day by day

癒さぬ傷口が 栄光への入口

野球ファンかくあるべし?

2019-06-06 | ヤキュウ。

今年も6/4を皮切りにセパ交流戦が始まりました。
あの出来事以来…言い方を変えれば、楽天イーグルスの歴史とともに交流戦が始まったわけで今年で14回目。対戦回数が変わったり期間が短縮されたり紆余曲折はありつつも、今のところ多くの年でパが勝ち越してその強さを誇れる結果になっています。
今年はどんな結果が待ってるのでしょうか。
鷲目線だと、決して得意ではない交流戦をなんとか乗り切って、上位を(この際「首位」なんて言わない)キープしたままリーグ戦に戻りたいもの。


なんて、当たり前の交流戦についての雑談をするためにこれを書いているわけではありません。

交流戦の初戦に、ちょっとネットをざわつかせる出来事がありました。
それについて色々思うことがあったので、ここでちょっと自分の気持ちを整理しておこうと思います。


今年の春、阪神タイガースの原口選手が大腸がんであることを公表し、手術を受けました。
手術は成功したけれど、復帰は夏ごろになるだろうという話でした。
その原口選手が、交流戦から一軍に復帰することになりました。

実は私の母も数年前大腸がんで手術を受けたのですが、退院後抗がん剤治療に移ったものの副作用がつらくて1ヶ月のうち体調がいいのはたった数日、良くなったと思ったらもう次の投与の繰り返しだといって母はその治療を受けるのをやめてしまいました。
高齢だしもし再発したら諦める、それまで気持ちよく過ごす方がいいと。
なお余談ですがその後母は再発もせず現在もぴんぴんしています。
ただそれは高齢である母の話です。

まだ若い原口選手が、早期発見だとはいえ再発に備えての治療を拒むわけにもいかないだろうし、そうでなくてもしばらく療養していた身体をプロでプレーできる身体に作りなおすのは想像以上に大変なことだっただろうと思います。それがこんなに早く復帰できるくらい彼はすごく頑張ったのでしょう。
もちろん今後も再発に備えていかねばならない筈だけど、まずは彼がこうして戻ってきたことを本当に心から喜びたいと思います。


さて話はここから。


交流戦初戦の阪神タイガースの対戦相手は千葉ロッテマリーンズ。球場はマリーンズのホーム、ZOZOマリンスタジアムです。
この試合で、復帰した原口選手が復帰後即タイムリーを打つなどの活躍をしたそうなのですが、その時にマリーンズ応援席からも賞賛の拍手が起こったそうで。

ぶっちゃけて言うと、以前からマリーンズのファンは相手選手がファインプレーをした時などたとえ自軍のチャンスが潰れてもそのプレーに拍手をする民だと知られていましたし、そんなマリーンズのファンはフェアプレー精神・球団枠を超えた野球愛に満ちているという調子で評価されていました。そんなマリーンズのファンのことだし私はそれが特に奇異なことだとは思っていなかったのです。
が、一部のファンが「試合中に自軍の投手が打たれたのに拍手するなんておかしい、球場全体が原口を賞賛していても『応援席』だけは自軍の応援に徹するべきではないか」みたいなことを主張し始めたらしくそれでネットがざわついていた…ということです。
応援団も、(事情はどうあれ)このエリアではマリーンズの選手の応援に集中して欲しい旨を述べていたそうですね。これは応援団としては特に間違った対応だとは私は思いません。


ここから私は自分だったらという個人的な気持ちの話をします。


球場には万の単位の人たちが集まってきて、それぞれの思いを持って試合を見ています。
同じ球団のファンで、同じ『外野応援席』に座っていたところで、一人ひとりチームに対する思いの大きさも表現方法も本当は全部違います。
例えば対戦相手がすばらしいプレーをした時に、思わず拍手をしてしまう人もいれば、せっかくのチャンスを潰されて悔しい、それが敗戦に繋がったら尚更と思う人もいます。
でもそれは「どっちが正しい」って、誰かがジャッジすることではないと思います。

私の応援するイーグルスの、仙台の球場でも大なり小なりそのようなことは以前からありました。
例えば、対戦相手が東北出身の選手だったら。
例えば、かつて自軍でとても愛されて、理不尽にさえ思える突然のトレードでチームを去った渡辺直人選手だったら。(直人は無事イーグルスに戻ってきたのでこの問題は消滅しました)
わりと、自軍の応援そっちのけで相手のほうを応援してしまう空気があの球場にはありました。
なんとなくそうしてしまう人の気持ちはわからなくはありませんが、私は自分の応援するチームの投手が打たれたことを喜ぶ気持ちにはとてもなれずいつもモヤモヤした気持ちでいたものです。

