音のない世界で

2007-03-20 00:11:44 | 写真と言葉





窓からの景色を眺めながら
心に思うことは

こんなふうにずっと
あったかいものにふれていたい

ということ



夜中こっそり
銀河鉄道に「やまね号」を走らせて
遠く離れた国と行き来したい









音を集める人

2007-03-14 23:00:56 | 夢の話

音を集める人がこっちへ向かっている
私の枕元にある目覚まし時計の音を狙っている

きっと素敵な音がするんだろう
音を集める人はほくそ笑む

眠っている間にゆっくりしのび足

ああ楽しみだ
素敵な音を早く手に入れたい

音が鳴らなきゃ起きそうにないし
しめしめ
あと少しでたどり着くぞ


その時
目覚まし時計は鳴ってしまった

りーん りーん

私は目を覚まし
眠たい手でボタンを止める

音は鳴ってしまったら手に入れることができない

音を集める人は
跡形もなく姿を消していた



(しゃけ)

朱色に染まった

2007-03-13 15:43:53 | お手紙
虹の夢見たしゃけへ

夢をみた。

すごく美しい夕暮れの日。
大きな窓のある部屋にいて、
南西の朱色の空と黒い山影のコントラストに見ほれていた。
すると窓のすぐ前に
白鳥の群れが飛んできて、
輪になって飛び始めた。
白い長い羽根は
夕日を受けてピンクになったり
影で青白くなったりした。
ものすごい至近距離だったから
翼の内側の羽根の柄も見えて
印象に残っている。

群れは何度か目の前で旋回したあと
また隊列にもどって遠くへ飛んでいった。

美しい夢だった。
誰かが私に送ってくれた夢なんだろうな。
もしかして、君?

ししゃも


春のあらし

2007-03-08 20:32:37 | その他
君が旅に出かけた日の夜
嵐が来ました
風がびゅうと吹き
雨が窓ガラスにぱつぱつと当たりました

私は小説を読みながみ
鼻がツーンとしたりふふと笑ったりしながら
頭の半分で
嵐の音を聞いていました

嵐の夜が大好きなんだ
って何度も君に言ったっけ
ベッドで背中ごしに言ったっけ
言うたびに君は、うん、といい
覚えているのだか覚えていないのだか
わからない返事をしたね

小説の中では同じ年の女の子が
忘れられない恋から抜け出しかかっていました
季節の変わり目なのです

今夜の嵐は
春になるための嵐なのです


(ししゃも)


君は今日もそこにいる

2007-02-22 22:06:24 | お手紙
ししゃもさん


ニールヤングのAFTER THE GOLD RUSHが東京に行ったときの音楽だってことは
私だけにとってのことかな たぶんそうだよね 君は東京に住んでるもんね

夜行バスで眠れずにヘッドフォンで彼の声に耳をすませながら
夜明け前の薄い紺色をした首都高の眺めを見る 
視界に入りきらないピカピカの高層ビルが 無表情にびゅんびゅん過ぎる
窓ガラスに自分の顔が映っている
私は映画の主人公になっていて BGMがニールヤングというわけ

朝焼けの赤 山茶花の匂い

夜行バスにはもう乗るまいと思う 毎度のことだけど

ニールヤングと東京が確固として結びついているのは
“haze of the sun”が 中央線から眺める弱々しい光だからか
“thinking about what a friend had said i was hoping it was a lie”が君のことだからか
いや たぶん いつか決定され もう「そうである」というだけのこと

沢山人がいるのに 人間は1人もいない
私は心のスイッチをoffにしてしまう
吉祥寺を過ぎたあたりから 君の気配がしてくる
だんだんほっとしてくる
東小金井について 迎えに来てくれた君を見つけると
やっと心のスイッチはonになる
実は会うまでは少し不安になっている
君が私の知っている君じゃなくなってたらどうしようって
でも会って3秒で不安は解消される

たらとカリフラワーのクリームスープ
角切りのサツマイモが入ったご飯
やっとあったかい食事にありつけた気分だった

どうしてなんだろう
嫌いじゃないんだけど こんな気分
あらゆる感覚のスイッチが自動的にoffになってしまって
受け入れられるのは 
ニールヤングの声 君が作った御飯 信じられるものたちだけ

東京ってすごくふしぎなところだね




夢の虹

2007-02-05 23:55:28 | お手紙

ししゃもさん


今朝
美しい夢をみました

たぶん季節は初夏

ざわついたカフェから外に出ると
虹が完璧なアーチを描いていた
ぴしゃぴしゃと雨が肌を打った

興奮気味で
私はバックの中のカメラを探った
愛機のポラロイドカメラで虹を撮ると
写真のフレームがアーチ型になって出てきた

そこはスケート場になっていて
そこからも虹を見た
二重の虹だった
写真を撮りたくてうずうずした

何度も何度も虹が現れて
人と人との隙間からそれを見た

信じられないことが起きた
虹の端がリボンのように
ひらひらとなびいた
素敵!
と思った

私は寝ながら笑っていたかもしれません


夢の中では何も不思議と思わない
ただただ
美しいと思い
写真に収めたいと思った

そんな夢を見ました




ある日の散歩

2007-02-01 13:35:45 | 写真と言葉
くしゃくしゃみしみし。
冬の乾いた枯れ草を踏む音。
ごそごそ。
バッグの中からイヤホンを取り出して音楽を聴く。
音の色や線が目の前を飾りだす。
枯れ色の風景が音楽と重なり合った。

>
かさかさ。
あじさいのも花を残したまま枯れ咲いて、
冬の空を映した水面がゆれる。
ふぃーふぃー。
頬を乾いた風がなでていく。



さて、日が暮れる前におうちに帰ろうか。
いつの間にか音楽が一周していた。



(言葉:ししゃも 写真:鮭)

streamer

2007-01-31 17:23:59 | その他
長い白い一直線
180度のアーチを描く
風がわたり金色の光を揺らす


陽はわたしに当たり
風が流れていくのを見ながら
君が残した歌を口笛する


再び見上げれば
空ににじんでいる飛行機雲だ


ししゃも


君が寝ている間に

2007-01-29 23:11:44 | お手紙
ししゃもさん、




君が寝ている間に
昨日みた映画の話をしようか
それとも
いつか旅する遠い国の話をしようか


夢の中で君はたぶん
靄の中にぼんやり光る
いろとりどりの灯りを見てる
からっぽの鳥かごをぶらさげて
どの灯りに手を伸ばそうか考えてる

きっと今は分からない
たぶんずっと分からない

時が経って
君色の灯りがいつの間にか
君のものになってる


私ももう寝てしまおうか
夢の中で私はたぶん
空の色を塗る夢をみる

どんな色で塗ろうか迷って
何を使って塗ろうか考える

いつの間にか空は塗り終わっていて
いつもと同じぽかんとした空色


もう眠くなってきたから
話の続きはまた今度




木の上の住人

2007-01-17 20:54:56 | お手紙

ししゃもさん

げんきー?


“歩いている”植物が研究室の机の窓辺に。
君から貰った小鳥のおうちになったのはずっと前。

何日か前から、新しい住人が増えたよ。



見えるかな?
葉っぱの上に、ポチっと、てんとう虫くんがいます。
朝は姿が見当たらないのに、お日様が昇って暖かくなると、
のそのそと現れて、葉っぱや茎の上を散歩したり、羽を伸ばしてみたり。

きっと植物はこの虫を受け入れていて、仲良くしているんだろう。
毎日そっと見守っています。



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