『源氏物語50帖 東屋(あずまや)
薫と浮舟、一夜を共にする
薫26歳秋 薫君の大納言時代
[浮舟、二条院に移る]
浮舟の母は、薫が浮舟に心をとめているのを喜び、浮舟を二条院の宇治の中君のもとへ預けた。
しかし匂宮が言い寄るのに不安を感じ、急いで浮舟を三条の小家に移した。
[浮舟、宇治に移る]
秋、時雨の降る夜、薫は三条の家を訪れ、翌朝浮舟を車に乗せ、宇治に移し住まわせた。
巻名は、浮舟の隠れ家を訪れた薫が詠んだ和歌に因む。
「さしとむるむぐらやしげき 東屋の
あまりほどふる雨そそきかな」
(東屋に葎が生い茂って戸口を塞いでしまったのか、
あまりに長い間雨だれの落ちる中で待たされるものだ)
※写真は、「笹林の中の小屋(隠れ家)」/無料(フリー)写真素材を使用
※「東屋」とは東国の簡素な造りの住まいを指す言葉だが、後世転じて庭園や公園に設けられた休憩用の小さな建物を指すようになった。
【源氏物語50帖に出てくる主な登場人物】
薫(かおる)
源氏物語第三部の主人公。
表向きは光源氏と女三の宮の子どもであるが、本当は柏木と女三の宮の子どもである。
生まれつき体から良い香りを放っており、「薫の君」と呼ばれている。
自身の出生の秘密に悩み、宇治八の宮を訪れ、娘の大君に恋をする。
後に大君によく似た浮舟にも惹かれるが、恋は成就しない。
匂宮(におうのみや)
今上帝と秋好中宮の御子。
六条院で一緒に育った薫にライバル心を抱いている。
容貌は美しいが軽薄。薫の戦略で中の君と結婚するが、浮舟にも心を惹かれる。
宇治の大君(うじのおおいきみ)
宇治八の宮の長女。
思慮深くプライドの高い女性であり、薫からの求愛を拒み続ける。
妹・中の君と匂宮が結婚した後、匂宮があまり通わないことに悩んだ末、病気で亡くなってしまう。
宇治の中の君(うじのなかのきみ)
宇治八の宮の次女。
可愛らしいイメージの女性である。匂宮と結婚して、後に男子を出産する。
浮舟(うきふね)
宇治八の宮の姉妹(大君・中の君)の異母妹。大君によく似ている。
薫と匂宮の二人から愛され、悩んだ末に宇治川に身を投げる。
横川の僧都に助けられ、出家する。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。
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