サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

荒川区のエコポイントの実現に向けて

2010年10月17日 | 環境イノベーションとその普及

荒川区のエコセンターに出向き、エコポイントの検討会で話をさせてもらった。

 

同区では、低炭素都市づくりのための重点施策の1つとして、エコポイント事業を示している。しかし、カードの導入等では初期投資が必要であり、それに見合う効果を疑問視する声もあるようだ。

 

そこで、私は、3つの点を強調して話をさせてもらった。

 

 

1つめは、エコポイントといっても多様な形態があることである。特に、最近では、省エネ家電の普及促進のためのエコポイント等の認知度が高いが、それは景気対策という特定目的に特化したものである。

 

環境省では、省エネ家電のエコポイントの前に、エコアクションポイントという事業を行っていた。これは、地域や企業が独自に実施しているエコポイントのプラットフォームをつくり、ポイント交換を可能とし、ポイントの使い道の品そろえを豊富とする。

 

また、環境省以前にエコポイントを事業として形にしてみせたのは、愛知万博の際に導入された万博エコマネーがある。万博終了後も継続されている。

 

2004年をピークに全国各地で乱立した地域通貨は、エコポイントの源流である。地域通貨は繰り返し流通する分、システムが複雑になるが、エコポイントが取得したポイントの交換を1度だけとする分、シンプルである。

 

今後、荒川区がエコポイント事業を立ち上げる際、一般には省エネポイントのイメージが強いことに注意するとともに、その源流である地域通貨等が目指した理想を失うことがないように、十分な議論が必要である。

 

 

2つめは、エコポイントで普及させたい行動等とそれを採用して欲しい人について対象を明確にすることである。

 

エコポイントは、環境に配慮した行動の普及や環境配慮商品の選択的購入を促すインセンティブである。

 

では、どのような行動や商品等を普及させたいのか。環境家計簿の普及に対して、ポイントを付与する地域もあるが、環境家計簿は熱心な人以外にとって採用や継続のハードルが高い。普及させたい行動自体、もっと普及しやすいもの、魅力的なものにする必要がある。もちろん、ポイントの還元先が魅力的でなければならない。

 

ここで重要なことは、住民セグメントによって、行動や商品採用のハードルの高さが違うこと、またインセンティブへのニーズも異なることである。主婦層を対象にするのであれば、主婦層が今は実施していないかもしれないが、少しのインセンティブで実施する可能性がある行動等について、主婦層が喜ぶご褒美を用意する必要がある。

 

 

3つめは、エコポイントの利用者メリットだけでなく、エコポイントのコスト負担者のメリットをうまく設計することである。

 

エコポイントのコスト負担者は、環境配慮の普及を仕事とする行政であったり、CSRや二酸化炭素の排出削減に取り組む企業であったり、寄付等を行う住民であったりする。これらの負担者は、負担に見合うメリットがないと、負担を継続できない。

 

また、エコポイントのインセンティブは、商品券や商品等のように経済的コストを伴うものとは限らない。表彰する、達成感や満足感があるような仕掛けをするなど、工夫の余地があるだろう。

 

 

以上。

 

東京オリンピックの環境ガイドラインの作成等の際に、荒川区から東京都に出向していた依田さんに声をかけられ、今回の関わりができた。お役にたてればと考えている。

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