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むらくも

四国の山歩き

マドの天狗…徳島県

2015-06-27 | 祖谷山系

マドの天狗               まどのてんぐ



山行日                 2015年6月24日
標高                  1245.7m
登山口                 西祖谷山村下名坂瀬川松尾川出合地点林道
下山口                      同上 山風呂集落跡への林道
駐車場                 なし(149号線沿い広い路肩)
といれ                 なし
水場                  日比原南標高965mP南東林道沿い標高おおよそ890m
                     山風呂南西沢標高おおよそ790m
メンバ-                単独




梅雨入りして早くも3週間が経った。
日毎に湿度が増していたが、夏至を過ぎて一気に高まったのか、不快感100%。
室内はジトッ!身体もジトッ!
窓から眺める遠くの山並みも、白く霞んでいるか、まったく見えないかのどちらかだ。
まれに雨上がりの日などは山肌はわりとくっきり見えていても、麓は霧が漂っていたりする。
梅雨が明けるにはまだ早い。
あと3~4週間はこんな天気が続くものと思って間違いなさそうです。

梅雨が明けるのが待ちきれない虫がいる。
雑草や葛などが生える草むらでは早くもキリギリスが鳴きだした。
キリキリキリ-と長く引っ張ったあとにはいつものスィッチョンがない。
まだ練習中のようです。
なかにはキリキリキリ-が鳴けなくて、チョッ……チョッ、チョッとだけよ~んと鳴くものもいる。
ス-パ-ではあの黄色くて甘-いマクワウリも売り出した、いよいよ夏ですね。

梅雨の晴れ間を狙ってどこかの山へと思いながら地図を眺めた。
以前からチョッとだけ気になっていたマドの天狗、ここを県道149号線が走る松尾川から登ることにした。
特に気持ちが惹かれたのは山風呂という集落跡。

国道32号線を走って祖谷口橋を渡り、しばらくのところにある出合から左折し松尾川を遡っておおよそ12km余り(出合から)、景勝地竜ヶ岳の少し先から右手に登る林道の奥にその地がある。
標高おおよそ700m~760mの山間地に昭和26年に8戸(人数不明)。昭和46年7戸31人が暮らしていたようです。
主に林業で生計を立てていたが、昭和45年頃には林業が廃り、次第に戸数を減らしていった。
かつては児童が13人いたという出合小学校山風呂分校もあったのですが、昭和55年3月31日、最後の一人が卒業し休校を経て昭和57年に廃校となった。



マドの天狗を山風呂集落跡を入れてどう周回するか、県道149号-日比原-マド-マドの天狗-旧マド-山風呂集落跡-県道149号を時計回りで歩くのか、それとも反時計回りで歩くのか、当日現地登山口に到着するまで迷った。
わたしの場合、普段は初めてのル-トでより困難さがともなう方を登りにするのですが、なぜなら危険性が高く、それ以上歩くことが困難だと判った時点で引き返すことを考慮にいれているからなのです。
そうすることでより安全に短距離短時間で引き返すことが出来る。

ところがこの日の計画である往路復路両ル-トとも、ネット検索には掛からなくて、事前情報を得ることができませんでした。
地図上では両コ-スともマドの天狗直近まで破線の道があるのですが、破線の道が廃道になっているということはこれまでに何度も経験してきており、崩れていたり、まったくの自然に還ってしまって大薮になっていたりということもあります。
特に、破線の道が尾根ではなく、川や沢を跨いだり、渓に沿っていたり、等高線の狭い中腹だったりすると、その可能性が高いとみたほうがいいようです。

6時、自宅を出発、天気予報は曇りときどき晴れ、野外は湿度高くボ-ッとした視界。
猪ノ鼻トンネル付近の気温は17度。
吉野川に架かる青い祖谷口橋を渡って出合へ。
そして左折し149号線をくねくねと竜ヶ岳方面へ。

8痔ちょい、松尾川支流の逆瀬川を過ぎたところの149号線沿いの小さな小屋のあるちょっとした広場に駐車。
8:29、スタ-トし、少し引き返した所にある擁壁に沿ってついている林道から登りだした。
迷っていた登り口は、駐車位置からほんの少し近い日比原への道で、偶然にも時計回りになりましたが、まさか軽トラが入れるような広い林道がついているとは思ってもみなかったことでした。




歩きよい林道は延延と続いていましたが、途中、いくつにも分かれており複雑でした。
つづら折れに上へ上へと辿ります。
かつてはこの辺りにも民家があったのでしょうか、地図には建物があったことを示しています。
途中一カ所でハッカの強い匂いがプ-ンと鼻を突きました。




空気はひんやりしていたのですが、湿度が高く、汗が流れ落ちます。
堪らずに長袖のシャツを脱ぎ、半袖一枚になる。

いくつかの三叉路の一つで道を誤ったようです。
直進先に小屋があって、その先は行き止まり。
林道はここまで、そう勘違いしてしまって踏み跡らしき植林の中を前進したのですが、踏み跡らしき道は完全に消えてなくなり間違いだったと気がつく。
引き返し、先ほどの小屋の前を通り、三叉路を上へ。
965mPへと続く尾根はすぐ右手上に見えてます。

思わず首筋を手で触ると、指先にふにゃりとした感触が伝わってきた。
つまんで目先に持ってきた。
毛の生えていないなにかの虫だった。




歩く先々で林道はさらに分岐してましたが、尾根上に出るように、方向と地形を確かめながら概ね南西方向へと上ってゆきます。
途中で尾根の東を巻くように林道が延びてましたので、尾根には出ず、逆らわずに南東方向、やがて南へ。
最近使われていない林道にはいくつかの倒木があったり、動物の足跡があったりしてましたが、不思議なことにカヤなどの雑草はなく歩きよい。
何年も放置されているのでしょうが、倒木を除けて、小石を片付ければ、車は十分に走れる状態を保ってました。

小さなトカゲがチョロチョロ何匹も道を横切る。
この時期はまだ子どもなんでしょうね。
体長20cmになるかならないかの細くてちょんまいヘビもチョロチョロ。




標高965mPの東直下を過ぎたところで突然に左手に景色が開けました。
左側の渓谷が松葉川で、中央の渓谷が逆瀬川、そして中央奥が風呂塔方向、ガスが掛かっている一番高い山が烏帽子山のようです。
写真が小さいので残念ですが、大きく見ると奥深い荘厳な景色が広がっているといっていいでしょう。
手前に自然林の急峻な傾斜を見せ、その向こうに杉などの森林が渓谷へと裾野を広げている。




景色の開けたところは、林道が上から崩れてきた土砂や石によって塞がれていたが、その一部分だけであって、危険はなくそのまま奥へ進むことができた。
山水がやや急な沢筋から流れ落ちていて、水場に適していた。

左斜面の緩やかな林床には三椏やシロモジが一面に生えており、特に三椏は山風呂、日比原で暮らしていた当時の人たちの一部収入源でもあったようです。




道はやがていくつもの林道が交差する峠と思しき場所に差し掛かった。
交差点の傍らには三界境を示すお地蔵さん(明治2年)が鎮座している。
時刻は10:18、マドといわれる峠だった。

カッコウの鳴き声が東の渓筋から届く。




北方向へと続く林道を歩いてみたら、小屋があって、その先へも続いていそうだったので直ぐに引き返した。
この道は尾根を通っていくつも枝分かれしていた日比原への林道に繋がるのだろうか、それとも山風呂方向へと下って行くのだろうか?
林道は峠から南東方向へと下る道と、西へ向かう道とに別れている。
西への道はおそらく旧マドに通じるものと思えた。

お地蔵さんの裏を歩いて尾根への踏み跡を辿る。
ここまでずんやり林道歩きでしたが、ここからやっと山道に入れることになり、ほっとした気持にさせらる。




標高1100mくらいでしたでしょうか、エゾハルゼミの鳴き声がしきりと聞こえてきます。
ヒグラシも混じっていると思いました。

左斜面は杉植林、右斜面は自然林、その境目付近にテ-プが施されており、山頂へと導いてくれる。
前方にマドの天狗らしい、三角形の頂が樹幹越しに見え、やがて杉植林はなくなり自然林になった。




テンニンソウだろうか、まだ伸び始めのようで背は低いが、そいう場所に差し掛かり、そこはやや開けていて、ウノハナとも呼ばれているウツギが一面に咲いていた。




東の方角に景色が見えているのだが、生憎のガスでよくは判らない。
たぶん、方角からして寒峰台地(カヤト)の向こうに烏帽子山が聳えていたのではないだろうか。

10:57、東側から回り込むようにしてマドの天狗山頂に立つ。
標高わずかに1245.7m、少し開けた山頂にはシカの糞がパラパラと地面に落ちていて、点名・天狗の三角点石柱が埋設されている。




真東には寒峰台地と思われる尾根が延々と続き、その右手には寒峰の頂が乳白色にかすんでいた。
空気が澄んでいればもっと間近に見えたかもしれないが、この日の寒峰ははるか遠くに見え、一人たりとも訪れることを阻んでいるように感じた。
落合峠まで一体どれほどの距離があるのだろう。




