少子化で行こう

世の中、少子化対策音頭が鳴り響く。人口減少もあると、恐怖心を駆り立てる。でも、何かそれって変じゃない? ままで行こうよ。

バリアフリーは子育ての価値を高めるか?

2006-02-17 06:07:36 | Weblog
第14節 子育てバリアフリーなどを推進する について

ここでは、最初に「1 ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリーの施策の推進」が述べられた後に、続々と様々な対象のバリアフリー化が述べられます。

   2 建築物等におけるバリアフリー化の推進
   3 公共交通機関のバリアフリー化
   4 都市公園のバリアフリー化
   5 河川空間のバリアフリー化
   6 海岸保全施設のバリアフリー化

明らかに、これらは別に少子化とは無関係に進められた方がよいものでしょう。
でも、実際にどれ位使われているのでしょうか?

たとえば、北陸自動車道などがらがらの高速道路も少なくありません。理念はよくても利用されなければしかたがありません。

それに、子育てにはつらいことが多少あることが達成感をもたらすのです。何でもバリアフリーになると、子育て自体の価値も薄れていくでしょう。

(参考)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2005/17WebHonpen/html/h24e0100.html

いたせりつくせり

2006-02-15 18:34:48 | Weblog
第2部 少子化社会対策の具体的実施状況 について

うんざりするほどの対策が挙げられています。どれくらい効果があるのかわからないものもたくさんありますが。

ただ、どれも子どもと育てる親の環境整備や行動援助であっても、子どもが家に帰ってきたときに父親か母親かがいて「ただいま」に答える制度を作ろうということはうたわれていません。

子どもの育ちに関しては、まず第1章で取り上げられていますが、本当に子どもが育つことを第一に考えられているのでしょうか? きっとそうでないでしょうね。

それは介護保険に関しても、介護される側のことよりも介護する側のことが第一に考えられているのと同じですね。

で、たくさんの支援が並ぶほど、子どもを大事にしようというよりも、国というわけのわからないものを守ろうという態度だったり、大人の権利の伸長というのが目につきます。

いやはやです。



 

文化大革命だ、いずれ失敗に終わる

2006-02-12 06:37:12 | Weblog
第2部 少子化社会対策の具体的実施状況  1 学校段階から職場定着に至るまでの総合的・継続的なキャリア形成・就職支援策
(1)初等中等教育段階におけるキャリア教育の推進

いよいよ第2部です。職業教育を小学校から推進しようというものです。少なく生まれてきた子どもを労働者としてきちんと育てようというものです。

子どもの「価値」が少子化により「保護財」となったのはいいのですが、実は、労働力としての大昔の「生産財」としてみていることがさみしい限りです。

教育の質も、豊かな人間性を育てるということだったり、大人が働いて子どもたちを守ってあげるから、子どもたちは伸び伸び自由に、好奇心の赴くままに育ちなさい、という姿勢が引っ込んで、常に働くことを考えなさいというせこい態度になったのです。

すぐれた人間性を持つ者、研究力を持つ者は育たなくなります。

中国の文化大革命をなにやら髣髴とさせて、大学生を労働力として考えるようになった失敗を繰り返しそうです。


(参考)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2005/17WebHonpen/html/h2110110.html

ちょっとお下品

2006-02-11 05:52:19 | Weblog
2 今後の取組 について


いよいよ第一部の最後の節です。その一番最後が次の文章です。

 「第1回目の少子化社会白書(「平成16年版少子化社会白書」)で強調したとおり、わが国の人口構成上、2010年頃までは20代後半から30代前半の女性の人口がまだ多いので、これからの5年間が極めて重要な時期であり、この機をとらえて、少子化対策を的確に講じていかなければならない。」

でたあ、生めよ増やせよです。雌馬として女性を見ている様子がよくわかるのです。ただヤミクモにとりあえず出生数を増やして安心を得たいという気持ちがよく出ています。出生率がそれほど変化しなくても、生む女性が増えれば、結果として出生数は多くなるでしょう。

きっとそのときは「ベビーブームか?」などと出生をあおるような言説を流し、少子化対策に効果の兆しか、などと論じるのでしょう。

いいなあ、平和だ。


(参考)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2005/17WebHonpen/html/h1530200.html

いったいどんな責任感?

