唯幻論

岸田秀先生の思想である「唯幻論」を紹介する。混迷する現代、世界を読み解く理論は「唯幻論」以外には考えられない。

日本人はどこへゆく 岸田秀対談集 青土社

2005年07月26日 | 
岸田先生の新刊は、気が付くといつのまにか書店に並んでいるというケースが多い。出版社はもっと宣伝するように。

あとがき252ページから引用

「あっちで多神教を非難し、こっちで一神教を罵倒して、矛盾しているようであるが、わたしは、基本的には多神教的である日本に、何とか、一神教の欠陥を避けつつ、その利点を採り入れる道はないものかと、虫のいいことを考えているのである。その場合、多神教はいい加減というか、寛容であって、多くの宗教の中の一つの宗教として一神教を容認するのであるが、他の宗教を認めないのが一神教が一神教である所以であるから、一神教は多神教を容認せず、したがって、一神教と多神教のあいだには、お互いに相手の利点を認め合い譲り合うという多神教的妥協は成立しないらしいので、問題は難しい。」
引用終わり

岸田先生は従来のスタンスから一歩踏み込んで、一神教と多神教を唯幻論で調和を模索する立場に立たれたような印象を受けた。私にとっては喜ばしい事である。
世界を理解するには唯幻論的志向しかないと考えるから。

模倣する国

2005年07月20日 | 唯幻論
岸田先生と靖国神社の「みたままつり」に行きました。小林よしのりさんの献灯が入り口にありました。

私は以下の岸田先生の視点が大変重要であると考えます。アンケートは①小泉首相は靖国神社参拝を取りやめるべきか否か?② その理由、および中国の反日暴動についてどう考えるか。81名の回答
文藝春秋7月号138ページから以下引用

敵を模倣する国         参拝すべき

「攻撃者との同一視」は精神分析が説く重要な心理メカニズムの一つである。人間は自分を侵害し侮辱する敵を模倣する。ヘレン・ミアーズが『アメリカの鏡・日本』で指摘したように、近代日本のアジア侵略は、アジアを侵略し日本を侵略しようとした欧米諸国、特にアメリカの模倣であった。アジアにおのれと似た軍事大国が出現して脅威を感じたアメリカは、日本を叩き潰し、近代日本のこの企ては挫折したが、今度は、日本に侵略された中国が日本を模倣し始めた。中国軍はまずチベットを侵略した。ついで中国政府は尖閣諸島を領土化しようとし、中国人は日本に密航して強盗や殺人を働き、中国海軍の潜水艦は日本の了解を侵犯し、中国各地で反日暴動が起こった。その規模は日本軍の中国侵略にまだ遠く及ばないけれども、そこに侵略の萌芽を見ることができる。この萌芽をこのまま放置すれば、日本はかつて日本に蹂躙された中国の二の舞になるであろう。