こちらは南東の天狗塚や三嶺方向を撮影したつもりですが、いま一つ判然としない。




10分余り景色を楽しんだあと、テ-プが施された北西への尾根を下る。
標高おおよそ1200m付近の幹に二段巻きのテ-プが施されていたが、分岐地点というものではなさそうだったので、そのまま尾根を直進。




ほどなく苔蒸した岩場に差し掛かった。
先ほどのテ-プは岩場を避けて、少し巻きなさいという意味合いにとれなくもなかったが、岩場は特段問題なさそうです。
前方に形のよい中津山が見え、足元には特徴のあるヤマシャクの実がなってました。




フタリシズカもまだ咲き残ってます。
中津山の手前に小高いピ-クが見えていますが、これが鞍部旧マドの直ぐ北西にある標高おおよそ1120mの頂きのようです。




途中にはシカが傷つけたと思われる木がありましたが、根本付近にはなにか判らない、シカではない他の動物のものと思われる4本の爪跡があります。
11:36、標高1051mの旧マドに到着。

前方左西方向に、おそらく田ノ内へと思われる道があります。
直進尾根標高おおよそ1120mP方向には薄い踏み跡があり、テ-プも施されています。
山風呂方向への破線の道を探りますが、杉植林が広がるばかりで道はどこにも見当たりません。




左写真は後方を振り返って撮影した物ですが、先ほど下ってきた尾根からの道を左へ折り返すようにしてついている道はマドへの道です。
どうやら山風呂への破線の道は跡形も無く消えていて、残っていないようです。
それとも見過ごしてしまったかのどちらかですが、前者のような気がしてなりません。

ここでマドへの道を辿り下山するということも考えましたが、一先ずテ-プの施されている1120mPへの尾根道を歩いて登り、そこから北へ進路をとり、山風呂方向へと下ってみようと思い直しました。

一登りで1120mPに辿り着きましたが、テ-プと踏み跡は北西への尾根へと続いていて、北の山風呂方向にはなにもなし。
しかし、そこは杉の林床で下草もなく歩きよい。
思い切って、北へ下ることにした。




10分ほど下ったところで、水源かん養保安林の看板を見つけたのです。
ル-トは間違ってない、このまま北へ下って行けば山風呂集落跡に辿り着けるだろう。
そう思って、ここでお昼ご飯とした。
ザックから取りだしたおむすびがコロリン、コロコロ山の中。

時刻は12:03、これから県道へ降りる距離からすると、下山には早すぎる時刻でした。
おにぎりを頬張りながら、中津山へ登ればよかったかなとも思いましたが、看板はあっても踏み跡がない状態が続いているので、このまま下山続行。

12:26、なんとなく踏み跡らしきところを歩くが、すぐに見失う。
再び踏み跡を見つけ、左が沢筋の小さな尾根をしばらく追った。




小さなカエルが飛び跳ねる沢を渡るが、踏み跡なく、荒れている。
もう一度沢を渡る。
間伐材がゴロゴロ転がる林床を乗り越えながら進むが、時間が経つばかり、しかも長く続く。




再び踏み跡に乗った。
それは古い作業道、二段巻きのテ-プが施された場所にやってきたが、踏み跡が濃い尾根方向を選んだ。

20cmばかりの小さな小さなお地蔵さんに出合った。
よく見ると周りには同じく倒れてしまった小さなお地蔵さんが3基ほどあった。
倒れていた石を小さな台座の上に立て直した。
全部で4基、拝んで先へ進んだ。
なぜかは判らないが方向が変だと感じた。
脳みそが違うという。

GPSで位置を確かめ、地図を取りだした。
破線の道からは少し南にずれた尾根を辿っている。
尾根を引き返し登った。
下るときには気がつかなかった小さな祠の跡のような石積みがあった。




どうやら先ほどの二段巻きのテ-プのところから、沢へ下り、渡ったあと左岸沿いに北東に進むのが正解のようなのですが、沢筋は荒れている。
獣道を辿った。

カケスがジェ-ジェ-騒ぐ。




再び水の流れる沢にぶつかり、それを越えると、ヤマゴボウの花が咲く場所に出たが、このヤマゴボウの原産地は中国で、漢方薬として栽培されていた物。
人家が近づいたようです。
ほどなくお釜が野ざらしになっているところに差し掛かるが、辺りには割れた瓶の欠片も散らかっていたり、古い洗濯機も転がっていた。




集落跡だろう、たくさんの石積みが残されている傍を通過。
少し先で廃屋が見つかった。




廃屋の下にある畑や小屋からは、朝歩いた日比原からの尾根と、その先にマドの鞍部辺りが見え、マドの天狗の山が見えている。
ここから眺めるマドの天狗の形は意外となだらかで丸かった。(中央右奥)




ヤマゴボウ
もう一度マドの天狗を振り返る。
この山名はどこから眺めて名付けたものかは知らないが、ここからこうやって眺めると、丁度窓を開けて頭を突き出し、いまにも顔を出そうとしている天狗に見えてしまうから不思議です。




畑に残された栗の木には花が咲き、放つ芳香が辺りに漂う。
秋にはたくさんの実が生るが、摘み取る人はもういなくて、獣たちにとってはうれしい食糧になるだろう。




民家からの道は分かり難く、適当に下って、林道に出た。
左斜面上部方向に小学校跡らしい敷地の一部が見えたような気がしたが、寄らずにそのまま下山。
小屋があって…。




石積みのカ-ブを曲がって、そこから15分ほど歩くと、県道沿いにある民家が見える。




14:23、県道に降り立った。(左写真の右側林道から降りてきた)
松尾川の川床すぐ傍に立つ神社らしき建物を眺めながら県道を歩いて、駐車地点に帰り着く。

<後記>
当日、登山口である林道入口に立つまで、山風呂側から登ろうか、それとも日比原側から登ろうかと迷っていたが、もし反時計回りに山風呂側から登っておれば、最終民家の廃屋すぐ先で道は消え、荒れた沢や、間伐材の転がる山の状態からして、登るのは諦め、引き返していたものと思われます。
それと、下りで出合った小さなお地蔵さんと小さな祠跡の尾根先は、方角的には山風呂集落の林道へと下っています。
引き返さなくともそのまま前進しておれば、林道へと繋がっていたかも判りません。
しかし、やはりここは引き返して破線付近を歩くのが原則でしたでしょうか。

旧マドからは右往左往、道なき山を歩くことの難しさを痛感した一日でした。




149号線駐車地点8:29-林道入口(149号線沿い)8:32-マド10:18-10:57マドの天狗11:09-旧マド(標高1051m)11:36-標高おおよそ1120mP11:52-12:03標高おおよそ990m水源かん養保安林標識12:18-山風呂集落跡奥地廃屋13:41-林道出口(149号線沿い)14:23-14:30駐車地点


グ-グルマップ→こちら(登山口などの位置が判りやすい地図)
ル-トラボ→こちら(距離などが把握しやすい地図)


<参考>山風呂集落跡周辺拡大図
  

コメント (159)
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国見山…徳島県

2015-04-28 | 祖谷山系

国見山                くにみやま



山行日                2015年4月26日
標高                 1409.1m
登山口                西祖谷山村徳前
下山口                池田町川崎
駐車場                登山口(有宮神社付近広い路肩)、下山口(なし…邪魔にならない適切な場所)
トイレ                なし
水場                 897.5m峰北西沢((注)夏場には涸れる可能性あり)
メンバ-               アンジ-パパさん、佐々連さん、むらくも




シトシトと雨を降らせた菜種梅雨が去ったあと、お天気は一転、カラリと晴れ間が広がり、気温がグングン上昇、庭の木にも毛虫が湧き、たくさんの小鳥たちがついばみにやって来る。
誤って木から落ちた毛虫は地面を匍うが、哀れ5分と持たず小鳥が舞い降りあっという間に姿が消えてしまう。

目の前を流れる川も、水温がずいぶんと上がってるのだろう、ときおり覗き込む水辺で魚の影が活発に動いている。
流れは小さな中洲を形成し、勢いよくうねっているが、その浅瀬のところで水しぶきを上げながらなにか大型の魚が遡っている。
いくつものしぶきがキラキラ光り、肝心の姿は見えないが、それは5分ほど続いた。
鯉にしては動きが活発で、あのどんくさい魚が川を勢いよく遡るとは思えない。
よく掛け軸とか屏風などに鯉の滝のぼりの絵が描かれていたりするが、あれは大ウソだと思っている。
鯉は流れの緩い水たまりでゆるゆると泳ぎ、泥をすくいながら口に入る物はなんでも食べる。
産卵はちょうどこの時期、水際の浅瀬に生える水草に産みつけるので、滝をのぼるなど天地がひっくり返ってもありえない。
話しが逸れたが、流れの速い浅瀬でバシャバシャいわしながら遡上した魚が鯉かどうかは別にして、水温があがり、魚たちも活発に泳ぐ季節になった。