2006-02-10 10:02:16 | Weblog
(少子化の流れに歯止めをかける責任)について

 1990年代以降顕著となってきた少子化傾向により、わが国はまもなく総人口が減少に転じ、長い期間にわたって人口減少社会に突入することになる。人口が減少しても、一人当たりの生産性が高まれば、経済的には問題がなく、人口減少社会に危機感をもつ必要がないという意見もある。しかし、1億人程度の規模で人口減少が止まればまだしも、前述したとおり(第1章第3節参照)、このままの低出生率が続けば、2100年には6,000万人程度と、現在の総人口の半分の規模となってしまう。総人口が半減するような社会では、国全体の活力はもとより、地域社会の活力を維持していくことさえ甚だ困難であろう。少子化の進行は、日本社会の持続性に対して疑問を投げかけている。
 これから人口減少社会に対応した社会経済システムの構築への取組が必要であることは言うまでもないが、同時に、少子化の進行に歯止めをかけるために社会全体で取り組んでいくことが必要である。第4章でみたとおり、欧米諸国では、フランス、スウェーデン、イギリスなど、わが国よりも高い出生率を維持したり、中にはフランスのように出生率が上昇に転じて「ベビーブーム」を迎えている国もある。こうした国々の施策も参考にしながら、総合的な少子化対策を講じたり、社会全体で子育て世帯を支援したりすることにより、少子化の流れを変えていかなければならない。さもなければ、100年後に総人口が半減してしまうという事態を招くことになる。100年後の世代に「人口半減社会」を残さないようにすることが、現在の日本社会に生きる私たちの責任である。

ん-、いったい誰が何に対して責任を持つのでしょうか? 人口が半減してもいいではありませんか? 損なわれた自然が元に戻り、少なくとも元に戻る方向に向き、人間以外の動物も増える。

環境重視が実現されます。

そして、人口が半減した場合には、人間はもっと集中して仲良く住んでいるでしょう。

青森市では「コンパクトシティ」をめざしているそうです。日本もコンパクト国家になるでしょう。半減しても、人口密度はそれでもまだまだ高い国になるでしょう。

そういうことで。

(参考)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2005/17WebHonpen/html/h1530120.html

結婚出産は個人が決定するもの?

2006-02-09 08:39:16 | Weblog
第3節 子育てに対する社会的支援の在り方と今後の方向 1 少子化対策に関する5つの視点 (子どもは社会の希望、未来の力)について

ここでは、理想が述べられています。戦争後の戦争孤児や浮浪児が多かったときから現在まで簡単に述べ、「子どもは社会の希望、未来の力」であると述べています。ただ、社会を長く作ってきたからという現象を示しているのがおかしな話です。

国を作るために人は生きているのではありません。国はどちらかというと個人に奉仕するためのものです。その個人も、生物学的なわがままな個人です。

したがって、本文で触れられる「結婚や出産は個人の自由な決定に基づくものであることは言うまでもないが」も必ずしもそんな立派な個人を前提とするものでもないような気がします。衝動に突き動かされて、結婚したり、性欲に動かされて出産するという欲望の自然が個人を動かす、個人が性欲を支配しているというのは、頭でっかちな考えかも知れません。もちろん、国が結婚や出産をコントロールするというのは論外ですが。


(参考)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2005/17WebHonpen/html/h1530110.html




少子化対策に有効ってどんな意味?

2006-02-08 09:21:03 | Weblog
(少子化対策としての有効性に関する感想)について

ここでは、内閣府の「少子化対策に関する子育て女性の意識調査」(2005年3月)を引用して次のように述べています。

 「調査では、児童手当と扶養控除の税制について少子化対策として有効と考えるかどうかを尋ねたところ、図(第1-5-4図)のとおり、児童手当については、75.6%の人が「役立つ」と答えている(「とても役立つと思う」と答えた人に「役立つと思う」と答えた人を加えた割合)。同様に、扶養控除税制については、75.4%の人が「役立つ」と答えている。このように、4分の3の人たちは、両方の施策とも少子化対策として有効であると考えている。」

その前の節では、年代によって異なる意見があるので、特に切実な年代層に尋ねたのだという書き方をしています。そこで、この調査を引用するのは適切です。

かなり多くの人が少子化対策として有効であると答えています。

が、これに対しては2つの疑問があります。

1つは、みなが喜ぶ、生活が助かると言う意味での「少子化対策として有効」ということではないかと言うことです。本当に子どもをもう1人生むようになるということを示しているかというものです。

