サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

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飛行機の二酸化炭素排出量

2008年11月15日 | 気候変動緩和・低炭素社会
写真:スイフヨウ(もう花の時期は過ぎたけど)


仕事の関係で、国際航空による二酸化炭素排出量の算定方法を調べた。

そもそも航空機による二酸化炭素排出量は、消えたバンカー油といわれる。発着国への割り当ての方法が難しいため、各国の温室効果ガス削減の対象から除外されている。

しかし、最近では、カーボンオフセットが注目されるなかで、国際イベントにおける国際間の航空機移動による二酸化炭素排出量を算定される場合が多い。

例えば、洞爺湖サミットや神奈川で開催されたアフリカ開発会議で、要人の国際移動による二酸化炭素排出量が算定され、それを相殺するための植林やCDM調達等が実施された。

こうした算定では、発着国への割り当ては行わずに、総量をカウントしている。つまり、航空機による排出原単位(t-CO2/人・km)に、移動人数、移動距離を乗じている。

この排出原単位のことを調べていて、次のことがわかったので記録しておく。

・国内の航空機の二酸化炭素排出量については、カーボンオフセットフォーラムが算定マニュアルを作成している。しかし、国際線については、国間の割り当てが不明であるとして、マニュアルの対象外としている。

・洞爺湖サミットの際の航空機のよる二酸化炭素排出量は、イギリスのDEFRA(環境・食料・農村地域省)の方法に基づいている。DEFRAの算定マニュアルでは、エコノミーとエグゼクティブにより、排出原単位を変えたり、二酸化炭素以外のガスによる温室効果も算定対象としている。この二酸化炭素以外の温室効果が大きく、これを算定対象とするかどうかが大きな違いとなる。

・ICAO(国際民間航空機関、International Civil Aviation Organization)では、国際間の移動による二酸化炭素排出量を区間別に算定するデータベースを提供している。この計算は、区間を実際に飛んでいる航空機の種別の原単位を重み付けて計算していると考えられる。

・日本の航空輸送統計でも、燃料消費量が報告されており、これをもとに二酸化炭素排出原単位を算出することが可能である。

こうした各種原単位を比較すると、大よそ同じオーダーとなるものの、座席クラスや航空機の機種、あるいは二酸化炭素排出量以外の温室効果を算定対象とするか否かによって、値が大きく異なることがわかる。

国際イベント等では、国際航空機移動による二酸化炭素排出量のウエイトが大きいことを考えると、排出原単位の設定方法をさらに検討・共有する必要がある。


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