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むらくも

四国の山歩き

滝下の天狗塚…徳島県

2012-08-29 | 祖谷山系

滝下の天狗塚           たきしたのてんぐづか



登山日              2012年8月26日
標高               1445m
取り付き             東祖谷落合439号線沿い
駐車場              なし(439線広い路肩)
トイレ              なし
水場               滝下集落跡「石積みの小さな滝」(標高940m付近)

メンバー             坊主さん、むらくも




坊主さんを誘った。
誘った先は滝下の天狗塚。
彼が一度は行きたいといってた山だが、ある日から行きたいという言葉が聞こえてこなくなった。
理由は分からないが、そこを餌を撒いて強引に誘ってみた。

すると乗ってきた。
シメシメ、誘ってみるものだ。
餌は仙人。
坊主と仙人とは似ていないが、遠縁にでもなるのだろうか?
そういえば坊主さんとの山はどれもキーワードが潜んでいる。
地獄谷から登った東光森山、女人禁制の大峰山、崖上の大佐古峰、天狗の奥庭から登る天狗岳。
そして今回は…崖上にある滝下の天狗塚。
一本の太い線で繋がっている。

終着駅は仙人なのか。
ところで仙人て子どもの頃からなじんだ言葉だが、どんなものか知らない。
ただただ長く白い髭の生えたお爺さんで、山奥の崖の上で杖をついて、霞を食って生きているとしか。
しかし、仙人は鋭い眼力があり、その教えは聡く正しい。

ウイキペディアで調べたところ、仙境にて暮らし、仙術をあやつり、不老不死を得た人を指す。羽人、僊人ともいう。
道教の不滅の真理である、道(タオ)を体現した人とされる。
仙人は基本的に不老不死だが、自分の死後死体を尸解(しかい)して肉体を消滅させ仙人になる方法がある。これを尸解仙という。
羽化昇天(衆人のなか昇天することを白日昇天という)して仙人になる天仙、地仙などがあるが位は尸解仙が一番下である。
西遊記において孫悟空は「妖仙」などと蔑称されている。

仙人もいろいろと階級があるようで苦労しているようだ。

ところで仙人が暮らすところは…仙境というところだそうだ。
仙人は主に高い山の上や仙島、天上などの仙境(神仙郷、仙郷、仙界[2])に住む。仙境とは俗界を離れた静かで清浄な所、神仙が住むような理想的な地を指す。
(中国の)東海に蓬莱、方丈、瀛洲の三つの仙人の島(三島)があるともいう。仙人がいる、あるいはそこにいけば仙人同様になれる聖地を故事になぞらえ桃源郷と呼ぶこともある(桃花源記)。

彼の山歩きはどうやら仙境を探しつつ、常に彷徨しているのかもしれない。
いまだに見つけていないようだ。
仙人としての終の棲家を探しに出かけよう。




というわけで、徳島県東祖谷にある滝下の天狗塚を439号線から取り付き、滝下集落への破線の道を使って登ることにした。
ルートは滝下集落東奥の民家から1403m峰の西側稜線に出て、西に折れ1424.8m三角点・滝下北を経由し、天狗塚へ。
わたしは1403m峰東の尾根から登ることを勧めたが坊主さんはさっちに崖の間をすり抜けたいと言う。
ここらへんが一般人と坊主から仙人へと常に高い位置を目指して努力する人との考え方の違い。

天狗塚に立ったあとは彼がそこを修行の場とするか、それとも西の鞍部から下山するか、それは誰にも分からない。

8時過ぎにいやしの温泉郷へと入る橋の所に着き、しばらくうろうろと取り付き地点を探したが分からない。
民家の西側で、沢のあるところに広い路肩があったのでそこに車を止めた。
他の方の車が一台すでに止まっていたが、持ち主は地元の方のようだ。
この沢のすぐ左側にうっすらと踏み跡らしいものがついていて、これがどうやら下山予定の破線の道のようだ。
しかし、それはもうすでに道とはいえないような荒れた状態で、歩けないことはなさそうだが雰囲気が悪い。

準備をして、祖谷川に架かる細い吊り橋を眺めながら、439号線沿いの取り付き地点を探すがやっぱり分からない。





民家の所にモノレールの道があったが、どうやらこれが破線の道のようだったので、そこから登りだした。
しかし、民家に入りそうな感じだったし、犬に吠えられたので林の中へと入り、適当に登っていくとわずかに道跡らしいのが見つかって、目を懲らしながら辿っていく。

20分ほどでガードレールのある林道に飛び出した。
舗装は施されてないが、立派な道だ。
左折する。




林道からはいやしの温泉郷が見え、その上はガスが掛かっている。
今日の天気は好くないな、雨がくるかもしれん。




強い雨が降り出したら、止めて帰ろう。
軟弱な二人はそんなことを話ながら、林道終点まで歩き、そこから破線の道を追う。
やがて鉄塔保線路の小さな標識のある尾根に出合うが、ここから明瞭な踏み跡が尾根から外れるようにして左側に2本着いている。
どれがどれだ???
迷った末に2本の踏み跡は無視して尾根を辿ることにした。

しばらくで杉林のなかにいくつもの石垣があって、集落や畑跡と思われるところに出合う。
突然右手に廃屋が現れた。




杉の落ち葉で埋まった破線と思われる道をモクモクと歩く。




石垣が続く。
またもや廃屋だ。
もう朽ちて潰れていた。
屋根の形が小屋とは違って、昔の屋敷を偲ばせている。

そろそろ破線の踏み跡から外れて右上へと振らないといけないが、少し行き過ぎたようだ。
やや引き返して、方向を確認して再び登り出す。




だんだんと登る斜面がきつくなってくる。
小雨が降り出した。
植林帯なので濡れない。
構わずにとっとと登る。
梢の間からほんのちらっと天狗塚らしい稜線と崖が見えてきた。




地図を見ながら崖のない東へと振ったつもりだったがその右手にはやや切れ込んだ乾いた沢(窪み)があって、渡る気が起きないまま直進。
とうとう目の前には崖が。




左も崖だが、なんとなく切れているような気がして、行けそうな感じだった。
しかし、地図では西に延々と崖が記されている。
地図を信用するしかない、東へと振る。

突然前方の崖辺りから、2~3度、ベ~~~という鳴き声。
どこの爺さんが彷徨い出てきたかという鳴き方をする。
姿は見えなかったが、ニホンカモシカのようです。




いよいよ、崖が険しい様相。
切れ落ちたところから奥を覗き込むと、その奥にもさらに崖が見えている。
二重崖だわ。
地理院の地図にはあくまでも一つの線の崖としてしか記されていない。




崖の真下を沿うように東へと辿り、途切れたところから急斜面を四つ足で這い上る。
右にも小さな崖が見えたので、間をすり抜けるようにして尾根の稜線に飛び出したようです。

幸いにも尾根上までの急斜面は植林されていて、最近に間伐も行われた様子。
横たわる間伐材を避けながらではあったが、当初想定していたジャングルのような樹林帯を歩くことはなかった。
用意した革手袋は無用でした。

辿り着いた稜線の様子。




稜線を西に振り、外れないように歩く。
そこここに穴が開いており、何物かの出入りした痕が。
入口は掃き清められた玄関のようで、チリ一つなかったが、辺りの岩場にはあちこちに糞の山、てんこ盛りだ。
大型ではないが小さくもなさそう、どなたの糞だろうか?

