1月に行う「地域環境経済論」の講義の最終回で、「超長期環境ビジョン」をとりあげることにしている。講義用の資料整理をしてみた。
超長期ビジョンの検討には、シナリオライティングの手法が使われることが多い。これは、検討の前提となる外部要因は、“確実にこうなる”ことが明確なものばかりではなく、重要だがどうなるかわかならないという不確実なものが多いためである。シナリオライティングでは、重要かつ不確実な2つの要因を組み合わせ、2×2=4で、4つのシナリオを書くというような手法がとられる。
例えば、2001年の温室効果ガス排出量排出量削減シナリオ検討会では、IPCCシナリオを踏襲し、経済・環境の軸と、地球・地域の軸を組み合わせ、世界市場主義シナリオ(経済・地球)、地域伝統主義シナリオ(経済・地域)、環境技術牽引シナリオ(環境・地球)、新地域自立シナリオ(環境・地域)という4つのシナリオを作成し、各々の場合の二酸化炭素排出量を計算している。
複数のシナリオを描くことで、どのシナリオを望ましいものとし、何をなしていくべきかというあるべき論を吟味することができる。また、複数のシナリオをもとに、多様な未来に備えたロバストなあり方を検討することができる。
*ここでロバストとは、システム制御等に使われる考え方で、
どう転んでも揺ぎ無いという意味である。
最近では、国立環境研究所の「脱温暖化2050」プロジェクト、環境省の第三次環境基本計画に基づく「超長期環境ビジョン」などで、シナリオライティングが検討されている。どれも60名の研究者とかなんとか、大掛かりな検討である。私も、脱温暖化2050には、プロジェクトの二次的関係者(?)として参加させていただいた。また、廃棄物に限定した検討であるが、製造科学技術センターのインバース・マニュファクチャリグのシナリオWS、国立環境研究所の物質循環に関するシナリオWSに、委託先として参加した。
そんなこんなで、既存のシナリオを概観し、その類型化をしてみたいと思っていた。講義用の資料づくりでは、既存のシナリオを整理してみたが、シナリオを整理する軸(重要かつ不確実な要因)として、次の5点を抽出することができそうだ。
1.市民意識は、どこまで変化・自立するか
2.地域の自立性は、どこまで高まるか。
3.行政は、小さな政府を実現できるか ~規制、経済的措置はどうなるか。
4.国際貿易のグローバル化は、どのように進展するか。
5.技術革新において、ブレイクスルーはあるか。
上記を踏まえて、私にとっての持続可能な社会のあるべき姿を考えると、おぼろげながら、次のような方向が浮かび上がる。
「市民が主体となり、地域が社会的・経済的に自立し、それを政府が補完する。地産地消が優先され、地域間及び国際の移出入は地域循環を補完する程度の適度になされる。世界的なレベルでの先端技術の開発・導入とともに、ハイタッチさを重視する中間技術を適正に共存させる。そこに暮らす人々は、他者との同化に満たされることを知り、精神文化的な豊かさを享受する。」
さて、あるべき論とは別に、シナリオライティングでは、ありえる複数のシナリオに対して、各主体の役割を整理し、主体共通の取組課題や今日なすべきこと(Must Do Today)を抽出する。
この方法で、私の役割を考えてみた。どのようなシナリオであったとしても、私がなすことは、「市民が環境配慮と社会経済活動に主体的に参加し、地域が環境的に健全で社会経済的に自立する」社会を先取り・具現化する仕事をしていくことという結論になる。世の趨勢が、グローバル重視となっていくとしても、地域の自立という重層性を持つことが重要と考えるからだ。
はっしょった作文になったが、平成20年を迎え、自分の仕事を再確認してみた。あまり、変わりばえのしない結論だが。。。今年は社会実験など、より実践的に研究・仕事をしていきたい。
超長期ビジョンの検討には、シナリオライティングの手法が使われることが多い。これは、検討の前提となる外部要因は、“確実にこうなる”ことが明確なものばかりではなく、重要だがどうなるかわかならないという不確実なものが多いためである。シナリオライティングでは、重要かつ不確実な2つの要因を組み合わせ、2×2=4で、4つのシナリオを書くというような手法がとられる。
例えば、2001年の温室効果ガス排出量排出量削減シナリオ検討会では、IPCCシナリオを踏襲し、経済・環境の軸と、地球・地域の軸を組み合わせ、世界市場主義シナリオ(経済・地球)、地域伝統主義シナリオ(経済・地域)、環境技術牽引シナリオ(環境・地球)、新地域自立シナリオ(環境・地域)という4つのシナリオを作成し、各々の場合の二酸化炭素排出量を計算している。
複数のシナリオを描くことで、どのシナリオを望ましいものとし、何をなしていくべきかというあるべき論を吟味することができる。また、複数のシナリオをもとに、多様な未来に備えたロバストなあり方を検討することができる。
*ここでロバストとは、システム制御等に使われる考え方で、
どう転んでも揺ぎ無いという意味である。
最近では、国立環境研究所の「脱温暖化2050」プロジェクト、環境省の第三次環境基本計画に基づく「超長期環境ビジョン」などで、シナリオライティングが検討されている。どれも60名の研究者とかなんとか、大掛かりな検討である。私も、脱温暖化2050には、プロジェクトの二次的関係者(?)として参加させていただいた。また、廃棄物に限定した検討であるが、製造科学技術センターのインバース・マニュファクチャリグのシナリオWS、国立環境研究所の物質循環に関するシナリオWSに、委託先として参加した。
そんなこんなで、既存のシナリオを概観し、その類型化をしてみたいと思っていた。講義用の資料づくりでは、既存のシナリオを整理してみたが、シナリオを整理する軸(重要かつ不確実な要因)として、次の5点を抽出することができそうだ。
1.市民意識は、どこまで変化・自立するか
2.地域の自立性は、どこまで高まるか。
3.行政は、小さな政府を実現できるか ~規制、経済的措置はどうなるか。
4.国際貿易のグローバル化は、どのように進展するか。
5.技術革新において、ブレイクスルーはあるか。
上記を踏まえて、私にとっての持続可能な社会のあるべき姿を考えると、おぼろげながら、次のような方向が浮かび上がる。
「市民が主体となり、地域が社会的・経済的に自立し、それを政府が補完する。地産地消が優先され、地域間及び国際の移出入は地域循環を補完する程度の適度になされる。世界的なレベルでの先端技術の開発・導入とともに、ハイタッチさを重視する中間技術を適正に共存させる。そこに暮らす人々は、他者との同化に満たされることを知り、精神文化的な豊かさを享受する。」
さて、あるべき論とは別に、シナリオライティングでは、ありえる複数のシナリオに対して、各主体の役割を整理し、主体共通の取組課題や今日なすべきこと(Must Do Today)を抽出する。
この方法で、私の役割を考えてみた。どのようなシナリオであったとしても、私がなすことは、「市民が環境配慮と社会経済活動に主体的に参加し、地域が環境的に健全で社会経済的に自立する」社会を先取り・具現化する仕事をしていくことという結論になる。世の趨勢が、グローバル重視となっていくとしても、地域の自立という重層性を持つことが重要と考えるからだ。
はっしょった作文になったが、平成20年を迎え、自分の仕事を再確認してみた。あまり、変わりばえのしない結論だが。。。今年は社会実験など、より実践的に研究・仕事をしていきたい。