日は随分とながくなり、山はいつの間にかアケボノツツジの季節。
以前から口癖のようにロング歩きをしたいと言ってた佐々連さんから、大歩危の徳前から国見山へ登って、川崎へと縦走しないかという連絡が入ってきた。
詳しくはわからなかったが、川崎への下山路では随分と長い林道歩きが待ち構えているそうだ。
林道や車道歩きを除けばいいコ-スで、今回は二台の車で登山口と下山口を繋ぐことにしたのですが、登山口付近にはJR大歩危駅、下山口の川崎近くには同じくJR祖谷口駅があって、交通の便がいい。
坊主さんと妻に声を掛けたが、即座に断られた。
坊主さんは、コ-スが長い、体力に自信がない、朝早いのでよう起きんという。
妻もようついていかんという。
二人ともすっぺらこっぺらと逃げの一手、こういうのをヘコキ虫キンちゃん太郎と言う。
人の前で屁をこいて、キンちゃ-んと叫びながら逃げていく輩のことだ。
つまらん奴らだ。
わいは行くど-。

というわけで、ロンガ-佐々連さんとヤブコギアンジ-パパさん、ロ-トルムラクモッチの三人で出かけることにした。



早朝4時ちょい過ぎ起床。
妻は高いびきをこいて寝ている。
奴は昨日、岡山の山を歩いてイワウチワたらいう花を見たりしてるので、今日はのんびりするつもりらしい。
牛乳に甘酒を入れてレンジでチン、昨日買っておいたピザを囓って出発。

5時45分、アンジ-パパさんと佐々連さんと財田道の駅で出合って「オハヨ-」さん、太陽もサンサン。
車二台で一路池田町川崎へ。
祖谷口橋と川崎橋を渡って、とある元公共施設らしい建物の駐車広場に車を一台デポ。
西祖谷山村徳前へと走り、県道45号線の広い路肩に車を止めて有宮神社へと歩いた。
すると地元の方に、国見山へ登るんだったら、有宮神社前に駐車する場所があるので、そこまで車で行きそこから登るといいと声を掛けられた。
ご親切にも神社への道、駐車場所も丁寧に教えて頂く。
お礼を述べて、再び車に乗り込み有宮神社へ。

教えて頂いたとおりに、有宮神社には平成24年に三好市有形民族文化財として指定された「徳前からくり襖絵」の舞台があり、説明書きがありました。
もしも、現在もお祭りが開催されているなら観に来たいものです。

7:17、シンとしたお堂の横から裏へ続く階段を上がる。
階段を上がると苔蒸した参道になり、鳥居をくぐる。
その奥には杉の根っこが盛り上がった境内、そして本堂があって、その右側から奥へと杉植林の山道が続いている。




途中、分岐があったりするが尾根方向の道を選びながら進むと、やがて陽の当たる明るい急斜面を登るようになる。
登り始めの神社の標高がおおよそ370m、その少し上の本堂を超えたところで急登になるが、そこから標高600mあたりまで容赦のない急登が続き、体が慣れ暖まる前から大汗をかく羽目になる。
標高640mあたりから再び急登。
標高800m付近で尾根を外れて、958m峰を右へ巻くように破線の道が続いているが、それを見失い、道のない尾根を追ってしまう。

上部で東から西への道に合流、わたしは左にとりそのまま三角点のある958m峰への尾根を上がろうと思ったが、佐々連さんの右への指示に従い東へ下る。
道はやがて分岐し、一方は東へ下っており、一方は北へと上っていたので左折し北への登り道を選択。

8:47、958m峰の東直下だろうか、杉植林から明るい自然林への境界のところで位置確認をしていたところへ単独女性の方が追いついて来た。
わたしたち三人の中で、わたしは決して足は速くないほうだが、それでも女性の方に追いつかれるという経験はそう多くはないことなので、少し驚いた。
アンジ-パパさんがご挨拶の後、積極的にお話をされていた。
大歩危駅から25分で有宮神社に達し、わたしたちの車を確認したのちに神社裏から登山道へ入ったとのこと。
山道では新しい靴後があったので、車の主だと思いながら登って来たらしい。
女性の片はKさんという。
経験豊富で相当に山慣れされた方だと思った。
途中、山野草の自生地を訪ねながら山頂までご一緒させて頂くことにした。

958m峰西斜面には綺麗な自然林が続く。




9:03、958m峰北側の尾根に乗ると、そこにはカタクリの花がぽつりぽつり現れる。
4人でちょこっと寄り道をしたあと再び急斜面を上がる。

シハイスミレ




タチツボスミレとミツバツツジ




ヒトリシズカ

再び道草をこきながら、4人で急斜面を登りますが、この間、Kさんから貴重なお話を種々お伺いすることができました。
アンジ-パパさんの後ろにKさんの姿。




標高1114m峰に到着。
足元にはカタクリの葉が踏み場もないくらいにあちこちにたくさんあったが、すでに終わりかけの花がぽつりぽつり。
Kさんによると、ここは地元の方たちがカタクリ山と呼んで親しんでいるそうな。
一旦鞍部に降りて、再び急斜面を登るが、登り始めのすぐのところで、右へ分ける後道峠への横駆け道への分岐があった。
なおも、尾根を登ると伐採されているところに出る。




展望が良好だ。
Kさんの話しでは、ここに林道が着けられる予定だとのこと。

南には梶ヶ森や杖立山方面の山並みらしいのですが、同定をようしません。




南西方向ですが、アンジ-パパさんが双耳峰の野鹿池山を同定。
黒滝山や白髪山も見えているらしい。
北西眼下には小歩危の西上部の西宇の集落が見えていた。




頭上ではミツバツツジが咲き、ようやくブナも芽生えている。
モノレ-ルが尾根を横切っている。
踏み跡ははっきりしないが、尾根を辿れば迷うことはない。




10:25、緩やかな尾根を過ぎ、しばらく歩くと背の低い笹尾根になり、灌木が茂る。
10:45、ネコヤナギのような形の穂をした花が咲き、シロモジの黄色い花も目立つようになる。
山頂が近いようだ。




11:05、山頂には男性の方がお一人坐って食事をしていたが、やがて次々と後山峠方面から登って来て、賑やかになる。
川崎方面の尾根を眺めながら佐々連さんとアンジ-パパさんが地図で確認。




山頂で出合った方としばらく賑やかにあれこれと対話した後に、名残惜しいがKさんとお別れして川崎方面の北尾根を下った。
Kさんは、おそらくあと1週間から10日後にもまた訪れることになるんじゃないかと思った。




下る尾根はシロモジに混じってブナも多く、いい尾根です。
11:14、少し下ったところでお昼ご飯とする。
尾根左側ではカラマツ林が空高く背筋をピンと伸ばしていた。




今日のお昼はヨ-グルトとおむすび、山での食事はちょくちょく変な取り合わせになってしまう。
11:39、腰を上げ出発。
オオカメノキの白い花が咲いていた。

11:49、少し苔蒸した杉林の中に大きな水たまり、綺麗だ、見とれてしまったが、ここが1352m峰でした。




11:54、1352m峰から少し下って北方向からやや東方向に向きを変えたところで、明るい灌木の林の中で再び大きな水たまり。
12:05、苔蒸した岩がある所に差し掛かったが、この辺りが地図に載っている破線のある場所で、破線の先は途中で正木から南への中腹の道と交差し、そして小歩危に架かる橋に続いているようですが、踏み跡があったのかなかったのか、まったく気がつかなかった。

登りきると1343m峰、尾根をやや東へ直進すると1200m峰に行ってしまい、祖谷川へと降りてしまう。
注意しながら尾根のない北方向へ下るが、やはり踏み跡を外してしまった。




コンパスと地図を握りしめて、やや西に振る。
ホッ、踏み跡に合流した。
ここからは再び明瞭な尾根道で、緩やかに下る。




12:56、賑やかな野鳥の囀りを耳にしながら鼻唄気分で下って行くと「宝殿」の標識。
宝殿というからには石造りか何かの遺跡がありそうなものですが、辺りにはなにもない。
シ-ンと静まりかえっている。
ピ-クを右に見て、ゆるやかに西へ方向を変えながら巻いてゆく。




再び尾根に乗ったところで、右からの林道に合流し、奇妙な光景にでくわした。
そこは伐採されており、その跡に杉か桧かを植林しているところで、若い苗木は細長い塩ビの筒の中。
その筒が林立している風景でした。

ここから林道下りです。
川崎までずんやり林道歩きかと思い、少しげんなりした気分になりましたが…。




長くは続かず、12分ほどで再び山道へ、ホッとしました。
13:22、風穴というところに到着。
風穴というからには、岩穴があってそこから冷たい風が…、と思ったが、辺りにはそれらしいものはない。
さては、長い年月の間に埋まってしまったのか?
わからん。




夏鳥のツツドリがその懐かしい鳴き声を耳元へ半年ぶりに届けてくれる。
13:30、1018m峰を少し過ぎたところで進む方向を再び北にし、それを少し行ったところで、山道から林道へ降りた。




林道の向こうには897.5m峰が見えている。
13:56、林道歩き25分ほどで897.5mの手前鞍部に到着。
そこは五つ街道で東西から林道が交差しており、北向きには897.5m峰を挟み込むようにして道が延びていた。
897.5m峰を左に巻く山道に入った。