やがて四等三角点・滝下北のある標高1424.8m峰に着いた。




北西に景色が開けている。
真ん中ちょい左奥の高い山は落禿、そして右手前はサガリハゲ山だろうか?




眼前にトンガリ山が見えた。
これが滝下の天狗塚のようだ。
この姿を見て、初めて天狗の由来がピンと来た。
ほんとうに尖っている。
これではどちらから登っても急斜面を這うようにして登るようになる。




三嶺は相変わらずガスの中。

1424.8m峰を天狗塚へと下った。
振り返ると、南斜面は崖だった。




いやしの温泉郷が真下に見え隠れしている。
岩を巻いて天狗塚へと急斜面を登る。




祠のある天狗塚に着いた。
祀られていたものは麓に移されているのかなかった。

坊主さんが神妙な顔つきで写真に収まった。
仙人顔とはこのことかもしれないと思った。(残念だがカットさせていただいた)
時刻は12時を少し回ったとこ、お昼ご飯とした。
麓から練習だろうか、お祭りの太鼓の音が聞こえた。
渓から涼しい風が吹き上げてくる。

目前の三嶺はガス、雨が降っているようだ。
小粒の雨がこちらにもかかるようになり、慌てて店じまい。




西に降りる。
こちらも急斜面で木を掴みながらの降下。(写真はやや落ち着いたところでパチリ)
雨を除けるためか、頬被りしてこれで肥え桶をかついでいたら田悟作だ。

本日稜線上一番の落ち着いた雰囲気のある鞍部(二重稜線)




コブの頂きから後ろを振り返ってみた。
天狗塚の右手には丸笹山や塔ノ丸、剣山辺りが見えるはずだが、こちらもガスの中。




田悟作が木や岩を摑みながら急降下。
怖い。




コブを三つほど超えたところにやや落ち着いた鞍部があって、横たわった細い木の枝に赤と黄色のテープが施されてる。
どうやらここが分岐のようだ。
そのまま稜線を西へと行くと、1419.4m三角点・大野を経て、尾根伝いに滝下へと降りることも出来る。
こちらへのルートを辿って、三角点へ寄ってみるのもいいかなと思ったが、マニアックでもない二人はここから直に滝下へと
下山することにした。




ここまで花などは一つもなかった。
本日紅一点のちょっとばかし鮮やかななにか分からない実を見つけた。

これでも本日では落ち着いたいい雰囲気の場所でした。
やや東に振りすぎたので、少し引き返し、引き続き南東に降りる。




再び杉の植林帯に突入。
突然、ザックがフッと浮くように軽くなった。
後ろを振り返った。
坊主さんの姿はなく、誰もいない。

背中がゾクゾクッとした。
誰だ…、誰かいる?いない。
そんなはずない、誰かいるでしょ。

前方に廃屋が見えた。
どうやら破線の道に出たようだ、ホットする。
坊主さんを待った。

石垣の間の道をどんどん下る。
歩きながら考えた。
ザックに杉の木の枝が引っかかって、バネのようになってザックを持ち上げたに違いない。
きっとそうだよ。




再び廃屋が見えた。
足早にどんどん下る。
木と木が擦れグググーッというくぐもった音がする。

石垣の向こうに岩で囲まれた小さな滝がある。
集落のかつての水汲み場だろうか。




いくつもの廃屋、シンと静まりかえっている。
どこをどう歩いたのか、朝見た廃屋に再び出合った。

おや、変だ。
ここでやっと気がついた。
いつの間にか朝歩いたルートに戻ってしまって、下山予定のコースとは違う。




そのまま下った。
ところがこの道、朝にはこんな木の橋はなかったぞ。
木漏れ日が差して、いやに明るい植林帯だし、踏み跡もえらいこと綺麗だ。




やがて、朝に歩いた尾根の分岐(鉄塔保線路のある三叉路)へと辿りついた。
あじゃ~、なんだかきつねに抓まれたみたいだわ。

やがて林道に出て、そのまま林道&車道を歩いて439号線に降り立つ。
道端には植えられて残された園芸種の花が咲き。




ホオズキの赤い風船が膨らんでいた。
駐車地点に着いて、靴を脱ぎホッと一息。

わたしゃ、いつもコースを外すんだわ。
これじゃ反省しても毎回同じことを繰り返して、まったくダメだわ。

坊主さん、お疲れさんでした。
ここでの仙人住まいはやはり厳しすぎますよね。
霞だけじゃ生きていけないわ。

いやいや、生きるも死ぬもない。
不老不死じゃ、頑張れ!




取り付き8:35-林道8:51-分岐(廃屋)9:32-稜線11:28-1424.8m三角点・滝下北11:43-12:10滝下の天狗12:35-鞍部分岐13:18-石積みの水場14:12-分岐(廃屋)14:18-林道14:36-15:03駐車地点


※地図上左クリック→グーグルマップへ移動

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樫尾阿佐尻山・弘瀬山…徳島県

2012-05-30 | 祖谷山系

樫尾阿佐尻山、弘瀬山           かしおあさしりやま、ひろせやま




登山日                  2012年5月27日
標高                   1374.2m、1373.6m
登山口                  東祖谷新居屋
駐車場                  なし
トイレ                  なし
水場                   なし

メンバー                 単独




「とかげ」
なんの意味か分からなかった。
登山用語で天気のよい日に岩の上で昼寝をするもしくはテントの外で食事をすることらしい。

他にも人を食ったような言葉や参考になる言葉などたくさんあるらしい。

「ハイマート」
大型スーパーの名の意味が分かった。
登山用語にハイマートベルクというドイツ語がある。
ふるさとの山とかホームグラウンドにしている山という意味らしい。

「二つ玉低気圧」
太平洋側と日本海側を二つの低気圧が通過するときは、全国的に大荒れの天気になるらしい。

「ピッチ」
ワンピッチとかツーピッチとかよく耳にするが、一定の区間、例えば30分歩いて5分休む場合とかに使う。
フォーピッチ歩けば気分良く、走りたくなる。
ピッチピッチチャップチャップランランランだとか。
バカにしてるのか~!

