我らが宿り

2006-10-26 16:22:55 | お手紙
しゃけさんへ

おお、マッターホルンよ。

おおげさじゃなく、息がとまる写真だった。

空気が少しうすくて、日光が強烈で、
そびえたつ岩肌がどっしり存在しているという、君が経験した状況が、
写真だけでも強く伝わってきたよ。

このわたしもいる地面の上にこんなすごい神様のような山があって、
それはずっと昔からあって、今もあって、私と一緒に地球をまわっているんだ、
っていう感覚にわたしは喜ぶ。
簡単に見にいけない、とてもとても遠いところにあるからこそ、
喜びも大きくなるよね。

いいもの、見たね。
いいなあ。

ししゃも


山が揺さぶる

2006-10-19 21:31:08 | お手紙
ししゃもさんへ

旅先の写真をすべて現像してしまったよ
これでこの旅が私のものになった気分で
ちょっぴり寂しい。

初めて旅先の写真を見せるね



『 06/9/10
太陽の光がとても強い。
登山鉄道 40分ほどでゴルナーグラートに着く。
駅を降りると、右の方にマッターホルン、左の方にはモンテ・ローサ、ブライトホルンなどの山々がそびえ立っていた。

わけもわからず涙が出てきた。
感動した、とか 圧倒された、とか
何も説明はなくて、
ただ そこに山があって、それで 私の目から涙が出てきた。

一度山に背を向けてバックからハンカチを取り出して、
それからまた山の方を向いた。
きちんと山があって、しっかり立っていた。』


この日の日記に私はこう書いていた。
標高3000メートルのゴルナーグラート展望台に立っていた私は
圧倒的すぎる山々と、気が遠くなるようなストーリーを持つ氷河を目の前にして
この時の感情をどう表現したらいいのか分からなくて途方に暮れてたんだ。

写真を撮るしかなかったんだと思う。

この写真は、展望台から出発してハイキングをしたときに撮ったマッターホルン。






秋風が運ぶ

2006-10-11 22:17:55 | 写真と言葉


新しい秋の風
新しい空気のにおい

ご飯をおいしく食べることができて
ベットの中で自分の温もりを感じることができる

なんて楽しい

そうか
はっきりとわかる
トンネルを抜けたんだ


本を読もう
音楽を聴こう

それらはわたしの中を長靴で歩き
やわらかな土壌を踏むように
足跡を残していくよ

ギターを始めよう
髪型を変えよう

毎日楽しく笑って
井戸の底にいる死人にも
聞こえるくらいの笑い声で


そんなに悲しい台詞があるってことを知らなかったから
笑い飛ばす準備をしておくよ



(ことば/写真;しゃけ)

花言葉は雨で

2006-10-06 16:36:54 | 写真と言葉
会いたくて会いたくなくて
寝ていたくて夢のなかに逃げていたくて
夢は現実よりもつらくて怖いのに
でもそれはそもそも夢なのだから恐れることなんかない

雨がずっとふりつづけばいいのに
このまま閉じ込められてしまえばいいのに
おなかも空かないし何もしたくない
ただときどきお茶を飲むだけ
カップを包み持って

スクリーンに映し出される写真
わたしは一秒ごとに違う場所にいて
いろんな人と笑っていて
終わらない思い出の行列

そんな楽しい時間がまたくるのかな
なんて悲観的にはならないけれど
そう思える強さをこの手に取り戻そうと

誰かに会いたくて誰にも会いたくなくて
さみしくてかまってほしくて
でもそれは誰でもではなくて君でいてほしいということ
届かなくて届かなくて
出したメールを取り消せればいいのに
なんであんなこと書いたんだろう
間違って角をまがった瞬間に戻れればいいのに
なんでこんなふうになっちゃたんだろう
もういやだ わたしは前に進みたいのに
この風がふきとばしてしまえ





(words:ししゃも photo:しゃけ)

小旅行をしよう

2006-10-02 23:13:57 | 写真と言葉
ししゃもさんへ


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ふたりでパリ旅行!


フランス語がぺらぺらしゃべれて
人々が 「ボンジュール マドモアゼル!」
と話しかけてくる

靴屋に入って とびっきり可愛い靴を買う
ハイヒールでも いくら歩いても 疲れない靴

スキップをすれば体は軽く浮いて
風船を持って エッフェル塔によじ登る

チーズのたっぷり入ったクレープを食べて
ペリエをらっぱ飲み



気づいたら 私たちは
ショートカットのジーン・セバーグと
ミニスカートのツィギーになっている

それで
目を合わせて 大声で笑うんだ



夢の中でなら何でもできちゃうね
寝てみる夢、ではない夢、かもしれないけれど



しゃけより