フデリンドウ

14:04、ウッチョキに到着。
ウッチョキ、なんという変わった地名だろう。
三人で話しながら、ウッチョキとは「打越」が訛ったものだろうなどととりとめもないことをしゃべってましたが、違いました。
その標識に書かれていたのは「打越」ではなくて、「打置」でした。
なるほど、ウチオキがウッチョキと訛ったんだわ。
因みに佐々連さんの話では打越とは谷への入口とか、壁とか、切り通しの意味がある地名。
壁というのは一つの壁でなくて、壁から壁の二点を繋ぐところだそうです。

では、打置とはどいう意味合いがあるんでしょうか。
普通には放置とか、打ち捨てておくと解釈するのですが、実際のところは解らない。
因みにそこの地形はなだらかな雑木林で、国土地理院の地図にはカヤ場を示すマ-クが記されていた。





左写真がウッチョキ付近の山の容子です。

ハルリンドウ




897.5m峰を巻く道は北東側の沢筋に入ったところで、やや崩れたところもあって、歩くのに注意がいった。
緑緑した苔が生え、綺麗な沢水が流れている。




14:35、ガ-ドレ-ルが施された林道に降りた。
そこから2分ほどで正木からの道と合流し、その13分後の14:50には右からの林道と合流するが、そこは井戸口山手前の鞍部だった。
道標があって、祖谷口橋まで3.1kmと記されていた。
目の前には標高645mの井戸口山への急斜面があって、踏み跡がある。
7~8分もあれば山頂へ行くことが出来そうだったが、山頂は展望もなく何もないと聞いているので、行く気は起きないし足もすでに重たくなっている。
井戸口山を東に巻いた。





15:14、川崎に随分近づいたところで、東に景色が開けた。

中津山、舟山が見えており、近くの山の中腹には大申や山貝の集落が見える。
この位置からは見えないが、真下には祖谷川が流れているのだろう。





いつの間にか簡易コンクリ-トの車道になっていて、右側に小さな石積みの祠があって、中にはお地蔵さんが鎮座している。
ここからショ-トカットでお地蔵さんの右へ降りる細い道を下った。
ほどなく眼下に見覚えのある青い祖谷口橋が見えてきた。

民家の近くで犬に吠えられた。




慌てて下って、滑って転んで、頭から地面に打ちつけた。
地面は柔らかく助かったけど、泥でドロドロになった。

後ろから来る二人に注意して右へ回るようにして降りてもらったが、アンジ-パパさんが柔らかい土に足を滑らし、ズリズリずってんと尻餅。




廃屋の上の畑跡を通って…




雰囲気抜群のお堂へ。
北東には形のいいお寺の鐘楼の屋根が見えている。




車道ではなく、わざとに昔からの細い道を選んで降りていくが、そこからはのんびりと落ち着いた風景が広がっていた。




朝、車をデポしたときに見えていた煉瓦造りの煙突の建っている民家に降りたが、そこは「百年蔵」といって、旧赤川酒造所で、今はギャラリ-になっているところでした。
15:54、デポ地点に帰り着いた。

佐々連さん、誘って頂きありがとうございました。
アンジ-パパさん、ご一緒して頂きありがとうございました。
沿面距離は15km強なので、それほどの距離ではなかったのですが、えらいこと脚が重たくて疲れました。
しかし、縦走の尾根や稜線は結構面白い地形でしたし、なによりも「ウッチョキ」という地名がいつまでも頭に残る思い出深いところになりました。




有宮神社登山口7:17-カタクリ山(1114mP)9:43-11:05国見山11:39-1343mP12:13-宝殿12:56-風穴13:22-ウッチョキ14:04-水場14:13-井戸口山手前三叉路14:50-15:54川崎下山口駐車地点


グ-グルマップ→こちらへ(位置が判る地図)
ル-トラボ→こちらへ(距離、時間が判る地図)

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膳棚・矢筈山周回…徳島県

2014-05-12 | 祖谷山系

矢筈山            やはずやま




山行日            2014年5月9日
標高             1848.5m
登山口            つるぎ町一宇県道304号線沿い
駐車場            なし(県道304号線広い路肩)
トイレ            なし
水場             尾根および稜線にはなし(片川上流及び支流の小川や沢)
メンバ-           坊主とむらくものチマチマ隊




毎日日曜日組の坊主さんとわたし、以前から二人でチョコチョコと山へご一緒していましたが、この度、神のお告げがあってチマチマ隊という名称をいただくことになりました。
チマチマにチョコチョコを着けてチマチョコ隊とすればなおいいのですが、どこかのお菓子屋さんと間違えられても困るので、単純にオノマトペ風にチマチマ隊、いい感じです。
このことは未だ隊長の坊主さんにはご承認いただいていないのですが、たぶん、得心され10回ほど大きく頷き、大賛同されるのではないかと、そう思って隊名を拝することとしました。
チマチマ隊長坊主、隊員1号むらくも、なお多くの隊員を募集したいところではありますが、チマチマ歩きが出来る人というのはなかなかに絶滅間近の貴重種類で、坊主隊長によると、次のような特徴というか妙癖を持っておられる方に限られるようです。
その一…山頂に立つことには拘らず、これ単にチマチマと周回を果たすこと
その二…お天気のいい日には岩の上でトカゲをすること
その三…三角点を見つければ、前足で根本を掘り起こし、等級を確認すること
その四…道迷いは当たり前のこと、なぜなら道のあるところは歩かない、ただただ歩きよい所を歩くこれがチマチマ隊の大鉄則、違反した者はただちに罰金100万ガバチョをがあべらBK(口座番号は別途通知)に振り込んだ上、除名処分
その五…従って道迷いという言葉は辞書にはありませんので、途中で分からなくなったからといって引き返すことは原則ありえない、突進あるのみ。
隊長はチマチマとややこしいことはお嫌いですので、隊則はどこやらの山の会(どこやらとは申しません、っていうか知らないのであります)のように10も15も作りません、五訓であります。

というわけで今日もデタラメなプロロ-グでしたが、とりあえずチマチマ隊は出かけることにしたのです。
行き先は祖谷に聳えるかの有名な矢筈山、目的はその東にある岩場の膳棚でトカゲをする。
従って矢筈山という山頂は有名ではありますがどうでもよろしい、周回のためのただの通過点であります。



5時起床、5時半出発、気温15度の猪ノ鼻を越え、阿波五街道の一つ撫養街道、別名川北街道(県道12号線)を東へと走る。
朝陽が随分と眩しく、サンバイザ-を下げ、窓から入る風を受けながら、朝の歌をくちずさむ。
先生おはよう、皆さんおはよう、小鳥もちっちと歌っています おはよう、おはよう♪

朝だのに昼間を過ぎ、足代をも通り越し、まだ閉まっている三野にある道の駅を横目でチラッとやりすごし、中通りから右折して半田へ抜け、坊主隊長の待つ貞光道の駅。
この日は金曜日でしたが、キャンピングカ-などの車がたくさん駐車しており、テントも張られていた。
GWを外して旅行している方たちなんでしょうね。
最近はホテルなどには泊まらず、道の駅で車中泊される方が増えている。
消費税増税後、燃料代や高速代なども高くなったしで、世の中節約ム-ドのようです。

先に来て待っていた坊主隊長と乗りあわせをして、438号線を走って、岩戸温泉の少し先で右折し、民家がちらほらある片川沿いを遡る。
石ノ小屋へのピンカ-ブのところで、路肩へ駐車。
7:38、空気は冷やこく、シャツ2枚を着てスタ-ト。
片川に架かる細い鉄橋を渡ったが、対岸には造成中の林道があり、砂利などが置かれている。




造成中の林道はすぐのところで行き止まり。
踏み跡はないかとキョロキョロ探したが、見当たらない。
もともと、踏み跡を辿る気持は薄かったので、そのまま南へと入り、尾根に取りつく。




適当に登っていくといきなり伐採地に行き当たり、短い足で難儀する。
植林帯を抜け、標高1060m辺りではシロモジの三つに深くくびれた新緑の葉っぱが青空に映える。
シカの鳴き声が五月蠅いほどに山に響きわたる。




日が差し込む林床ではところどころで小さなピンク色をした花が出迎えてくれたが、これはジロボウエンゴサクのようです。
ミツバツツジが咲き残っている傍らではブナがすっかり芽吹き、色も一段と鮮やかです。




標高1100mを越えたでしょうか、やや痩せ尾根になりシャクナゲの蕾がぽちぽち。
この尾根を登った方が残して行った赤テ-プが、枝に巻かれていたが、わざわざ結んでいる。
雨でも降っていて濡れて粘着力なく、結んだのかもしれない。
8:53、標高1168mPを通過。




シャクナゲがずっと続いたあと、下草がない開けた明るいところに出る。
おそらくこの辺りは過去には笹が茂っていたのだと思いますが、シカが食べてしまったのでしょう、歩きよい気持のいい尾根です。
登山口から尾根に取りついたところで、念のため熊避けのために笛を吹いて入山したのですが、ここでも笛を吹く。