「梅雨明け十日」
梅雨が明けた後、10日くらいは晴天が続くようだ。
こんなときは大概うだるような猛暑日が来るんですよね。
はい、岩の上で片手片足あげて、アッチッチー、降ろして、はい別の片手片足あげて~、そんなわけない。

とりあえず、とかげをしに行くことにした。
場所は牛ノ背三角点のミツコバから、それこそとかげをしていて見えた感じのいい山。
谷道川を挟んで西に見える樫尾阿佐尻山。



妻は仲のいい山友と別の山に行くようだ。
わたしも一緒に行けばいいものをと思ったが、いやいや、前日に計画を練っていた山、ここは一人でも行かねばなるまい。
妻はどちらかというと、おしゃべりを楽しみながら、花のある山ねらい。
わたしは展望のある山でとかげになりたいのえす。ピロピロ~

4時半起床、猪ノ鼻を超えて小歩危・大歩危、左折して祖谷トンネルを抜けて、道の駅でトイレ休憩をしていると、なんとてんきちさんに出合った。
突然に知った人に出会うと悪いこともしてないのにドギマギ。
どちらへと尋ねられ、間違って「アサヤマへ」と答え、別れた後、あ、しまった、間違った。
てんきちさんはいつもの如く、どっしりと落ち着き払って、天狗塚。
100回登頂は随分以前に達成したと伺っている。
いったい何回目だろうか、訊くのを失念した。

京上トンネル手前の谷道川に架かる橋のところで駐車。
7:38、歩き出す。
猪ノ鼻から眺める阿波の山中はうっすらとガスが棚引いて綺麗だったが、そのガスもすっかり退き、青空。
今日も暑くなりそうだ。

京柱峠方向に歩いて阿佐への三叉路を左に見てほんの少し超えたところで、山手へ右折。




振り蹴ると京上トンネル手前の祖谷川橋と小高い山。
そのまま車道を直進しそうになるが、沢の手前に変圧器のような電力の茶色い大きなボックスが右山手に見えるのでその階段のある細い道へと登る。




これが国土地理院の地図に記載されている破線の山道のようだ。
昔は堀切峠を経て栂峰へと辿る大切な生活道だったと思われるが、いまはほとんど歩かれていないようでした。




分岐がいくつかあったが、適当に上がっていくと車道に、横切って木で作られた古い受け箱のある階段から再び山道へ。




廃屋となった民家。
それを通り越したところでシカが二頭、ドッと林の上へ逃げていった。
離れてしまった一頭が下の林からキューンと仲間を呼ぶ鳴き声。

北に景色が開けた。
1072.2m峰とその奥は西寒峰だろうか。




道が分からなくなり、石垣を横目に適当に上がっていくと、再び車道に飛び出した。
車道右手上に尾根が見えている。
今日辿るのはどうやらこの尾根らしい。




車道をしばらく上がっていくと、堀切峠のお堂があった。
さらにその上に山手へ入る階段があって、電波塔らしいものが見えたが、ここから上がれそうだと感じたが、もう少し先へと車道を進んでみた。
やがて奥に民家が見えるところに差し掛かったが、ここがどうやら栂峰らしい。




コンクリーブロックの擁壁に折り返すようにして一本の道が。

北東方向に高い山並みが見えている。
サガリハゲと矢筈山のようです。




鳥居があって、奥に二つの祠。
お参りして裏手の尾根へと登る。
道はない、もう尾根方向に合わせて適当だ。




NTTの電波塔に出てきた。
傍に三角点。
994.2m三角点・小川だった。




その10分ほど先には同じくNTTの緑の反射板。
やっとこさ綺麗な新緑の自然林になってほっとする。



突然目の前を茶色い動物がサッと掠めるようにして逃げた。
リスにしてはやや大きいように感じたが、なにか分からなかった。
逃げた後へと近づいてみると、岩の下に穴蔵が…。
手を差し入れてみると気のせいか温もりが伝わってきたような???
囓られると怖いので奥まで入れるのを止めにした。

9時半を回ったところで、薄暗い大きな岩場に差し掛かり、相変わらず踏み跡はないが、ときたまあるテープを追っていく。
やがて展望のある岩場に出た。




どっかり腰掛けて、スポドリを口に含み景色を楽しむ。
眼前のどっしりした山並みは右に嫋やかな土佐矢筈山、真ん中に綱附森から天狗塚にかけての稜線、左端に待望の牛ノ背が見えた。
心が躍る。




相変わらず踏み跡はないが、テープもほとんど見当たらない。
ところどころ二重稜線になっていたりで分かりづらいが、とにかく尾根を追う。

クルマムグラ




9:49。突然に目の前にコンクリート舗装の林道が現れた。
ひょえ~、ショック!こんなとこに林道があるなんて、車でここまで上がれるじゃない。
クッソー!ヤケクソだ!
あくまで尾根を歩いてやる。




しかし、願いは虚しく、またもや林道に!
ところがここでコンクリー舗装は終わっていた。
ざまーみろ。
ふっふ~んだ。
林道から再び尾根へと適当に取り付く。
(帰路に気がついたが、左奥まで行くと、ここからは良く踏み込まれた明瞭な登山道があったのでした)

左国見山、中央中津山

ミヤマハコベ




ルンルンの登山道です。
残置トラロープ、そして赤い国土調査のテープも残置されたままでした。




突然、目の前に妖艶な白いお尻。
相手は気づいていない。

静かにカメラをかまえてシャッターを切る。
首を180度ねじ曲げて振り返った。
しばし時が止まったように睨み合い。
息が詰まる。
次の一瞬、鋭く土を蹴る音。
ドドドーッ!
林の中を死にもの狂いで逃げていった。
この辺りのシカは人間に怯えきっている。
普通シカは優しい目をしているが、このシカの目は恐怖で吊り上がっていた。

10:28、一本の若い桧(たぶん?)のある樫尾阿佐尻山の山頂に着いた。




思ってた以上のパノラマ。

国見山~中津山~寒峰




寒峰~徳島矢筈山~塔ノ丸~三嶺~牛ノ背~綱附森~土佐矢筈山




土佐矢筈山




京柱峠ズームアップ

近くの和田小学校生登頂記念標識

しばし、ぼんやり。




思い直したようにして、三方山方面への縦走路を歩き出す。
道は開けている。

終わりに近いヤマシャクヤク




振り返れば阿佐尻山
岩場に差し掛かった。
最初はグー、違った、右に、次の岩場は左に、その次の岩場も左に巻く。




木に白い蕾、バイカウツギのようだったが、なんだろう?

