サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

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温室効果ガス「見える化」推進戦略会議

2008年09月08日 | 環境と情報
写真:スイフヨウ(朝は白く、夕方は酔っ払ったように桃色になる)


環境省の温室効果ガス「見える化」推進戦略会議を傍聴した。傍聴者は数十名程度であろうか。注目度の高さを伺わせた。

「見える化」という言葉は、コンピュータのソフトウエア開発で使われたという説があるが、近年、地球温暖化の分野でよく使われている。

しかし、地球温暖化の「見える化」と一言にいっても、様々な側面を持つ。誰に対して、何を目的に、誰が、何を、どのように「見える化」するのか。議論の幅は広い。


例えば、情報と行動に関するモデル・フレームに即して、整理してみよう。環境行動のモデルとして、広瀬のモデルを借りる。

広瀬のモデル(1994)では、行動構造を、目標意図の形成→行動意図の形成→行動の実施の段階に分けている。

このモデルにおいて、目標意図は、「環境リスク認知」、「責任帰属認知」、「対処有効性認知」の3つの環境認知で決定される。

行動意図は、この目標意図と3つの行動評価で決定される。3つの行動評価とは、「実行可能性評価」、「便益費用効果」、「社会規範評価」である。

地球温暖化の「見える化」情報は、3つの環境認知、3つの行動の評価のいずれかに関わるものである。

また、行動実施まででなく、行動の実施後の効果の「見える化」等も考えられる。


具体的に整理してみよう。

「環境リスク認知」に係る「見える化」は、地球温暖化という問題の認識を高めるために、科学的な知見をわかりやすく、あるいは実感させるような情報提供である。地球温暖化やその影響の予想を立体地球模型で表現したり、身近な生き物調査により、地球温暖化の影響を実感したりという仕掛けも、「環境リスク認知」に係る「見える化」である。

「責任帰属」に係る「見える化」は、先進国の排出する二酸化炭素量のウエイト、家庭部門の排出量の増大傾向等の気づきを与えることとを目的とする。

等といった整理をすることができる。


「見える化」推進戦略会議では、環境家計簿の検討がなされている。これは、「責任帰属認知」、あるいは「対処有効性認知」に関する認知を促すための「見える化」と位置づけることができよう。目標意図の形成のための「見える化」ということもできる。

環境家計簿の目的は、「我が家では、他世帯と比較して、ガソリン消費による二酸化炭素排出量のウエイトが大きく、削減余地もありそうなので、そこを重点的に削減しよう」等といった重点目標の設定や行動の方向性への気づきを促すことにあろう。

また、同戦略会議では、商品やサービス選択のための情報提供も検討課題としている。これは行動評価に係る「見える化」である。

といった感じで、整理できそうだ。


ところで、同戦略会議では、経済産業省、農林水産省等も同席している。それぞれが「見える化」を検討しているためである。各々の省庁の持つ知見やノウハウを「見える化」し、連携と分担の関係を明確にする必要があると感じたのは、私だけだろうか。その調整をどこかがやる必要がある。



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1 コメント

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私達庶民に (sable de sesoko)
2008-09-21 20:46:15
もっと伝わる、分かりやすいように、電気利用明細だったり、ガス利用明細に、どれだけ温室効果ガスを排出しているか、もしくは、排出を阻止できたか、目で見えるようにデータなりグラフなり、で、伝えて行ってはどうでしょうか。

テレビを見ている画面に、ただ今どの位温室効果ガスを出しているかを表示するなど。

目に見える化は、とても必要な事だと思います。
早く実現しないものか。
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