唯幻論

岸田秀先生の思想である「唯幻論」を紹介する。混迷する現代、世界を読み解く理論は「唯幻論」以外には考えられない。

被害者としてのトラウマ(PTSD)

2005年10月12日 | 唯幻論
SAPIO誌10/26号に岸田先生のインタビューをまとめた記事が掲載されています。
天災ハリケーン カトリーナちゃんまでも精神分析の対象になってます。世界はますます不安定になりつつありますねえ。
以下長いタイトルと本文から引用

精神分析
「建国のトラウマ」から”外的”を探し続けてきたこの国が初めて” 内なる敵”に目を向けた            
9・11(国家的PTSD)とハリケーン(フラッシュバック)直撃でアメリカが直面する自我崩壊の危機

世間ではイラク戦争に関し、「正義」を大義名分にしつつ、実際には石油利権の奪取が目的だったとされているが、私に言わせればむしろ逆だ。「イラクが癪に障るから叩きつぶす」では説得力が無いので、石油利権を口実にしているだけだ。

今までは外の敵に目を向ける事で精神の平穏を保ってきたのに、内に原因を探しはじめれば、いよいよ「アメリカは正義の国である」という自己欺瞞によって維持されてきた自我が崩壊する危険性がある。それを回避するためにおそらくアメリカは相変わらず外に敵を探し続けることになるだろう。よって、今後ますます外への攻撃は過剰になり、反対に内部的には脆弱になるという二極化が進行するのだ。

フリーハンドで丸を描く

2005年10月07日 | 唯幻論
丸をフリーハンドで紙に描いて下さい。(広告の裏側にでも)

1.日の丸を描いてください。
  この丸は、彼のあなたに対する理想像です。彼はあなたのことを「理想の女」ととらえています。

2.日の丸の、丸に重ねて、もう一つ、丸を描いてください。
  しばらく付き合うと、あなたは彼の理想像からずれてきてしまいます。(重なっている部分は彼の理想像とあなたと共通している部分。重ならない部分は、彼の理想と異なるあなた)

3.丸の重なりが少ない、二つの丸を描いて下さい。
このずれが大きくなると、共通する部分が無くなって、彼の理想像はあなたからずれてしまいます。

彼に限らず、ほとんどの人(女性も)は同じようなパターンを歩むでしょう。人は皆、理想像を相手に貼り付けて幻想を見ているのですから。

ありのままの自分、ありのままの相手と出会うことははなはだ困難なことなのですねえ。

親子編

1.日の丸を描いてください。
  この丸は、子供が生まれたときの「理想のわが子像」。親は「理想のわが子像」を赤ちゃんに貼り付ける。

2.日の丸の、丸に重ねて、もう一つ、丸を描いてください。
  ところが育てていくうちに、子供は必ず親の理想像からずれたところに姿を現してくる。
右側は「理想のわが子像」
重なったところは「僕であっていい僕」
左側は「僕でありながら、僕であってはいけない僕」

3.丸の重なりが少ない、二つの丸を描いて下さい。
  この、「僕でありながら、僕であってはいけない僕」は抑圧され、蓄積されて膨れ上がり、ついに爆発することがある。

保育器の中の大人 文春文庫 伊丹十三さんの後書きから意訳して引用
伊丹さんの後書きが掲載されているので、朝日出版社版、青土社版より好きな本です。南沙織のエピソードが特に印象に深いですねえ。