この花も調べてみたが分からない。




境界杭が防火帯に沿って延々と続いている。
茅が枯れて防火帯に敷き詰められたように倒れていた。

阿佐尻山から見えていた木の生えていない場所にやってきた。
裸地だ、ここは牧場跡なのかな?




鉄アングルには錆びた有刺鉄線が張られている。

テンニンソウ




花が咲いていたり、意外なものがあったりで、退屈はしなかった。
天狗塚から綱附森がはっきりと見えている。

11:50、三角点のある弘瀬山に到着。
阿佐尻山を出発しておおよそ一時間、この様子だとあと一時間ちょいで三方山にも行けそうだったが
ピストンして登山口までの時間を考えると、ここまでが限度のようだ。




どっかり腰を落としてお昼とした。
麓から正午のチャイムが聞こえてくる。
食後に飴をかじりながら、コーヒーを飲む。
至福の時だ。
白い雲は小さな子鯨に見えた。




ボーッとしてると瞼が閉じてしまう。
さて、帰るとしよう。

左の峰が阿佐尻山、その右奥真ん中の山が牛の背。

タオのところで、地図上に破線があって、その先は熊谷川の上にある林道へと繋がっていたので確かめてみた。
最近伐採作業があったのかそn踏み跡は濃いことが確認できた。
そしてもう一つの京柱峠への踏み跡も確認できた。
茅場を過ぎると、本日もっとも歩きよい尾根。




牛の背と天狗塚(ズーム)を眺めながらの稜線歩き。
釣井辺りの集落だろうか?




岩場を右、右、左に巻き、しばらくで阿佐尻山山頂に。




静かな時間がゆっくりと流れていく。
誰もいない山頂で寝転がった。
真っ青な空のキャンパスには白い雲の絵。

大口を開けたゾウアザラシと、耳が千切れんばかりにお尻を振りながら突っ走る白ウサギ。




祖谷に点在する郷が箱庭のように見えている。
カッコウの鳴き声が眠気をさらに誘発する。

ピストンはやはり退屈だが周回コースが見当たらなかったので仕方がない。
廃屋の民家まで降りてきた。




緊張の糸が切れてほっとする瞬間だ。
ふーっ!
そうだ、祖谷の豆腐を買わなくちゃ。
思い出した、佐々連さんに豆腐代金250両借りていたんだわ、返さなくちゃな。
利息がついてるかしゃん?

車の横でラジオ体操をしていたら、またもやてんきちさんに会いました。
山の話をあれこれして、話をしながら頭の中では、以前にてんきちさんと一緒に食べた美味しい祖谷の蕎麦を思い出して、しきりと懐かしんでいました。




駐車地点7:38-新居屋登山口7:43-堀切峠8:30-栂峰登山口8:38-994.2m三角点・小川(電波塔)8:58-反射板9:07-展望の好い岩場9:41-林道合流9:49-10:28樫尾阿佐尻山10:45-11:50弘瀬山12:26-13:22樫尾阿佐尻山13:43-三角点・小川14:33-栂峰登山口14:53-新居屋登山口15:16-15:22駐車地点


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鶏足山(徳島県)…4/3・一人

2010-04-06 | 祖谷山系

鶏足山    けいそくさん


標高     955m
登山口    西祖谷山村鶏足山キャンプ場
駐車場    あり
トイレ    あり
水場     あり




わたしにとって、なくてはならない必携アイテム、山と渓谷社の分県登山ガイドブック。
その第35版「徳島県の山」から、西祖谷山村に聳える鶏足山という変わった名の山が消えて久しい。
1997年版に紹介されたものの、2005年に発刊された新・分県登山ガイドからはなぜか外されている。

この山が注目されたのは1993年に開催された東四国国体(香川・徳島)の折に、近くにある古宮岳が山岳競技会場に選ばれたからなんですが、国体が終わってのち、年々人気が薄れていったようです。
人気が薄れた原因はこの古宮岳は高さ70mの岩場で、ロッククライミングの競技場であったこと。

ロッククライミングといえばやはり、ハイキングと比べて圧倒的に親しむ人は少ない。
しかし、そればかりではないようで、国体が開催されるときは、イヤと言うほど会場が整備され、お金も人も投入されるが、終われば、晩秋の海水浴場だ。
誰も見向きもしないし、注ぎ込んだ税金はアワとなって消えてしまっている(税金の無駄遣いは国体だけではないようですが…)。

同じく山岳競技の開催地であった奥祖谷かずら橋から丸石のコースも他の三嶺~剣山間のコースと比べて、現在利用する登山者は少ないように思う。

折角、大切な税金を使うのに、これでは後先のことを考えていないのではと言われても仕方がない。
海水浴場は翌年の夏にはまた大勢の若者がやってくるが、国体の会場跡に大勢の若者が戻ってくる気配はいまのところ皆無。

標高955m、徳島県には他に素晴らしい山がたくさんあるばっかりに、国体後は注目されない悲運の山になっているように思う。
もしも、この山が香川県にあったらどうだろう。
岩壁でハードで、眺望が優れていて、しかし、東側からは緩やかな勾配で、老若男女登りやすく、しかも福寿草やニリンソウ、そしてヤマシャクヤクにフタリシズカやサワルリソウなどの咲く花の山でもある。
高山の少ない香川でなら、人気抜群です。

ただし、香川はよくよく山頂もしくは山頂近くまで車道をつける県で有名。
屋島・城山・聖通寺山・五色台・大麻山・青野山・大川山・大滝山・紫雲出山・七宝山・雲辺寺・女体山などなど、展望の良い著名な山はことごとく車道をつけている。

自然を大切にしない、優しさもセンスもない県です。
失礼。

飯野山にアスファルト車道をつけなかったのは大正解、多くの方が県内外から「新・百名山」の山として訪れ、地元の方たちも日々ハイキングに訪れたり、今も昔からも、憩いと故郷の山です。
せめてもこの山にだけは将来とも車道をつけないで欲しいと願っている。




