙腺を
我慢した
いつも通り
のど飴をくれた
マスターは笑顔が
とても素敵なおばさん
というか
おばあさんに近いかもしれない
僕は今週
日月火水木金土
毎日この喫茶店に通った
今まで
こんなに近くにあったのに
最近まで気付かなかった その穴を埋めるかのように
時間がない時は
アイスコーヒーを一杯だけ飲んだ
背が高い事を理由に
マスターは僕の事をすぐに覚えてくれた
帰り道
空を見上げた
何度も何度も空を見上げた
色がなくなってく
おそらく
僕等は最後の客だったと思う
それを
とても光栄に思った
視線が明後日の方向へ
ずれていく
僕は
東急東横線が東白楽の方へ
急行か快速で向かうのを尻目に
少し
悲しいと思った
もう飲めなくなる
コーヒーについて
もう一緒に
行けなくなる僕等について
一人
考えていた
その後
僕は何故か
すぐにドトールへ行った
あの喫茶店との匂いの違いを
確認したかったのかもしれない
でも
そこには
予想通り
生身の人間の
しなやかさというか 奥深さはなく
コーヒーメーカーの不器用な機械音と
防腐剤入りのチョコケーキやバームクーヘンしかなかった
アイスコーヒーを頼んだ
おいしい
僕なんかの安い味覚には
残念だけれど それで充分だった
でも
どこのドトールで
飲んでも同じ とても無難な味だった
特に文句はない そもそも僕はドトールが好き
友達を
待っていた
窓から見える
大量の人の流れを見ていた
その光景は
なんとも単調で 事務的だった
僕はまた
少し悲しくなった
そんなお話
さよなら また明日