day by day

癒さぬ傷口が 栄光への入口

David Sylvian~The World Is Everything Tour

2007-10-29 | Flash Back~music
最初に正直に告白してしまうと、私はデヴィッド・シルヴィアンのソロ活動についてはほぼ知らないようなものだ。

私が子供の頃から現在に至るまで、洋楽に傾倒した時期というのは実は殆ど無いようなものだが、何故か中学3年~高校1年頃のわずか2年ばかりの間、友人の影響だったのだかよく判らないが突然何かに取り憑かれたように洋楽に走った時期がある。
と言っても「洋楽に走った」というのは不正確で、しかもアルバイトもせずお小遣いは殆ど漫画に費やすような中学生だった私にはレコードを買い漁ることもできず(というよりそこまではせず)、「ジェットストリーム」をカセットテープに録音してBGMにしたり、洋楽をメインに扱うラジオ番組を聴いてチャートを確認したりとその程度だったと思う。
当時チャートを賑わしていたのは「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」だったり「プライベート・アイズ」だったり「素直になれなくて」だったり「エボニィ&アイボリー」だったり「ビギン・ザ・ビギン」だったりしたことを覚えている。


そんな私が唯一アーティストとして嵌っていたのが「JAPAN」だった。

それも友人の影響だったと思う。
「クワイエット・ライフ」「孤独の影」「ティン・ドラム」
これらのアルバムをカセットテープが伸びて音が歪んでしまうまで聞き込んだ。
同じ友人から、デヴィッド・ボウイのアルバムを借りたりもしたけれどここまでは嵌らなかった。

何にあんなに惹き付けられていたのか。

「JAPAN」は1982年12月に解散した。
解散前の最後のツアーは日本でも開催され、それには土屋昌巳も参加していたように思う。
しかし、まだライブのチケットをどうやって取ったらいいのか知らなかった、そしてどこからそういう情報を得ればいいのか知らなかった私は、このライブに行き損ねた。
別の高校に進学していた友人が、後になってから教えてくれて知ったのだ。
当時ちょっと人間不信気味になっていた私はそのことで一気に内向的になったのだがまあそれは脱線。

その頃から洋楽もあまり聴かなくなり、大学に入る頃までは音楽の空白時期になる。

JAPANのヴォーカリストだったデヴィッド・シルヴィアンの名前はその後も暫くはたまに耳にしていたけれど、徐々に私のアンテナも働かなくなっていた。
あろうことか、事実上の再結成だった「レイン・トゥリー・クロウ」の事も知らなかった。

久々に名前を目にしたのは、浦沢直樹の漫画「MONSTER」のアニメでEDテーマを手がけていた時だったと思う。

私の好きだったあの声がテレビから流れていた。


何に惹かれていたのかはわからないけれど、やっぱり好きだなぁと思った。



前置きは長くなったけれど。

そのデヴィッド・シルヴィアンが大阪でコンサートをやるというので思い切ってチケットを取ってみた。



David Sylvian~The World Is Everything Tour Japan 07

このツアーは、ある意味で自分の初期の活動を忘れ去り、将来について考えるための手段なんだ。 つまりそれは、過去の作品を受け入れ、それからすべてを終らせる意味で、肉体として、あるいは実体としての私と過去の作品との繋がりを断ち切る方法なんだ。
将来的には、再びこうした作品に戻るかもしれない。でも、その時は、繋がりは共有しているが、新しい実体としての作品、という文脈になるだろう。その意味で、これからのパフォーマンスは、大きな透明性を有したものになるだろう(そうなるべきである)。でも、私たちは過去ばかりに神経を集中しているわけではなく、最近録音された曲、特に『ナイン・ホーセズ』のリリースに関連する曲を、より多く取り上げることになるだろう。
『ザ・ワールド・オブ・エヴリシング』は、より身近な親しみやすいショウになる予定だ。いくつかの意味で、10年前に行った『スロウ・ファイヤー』パフォーマンスの反響(こだま)のようなツアーになるだろう。今回のみ、ドラムとサンプラーにスティーヴ・ジャンセン、ベースにキース・ロウ、そして渡邊琢磨を含む3人のミュージシャンにサポートしてもらうことになっている。───── David Sylvian



「初期の活動」というのが「JAPAN」時代も含むのかどうかは知らないが、考えてみれば私は彼のその後(ソロ活動)の音楽を聴いていないのでこのコメントとそのステージの持つ意味を受け取ることは残念ながらできない。

ステージに現れたディヴィッドは座ったままギターを爪弾き、あの少し鼻にかかったねっとりした低音を響かせていた。


音楽性がどうとか、そんなのどうでもいいな。


やっぱり、何であんなに嵌ったのか今でもわからない。
ディビッドが何を振り切り、何を始めようとしているのかもわからない。

でもやっぱり声も、曲も、すごく好きだ。


音楽は理屈じゃないんだよね。
何の予習も予備知識もなくたって、好きな音楽は耳からだけじゃなくて全身から染み込んでくる。
それを再確認できるステージだった。


あまりの気持ちよさに途中ちょっと眠くなったのはここだけの話(笑)。
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