年寄りのクドクドと毒舌はこのくらいにして、という訳で昔年からの思いの山に登りに行くことにしました。
上り下りに要する時間は2時間、午後からで十分ですが、折角展望のいい山なので、テラスか山頂で食事をしてのんびりしよう。

猪ノ鼻トンネルを抜けて、大歩危橋を渡り45号線へ、直ぐにダンロップのタイヤ屋さん右横の道を「鶏足山キャンプ場」への案内板に従って、走っていく。
吾橋小学校や安楽寺を過ぎ、だいぶ走ったところで、広い路肩に工事用車輌と軽トラ、工具を積んだワンボックスが止まっている。

目の前には全面通行止めの看板と開けられているゲート。
???開けられているので通れるのかなと思ったがちょっと変だ。
軽トラの横に並べて駐車して歩くことにした。
直ぐに古宮神社の道標。




目先には崩壊跡。
ほとんど復旧していて車は通れそうだが、道はガタガタ。
崖を見上げると、まだまだ崩れ落ちそう、おそろっしゃ!
上に見えるのが古宮登攀場の岩場かな?

道縁にはスミレが…タチツボスミレ?だろうか?




崩壊場所を乗り越えて、さらに林道を進んでいくと、今度はシロバナショウジョウバカマ。




一輪だけ、薄い紫色のショウジョウバカマ。
ミツマタコウゾウの花もちらほら。




滝を過ぎて猶も林道を上っていくと、前方に工事車両とトラック。
斜面では杉を伐採している。
伐採された丸太が道にゴロゴロ転がっていた。
作業をされていた三人に挨拶をして通らせて貰う。

駐車地点から40分ほどで、トイレと水場と炉のあるキャンプ場に着く。





広場の奥へ行く。
写真では少し分かり難いが、行場へと書いた道標がある。
ここが登山口らしいのだが踏み跡がほとんど消えていて、ないも同然。
左へと行くとお地蔵さんがあったが、道はなさそう。
適当に登って行こうかと思ったが、もう一度道標へと戻る。




キョロキョロと探すと、奥に、木の枝についた古い千切れそうなテープが目に入った。
導かれるように進むと苔の生えた岩がゴロゴロ。
やがて目の前に大きな岩と崖。
登り口をしばらくうろうろして探したり、崖を這い上がったりしたが、分からない。
岩の上の細い棚を横切ろうとしたが危険を感じたので止めて、一旦岩の麓へ降りて、右へと回り込む。





すると、なんと、そこには福寿草が咲いていた。
ラッキー♪
見上げると、奥の方に尖った岩場が見えている。




株数は少なかったが、福寿草だけでなく、ヤマシャクヤクの蕾の株もちらほら。
嬉しくなった。
尾根に乗って回り込んでいくと、そこには崖から垂れたロープと鎖。
ヒョエー(@_@)
これを上るのかえ?





用心に用心を重ねて、足場を一歩一歩固めてよじ登る。
上ってもまた次の鎖とロープが待ち構えていた。




やっとこさ、展望のいい場所に出る。
ここが下にある最初のテラスらしい。
押っ取り刀でテラスの前へ進み出た。
吉野川を挟んで黒森山方面の展望。
眼下には吉野川。
あんまり前へ出すぎて足が震える。





元へ引き返して、上部へと進むが、そこにはガイドブックに載っている、35mの岩壁に鎖。
石鎚の鎖よりもずっとずっと比べ物にならないくらいに細い。
鎖の強度は…、それ以前にすでに頭の中では「拒否権」発動。
ここは迷わずに巻道を選ぶ。




巻道にもロープが…目が点になったが、35mの岩壁とは比較にならないくらいに安全な高さ。




よじ上ると足元には小さな松笠のような物がたくさん落ちている。
なんの実だろう?(写真は下山後に撮影のもの、後方の黄色い花はフユシラズ)





テラス最上部へ着いたようだ。
左のテラスへと進むと足元にはガイドブックに載っていた10m洞窟、奥に石仏があると記されていたが、細くて入る気がしなかった。
そのまま岩場を越えて…。




ヤッホー(~o~)♪
塩塚峰方向と眼下に大歩危の渓谷。




足が竦む。
山頂にアンテナが見えている。
梶ヶ森かな。




大ボシ山・奥神賀山方面。
景色を十分に堪能した後、尾根に沿って山頂へと向かう。





10分で山頂に着いた。
この時期はまだ葉が落ちて芽吹いていないので、景色も少し見られたし、
なによりも明るい。




気温は17°、時刻は1時、休憩して、ほんのり甘い「モ~」のいちごオレ。




そして、テリマヨバーガー。
ゆっくり食べた後、200m先にある稜線分岐へと向かう。





150歩(間違い、実際はこの2倍の300歩、右足だけで歩数を数えてました)数え終わったところで左へと降りていく。
落ち葉もほとんどないところだが、踏み跡は本当に薄くて、あまり人が登って来てないようだ。
見たことのある葉があちこちに出ている。
どうやらニリンソウの葉のようだが、花は咲いてなかった。
茶色っぽい茎がニョニョニョッと突き出てるが、これが蕾だろうか?
それとも花後だろうか?




ニリンソウの葉に混じって福寿草の花があちこちに咲いていた。
ここはどうやら花の群生地のようでした。




少し降りたところに
先の尖った葉がニョイニョイと伸びている。
なんの山野草だろうか?
フタリシズカ?かも?




左に振りながらヒョコヒョコ降りていくと、わずかな時間でキャンプ場に到着。
水場では綺麗な冷たい水が流れていた。




往路の林道を引き返す。
伐採が一段と進んでいた。
道に転がっていた丸太は綺麗に道脇の広場に積み上げられている。




西陽に光る滝。
水の流れるすぐ脇の斜面にはショウジョウバカマがたくさん咲いている。
そして山桜。




のんびりした光景の山間地。




段々畑にはお茶がよく似合っていた。
林道歩きを除くとわずかに1時間半の山行だが、思った以上に充実感のある山でした。





駐車地点11:22-キャンプ場登山口12:03-下部のテラス12:42-最上部のテラス12:51-13:01鶏足山山頂13:20-尾根左折13:23-キャンプ場13:37-14:10駐車地点


(参考)駐車地点から林道歩き、そしてキャンプ場からは反時計回りで登ってますが、四角の左下のところから尾根そしてすぐに岩場のロープ&鎖のある登りです。時計回りだと山頂経由で、10m洞窟の前を通り、岩場の展望の良いテラスへ楽に行けます。

