力をつくして

　どんなことでも、一生懸命、根かぎりに努力した時には、なんとなく自分で自分をいたわりたいような気持ちが起こってくる。自分で自分の頭をなでたいような気持ちになります。

　今日一日本当によく働いた、よくつとめた、そう思うときには、疲れていながらも食事も美味しくいただけるし、ビールもワインもすべてが美味い。ホッとしたような、思い返してもなんとなく満足したような、心の安らぎさえ覚えるものである。

　力及ばずという面は多々あるにしても、及ばずながらも力をつくしたということは、お互いにやはり慰めであり、そしていたわりでもあろう。

　この気持ちは何ものにも変えられない。金銭にもかえられない。金銭にかえられると思う人は、本当の仕事の喜びというものが分らない人でしょう。喜びを味わえない人は不幸としかいえない。


　大事なことは力を尽くすという自らの心の内にあるのでした。