山桜の大きな木からひらひらと花びらが舞い落ちるその下では新しい芽吹きが始まっていた。
ブナではなさそうでしたが、可愛らしい新芽が枯れ葉の間からニョッ。




シカの糞がそこここに転がっていて、ところどころで樹の幹に熊と間違えそうなほどに角研ぎ跡が残っていて、
下草は毒のあるバイケイソウだけが活き活きと伸ばしている。




急登が続き、ときどき休みを入れながらゆっくりと足を運ぶ。
ここのところの気温の上昇で、飲み水は2リッタ-、そして牛乳なども持ってきているので、多少はザック重量が増えてはいるが、
涼しくて汗も出ず、飲み水もほとんど口にしなくて済んでいる。

時刻は10:45、標高が1600mを少し越えたところで苔蒸した石がゴロゴロしているところに出た。
平地と比べて気温はおおよそ9度から10度低いので、10度から11度程度だろうか。
杉や桧の植林帯を歩くのをそれほど苦にしない坊主さんも、やはり自然林がいっぱいのところを歩くのは気持ちがいいと言う。

シカは低いところから笹の葉を食べていくようで、上へ登るにつれ笹の芯だけ残っていたモノがだんだんと着けている葉が多くなってくる。




稜線が間近のようで、残雪が出てきた。
この標高になってくると、気温はグッと冷え込んでいて、樹木たちの芽吹きはまだだった。
稜線が近づいてきた。
右へ右へと弧を描くように意図的に剃らせながら登っていく。




目前に岩棚が見えてきた。
稜線には出ずに、そのまま棚の根元を矢筈方面へと進む。
膳棚、このときはこの岩棚が膳棚だとは気がつかず、根元を回って稜線に出、のちに一つのピ-クに立ったときにやっとこさこの岩が膳棚だったと気がつく。




稜線からの展望は抜群でした。
三嶺から天狗塚や牛ノ背の稜線が目の前に展開している。




手前が塔ノ丸、奥には剣山・次郎笈の主峰。
ここから眺める二つの兄弟主峰は昔、大工さんが使っていた墨壷を真横から見た形に似ているなと思った。




景色を堪能したあと、西へと進む。
後ろを振り返って坊主さんを入れて写真を撮ったが、その後ろの桧のような木が生えているピ-ク奥が膳棚だったのかもしれないと、いまになって後悔している。

道標が立ってました。
黒笠山までここから2.3km、矢筈山までは1km、因みに石堂山までは3kmと表示していた。




11:34、標高おおよそ1770m。
当初は展望のいいこのピ-クが膳棚のある位置だと勘違いしていたのですが、違っていました。
ここには岩棚はない。
ちょっと気落ちしたが、引き返して膳棚の岩に登り返すのもしんどいし、ここでお昼ご飯とした。
目の前に形のいい矢筈山のピ-クが見えています。
坊主さんとうんだら話、何を話したか、まったく覚えていないほどに馬鹿げた話題だったらしい。
坊主さんにはときどき小学生並みやといわれることがあるが、いつものことなので、全然気にも止めていない。
むしろ、小学生以下、アホだのボケだのと、幼稚園児並みです。
まどろみそうな時間が過ぎていく。
こんな時間を楽しむ事ができるのは、いまのところ、山だけのような気がする。

コ-ヒ-も飲み終わり、小さな窪みの残雪を眺めながら、矢筈山へと向かった。




振り返って津志嶽方面を撮影しましたが、手前から1770P、そのすぐ左奥が東膳棚のようで、膳棚は1770Pの陰になっているようです。
南の谷間方面には霧谷がありますが、霧谷林道が伐採地辺りから上がって来ているのが見える。
2年前、坊主さんとちょこっとだけその林道へ車を走らせたが、ガタガタのダ-ト道だったことを思い出した。




一面の笹原だ。
久しぶりに山らしい山に登ったという感じです。




こういう風景は瓶ヶ森から平家平にかけての長閑な稜線と、剣山から牛の背にかけてのゴ-ルデンル-トに観られる、四国の山の原風景です。
他にも土佐矢筈山から綱付森、塔ノ丸から丸笹山を経て赤帽子山などもそうですね。




12:48、矢筈山山頂到着。
一休み。
坊主さんの2本3本と立て続けに吸う紫煙が高く舞い漂い、匂いを残してふっと消えていく。




石堂山への尾根を下るが、ここの斜面は相当にきつかったように記憶していたが、今日下ってみるとそうでもない。
その後の多くの山行での経験の数がそう思わせているようでした。
昔、ひどいヤブだと思ったり、悪路だと感じたものも、もっと酷いところを経験すると、なんでもないことのようになる。

下る斜面からもう一度膳棚を振り返って見た。
右から黒笠山、手前左に1770mP、左に東膳棚、左奥やや低い位置に津志嶽。




石堂山方面へ、石堂山のちょい右手には御塔石が小さく見えていた。
西方面には烏帽子山の特徴のある山容が聳えている。




ドンドン下って、稜線から離れて片川へと下る踏み跡を探したが見つからず。
見逃したのかもしれない。
少し引き返して、適当なところから笹の斜面へと踏み込む。
とりあえずコンパスを片川上流へと指針方向を合わせて、一直線に下ろう。




ダケカンバの林を抜けて、やがてブナ林が現れた。




目通り3mほどのブナがあちこちに出現し、ときおり抱きつきながら下る。
抱きつかれたブナはびっくらこいてるだろう。
アブナ-と言ったかどうか。
時間はたっぷりある、途中休みながらのんびり歩く。




このル-ト上には薄い踏み跡があるだろうと思い込んでたが、まったくない。
自然そのままです。
やがて沢が現れ、綺麗な山水が流れていた。
渡って小さな尾根を乗り越えると…。




作業道らしき踏み跡があり、それを辿る。
やがて細尾根になり、行く先々でシャクナゲの花が迎えてくれた。




満開だぜ~。
シャクナゲの虜になっていると、やがて崖に差し掛かり、なおも深追い。




ツツジも咲いてるでよ~。
右手深い谷には滝が流れ落ちているのが見えた。
あら、ここは渡れないわな。
位置的にはもう少し先に進めば目的方向の地点に差し掛かるはず…。
左手へ降りるしかない、そう思った。




崖と言っていいような急斜面を降りた。
下には片川の谷が見えている。
川床に降りた。
岩だらけのところを進んでいくと、そこは滝、しかも水が落ち込むところは深めの淵だった。
左岸の登れそうな所を目で探した。

するとなにかもぞもぞ動く物が斜面に鼻を突き立てて、ゴソゴソ。
アナグマだった。
顔は見えなかったが、お尻とふさふさしたシッポが可愛らしい。

ここを突っ切るには、アナグマの居た斜面をよじ登るしかないが、その前後左右ともに崖に近い状態で、足を滑らせると大岩の上に落ち込むか、もしくは運が良くても淵に沈んでしまいそうでした。
突っ切るかどうか逡巡した。
ここは片川の上流の川床、位置的にはほぼル-ト上に近いところにあることは間違いなくて、川床を越え、左岸から右岸へ少々濡れてもジャブジャブすれば、ル-トに復帰できる。
そう思いながら、坊主さんに問いかけたところ、坊主さんは凛々しく顔を引き締めてきっぱりと引き返そうと言う。
その言葉に迷いから目が覚めた。




降りてきた崖を右へと迂回しながら、なんとかかんとか這い上がり、石楠花咲く尾根に戻ったときは正直ホッとしたが、しかし、道はなく、目を皿のようにして探したところやっとそれらしい薄い踏み跡を見つけて、右側に流れる渓へ降りたところ、対岸の先に踏み跡が続いていた。
この間、写真を撮る余裕がなかっただけにホッとした。
時刻は17:03でした。
登山口へはあとおおよそ20分から30分もあれば着く。
そう思った。




はっきりした作業道を歩きながら、坊主さんと一安心後に生まれた余裕のある会話が続く。
「あの谷へと下る踏み跡は薄すぎて、下りのル-トに使うのには不向きだわな~、しまったね、反時計回りじゃったが~。」
「あれは分からんわな、甘く見てたな~」
「それより、あの崖這い上がり、あれはそのまま降りた崖を上るのには危険じゃったわ、迂回してよかったが~。」
「いやいや、崖は下ることが出来れば、上がることは先ず間違いなく出来るはずやと、わしゃ思うとる」
「なるへそ、そりゃそうじゃが、それにしても危なかったわ~」
「あのまま滝の淵斜面を突っ切ってたら、どうなっとったやろ?」
「たぶん、怖いことになっとたぞい」
「いやいや、引き返すと言ってくれたときは、さすが坊主じゃがと思うたわ、ありがとな、良きパ-トナ-じゃ」

ところが、どすこい。
小さな小川に架かる橋を渡ってしばらく先で、目を覆いたくなるような光景が映った。
なんと伐採された杉が辺り一面に倒され、通行不能状態。




倒木を潜ったり、跨いだり、そうこうしながらなんとか突破を試みたが、ますます酷くなり抜き差しならなくなってきた。
斜面を登ってもなお切り倒された倒木が転がっている。
時間が経つばかりで焦ったが、他に手立てがない。
できるだけ上へと迂回し、やっとこさ、降り立ったところは、朝に見た林道の終点の右下側でした。
ホヘ----!
こりゃ、分からんはずやわ。