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寒峰(徳島県)…3/12

2010-03-15 | 祖谷山系

寒峰    かんぽう

標高    1604.6m
登山口   東祖谷山村住吉神社上
駐車場   住吉神社横にはあるが上にはないので林道路肩の広いところへ
トイレ   なし
水場    なし

登山者   つむじかぜさん&HANAとむらくも





最近の夫婦の話題は老人性痴呆症。
お互いに日常会話を交わしていると、人の名前はもちろん物の名・地名などが出てこなくて
「あれそれ、なんだったかな、思い出さない、ほら、あれや」で会話が詰まってしまう場面が増えた。
山で出合った花なども次回までの丸一年間は使わないので、その時は覚えたと思っていても
翌年には思い出せないか、もしくは思い出すのに2~3時間は掛かる。

ウグイスが家の近くで鳴きだした。
春が来た、妻がその鳴き声を聞いて、「綺麗な声の鳥やな、何言う鳥やろ」ウグイスはホーホケキョと鳴いたのではなくキョと鳴くことを繰り返している。
ウグイスも未だ練習中なので何鳥と思うのも不思議ではないが、春が来て気温が上がると頭もなんだかいままで以上にボーッとする。
花粉症のせいなのかな?

バイクで買い物に出かけようとして、服を着替え、ショルダーを背負い、メットを被った。
さー行きましょう。
あれっ!バイクの鍵は?いつものところに鍵がない。
探した。ない。
前回バイクに乗ったときのことを思い出すべく頭をリサーチする。
春頭では思い出すはずがない。
ショルダーバックの中をひっくりまいて探す。
机の引出を隅から隅まで探す。
うろうろあちこち。
ない。しばらく考える。
視線をジッとヘルメットに注いだ。
なんとその横に置いてある。
鍵をいつもの保管場所から手に取って、メットと一緒にそこへ置いた記憶がない。
短時間だがそこのところだけの記憶が飛んで抜け落ちている。

老い先が思いやられる年になった。
二人して、お互いに老人性痴呆症に気をつけなあかん、頭を鍛えような、と言い合っている内はまだいいのかも。
そのうち、寒峰と寒風山を言い間違えたり、取り違えたりするときが来るかも知れないな。

などと取り留めもなく呟いているときに、つむじかぜさんからメールが届いた。
寒峰へ雪の下からニョッと顔を出した、福寿草を見に行こうとのお誘い。
うっし~!行くぞ。
随分と以前に寒峰周回コースを一度歩いたことがある。
東の尾根を下ってモノレールのあるところから尾根を外れて、植林地帯へ下るルートはちょっと分かり難い。
思い出すことができるかどうか、痴呆症防止の訓練に丁度いい。
行きましょうわい。



というわけで、朝6時半、阿波池田の、とあるところでつむじかぜさんと落ち合う。
今日はHANAちゃんが一緒だ。
もう顔見知りになってしまって、HANAはわたしを見て、尻尾を振ってくれている。
そのHANAちゃんを後ろに乗せ、東祖谷奥の井へと車を走らす。
住吉神社に到着。
すでに四人の方が車を止めて、準備をしている。
わたしたちは通り過ぎて、上にある林道登山口から登ることにした。
最後の林道歩きを少しでもケチろうという魂胆だ。
三差路の広いところに車を止めて、8:08三差路を左へと上っていく。
HANAは今日も元気。
右に走り左に走り、前に走り後ろに走り、目が回る。
10分余りで道の擁壁から取り付く登山口着。
住吉神社から登られた先ほどの方たちが、あれま、というような顔で登山口で一休みしている。どうやら、林道が上まで延びてることをご存知なかったようでした。

登山口からこの雪。
福寿草はもうすでに諦め半ば。




こうなったら、雪の山を思う存分楽しみましょうぞい。
雪はベタ雪、植林帯では梢から融けた滴が落ちてくるかなと用心をしながら歩いたが、杞憂に終わった。





20分余りで福寿草の群生地に到着。
周りは雪雪雪、真っ白け、花など何処にも見えない。
みんな雪の下。
雪の深さは15cmから深いところで20cm。
辺りを二人で少しだけウロウロッとして上へと移動した、するとつむじかぜさんの大きな声。
「あったどー!」なんと昨日に歩いた方だろうか、一部だけ雪を掘り下げたところから、福寿草の顔が覗いていた。
こんちは~、ですが、寒くて震えているような印象で、やはりお陽さんが差さないと元気がありません。




折角だから、ちょっとゴミを除けて、写真だけでも写しておこう。
あ~あ、あ~あ。
二人で溜息をついて仕方なく山頂へトボトボ歩く。
重いカメラが余計に重く、心なしか急坂を登る後ろ姿がショボイ。




登るにつれ雪はベタ雪からサラサラ雪に変わり、積雪も25cm程度になる。
HANAはピッタリつむじかぜさんの後ろを追う。
二人で、この雪は今日は多少気温が上がっても融けそうにないな、などと話しをしながら、この日曜日はどうだろう?つむじかぜさんの予測は融けないだろうと弱気?だ。




これだけ積もれば普通は融けないと思うわな。
それにしても、これほど降るとは想像してなかった。
今日は冬用のオーバー服は持ってきていないし、靴もオール・シーズン用だ。
灌木帯に入ると、雪を頭から被り、濡れる。
出来るだけ濡れないよう細心の注意を払うしかない。




やがて大きなブナのある尾根にやってきた。
霧氷で白くなった大ブナは圧巻だ。




ひこひこいいながらコブを越え…。




歩いてきた西寒峰を振り返り、寒峰峠へ。
ここから山頂へ一息だが、風がきつくて、前へなかなか進めない。
この日は結構この登りがきつく感じた。





ヌボーッ!
ひょーっ、熊か?




