サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

テレワークセンターへの期待

2012年04月29日 | 気候変動緩和・低炭素社会

  情報通信技術(ICT)を活用することで、場所や時間に囚われずに働くことを「テレワーク」という。テレワークは働く場所によって、在宅勤務(自宅で情報通信を利用して仕事)、モバイルワーク(移動しながら仕事)、サテライトオフィス勤務(自宅近くの共同利用の作業場所で仕事)に分けられる。

 日本での初期段階のテレワークはサテライトオフィスが中心であった。1984年の日本電信電話公社(現NTT)と日本電気による吉祥寺サテライトオフィス実験、1988年の富士ゼロックス等による「志木サテライトオフィス実験」等が先鞭をつけた。 その後、携帯電話やノートパソコン等の普及により、在宅勤務やモバイルワークも含めて、テレワークの普及が進められてきた。

 国土交通省の調査によれば、テレワークの実施率は2002年に約6%であったが、2010年には16.5%に増加している。在宅勤務を実施しているテレワーカーは2010年に320万人にも増加している。

  テレワークの効果について、テレワーク協会は7つのことをあげている。企業にとっては生産効率の向上やコスト削減、人材確保等における効果が期待され、勤務者にとっては通勤時間削減による自由時間の増加等の効果が期待される。通勤ラッシュから解放されることで健康での効果も期待できる。また、環境面では通勤減少やオフィスの省力化による電力消費量や二酸化炭素排出量の削減が期待される。

 そして、東日本大震災後は、公共交通機関の運休や計画停電等の際にも事業を継続する手段として、テレワークが注目されるようになった。

 テレワークによる節電や二酸化炭素排出量の削減効果は少し眉唾なところもある。例えば、テレワークを実施すると通勤によるエネルギー消費量が削減されるとして効果を計算するが、大都市圏では通勤手段の多くが電車であり、一部の人がテレワークを実施するしないにかかわらずに電車は動く。実際に電車の運子本数が減るほどに多くの人がテレワークを実施しなければ、エネルギー消費量は減らない。

 つまり、逆に言えば、テレワークの環境負荷を削減する効果を発揮するためには、電車の運行本数を減らすほどにサテライトオフィスや在宅勤務を都市全体で実施することが必要となる。テレワークの標準仕様化を実現するため、郊外の住宅地に勤務者が共同で利用できるサテライトオフィスを数多く設置することも必要となるだろう。

 おりしも、国土交通省は2011年10月から2012年1月にかけて、「テレワークセンター社会実験」を行った。この実験参加者へのアンケート調査では、テレワークセンターの要件として、ネットワーク回線、プリンター・コピー、スキャナー、シュレッダー、貸出用PC等の機器・サービスがあげられた。また、電話ができて快適なワークスペース、会議室、食事スペース、無料のドリンクサービス、座席の予約システム等を求める回答が多くあった。

 未来に向けては、鉄道駅周辺で快適なテレワークセンターを提供するビジネスが定着していくだろう。また、マイホームでも在宅勤務用のスペースを設けることが標準仕様になるかもしれない。

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