唯幻論

岸田秀先生の思想である「唯幻論」を紹介する。混迷する現代、世界を読み解く理論は「唯幻論」以外には考えられない。

サピオ編集長への手紙

2005年09月19日 | 参考までに
拝啓 新涼の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
いつもサピオ誌上において興味深い記事を編集いただきありがとうございます。

私は思想家の岸田秀先生に師事しており、今月発行の「靖国問題の精神分析 新書館」と大航海NO56掲載の「屈辱の連鎖としての歴史」という最新論文は、現在の日中間の問題を解説した最も重要で緊急性のある視点であると考えます。是非サピオ誌上でとりあげていただいたらと考えてお手紙を差し上げました。(編集長様は名著「嫉妬の時代」の編集をされたと伺っています。)


私は小林よしのり氏の思想にも共鳴しており、戦争論で岸田先生のアメリカ論が参照されている事もあり、わしズムも担当されると言う事なので、是非、敬愛する小林氏と岸田先生の対談の実現をお願いします。(以前そのようなお話があったと伺っています。)                            敬具 

参考資料 大航海NO56掲載 屈辱の連鎖としての歴史 コピー

岸田秀語録

2005年09月13日 | 唯幻論
唯幻論は、諦観論ではありません。卑怯者の逃げ道ではありません。
人生の指標となる「メタ思想」といえるでしょう。
ただし、岸田先生は「メタ思想」という評価を否定しています。
(2005・09・08 藤田博史先生・鈴木晶先生との鼎談)
この件に関しては引き続き考えて見ます。

以下ホームページ掲示板から岸田秀先生のコメントを引用。
これは私の一番好きな岸田秀語録です。
人生は肯定的に!

幻想

 唯幻論は何事にも熱くなるなということではありません。熱くなるのはいいことです。熱くなっている自分を維持しながら、それと距離をおいた自分ももっておくということです。小生は惚れっぽいですが、惚れている時はその感情に基づいて彼女に接します。惚れているという熱い実感があります。受け入れられると非常に嬉しいし、振られると落ち込みます。熱くなるのは良くないとかで、その感情を抑えつけるのは馬鹿げています。逆に大いに惚れている気持ちを大事にします。すべては幻想だというのは、幻想だからつまらないということではなくて、幻想を生き生きと享受するということです。恋愛も幻想ですが、幻想だからこそ、相手とのやりとりにいろいろ味わいがでてくるわけです。

靖国問題の精神分析

2005年09月03日 | 
靖国問題の精神分析 岸田秀×三浦雅士 新書館 ☆☆☆☆☆

「唯幻論物語」に続いてこれも傑作です。この2冊は史的唯幻論をより理解するための格好のテキストになるでしょう。
この著書は史的唯幻論が過去の歴史ではなく、現在進行形である中国を精神分析しているということで、日中関係を考えるうえでもっとも重要な本です。

 三浦さんは「ものぐさ精神分析 青土社」の編集者であり史的唯幻論の産婆的な方です。名著「官僚病の起源 新書館」の編集者でもあり、その岸田理論の解釈で、靖国神社は日本の腐敗した官僚病の根源であり、唯幻論の思想から言っても、靖国参拝はすべきではないと主張し続けます。(かなり自虐史観の印象を受ける)

 岸田先生の主張は、日本人のアイデンティティとしての靖国神社の性格と、欧米・日本に蹂躙された結果、中国は攻撃者との同一視で大東亜共栄圏思想を持っており、靖国参拝中止は、その誇大妄想(幻想)を日本が共有する事になると主張します。

 以下、「中国、大東亜共栄圏の野望」から引用
岸田「(親日派に関して)彼らは中国より日本が好きで、中国を裏切って日本に味方したわけじゃなくて、それが自分の国のためだと思って日本に協力したわけですよ。(中略)しかし、戦後、中国や朝鮮は、親日派を、あたかも祖国を裏切って、日本のために祖国に背くことを初めから目的としていたものであるかのように裁いたんですよ。それは隠蔽です。(後略)」

岸田「大日本帝国のアジア解放の理想は、敗戦後はインチキだったということになったけれど、公平に見れば真実の要素もあり、その真実の要素に共鳴した朝鮮人や中国人もいたんですよ。」