落合峠への稜線が見え、ガスのなかから矢筈山が少し頭を覗かせている。





山頂では風が強すぎて、食事にならない。
少し、落合峠方面に降りて、窪みで食事をすることにした。
動きを止めると急激に冷えてきて、寒くて体が震えた。
急いでガスに火を点け、ラーメンを作る。
湯気が顔に当たり、眼鏡が曇るが美味しい。
HANAもお腹いっぱいに食べる。




雪の寒峰を振り返りながら、落合峠分岐へと、トレースのない稜線を歩く。
カモシカの足跡だろう、太い足跡が続いている。





山頂ではガスで見えなかった中津山が三角な端正な姿を見せている。
稜線での積雪は深いところで30cmにはなっていただろうか。
向かいに見えるもう少し標高の高い三嶺や天狗辺りではもっと深いのかも知れない。
つむじかぜさんと、こんなことなら天狗塚辺りへ行けば良かったとぼやくことしきり。




分岐について、稜線から右へと外れて、高度を下げていく。




倒れた古い小屋ももう骨だけになっていた。
クリスマスツリーがたくさん並んでいる。




迷いやすいちょっとしたポイントをやり過ごし、どんどん下る。
適当なところで振り返ると樹幹越しに寒峰が、また来いよと、言ってくれてるようだった。
足元では鹿の足跡、細くて一直線に並んでいる。




下るに連れて雪がだんだんとベタ雪に変わっていき、滑りやすい。
モノレールのところまで降りてきたが、もう少し先では稜線を少し外れるようになるので注意しながら歩く。




やがて谷底へ降りる感覚で植林帯へと入っていく。
つむじかぜさんは谷へ降りなくても稜線歩きでいいのではないかと言う。
一般道を無視して歩くつむじかぜさんらしい発想だ。
なるほど、結果的にはつむじかぜさんの言うとおり、稜線歩きをした方が、迷いにくいし、距離が短くて済むようだ。
造林小屋を左に見て下っていく。
しばらくで落合集落からの整備された道と合流し、右折する。
木の骨組みの橋の先ではプチ雪崩が起きていた。
こんな雪崩でも足を掬われれば谷へ落ちていく。





廃屋に寄ってみた。ここの標高はおよそ1040mくらいだろうか?
家の前には軌道跡が見られた。
ここからの景色は最高で、正面に三嶺~天狗塚まで見渡せる位置にある。
ここで住んでいた方は毎日この景色を眺めながら生活をしていたんだ。
冷たい空気を胸一杯に吸い込んでみた。




また来るね~。
やがて林道へ降り立つ。
林道は東へ延びているし、工事車両がたくさん入って、作業をしていた。
地元の人の話ではこの道は落合峠へ伸びる道と接続する計画だという。




しかし、このままでは帰れないぞ。
偶然に通りかかった地元の方3人さんといろいろ立ち話。
わたしたちと話しをしているときは標準語に近い言葉でお話しをしてくれたので助かったが、三人での会話はさっぱり分からんこ。
なんとか耳をそばだてて、聞きのがすまい、あわよくば覚えて帰ろうとしたが、まったく無駄だった。
頭がパニクって覚えられないのです。
やっぱり痴呆症進行形か?

ですがラッキ-なことに、直ぐ近くに福寿草の咲く場所が…。





お地蔵さん、頭になにかついてます。
ひょっとして、それは鳥の糞?
除けてあげたかったが、気がついたのは家で写真を見てでした(^^;)




落合集落と肥えぐろ。






駐車地点8:08-登山口8:20-福寿草群生地8:44-大枝登山道合流点9:31-1415.1m栗枝渡9:47-寒峰峠10:53-寒峰山頂11:11-11:23山頂東直下窪地12:00-落合分岐12:12-コル12:46-1094m独標13:10-13:23廃屋13:30-林道下山口13:50-13:55駐車地点


(注)登山口は住吉神社よりも上の林道擁壁

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国見山(徳島県)

2009-09-29 | 祖谷山系

国見山 くにみやま

登山日 9月27日
標高  1409m
登山口 西祖谷山村後山峠1km余り手前(コンクリートの貯水槽のあるところ)もしくは後山峠金毘羅神社前
駐車場 下タンクのところは路肩広いところ4台程度駐車可、後山峠金毘羅神社前5~6台程度
トイレ 下タンクはなし、金毘羅神社前にあるが…使用可不可未確認。
水場  なし




国見山はその名のとおり、山頂に立つと北には阿讃山脈越しに讃岐富士が見え、東には祖谷山系、西には赤石山系や石鎚山系、南には梶ケ森その東には三嶺などの剣山系が眺望でき、360度のパノラマが楽しめる。
西麓には四国三郎の吉野川が蕩々と流れ大歩危・小歩危の景勝地、東麓には祖谷川が流れ、美しい渓谷を育んでいる。
この山に登るには大歩危の徳前にある有宮神社から、もしくは後山峠からが一般的。
北麓の川崎から登る道もあるようだが、著名なガイドブックには掲載されておらず、詳しいことは直接、地元の方やこの山域に詳しい方にお尋ねするのがいいようです。
後山峠(おうどう峠)については、後山峠からさらに東に車道を走り、しばらくのところで三叉路にでるので、左折し道なりに上って行くと後山峠上の登山口に行き当たります。そこにも広い駐車スペースがあって、そこからだと山頂までは最短の1時間余りで登ることが出来ます。
山道は広い防火帯あり、美しいブナ林有りで、手軽に登れることもあって人気は高く、またこれから冬山登山を目指されている方には最適な冬山ハイキングコースですし、特に白銀のブナ林と山頂から眺める360度の冬山展望は感動を与えてくれます。
後山峠手前1km余りのピンカーブを過ぎたところに、車道右側にコンクリートの貯水槽が見え、その近くには緩いカーブから取り付く登山口(道標・テープなし)があります。ここからもやや荒れて歩き難いが、国見山南西麓を巻いて歩き、大歩危からの登山道と合流し、山頂へ行くことが出来る。春になると山道沿いの斜面にはヤマシャクヤクなどの山野草が咲き、大歩危からの合流点左折してすぐ下にはカタクリの花が咲く。




後山峠手前の貯水槽のある登山口からは、秋にはまだ登ったことがない。造林小屋跡手前にあるお花畑にはなにか咲いているだろうか、それと分県ガイドブックにはウメバチソウが後山峠からの登山道に咲いているように書かれているように思った。前日にどの山に行こうかとあれやこれや迷った末に、ガイドブックに記載されていた「ウメバチソウ」に目を引かれて眠りについたのです。

翌朝、午前五時起床ー6:20自宅出発ー32号線を走り大歩危橋を渡って旧料金所跡手前を「国見山」標識に従って右折、しばらくのところで左折し道なりに登っていく。7:45広い路肩に車を止め、7:57登山口に取り付く。(写真は峠方向から下り(元来た)方向に撮影)




パイプで作られた手摺のある道を登り、すぐのところにある貯水槽の脇を歩く。前夜の天気予報では今日はあまり芳しくない。特に午後からは愛媛・高知とも雨、徳島が一番良くて、曇りの予報、信じよう。