坊主さんがポツンと一言。
「もし、朝の時点で、尾根へは向かわずに、予定どおりにル-トを探し歩いてたら、あの作業道の状態を見て、今日の山行は中止したじゃろわい」
「そうじゃろわいな~」
「ちゅうことは、探さんと、いい加減な適当歩きをして良かったわ」
「う~ん、しかし、反省すべきことが大きいわ、甘かったな~」
「なんちゅうても、一番してはいかんことをやってもうたわ、道迷いの谷下りはセオリ-どおりしたらあかんな~」

馬鹿っちょチマチマ隊二人、帰りの道すがら、なんども繰り返し話したことでした。




石ノ小屋登山口7:38-膳棚11:14-11:34おおよそ1770mピ-ク12:08-12:48矢筈山13:14-分岐?13:45-滝へ迷い込み16:22-小川渡渉17:03-小さな橋17:17-18:13石ノ小屋登山口


※地図上左クリック→グ-グルマップへ移動

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風呂塔~石堂山周回…徳島県

2013-06-11 | 祖谷山系

風呂塔、火打山、白滝山、石堂山    ふろんとう、ひうちやま、しらたきやま、いしどうやま



山行日                2013年6月8日
標高                 1401.5m、1424.5m、1526m、1636m
取りつき地点             東祖谷落合ながお橋林道奥
下山地点               ながお橋より南へおおよそ1kmの県道44号線沿い
駐車場                なし
トイレ                なし
水場                 火打山より南、1378mP間の鞍部から15分西に下ったところ
                   (道標有り)
メンバー               つむじかぜさん、佐々連さん、坊主さん、むらくも




昨年に行った鹿島槍のメンバー4人がそろって風呂塔~石堂山を周回することになった。
先日、佐々連さんと二人だけで歩いた兵庫山~野地峰の大失態があって、一斉に山仲間から惚けにされ、総スカン喰らわされた。
いつもなら、どんまいどんまいで済ますのだが、今回は通用しない。
当然に励ましなど一つもない。
当たり前か。

ザックの中味や持ち物の総点検をした。
ヘッドランプ、ツェルト、ガスバーナー、医薬品、靴紐、細引きロープ、カッパ、エマ・シート、飲み水、食糧、ラジオ、笛、GPS、皮手袋、防虫ネット、ライター、時計、殺虫スプレー、タオル、ペーパーなどなど。
コンパスは首にかけられるように、地図も首掛けと思ったがそれようの地図入れを買ってなかったのでポケットに。

これであとシュラフとマットを用意したらテント泊が出来てしまう。
ビバーク完璧、準備万端いつでもOKよ。
(とか言いながら、いざそのときになったら、ビビッてしまう癖に…心の声)

事前に坊主さんから、祖谷山系のクマ情報がメールで届いた。
何年か前に風呂塔キャンプ場にクマが現れて、キャンプ場の施設などがワヤクソにされたとか…。
ウソッ!
祖谷山系にクマ出没と言う話は聞いたことない。
アナグマかハクビシンの間違いじゃないの?
猿も悪戯するよな。

坊主さんの言うことには、クマは1日50kmは移動するから、居てもおかしくないという。
う~ん、剱さんから牛の背にかけて棲息してるので、そこから50kmといえば、余ってお釣りが来るわ。
なんだかポッチャン便所みたいな話やな。



頼りないわたしと佐々連さん(済まん佐々連さん、話の成り行きからそうなってしまった)二人に任せられんというわけで、つむじかぜさんと坊主さんが仕方なくご一緒してくれることとなった。

周回ルートはながお橋林道奥から取りついて、風呂塔から派生する南尾根を登り、下りは石堂山北から左に弧を描くように派生する尾根を歩く。
上り下り両尾根ともに踏み跡はないものと思われた。
問題はヤブがどの程度か、当たって砕けろだ。
エスケープルートは火打山と1378mPの鞍部から下る破線の道があって、しばらくで林道に出合い、出発点のながお橋へ容易に辿り着ける。

午前5:30自宅出発-6:00道の駅たからだの里さいたで佐々連さんと待ち合わせ-6:30東みよし町役場でつむじかぜさんと坊主さん待ち合わせ~桟敷峠を越えて7:10県道44号線のながお橋への入口付近。

前日は31°の猛暑日だったが、今日の空は全体に薄く雲が蔽っていて、涼しい。
うっすらと青空もところどころに覗いているが、熱中症の心配はなさそうだ。

県道44号線の車が3台ほど駐車できそうな路肩に車を止め、7:19準備を済ませて出発。
県道から左への道を下りて、ピチピチと滑らかに流れる透明な川に架かるながお橋を渡る。
梅雨とは思えない爽やかな空気が辺りを包んでいた。

橋を渡って歩く林道はしばらくは山側に岩の崖が続く。
つむじかぜさんがここから登れるな、と言うが止めておこう、ショッテッパナで崖からおっこちて、骨折でもしたら大変だ。
年寄りは骨がモロくかすかすだわ。

やがて崖も途絶え、適当な位置から山手へ取りつく。
斜面はやや急登だが、伐採跡で、桧の若い木があとに植林されていて、比較的登りやすい。
忽ち汗が吹き出した身体を休めるために、足を止め、後ろを振り返る。
昨年、松尾川ダムから登った烏帽子山への稜線とその山肌に林道が走っているのが見えた。




奥に霞んで聳える山は石堂山だろうか、矢筈山は後ろに隠れている。
あらたに植林した斜面には無数の獣道が刻まれていて、ところどころに茅が敷き詰められたイノシシのベッドがある。
先ほどまでいたと思われる足跡と、ところどころで獣の匂いがプンと鼻を突いてくる。




尾根の肩に乗った。
座り込んで一息入れながら、石堂山を眺めると、西に派生する尾根には随分上まで林道が切り開かれている。
この尾根が石堂山から西へ下る破線のある尾根のようでしたが、わたしたちが下ろうとしている尾根は、手前にある尾根のようでした。

岩場が行く手を遮るが、回り込まずにそのまま木や岩角を摑み這い上がる。




1318mPが近づいた。
風呂塔山頂までおおよそ半分程度のところ、8:54分に1318を通過。
斜面は緩やかになって、距離が稼げた。
ところどころにピンクのテープ、たぶん林業関係の方たちが施したものだろう。




9:19、ジャスト2時間で風呂塔山頂到着。
景色はない。

足が重たいこと。
涼しいのにやたらと汗が吹き出す。
長袖のシャツを脱いで、半袖一枚になった。

石堂山まで行けるかしゃん、ちょっぴし不安。
え~い!ここはがんばるっきゃないぞ。
三人に迷惑を掛けないようにしなきゃ。
20分ほど休みを入れて、東に聳える火打山へ向かって再スタート。

稜線は木の階段や道標が設置されたりして、整備された歩きよい道が続いている。
ちょっとした遊歩道のようだ。




9:53、風呂塔と1322mPの中間に位置する小ピークのところに、西に向いて下るこざっぱりとした踏み跡があった。
早速、3人のヤブスキーたちが集合して、何処へ行く道だろうかなどとうんだら話を開始。
地図には載っていない道だ。
位置的にはながお橋から、東へと延びている林道へ下りる道ではないかと想像したが、実際には分からない。

前方に火打山らしいピークが見えてきた。
1322mPへと歩く間に二つほど北への踏み跡があったが、これは風呂塔山頂を巻いて風呂塔キャンプ場(施設老朽化のため閉鎖)へ行く道のようだった。




10:29、やや崩れかけの石で組み立てられた祠のようなものがあった。
内を覗いたがなにもない。
10:32、火打山山頂に着く。
下りや平道だと問題ないが、ちょっと登りになるとすぐに息が上がる、もうバテバテだわ。
予定にはなかったが、ザックを投げ出し、へたり込んで休息を入れさせて貰った。
他の三人は涼しい顔をして三角点で写真を撮ったりして遊んでいる。

あかん、もう年やわ。
しかし、ここまで来たら、白滝山まで1時間、石堂山までさらに1時間弱、あとは下り2時間の尾根歩きが待っているだけ。
キアイダーキアイダーキアイダー!死んでもキアイダー!!