もう1つは、私が経験した路線バス料金値下げのアンケートを連想させるものです。利用者に、値下げされたらバスに乗るかという素朴なアンケートがなされました。圧倒的な大きな割合で「値下げされたらバスに乗る」というものでした。その結果バス料金が値下げされましたが、とりわけ乗降客が増えたわけではありませんでした。そうです。何か利益が得られそうならば、人はアンケート程度のものには賛成するのです。


(参考)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2005/17WebHonpen/html/h1510050.html

ぼやけた言い方

2006-02-07 05:23:01 | Weblog
(アジアの主な国・地域における未婚率の状況)について

欧米先進国だけでなくアジアに関しても目配りが利く点は白書は評価できます。そして、東アジアの国の未婚率の推移をあげて、次のような結論を導いています。

「このように、全ての国や地域でこの30年間に未婚率は大きく上昇している。若者の未婚化は東アジア諸国共通の現象となっており、このことが出生率低下の背景の一つとなっているものと考えられる。」

背景の1つというのは、直接的な「少子化」とは何を指しているのかがわかりません。個人的には、「国の出生数に最も影響力のある未婚率の上昇」とすべきで、国の政策をとるとすれば、個々が中心であるべきです。

というわけで、背景の1つとしてとらえ、育児の環境を整える自分たちの政策を是としていこう姿勢がほのかに感じられる表現だと思われます。自分でも気づいているのでしょう。

(参考)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2005/17WebHonpen/html/h1430120.html


女性の労働力率と合計特殊出生率のあやしい関係

2006-02-06 06:11:36 | Weblog
コラム  女性の労働力率と合計特殊出生率 について

このテーマは少子化対策の最も基本的な観点にかかわるのでていねいに見て行きたいと思います。次はコラムの全文です。

「男女共同参画会議の「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」の報告書「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較」(2005年9月)によると、OECD加盟24か国(1人あたりGDP1万ドル以上)においては、2000年の女性労働力率と合計特殊出生率は、労働力率の高い国ほど出生率が高いという正の相関関係にある。しかし、1970年には、出生率と女性労働力率とは負の相関関係にあり、80年代の半ばを境に関係が変化している。同報告書では、このことから女性労働力率と出生率の関係は、どちらかが上がれば他方も上がるという固定的な関係にあるのではなく、両者に関係するような社会環境(施策・制度・価値観等)があり、この30年間にこれらが変化したものと推測される、と指摘している。
 2000年現在で、日本よりも女性労働力率及び出生率とも高いアメリカ、ノルウェー、デンマーク、オランダの4か国は、1970年には日本よりも女性労働力率が低い国々であった。特に、ノルウェーとオランダは30%台と低く、男性の片働き社会であった。これらの国々が、女性労働力率が高くなる一方で、高い出生率を維持しているのは、70年代以降、女性の社会進出が進む過程で、男性を含めた働き方の見直しや保育所整備、男性の家事・育児参加等の固定的性別役割分担の見直し、雇用機会の均等など、女性が働くことと子どもを生み育てることを両立し得る環境を整備してきた結果と考えられる。」

まずは、出所が男女共同参画社会を是とする部署が出しているものだということです。つまり、それはイデオロギーであるということです。男女共同がこんなにも悪い結果をもたらすのだということには触れないだろうということです。

次に、相関係数を因果関係として読み取るというだましのテクニック(言いすぎかな)が使われている点です。

さて、途上国では、女性の労働力率が高くなるに連れて合計特殊出生率は低下しているだろうという事実があることです。

また、日本では、たとえば、都道府県別に女性の労働力率と合計特殊出生率の関係をとらえるとどのようになるだろうか、という疑問です。

次回から細かく検証したいと思います。

都道府県知事のメッセージは面白いけど

2006-02-05 06:16:02 | Weblog
第2節 各都道府県知事からのメッセージ について

白書の中でここは出色です。各県の次世代育成支援行動計画に書かれる知事のメッセージが挙げられています。

この前の節では、「子どもの視点」第一主義が謳われていますが、そのことを謳った地域はほとんどありません。

大人が考える一昔前の子育てはよかったのだ、という視点が多く見られると同時に、前提として、子どもが悪くなっているという認識があるように思われます。

これからも少子化対策を、子育て支援を中心にやっていこう、という感じです。それは、持っているお金を大事に使おうということと同じですが、お金を生むことにはならないと思います。



(参考)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2005/17WebHonpen/html/h1320000.html