早速、香川には少ないアケボノソウとそしてマツカゼソウ・ミズヒキのお出迎え。アケボノソウの模様は何度見ても不思議。黒い点々と緑二点の紋所。




急登の連続、ゆっくり歩くが汗が吹き出て、額から滴り落ちる。30分ほどで植林帯を抜け、自然林に入った。突然キーッと鳴くけたたましい声。猿ではなさそう、鳥のようだが、なにか分からない。こんどはヤマバトだろうか、ボーッボーッと聞こえてくる。なんだか、お前のノーミソは生まれつきボーッだわ、と言われてるみたい。しばらくボーッの鳴き声が後から追いかけてくるようなイヤな感じ…。

8:33 おおよその標高900m辺りで直進登り方向に薄い踏み跡。以前からこんな踏み跡の道、あったかな?どこへ行くのだろう、気になったが濃い踏み跡へと左折する。




巻き道らしく、ほとんど上り下りのない水平道を辿る。前を歩く妻が「アッター!」と叫ぶ。「シモバシラ」との一声。「えっ?この時期に霜柱なんて立つはずないだろ」と訝ったところ、「花の名前~」と一喝された。ふ~~ん…、はい、綺麗だ綺麗、キレイですよ!ヤケクソ気味でパチリ。しばらくシモバシラの花が続いていて楽しませてくれた。
やがて苔むした歩き難い岩のゴロゴロしたところに差し掛かる。春にはここから山野草が目立ってたんだけど、なんもない、苔岩だらけ。




ガレ場に来た。こんなに荒れてたかな?前方を歩く妻の脚が止まってしまい、「ちょっと待って、ちょっと待って」の連呼、ムカーシ、ムカーシ、どっかで聞いた歌だわい。なかなか前へ進めない。ヤマシャクヤクのお花畑にも来たが、苔むした岩がゴロゴロしてるだけでなんもない。辺りが獣臭く地面にはコロコロした黒い糞。前方右上斜面で石が転がる音がした。姿は見えなかったが、鹿が駆け上がっていったのだろう。シャクナゲの木が道に覆い被さるように茂っている。
沢を越え、石垣を組んだところに出る。周りの野草は鹿が食んだ後のようで、葉っぱが付いてなかった。




ハナウドのような…、この時期に咲くのはシラネセンキュウだろうか?
今度はヤブヤブに入っていく。前方からヤマガラの鳴き声。下のほうから音楽となんやら号令のような賑やかな声が聞こえてくる。麓にある西岡小学校での運動会のようだ。




アキチョウジ、そしてコフウロが咲いていた。ゲンノショウコとよく似ているが、葉っぱが完璧に裂けているのと、花弁とガクの形がほんのちょっぴし異なっている。




9:33 造林小屋跡に着く。小屋の前をとおりススキなどが茂るやぶ道へと入っていく。(後日、調べたところ造林小屋の脇をとおり植林地へ登って行くのが正解らしい)しばらく進んだ後、あまりにもヤブヤブなので、適当に植林地へと登る。コンパスで方向を確かめて、左へと振ると道に出た。




斜面にはアケボノソウがたくさん咲いており、道沿いにもシモバシラがちょっとした群生で咲いていた。今年お初のフシグロセンノウ。やがて、右からの踏み跡の濃い道と合流。(この道が造林小屋上へと登って辿って来る道らしい)




ヒョッホー♪シギンカラマツがあちこちに咲いているではありませんか。小振りで可愛い花でした。




この時期定番のツルシキミの赤い実。10:33大歩危からの尾根登山道と合流する。




足元には徳島県と記された古い杭がある。春になればこの左下の鞍部からコブに掛けてたくさんのカタクリの花が咲く。右折し急な尾根を登っていく。頭上にはツリバナの実がぶら下がっていた。




汗が額から流れ落ち、目に入ってきそうになる。ザックを降ろし、タオルで顔を拭い、ついでにポカリを飲む。またまたヤブヤブだ。木の枝が覆い被さるような道を避けて歩くがトゲのある草や木の枝でたちまち足や腕がひっかき傷だらけになる。やがて作業用モノレールの軌道が目の前を横切る。このモノレールを辿っていけばどこへ行くのだろう?地図上では近くに集落も林道もないようだが?シロヨメナ。




オタカラコウの咲く鞍部に出る。「オッター!」妻のトーンの高い雄たけびらぬ雌たけび悶絶声?。終わりかけのオタカラコウにはアサギマダラがとまっている。ヤマジノホトトギス。




またまた、ヤブヤブが目の前に。適当にヤブを避けながら登っていくが、やはり歩き難い。11:38山頂に着いた。すぐに高知から三人の女性たちが登ってきて、食事をしだした。山道にはウメバチソウが咲いてましたかとお尋ねしたが、見かけなかったとのこと、あれま、雨がパラつきだした。




おにぎりを口に頬張りつつ、景色を撮り、慌てて下山にとりかかる。高知の方は慣れているのか、弁当など広げたものをザックに仕舞い込み、カバーをし、カッパをチャチャチャッと着てものすごく素早い。お先にと言いながら降りていった。指呼の間にある中津山。




おうどう峠方面に降り、国見神社の祠へ。




慌てて小屋に飛び込み、ザックカバーをし、傘を取り出し、ヤッケを着る。岡山からの団体さんが小屋を横切り山頂へ向かった。




デジ一はザックに仕舞い込み、雨煙るブナ林を下っていく。ここからはコンデジだ。




アサマリンドウ(雨が降る直前に撮ったもので、花が開いているが、雨後はすべて閉じていた)とアキノキリンソウ(にしては花びらが大きい?ひょっとしてミヤマアキノキリンソウ?)




おかしいな~、こんなに早く徳島には雨は降らないと思ってたのに、やっぱり山はいつお天気が崩れるか分からない。13:05後山峠上の登山口に降りてきた。やはりウメバチソウはない。一輪も…(T_T)




そのまま車道を跨いで、急いでおうどう峠へと下る。道は綺麗に刈り払われており、靴が濡れなくて大助かり。やがて、金毘羅神社とその少し下にある登山口へ降りる道への分岐に差し掛かったところで、右折し尾根から外れる。ほどなく13:35後山峠下登山口に降り立つ。





ピンクのゲンノショウコと雨で大喜びの沢蟹。ウメバチソウには巡り会えなかったけど、山を歩けばいつもなにかしらに巡り会える。人との出合いは一期一会の楽しい会話。景色や花や動物たちとの出合いは感動と感激の出合い、別に言葉はいらないようだ。




三嶺と天狗塚方面




貯水槽登山口7:57-造林小屋跡9:33-尾根合流点10:33-11:38山頂12:00ー後山上登山口13:05-後山下登山口13:33-13:48貯水槽登山口


クリック⇒拡大
(注)概念図です。

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