コンビニで買ってきた黒糖みるくパウンドを口に放り込み、ポカリをぐい飲みして出発。




火打山から先はササヤブだとばかりに思っていたが、整備された道が続く。
当てが外れてしまって、不意打ちを食らったオンビキみたいな気持になった。

やがて、立てられている立派過ぎる道標には「水場15分」と書かれていて、右手やや引き返す方向に踏み跡があった。
地図で確かめると、これがながお橋から西奥へと伸びている林道終点への破線の道らしかった。
そこまでの途中のどこかに沢水が流れているのだろう。




水場の道標の位置が火打山から白滝山までの間の最低鞍部、火打山からおおよそ150mほど下って、白滝山まで250mほど登り返すようになる。
普段ならどうってことない標高差だが、今日はやたらとしんどい。
ときどき立ち止まっては息を整える。
歩く道には膝までの背丈の低い笹が生えていたが、6月のこの時期には新葉で青々と茂っているはずだのに、葉は形を保ったまま枯れているのが目立った。

何処の山も笹枯れが起きているが、シカの食害だけでは説明できないような現象だ。
シカ食害に加えて、地球温暖化と中国からの酸性雨やpm2.5などの影響もあるのかもしれない。
日本列島は過去に比べて小雨傾向にあるともいわれているが、環境が大きく変化していることには間違いがなさそうだ。




風呂塔~白滝山間での最高のビューポイントに着いた。
そこから眺める景色は、北東に開け、半田そーめんの有名どころの半田町で、半田川上流に点在する集落が一望できた。




11:57、展望のない白滝山山頂到着。
やれやれ、待望の休憩とお昼ごはんだ~、この歳になると欲望はほとんど無くなるが、食欲だけは旺盛。
きっとまだまだ生きていたいという証なんでしょう。
おにぎりをパクついた。

食事中のうんだら話は、観音寺市でロト7に当籤した16億円というとてつもなく幸運な話。
そして、途中で見たという熊の足跡。
ロト7はいいとしても、熊足?ほんとかよ、見たのはつむじかぜさんと坊主さん、佐々連さんとわたしは見ていない。
う~ん、見たという二人はなんだか怪しいな~、口裏合わせてるんじゃないの?
ウソばっかりこいてたら、閻魔さんに舌抜かれるわい。
なぬ!
エンマさんに会ってみたいじゃと!
地獄へ行け!!

笹枯れの山頂で、まるで研究者のように三角点をシゲシゲと観察する坊主さん。




クッタ食った、久しぶりにたらふく食った。
これでエネルギーが補充できたぞ。
ファイトイッパーツ。

歩き出してすぐに石堂神社から上がってくる道に合流。




辺りは植林などなく、自然が濃い。
溜息が出るほどに新緑がいっぱいで、いままでの荒く吐いてた息が止まってしまいそうな感覚。

祠のような自然に出来た大工小屋石。




小屋石から5分と経たずに御塔石へ。
若い頃はこれを見たときに、ふ~んと一言感心しただけで、素通りしてしまったが、この年になるとやたらと感動してすり寄ってしまう。




右側面に設置されている祠にお参りした。
なにとぞ宝くじかロト7たらいう籤が当たりますように。

少し歩いて、再び御塔石を振り返った。
当たりそうな気がした。




13:17、石堂山山頂に到着。
これで登りは終わった、あとは下るだけだが、実はここからが本日の本番が始まる。
とりあえず、座り込んでコーヒーで寛ぐことにした。

20分ほどして、西への薄い踏み跡を辿ったあと、向きを北に変え、腰の低い密生した笹藪に入っていく。
人の歩いた道はなく、やたらと入り組んだあるやないやら判らない程度の獣道を追う。
テープは一切無い、こんな尾根滅多とあるもんじゃない。




ワオ~っ!景色は緑一色。
身体が染まりそうだ。




テンニンソウの群生地が広がる。
ブナ林もある。




しかし、いい夢はここまで、高度を下げるに従って、灌木が密生してくる。
振り返って見た石堂山。

灌木ヤブはとにかく酷い状態で、前を塞ぐ枝を潜ったりかき分けたり、おおよそ1時間半以上におよんで、石堂山から1259mPを挟んで林道が見えるところまで続いた。
イヤと言うほど引っ掻き傷を作りながら、引き返そうかと思うほどげんなりした。
ルート取りも難しかった。
小さな枝尾根が進む方向にいくつも現れ、その都度コンパスと睨めっこ。
握りしめたコンパスと地図が埃と汗でよれよれになる。
ときおり現在地をGPSで確認した。

1259m近辺で坊主さんが比較的灌木の空いている南側へ降りようと言い出した。
つむじかぜさんが首を横に振った。
なるほど、地図を見ると南下には破線の道がある。
しかし、詰まった等高線に崖の表示。
坊主さんは少し未練があったに違いない、やや躊躇しながら、腰をかがめて再び灌木尾根に突入した。




我慢に我慢を重ねて、やっと灌木ヤブが空き、やがて斜面下に林道が見えてくる。




地図にはない林道だった。
予定ではそのまま真っ直ぐ尾根を歩いて、破線の道に合流する計画だったが、その尾根は植林地だったが酷いヤブ、気持が萎えた。
林道を南東に歩いたところ、沢に出た。
山手沢左岸に薄い踏み跡が確認出来た。
破線の道のようだ。
ところが林道はその登山道を切断した形になっており、下る入口は塞がれ入り込む余地がないほどに荒れていた。
(後に少し後悔した、強引に突っ込んで、ヤブをかき分ければ、破線の道に出たものと思われる)




林道を進むと鹿避けネットと鉄門。
開けさせていただいてさらに林道を歩く。
上から作業を終えた地元の方が軽トラで降りてきた。
道を尋ねた。
林道を下ると細い道があるとのこと。
お礼を言って、横道へと入っていく。

小さな沢に出た。
渡った対岸の少し上に、その山道があった。
坊主さんは以前にこの破線のルートを辿ったことがあるのだが、破線そのものではなくて、沢を歩いたらしい。
沢を見ると、水は流れているし、石でゴロゴロだった。
よくこんな歩きにくい沢を一人で下ったもんだ、感心して唸った。




道はほどなく沢右岸に降り、左岸へ渡渉して県道に飛び出る。
沢を渡るときにはヌメった石で足を滑らし、佐々連さんと(訂正、坊主さんでした)二人でバシャバシャと派手な音をたてた。
靴下がたちまちに濡れる。
沢にはワイヤーがあった、昔は簡単な橋でも在ったのだろうか。(訂正、橋ではなく、ワイヤーを岸から岸へ川を横切るように張って渡りよいようにしていたらしい) 

出た県道から沢への入口の写真を撮ってみたが、道標もなにかの印もなくこれでは判らないわ。




廃屋を眺めながら、1km先の駐車地点まで、酷い尾根歩きの感想を呟きながら、今日の山歩きの手応えにニンマリ。
もう、二度と歩かんわいや。

帰りに運転する車の中で、右足に痒みを感じた。
指で触ってみた。
硬い小さなしこりがある。
何思わず引っ張った。
取れたものを見た。
小さな黒っぽいゴミのようなもの、よく見ると細い足が何本か見えた。

うあ~っ!急いで車を止めて、気持ち悪いので手を振り払った。
間違いなくマダニだった。
二度ほど妻にくっついたマダニを見たことがある。

咬まれたところは靴下と皮膚の境目だった。
スパッツを着けていたのだが、ダニはそれをくぐり抜けて這い上がったようだ。

いま話題のSFTS(重症熱性血小板減少症候群)、致死率は低いが、先ほどのダニ、このウィルスを持っていたら…ゲボゲボ。
いまのところワクチンは開発されていない。
もしもの場合、帰宅して発症するのを待つしかないが、とりあえず、御塔石で祈願したロト7の当籤は取り止めて、ウィルスがないように、勝手なお願いだが、こちらに差し替えてもらうことにした。

欲に満ちたお願いをして罰が当たったんだわ。
ヤブは止めよう。
大嫌いだ。




駐車地点7:19-取りつき地点7:25-1318mP8:54-9:19風呂塔9:39-10:32火打山10:50-11:57白滝山12:35-13:17石堂山13:35-1259mP14:51-県道44号線16:17-16:32駐車地点


※地図上で左クリック→グーグルマップへ移動

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烏帽子山…徳島県

2012-09-06 | 祖谷山系

烏帽子山              えぼしやま


登山日               2012年9月3日
標高                1669.9m
取付地点              西祖谷山村松尾川ダム
駐車場               なし(ダム近くの路肩)
トイレ               なし
水場                なし

メンバー              坊主さん、むらくも




またまた坊主さんから悪魔のような誘惑メールが届いた。
今度はどこ?
届いた地図を見ると徳島県祖谷にある烏帽子山、取り付きは松尾川ダム、やっぱりな~、まともでないわ。
カシミールでコースを確認した。

危険、もしくは困難、注意すべきポイント、現在地確認地点に赤丸を入れてみた。
両手の指では足りなくて、文字どおり足の指も足した。
とくに注意するべきところが2ヶ所、1ヶ所は下山地点に架かるダム直ぐ下の橋。
もう1ヶ所は、下山予定ルートで1357m峰から北西尾根上破線までにあるやや複雑な地形。

即返で行くとは言ったものの正直ビビッた。
チェックを入れて、前夜布団に潜り込んだが、久々に目が冴えて寝られない。
午前5時前に目覚ましを鳴らすようにしてたが、3時半に目が覚めて、そこからまた寝られない。
悪く言えば小心者、良く言えば適度に緊張して、体と頭がバリエーションルート?に備えようとしている。

だけどこんなルートどこからどうやって見つけ出すんだろう。
地図を眺めていて、突然頭の中で「ここだ!」と叫ぶんだろうか。
ピカピカッと閃くその摩訶不思議な仙人坊主の脳みそ。

