大川山 だいせんざん
山行日 2016年11月17日
標高 1042.8m
登山口 仲南町塩入
駐車場 なし(県道4号線塩入集落付近高い擁壁傍の広い路肩)
トイレ 中寺廃寺跡遊歩道沿い、大川山キャンプ場
水場 なし
メンバー ピオーネ、むらくも
どこの山に行くか、直前まで妻と意見が分かれてしまった。
わたしは初めての山へ行きたがる悪い癖がある。
妻は花の山、展望のある山、登山道のしっかりした歩きよい山を選ぶ。
結論が出ず、夕方がきてしまった。
妻が買ってきた皮付きピーナッツ袋が、卓上にポンと置かれている。
ピーナッツ、遠い過去に現職総理大臣が起こしたロッキード事件というのがあって、そのときの賄賂に使った領収書の単位が、ワン・ナッツ100万円というのがあった。
表に出た賄賂のピーナッツの数は500個にもなる。
最近では大韓航空副社長が起こしたナッツ姫チョヨヒナ事件、このときはマカダミアナッツだった。
ナッツにはいいイメージがない。
1967年、大ヒットしたザ・ピーナッツの「恋のフーガ」、失恋の歌だが迫力があった。
追いかけーて(ドドン)、追いかけーて(ドドン)
すがりつーきたいのー
…
初めからー 結ばれないー 約束のあなたとわたしー(ドドドン)
ドゥドゥビドゥバ ドゥドゥドゥビドゥバ
パヤ(ドドドン) パヤパヤ(ドドドドン)
その同じ年にはザ・カーナビーツが「好きさ好きさ好きさ」を大ヒットさせた。
好きさ 好きさ 好きさ
忘れーられなーいんだ
おまえのすべてをーーー!!(絶叫)
…
こんなにおまえを
好き 好き 好きーなーのーにー つれなくしないで もう逃がさない!!
I love you oh !
I love you
Yes I do
おまえのすべてを!!(絶叫)
いまは孫好きないいおばあちゃんになっているが、当時、女学生たちはこの歌を聴いて、失神・失禁した。
どいうこっちゃ!
そういうこっちゃ!
何の脈絡もないがとにかくナッツはすごいのだ。
妻の意思表示に折れて、ピーナッツが大好きなヤマガラのいる大川山に行くことにした。
登山口は自宅から近い仲南町にある野口ダムの少し南の塩入集落。
妻がアンジ-パパさんから聞いた話しによると、四国電力の送電線鉄塔保線路が大川山への尾根に向かってついているのだそうだ。
ついでに駐車場所も教えていただいた。
野口ダム下には塩入温泉があって、評判の、いいお湯が出る温泉だ。
お風呂セットを車に積み込んで、朝ドラ「べっぴんさん」を観た後、遅めの出発。
駐車地点 県道三叉路
東山峠を経て徳島・三好へ抜ける県道4号線沿いの高い垂直な擁壁がある位置に駐車。
9:45、県道沿いの倉庫風建物から集落方向への道に入り、すぐにアスファルト舗装の太い道へ左折。
塩入橋 集落へ
財田川に架かる小さな塩入橋を渡り、道なりに歩く。
正面右の小山の上には鉄塔が立っており、送電線が東西に延びている。
アンジーパパさんから、県道から砂防堰堤が見えているので、堰堤方向左岸の道を歩くと登山口に行けると教えてもらっていたが、その堰堤がわからず、太いアスファルト道を直進してしまった。
そのアスファルト道は財田川右岸についている。
やがて頭上に見えていた送電線は後方に去ってしまい、かわたき山荘の傍をも通り過ぎる。
違う、引き返した。(後日に地図で確かめると、そのアスファルト車道は標高753.5m三角点・脇野の近くまで続いている)
石垣の上のお堂 砂防ダム堰堤
お堂まで引き返し、その左側から延びている簡易コンクリート舗装のやや細い道へ入った。
後方の山中腹辺りから猿の激しい鳴き声がしきりと耳に届く。
巡視路アングル 保線路上の樹木
砂防堰堤の道を挟んですぐ横の山側斜面に、紫色に咲くアキチョウジの花に取り囲まれるようにして鉄塔22番を示すアングルがあった。
細かくジグザグとつづれ折れに続く保線路は、よく踏み込まれており、快適だ。
南隣の尾根
真上から差し込む光の向こうに、標高673m三角点・脇野がある南隣の尾根が樹幹越しに輝いている。
真下の谷にはさきほど間違って歩いた車道が財田川支流に沿って延びているようだ。
鉄塔下の保線路 ツルリンドウの実
20番鉄塔だろうか?