ここで大事なのが、「自軍の応援に集中しよう」と口に出さずとも思っている人が、原口選手が大きな病気と闘ってここに登場したことを讃える気持ちが無いわけじゃない、むしろちゃんと讃えたいと思っているが大半なんじゃないかということ。
もちろん、讃えたいなんてこれっぽっちも思ってない、相手の事情なんて全く興味ないという人だっているんでしょうけど。
試合前や試合後に「よく頑張ったねよく帰ってきたね」と大きな拍手を送ることを拒む人はそんなにいないだろうと思うのです。ただ、試合中となれば話は別。

私なら、「は?うちの子が打たれて点取られてるんですけど??何喜んでるの???」ってなってた方だと思います。
繰り返すけど、私は原口選手がこの時期に復帰してきたことを本当にすごいと思うし彼のこれからを励ましたいと思っていることも嘘ではありませんよ。

私も年をとって丸くなる部分は丸くなったので、自分がモヤっとしたからといってことさら「讃えてる人」に噛み付いたりおかしいだろ!ってツイッターで意見を求めたりなんてことはせずにあとで身内でブツブツ言うに留めるだろうと思います。
いや、そんな周囲にケンカ売る元気があるなら、打たれた自軍の投手に「皆は君が打たれたのを喜んでいるわけじゃない、私は君の味方だよ」と伝えるために大きな声を出す方にその元気を使いたいです。



ただ、この話でややこしいのが、
「こんな大病と闘って生還した選手が活躍したことを喜ぶのは人として野球ファンとして当然のこと。我々はそれぞれの球団のファンである前に野球ファンである」
というとてもとても正しく思える大きな看板があることです。

ならば、その場の瞬間的な感情として、敵の復帰選手よりも打たれた自軍の普段から応援しているかわいい選手の方に気持ちが行ってしまう私のような人間は、野球ファンとしてちょっと卑しい、意識の低い人間なのでしょうか?

『野球ファンかくあるべし』という大きな看板を目にして、
自分はその資格がないのではないだろうかと密かに恥じ入ったり落ち込んだりしてる人もいるんじゃないですか?
野球ファンを名乗るならばあの場面で打たれた自軍投手より大病から復帰した選手を讃える意識高い系にならなければならないと自らを縛ってしまう人もいるんじゃないですか??
ただ、自分の好きな選手を素直に単純に応援したいだけなのに。
自分を卑下するような気持ちになってしまう人もいるんじゃないですか???

誰がその「正しさ」をジャッジできるというのでしょう。


極端な例を言います。
例えば、自軍の投手が昨日ホークスで先発した和田投手のように年をまたぐ長い故障からついに復活してきた引退も近いようなベテラン投手で、あるいは数年かけてついに先発ローテに入ってでも援護に恵まれずまだ勝ち星を挙げていない若い投手で、それが勝ちの権利を持ってマウンドを降りていたとします。
その後の中継ぎ投手が、今回の原口選手のような誰からも讃えられるような復帰を果たした選手の最初の試合で、彼に逆転タイムリーを打たれて先発投手の勝ち星が消えたとします。

意識高い系の人たちはそれでもタイムリーを打った相手選手を讃えて拍手するのでしょうか。
するのでしょうね。私にはその気持ちはわからないけれど。
ただ、それを意識低いみたいに言われるのは心外だと思います。

私は、「それでも自軍の選手を応援したい」という気持ちの人が自分は野球ファンとして意識低いんだと思わせられているとしたなら、
「あなたは間違ってないよ」
って言ってあげたいと思います。
だって、好きなチームの好きな選手だもの。どんなケースでだって打たれるのなんか見たくないし打たれれば悔しいし負ければ悔しい気持ちのどこが間違っていますか。

野球ファンかくあるべし

好きな気持ちに正直であることが野球ファンとしてもし間違っているというなら、
「野球ファン」と呼ばれなくてもいいです。
ただの球団ファン、選手ファンでいいです。
そしてそれを誰かに後ろめたく思ったり気兼ねする必要なんてないんです。



ただ、どちらの考えだったとしても自分と考えが違う人にケンカ売ったり口汚く罵りあったり、ましてや選手本人を貶めたり、あるいは相手の考えを直接的間接的にも貶める結果になることを撒き散らすのはきっと正しくないし、卑しいんじゃないかと思います。はい。少なくともそれは建設的なことじゃない。相手に向かって言い始めた時点で、それは自分の考えの押し付けになるのでちょっと傲慢かなって思うのです。
まあツイッターなんて世界は、もし自分のエリアで喋ってるだけのつもりがどうかして相手に伝わってしまうことはありがちなんですけども。


以上です。

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