歴史物のミステリアスな本を読んでいると、昔、人は猿や羊などの脳みそを食っていた、いや今でも。
所によれば人の脳みそまで食っていた痕跡があったとか。
脳みそを食うと、頭って良くなるのかな?
話がそびれた。

わたしも見倣って、これからは地図を枕元においてじっくりと眺めることにしよう。
たぶん、睡眠導入剤代わりになるんでないかと思う。




というわけで、32号線を南下し、祖谷口橋を渡って、出合から松尾川沿いを遡る。
松尾川温泉を横目にくねくねと、やがてダムに到着。
運良くダムか電力の工事関係の方がいたので、橋のことを尋ねてみた。
親切な方だったが、橋のことは知らないとのこと。

不安が芽生えた。
すぐに道を引き返し、ダム下の橋を確認しに破線の踏み跡を辿って深い谷へと降りてみることにした。
破線の踏み跡入口には古びた赤テープが一本。
踏み跡は最近、歩かれたとは思えないほど荒れていて、下に行くほど悪化している。

谷底に降りた。
すぐに橋が見えた。
壊れてる。
ワイヤー四本に支えられた人一人渡れる細い橋はなんとかぶらさがって持ちこたえていたが、45度に傾いており、真ん中に進むとその傾きはさらに増すのではないかと思った。
しかし、ワイヤーにすがって渡れないことは?ない??…のでは???
川の水は深くて澄んだ緑色、橋の下は淵のようになっていて、歩いて渡ることなど出来そうにない。
対岸はつるつるした岩壁、登れそうにない。

右下を見ると、淵はなく流れもほとんどない。
石伝いに渡れるところがあった。
その対岸は崖っぽい急な斜面だが、木を摑みながら降りられそう?かな??めちゃくそイヤな感じ。
「行ける、かな。」言葉とは裏腹に流石に坊主さんの目も点になっている。

砂地のところに鹿かカモシカかの足跡が点々と残されていた。


              車道から眺めた烏帽子山の頂


一応、それでも予定どおりに周回することにして、ダムを渡る。
午前9時、出発時刻がやや遅くなった。




先ほどのダム下は深い谷、ここからは壊れた橋は見えない。
谷の向こうには降りてくる予定の尾根と、急激に落ち込んだ小さな頂が見える。
ダムを渡って左手に山からゴーッと流れ落ちる水路の細い階段から上がりだした。

しかし、階段から先は踏み跡のない急斜面。
いきなり汗が吹き出す。




滑りやすい斜面を登って小さな尾根に乗っかり、やや左方向へと尾根を追う。
スタートして30分ほどの地点に四等三角点、点名春ノ木尾。
坊主さんにダム下に春ノ木尾という地名があると教えられた。




地図ではこの辺り一帯が杉の植林地になっているが、自然林も適当に交ざっていた。
左下に大きなヌタ場が見えた。
水は泥で濁っている。




とんでもない急登に出くわした。
斜度50度はあるだろうか、ヒーヒー這いつくばる。
一度60度ほどの斜面をロープのお世話になりながらつむじかぜさんと下ったことがあるが、あれ以来の
急斜面、しかも登り、たまらん。

やがて、破線手前のなだらかな鞍部に着いたが、尾根を横切るように踏み跡が薄く読み取れた。
地図では鞍部からもう少し南へ登ったところに破線が記されていたが、本当はここ鞍部に破線があるのではないのか?
二人でえらそうに「国土地理院もときどき間違って地図を作ったりしてるからな~」「そうよ、しかも一度描いたらもうそのまま直さへんしな」などと誹しりながら歩く。
本当は地理院の地図には山へ行くたびに大変なお世話になってるのに、その恩を仇で返すようなもの、まあ、わたしという生まれつき愚かな人間はそんなもんです。
ごめんやして。




すぐにシャクナゲの茂る尾根を経てちょっとしたコブに着いた。
そのコブが1254.9m峰と勘違いしてしまって、必死になって三角点を探した。
ありません。
無いはずです、1254.9m峰はまだ先でした。
地図上では破線のちょい南の位置、完璧に地図を読み違い現在地を見誤ってしまってました。
ちょっとしたショックでしたが、気を取り直して、正しい位置と歩く方向を修正確認。

10分ほどでほんとうの1254.9m峰、三等三角点・高場に到着。




尾根からは矢筈山方面と、烏帽子山が見えていたが、生憎の天気で曇ってます。




索道用のワイヤーがところどころでとぐろを巻いたまま放置されてた。

えーっ!
突然、林道に飛び出る。




伐採のための林道のようで、景色は開けているが、ガックリ。
張り詰めてた体の力が一気に抜けてしまいました。




へなへなへな。
どこまで続く、この林道。

オープン・ザ・ドア




伐採地が目前に迫る。
またまた、金網の扉に。
開けて外に出た(内に入ったが正解か?)が、林道は下へと下っている。
仕方なく稜線へと這い上がる。
ところがそこには長々と鹿避けネットが張られており、なんとか超えられるところを見つけて、稜線に復帰。




林道を歩いている間に1357m峰は通り過ぎてしまい、復路の分岐を確認することができなかった。
あちこちに黒っぽい動物の糞と巣穴。




やがて急斜面になり、一つの岩場を乗り越えようと、岩に足を載せた途端に岩が崩れ落ち、体ごとひっくり返る。
向こうずねを思いきり打ち付けて、仰向けになった。
手足をバタバタ、まるで亀だ。

坊主さんが大丈夫かと声を掛けてくれたので大丈夫と答えたものの、痛い。
浮き石ってこういうことなんだなと実感した。
下はなんでもない柔らかな窪み、切れ落ちた岩場でなくて良かったわ。

腰から肩ほどの高さの笹ヤブに突入。




笹を抜けるとテンニンソウの群生地、ホッとしのも束の間、またもや笹藪に突入。




繰り返しているうちに、落合峠を走る44号線沿いの造林小屋からの登山道にひょっこり飛び出した。
やれやれ着いたわ。
13:34、烏帽子山山頂です。




西にある崖へ寄ってみた。
ガスでなにも見えない。

山頂に引き返し、遅い昼食。
ガスが一段と濃くなり、雨粒が落ちて来だした。
遠くで雷の音、慌てて下山開始。
雷の音は次第に近づいてくる。




笹を掴みながら滑って転んで、地べたに突っ込む。
雷が鳴ってるのにこんな時に限って、危険な桧の大木に出合う。
早く通り過ぎよう。
焦って通り過ぎたものの、待てよ、あんな大木来る途中はなかったぞ。

尾根筋を間違ってる。
引き返した。
雨は止む気配がない。




烏帽子山を振り返ったが、山中からガスが湯気のように立ちのぼるばかり。
稜線上の1357m峰の分岐まで帰ってきたが、そこには四段巻きの古いテープが幹に施されていて、ここは分岐ですよと言っているようでした。
復路とする予定の尾根筋を見たが、踏み跡はない。

雷雨、ガス、ダム下の半崩壊状態の吊り橋、歩いたことのないルート、時刻はすでに15:29、予定の周回コースは止めよう。
やや遠回りだがより安全な往路を下ろう。

再び林道に降り、終点から尾根へと入り込む。




一度通った尾根だが、それでもルートを何度か踏み外す。
その都度引き返し、元来た尾根へ復帰。

やがて、朝通った灌木の茂みに、ただでさえずぶ濡れだのに、木の枝や葉っぱに引っかかり、ますます濡れる。

そろそろ大きく左折せんといかんピークが近いぞ。
坊主さんに声を掛けてもらいながら、やがてその問題のピークに達した。
分かってるはずなのに、来たルート方向が谷に見え、間違ったなだらかな歩きよい尾根へと外してしまう。
なにかに取り憑かれたような気がした。
慌てて引き返す。




右に大きなヌタ場を見た。
ホッとする。

1040.8m三角点に到着。
やれやれ、これでもう少しでダムに帰り着くことが出来る。

ダムに流れ混む水音がゴーゴーと小気味よく耳に入ってきた。
尾根から右方向に急斜面を下って、ダムへ。




坊主さんと歓喜のハイタッチ。
幸いにもダムの門扉は閉められることなく、開けて車道に出ることが出来た。
18時ジャスト。

この山に登る前にあれほどルート確認を行って、危ないと思われるところをチェックして、チェック漏れのこんなところでという場所で方向を間違ったりもしたが、チェックしたところでも方向を誤ってしまう。
この稚拙さは…呆れてしまう。

心に隙間風がビューッと吹き抜けた。
秋が近づいている。
うつむいてジッと見つめた手と指には山の土がこびりつき、足元に視線を移すと、スパッツや靴は泥だらけ。
山を見上げる。
いつの間にか雷は遠ざかり、シンとしていた。

帰路は温泉をとおらずに、腕山を超えて池田へ降りた。
ヘッドライト点灯、日が短くなった。




ダム取り付き地点9:00-1040.1040.8m三角点・春の木尾9:30-1254.9m三角点
高場11:03-13:34烏帽子山14:00-1357m峰分岐15:29-林道終点15:50-1254.9m三角点・高場16:20-1040.8m三角点・春の木尾17:31-18:00ダム取り付き地点


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