真下をくぐった。
すでに2つ3つほど鉄塔傍を通過したので、19番かもわからない。
最近、鉄塔につけている番号札をわざわざ確かめるため鉄塔をぐるっと回るのが億劫になってしまって、ついズルをしてしまう。
生気というか、若さというか、どんどん失われている証拠なのかもしれない。
19番鉄塔? 四等三角点・中寺
またまた鉄塔傍を過ぎ、11:30、標高753.5三角点・中寺に到着。
一度は柞野道から、もう一度は江畑道から、二度この三角点のすぐ傍を通ったが寄ってはいない。
ほんの5分の寄り道が出来ていない。
気持ちに余裕のない証拠。
人間、余裕と、興味心を失うとおしまいだ。
三角点から東へ 江畑・柞野道分岐
三角点から尾根通しに南へ、薄い踏み跡があるように見えた。
その方向に進もうとすると、妻に違うと怒られた。
妻は踏み跡の濃い東へとどんどん進む。
それは少し下り気味で、大川山への方角とは異なっている。
頭の中はクェスチョンマークだらけ、よく確かめることにして、道に座り込んだ。
ついでだ、バナナを食っちゃえ。
妻が遠くで何か叫んでる。
「こっちで合ってるから、こっちよ」
口をもぐもぐさせながら慌ててそちらへ行くと、以前に見かけたことのある中寺廃寺跡遊歩道の道標があった。
記憶力ゼロの男を夫に持つ妻は、不幸な星の下に産まれてる。
展望台より
柞野・江畑道を辿って、10分のところで以前に2度訪れた展望台に着く。
満濃池と城山が霞んで見える。
飯野山も見えていたのだが、写真には写っていなかった。
中寺廃寺跡
先ほどの道標のあった分岐まで戻り、そこから廃寺跡の遊歩道を大川山へと歩みを進めた。
廃寺跡は、仏ゾーンを中心に、願いや祈りゾーンなどがあって、仏堂、塔、大炊屋、拝殿、僧坊跡などが発掘整備され残され、錫杖などの法具や、灯明皿、石塔などが見つかっている。
トイレ 遊歩道
遊歩道にはバイオトイレがある。
ちょっと変わったトイレで、用を足すと、付属しているハンドルを回す仕組みになっている。
利用した妻は右に20回、左に10回回して、あー、くたびれたと嘆いていた。
ここから長くて急な簡易コンクリート道が稜線まで続く。
たかんぼさん遠望 阿讃縦走路合流
12:30、阿讃縦走路に合流。
お腹が空いていたが、ヤマガラに逢うまで我慢の子。
ただただおしんでは気の毒だったので、コーヒーとお菓子でちょっぴし休息。
畑小屋 ツルシキミ
舗装された道から樹木の茂った縦走路へ踏み込んだ。
縦走路紅葉① 縦走路紅葉②
終盤の紅葉は赤からやや地味な枯れ色が濃くなって、それまでの鮮やかな色合いからどことなく寂しさがにじみ出てくる。
人間世界で例えるなら、車の後ろに貼り付ける四葉マーク、一昔前はもみじマークと言ったが、そのもみじマークは落ち葉マークとも枯れ葉マークとも揶揄され酷評された。
それによく似ている。
なんとなく、どこか寂しい。
年に一度、おちおちしているとささっと過ぎ去られ、ほんの一瞬のこの時季にしか逢うことができない。
縦走路紅葉③
紅葉は里に下りており、標高は930~950mのこの縦走路では終わってるだろうと思ってたが、まだまだだった。
しかしこの様子だとあと3~4日もすればすっかり地面に落ちてるだろう。
足元は落ち葉でふかふか。
落ちた葉っぱはヤマモミジやウリハダカエデ、シロモジなどなど。
大川神社裏 大川神社境内
縦走路から一旦車道に出、再び急な斜面を喘ぎあえぎ登ると、大川神社の裏の祠近くにある三角点に飛び出す。
大川神社は雨乞いと安産の神様。
安産は妻も子もとっくに必要なくなってるので、来年の雨乞いと、山登りの無事をお祈りした。
キャンプ場管理棟 ヤマナシ
ヤマガラやーい、管理棟に行く。
シーン!
ツーともピーともチーともゼーともいわない。
ちょうど居合わせた管理棟の方によると、雪がちらつかないと寄ってこないそうだ。
時期は12月に入ってからだとか。
妻が、ピーナッツ持ってきたのにねって言うと、「置いておくと、いつの間にか来て、食べてるようだよ」とのこと。
しかし、妻は置かなかった。
なるへそ、これがナッツリターンか。
この時期、エサには困ってないだろうから、雪の積もるころにまた来よう。
ヤマガラに代わって、お腹の空いた二人はおむすび弁当に、肥える太ると言いながらガツガツ食らいついた。
ヤマナシの実 ナシ拾い
境内へ引き返した。
大きなヤマナシの木にたくさんの実が生っていて、ボトボト落ちている。
一つ拾い上げ、割って食べてみた。
ほんの心持ち甘い。
妻が三つほど拾い上げ、ザックに入れた。
今夜のデザートに出すのかい!
車道のススキ 展望台
13:55、急斜面をずるずる下り、ススキの茂る車道へ降り、再び廃寺跡の遊歩道を辿り展望台へ。
大川山と稜線
展望台から歩いてきた稜線と大川山を振り返ってみた。
左端が大川山で右側一番高く見えるところが標高おおよそ980mピーク、そのすぐ左脇暗部が阿讃縦走路合流地点の中寺道入り口のようだ。
大川山からここまで見た目には遠いが、意外と近く、おおよそ1時間で下りてきた。
城山と満濃池 鉄塔下
急な下り坂に差し掛かると、後ろを歩く妻が、独り言が多くなる。
滑るー、こんなとこに石があるやんか、乗らんようにせないかんし。
えーっ!こんなところに咲いてる、今日来てよかったー、逢いたかった花に出あえたしー。
あーしんど、下りはしんどいから、いかんやんか。
西陽
登りのときにも眺めた、東山峠方向の山並み。
午後のこの時刻、風景は西陽の光で乱反射する。
淡い緑 ホオノキ
道に大きなホオノキの葉が落ちていた。
見上げると枝にはまだ少し残っている。
妻がホオの葉はティッシュの代わりになるんでという。
ホオー、そんなんでけるん?破けて困るんちゃう?
大丈夫、大きいから少々破けても使えるんで。
硬うて、バリバリしとるし、ティッシュ代わりにして拭いたら、血が出るぞ。
ホオーかな?
ホオーよ。
ちーっとも大丈夫じゃないのは二人のノンコじゃわな。
登山口に帰着 登山口へは簡易コンクリート道を上がり右の細い道へ
オナラが出た。
妻がすかさず、おまえ、くっさいニオイで、何をしよんじゃ、この山をおまえのテリトリーにしようとしよんかい!
あのなー……
登山口は正面お堂の左へ 登山口は煙の立つ方向に
朝、県道から登山口付近にある谷合の砂防堰堤を目で探してみて、見えなかった原因がわかった。
朝の光は時間帯によって谷合に届きにくく、陰になって見えにくかったのだ。
いま帰り際になって県道から眺めると、堰堤コンクリートがはっきり見えた。
車を出して。塩入温泉に移動する。
途中、真っ黒くて大きないかつい体の猿が車道を横切った。
ふぇー、ゴリラみたいな猿だ。
おっとっと!
間違って赤い暖簾を押し上げて入ろうとして、何事もなかったことにして青い暖簾をわざとに手で威勢よく跳ね上げ男湯に入る。
脱いだものを一枚一枚丁寧に畳み、バッグに入れていた新しい肌着と入れ替え、体重計に乗り、一瞬の納得顔。
ツルッとすべりそうなタイルの床をおそるおそる歩き、シャーワーをしゃわっと浴びて、白く煙る湯船にどっぽん。
おーっ、おーおーおーっ!あーうっうー、いいお湯だ。
地下500mから湧き出る温泉は、少し白っぽく濁っていた。
湯上りにくつろぐ大広間では、テレビが大相撲を映し出し、大関昇進を狙う髙安は痛い2敗目、横綱を狙う豪栄道は5連勝、休場明けの白鵬と鶴竜が快進撃で面白い場所になっている。
風呂から上がってきた妻は、備え付けの血圧測定器で測ったところ、測定不能、めまいがしたのか畳の上にどたりと寝ころんだ。
しばらくしてもう一度測定した。
上が80、下が50の低血圧、風呂でのぼせたか、もしくは水分補給不足による一時的なもののようだった。
<本日のコースタイム>約15km、5時間20分、引くことのコースミス25分=4時間55分(休憩休息含む)
駐車地点9:45ー(ロス25分)ー登山口10:20-三角点・中寺11:30ー11:40展望所(東屋)11:50-12:30阿讃山脈縦走路合流地点12;35-三角点・大平12:45ー13:15大川山13:55ー三角点・大平14:15ー14:20阿讃縦走路分岐地点14:25-展望所(東屋)15:00-三角点・中寺15:10-登山口15:55-16:05駐車地点
グーグルマップ(登山口などの位置がわかる地図)→こちらへ
ルートラボ(時間・距離などがわかる地図)→こちらへ